微分積分学 II 中間テスト(2015 年 11 月 24 日) 学籍番号 氏名 点数 最高点 91 点 平均点 48.69 点 1 下記の 問題 のあとに続く 答案 は正しいか正しくないか答えよ. 正しくなければ答案に対する誤りを指 摘し,正しい解答を作成せよ. x3 − 2xy 問題 lim が存在するかどうか調べ,存在する場合はその極限値を求めよ. (x,y)→(0,0) x2 + y2 3 3 答案 直線 x = 0 (y 軸) に沿って (x, y) を (0, 0) に近づけると, xx2−2xy = 0 0−2×0×y = y02 = 0 → 0 ((x, y) → (0, 0) の 2 +y2 +y2 とき) であることがわかる. 次に, 直線 y = 0 (x 軸) に沿って (x, y) を (0, 0) に近づけると, ((x, y) → (0, 0) のとき) である. x3 −2xy x2 +y2 したがって, x 軸に沿った極限と y 軸に沿った極限の 2 通りの値が一致するので, 極限 = lim x3 −2x×0 x2 +02 (x,y)→(0,0) =x→0 x3 − 2xy は存 x 2 + y2 在し, 極限値は 0 であることがわかる. 解答例 正しくない. 【指摘】2 通りの近づけ方で同じ値に近づくからといって極限値が存在することにはならない (あらゆる近づ け方を考えて同じ値に近づくことを示さなければ極限値が存在するとは言えない). 3 3 【正しい解答】直線 x = 0 (y 軸) に沿って (x, y) を (0, 0) に近づけると, xx2−2xy = 0 0−2×0×y = y02 = 0 → 0 2 +y2 +y2 ((x, y) → (0, 0) のとき) であることがわかる. 一方, 直線 y = x に沿って (x, y) を (0, 0) に近づけると, x3 −2x2 2x2 = → −1 となる. (x, y) を原点に近づける際,異なる近づけ方をしたときに, x3 − 2xy ないことが分かるので, 極限 lim は存在しない. (x,y)→(0,0) x2 + y2 x−2 2 x3 −2xy x2 +y2 x3 −2xy x2 +y2 = は一定の値に近づか (1) 2 変数関数 (a, b) で連続であることの定義を述べよ. f2 (x,2 y) がその定義域内の点 2 )−2x2 y 2x +2y (1+y (x, y) , (0, 0) のとき, x2 +y2 (2) 関数 f (x, y) = が原点で連続になるように, 定数 A の値を定めよ. A (x, y) = (0, 0) のとき 2 解答例 (1) lim (x,y)→(a,b) f (x, y) = f (a, b) が成り立つとき, f (x, y) は点 (a, b) で連続である, という. (2) (x, y) , (0, 0) に対して x = r cos θ, y = r sin θ とおくと, 2r2 cos2 θ + 2r2 sin2 θ(1 + r2 sin2 θ) − 2r3 cos2 θ sin θ r2 2 2 2 = 2 cos θ + 2 sin θ + 2r sin4 θ − 2r cos2 θ sin θ f (r cos θ, r sin θ) = = 2 + 2r2 sin4 θ − 2r cos2 θ sin θ となる. よって, 三角不等式を用いると, 0 ≤ | f (r cos θ, r sin θ)−2| = |2r2 sin4 θ−2r cos2 θ sin θ| ≤ |2r2 sin4 θ|+|−2r cos2 θ sin θ| ≤ 2r2 +2r → 0 (r → 0 のとき) lim f (x, y) = 2 であることがわかる. したがって, f (x, y) が原点で連 続であるための必要十分条件は A = 2 である. となる. 従って, はさみうちの原理より, (x,y)→(0,0) 3 関数 f (x, y) = log(1 + x + 2y) について以下の問いに答えよ. (1) f (x, y) の剰余項を含めて 2 次までの有限マクローリン展開を求めよ. (2) f (x, y) は原点で全微分可能であるかどうか調べよ. (3) 曲面 z = f (x, y) 上の点 (0, 0, 0) における接平面の方程式を求めよ. 1 2 1 解答例 (1) まず, f x (x, y) = 1+x+2y , fy (x, y) = 1+x+2y であるから, f x (0, 0) = 1, fy (0, 0) = 2, f xx (x, y) = − (1+x+2y) 2, 2 4 f xy (x, y) = − (1+x+2y)2 , fyy (x, y) = − (1+x+2y)2 である. テイラーの定理より, ある θ ∈ (0, 1) を用いて次の有限マクロー リン展開が可能である: (x + 2y)2 f (x, y) = x + 2y − . 