14 水墨画の世界が広がる水郷古鎮

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2015中国シルクロード観光年
水墨画の世界が広がる水郷古鎮
蘇州と無錫の新たな魅力
江蘇省南部に位置する蘇州と無錫は、中国5大湖の1つ、太湖の恵みあふれる運河の街。
江南エリアに点在する水郷古鎮
(運河がめぐる古い町)
の代表として成熟した観光地であるとともに、
新たな観光スポットや魅力的なエンターテイメントが増えている。
文/皆方久美子 写真/井岡今日子
太湖の東、長江(揚子江)のデルタ
た水郷古鎮めぐりは、観光の定番にな
地帯に位置する蘇州と無錫へは、上海
っている。
からのアクセスが便利だ。高速鉄道で
中国らしい運河沿いの風景
蘇州の山塘街。運河遊覧が人気
び、運行本数も多い。
蘇州の歴史は、春秋時代の紀元前
と呼ばれるようになった。
蘇州へは上海浦東国際空港からのリ
514年に呉王の闔 閭が蘇州城を築いた
点在する古典庭園は、明から清代に
ムジンバスもあり、2時間程度で着く。
ことに始まる。宋代に運河が整備され
造園されたもので、世界遺産に登録さ
無錫には空港があり、週2便関西と結
たのに伴い、絹織物や刺繍、手工芸が
れている名園が数多くある。なかでも
んでいる。国内線での移動も可能だ。
発展。
「蘇」の字が示すように、
「魚米
中国四大庭園の1つに数えられている
江南の水郷は「小橋、運河、白壁と
之郷」としても知られ、明・清代には
拙政園や留園は必見。池や楼閣、回廊
黒灰瓦の人家」の風景が広がり、中国
大運河を通じて、豊富な物産が北京へ
が配され、名石といわれる太湖石、透
の観光地の代表的なイメージを作って
運ばれた。
かし彫りが施された花窓など、美学を
いる。蘇州と無錫がその代表だが、周
現在の蘇州の中心部の地図は、南宋
尽くして造園された庭園は、じっくり
辺には、周荘、同里、甪直など千年を
時代の平江図に描かれた区画とほとん
時間をかけるよう案内したい。
越す古鎮が点在する。蘇州を基点とし
ど変わらない。呉文化を残す運河沿い
「楓橋夜泊(月落ち烏啼いて霜天に満
の街並みや江南都市庭園の数々は、最
つ…)」の漢詩で知られる寒山寺は、臨
も中国らしい風景とされている。
済宗の古刹。鐘を突くと長生きすると
呉時代、白居易(白楽天)が蘇州長
され、中国内外からの観光客を集めて
官就任時に開削した水陸路の白公堤が、
いる。除夜の鐘を突きにくる日本人も
現在の山 塘街に整備されている。山塘
多い。
蘇州まで約25分、無錫へも約50分で結
ろくちょく
こうりょ
バイコンティ
シャンタンジェ
街とは蘇州の昔ながらの古い町並みを
残しつつ、近年観光地として再開発さ
れた地区のことだ。旧城内平江路での
せっせいえん
遺産を守りつつ再開発で発展
蘇州料理を味わうには旧蘇州城内に
運河めぐりは、蘇州を代表する観光ス
ポットとなっており、風情豊か。運河
の両岸に蘇州刺繍や切り絵の店、茶館
などが並び、散策にもおすすめだ。
こきゅう
高さ47mの斜塔が有名な虎丘。こち
らは山塘街から運河で結ばれている。
闔閭の陵墓がある小高い丘で、闔閭の
葬儀の3日後に白虎が出てきて墓の上
傾き続ける虎丘の雲厳寺塔
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TRAVEL JOURNAL 2015.4.13
にうずくまったという伝説から、虎丘
優雅な伝統芸能の昆曲
無錫運河のナイトクルーズ
名石の太湖石がある留園
水墨画を思わせる無錫運河
寒山寺の鐘楼堂
蘇州名物の松鼠桂魚
三味線と琵琶による評弾
ある繁華街、観前街や十全街へ。創業
サポート。観光面でも蘇州スタイルが
テーマにした霊山がある。仏教文化博
200年を超す老舗の蘇州料理レストラン
確立しつつある。
覧園とも呼ばれ、広大な園内には中国
が点在している。蘇州料理はやや甘め
ながら、脂っこくなくさっぱりした味わ
人気の三国志テーマパーク
一の大きさを誇る高さ88mの霊山大仏
やチベット仏教寺院、贅を尽くした内
い。高級魚の桂魚をリスに見立てた形
蘇州から高速鉄道で約15分の無錫は、
装の梵宮などが点在している。
(桂魚を丸揚げにし
に仕上げた松鼠桂魚
3000年以上の歴史をもつ古い町。かつ
馬山から無錫の中心部に向かう途中
て甘酢あんかけをかけたもの)
が有名だ。
ては錫の産地だったが、漢代に採掘さ
には呉王闔閭城遺跡があり、現在闔閭
古い趣きのなかに新風を吹き込んだ
れ尽くしてしまい、以来無錫の名で呼
博物館を建設中。呉文化を広く紹介す
試みに、昆 曲の楽しみがある。昆曲は
ばれるようになった。
る資料を展示予定で、オープンが待た
中国の伝統演劇の中で最も古く、700
北に長江が流れ、南に太湖を望む景
れる。
年ほどの歴史がある。やわらかなメロデ
勝地で、太湖湖畔に見どころが点在し
無錫の繁華街は中山路と人民路の交
ィーと優雅な動きが特徴で、明・清代
ている。太湖の北端にある黿 頭渚公園
差点周辺。古運河沿いに飲食街が形成
に盛んに上演されていた。近年復活し
は湖畔沿いに散策路が整備され、無錫
され、レンガ造りの建物が並んでいる。
て楽しめるところが増えている。蘇州
随一とされる景観が楽しめる。園内に
「運河古 邑」や「陽 春巷」と命名された
市旅遊局では寄席演芸場のほか、庭園
は日本の演歌で有名になった「無錫旅
エリアではレストランのほか、カフェや
や茶館などでの鑑賞を勧めている。
情」の石碑もある。
パブもあり、夜遅くまで楽しむことがで
一方、蘇州では、文化と歴史的遺産
太湖のほとりにある蠡 園は、中国四
きる。レストランでは太湖の恵みを活か
を保護・保全しながらも、再開発を推
大美人に挙げられる西 施を越王勾踐か
した料理の数々を味わいたい。
進してきた。蘇州中心部の西側に造っ
らの貢ぎ物として呉王夫 差に届けた越
古運河では遊覧船に乗ることができ
た蘇州工業団地を成功させ、歴史的遺
王の家臣、范 蠡にちなんで造られた江
る。アーチ橋やメガネ橋を通りながらの
産の平江路を保存するなどの都市作り
南名園である。水辺に楼閣が映える様
水上遊覧が気持ちよい。特にライトア
は、2014年にリー・クアンユー世界都
が美しい。
ップされて、水面に赤提灯が揺れるナ
市賞を受賞した。
近年人気なのが『三国志』の世界を
イトクルーズがおすすめだ。
新しい観光地としては、蘇州工業団
体感できるテーマパーク、三国城。映
無錫市旅遊局によると、江南地方の
地にある金 鶏湖が一大レジャースポッ
画『三国志』の撮影に使われたオープン
伝統芸能である評弾を聴きながらのナ
トとして注目されている。大観覧車や
セットを使い、呉王宮や曹操官船、桃
イトクルーズは、風情があって格別との
大型水族館などの施設に、緑地が広が
園などが再現されている。「桃 園結義」
こと。評弾は三味線と琵琶を使った講
る都市景観と水辺景観が新たな景観を
や騎馬兵ショーなどのショーも上演さ
談で、気品のある吟唱が特徴。明・清
作っている。
れ、ファンにはたまらない内容だ。三
代に流行し、現在その良さが見直され
観光では、公共交通や観光スポット
国城に隣接して、『水滸伝』をテーマに
ている芸能だ。
が優 待 料 金で利 用できる「蘇 州 漫 遊
した水滸城もある。
カード」を発行し、旅行者などの旅を
無錫市の西側、馬山には仏教文化を
ソンシューグイユー
こんきょく
きんけいこ
げんとうしょこうえん
リーユアン
せいし
ふ
こうせん
さ
はんれい
とうえんけつぎ
こゆう
ようしゅんこう
ひょうだん
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E-mail:[email protected]
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