2(1 + θx + 2θy)2 (2) (h, k) = f (h, k) − f (0, 0) − h f x (0, 0) − k fy (0, 0) とおくと, (1) の結果から, (h, k) = log(1 + h + 2k) − h − 2k = − (h + 2k)2 2(1 + θh + 2θk)2 となる. 全微分可能性を示すために, (h, k) (h + 2k)2 1 =√ · √ 2 2 h + k2 h2 + k2 2(1 + θh + 2θk) (1) の (h, k) → (0, 0) としたときの極限を考える. まず, h = r cos ϕ, k = r sin θ とおくと, (h + 2k)2 r2 (cos ϕ + 2 sin ϕ)2 = 0≤√ ≤ 9r → 0 (r → 0 のとき) h2 + k2 r (h + 2k)2 = 0 であることがわかる. また, (h, k) → (0, 0) とするので, √ (h,k)→(0,0) h2 + k2 h, k はそれぞれ十分小さいと考えられるため, |h| < 1/4, |k| < 1/4 だと思ってよい. このとき, 0 < θ < 1 も用いて, 1 < 1 + θh + θk < 74 であることがわかる. ゆえに, (1) から 4 (h, k) (h + 2k)2 0≤√ < 2 √ → 0 ((h, k) → (0, 0) のとき). h2 + k2 h2 + k2 であるので, はさみうちの原理から はさみうちの原理から lim (h,k)→(0,0) (3) (1) より, z = x + 2y. lim (h, k) = 0 となるので, f (x, y) は原点で全微分可能である. √ h2 + k 2 4 関数 f (x, y) = e x 2 +2x+y2 −2y の極値をすべて求めよ (極値が存在しない場合もある). 解答例 まずは極値を取る点の候補を求める. x2 +2x+y2 −2y =0 f x (x, y) = (2x + 2)e 2 2 fy (x, y) = (2y − 2)e x +2x+y −2y = 0 を解くと, (x, y) = (−1, 1) であることがわかる. これが極値を取る点の候補である. 2 2 2 2 次に, 極値か否かの判別を行う. f xx (x, y) = 2e x +2x+y −2y + (2x + 2)(2x + 2)e x +2x+y −2y より, f xx (−1, 1) = e22 . 2 2 2 2 2 2 f xy (x, y) = (2x + 2)(2y − 2)e x +2x+y −2y より, f xy (−1, 1) = 0. fyy (x, y) = 2e x +2x+y −2y + (2y − 2)(2y − 2)e x +2x+y −2y より, fyy (−1, 1) = e22 . よって, 判別式を D(x, y) とすれば D(−1, 1) = − e44 < 0, f xx (−1, 1) > 0 となる. よって, f (−1, 1) = e12 は極小値となる. xy (cos x − cos y) x2 +y2 (x, y) , (0, 0) のとき 5 関数 f (x, y) = について以下の問いに答えよ. 0 (x, y) = (0, 0) のとき (1) 偏微分係数の定義に従って, fy (0, 0) と fy (h, 0) (但し, h , 0 とする)を求めよ. (2) fyx (0, 0) を求めよ. (3) 偏微分係数の定義に従って, f x (0, 0) と f x (0, h) (但し, h , 0 とする)を求めよ. (4) f xy (0, 0) を求めよ. f (0, h) − f (0, 0) 0−0 = lim = 0. h→0 h→0 h h (cos h − cos k) h2hk f (h, k) − f (h, 0) cos h − 1 +k2 fy (h, 0) = lim = lim = . k→0 h→0 k k h fy (h, 0) − fy (0, 0) − sin h cos h − 1 1 = lim (2) ロピタルの定理より, fyx (0, 0) = lim = lim =− . 2 h→0 h→0 h→0 h h 2h 2 f (h, 0) − f (0, 0) 0−0 (3) f x (0, 0) = lim = lim = 0. h→0 h→0 h h (cos k − cos h) k2kh f (k, h) − f (0, h) 1 − cos h +h2 f x (0, h) = lim = lim = . k→0 k→0 k k h 1 (4) (2) の計算と同様にして, f xy (0, 0) = となる(符号が違うだけである). 2 解答例 (1) fy (0, 0) = lim
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