2015年度 微分積分学第一 (Vクラス) レポート問題2 略解

2015 年度 微分積分学第一 (V クラス) レポート問題 2 略解
注:今後 (今までもそうだが),講義で紹介した主張は,基本的には証明なしで用いて良い
(もちろん,講義中で証明を省略し,それを問にしている場合は例外).
∂f
f (z + δ, w) − f (z, w)
f (w, z + δ) − f (w, z)
(z, w) = lim
= lim
. 従って右辺の極限が
δ→0
δ→0
∂x
δ
δ
∂f
(z, w) =
存在する.従って f (x, y) は (x, y) = (w, z) で y について偏微分可能.更に
∂x
∂f
(w, z) も分かる.
∂y
∂f
(2) f (x, y) = xy とすれば,これは x, y について対称な関数.一方で, (x, y) = y は x, y に
∂x
ついて対称な関数ではない.
6
(1)
7
(1) 仮定より,f (x(t), y(t)) は t を変数とする関数として定数関数.従って,その微分は 0.一
方で,合成関数の微分公式を用いて微分を計算すれば,
d
∂f
dx
∂f
dy
f (x(t), y(t)) =
(x(t), y(t))
(t) +
(x(t), y(t))
(t).
dt
∂x
dt
∂y
dt
これらを合わせれば良い.
(2) x(t) = t, y(t) = t2 として (1) を適用.
∂f
dx
∂f
dy
講評: (x(t), y(t))
(t) =
(x(t), y(t))
(t) = 0 という誤りが多い.このようなミスは,
∂x
dt
∂y
dt
合成関数の微分を勘違いしているか,人の解答を (意味も考えず) 丸写しした場合に (写し間違
いとして) 発生しやすい.前者であれば,講義ノートを確認すれば何が正しいのかは分かるは
ず.後者であれば,結局,理解し身につかなければ試験で解けないので,
「単位を取る」という
目的のためにも推奨できない.
dx dy
∂x ∂y
なお,問題文で
,
とすべきところが
,
となっておりました.お詫び申し上げます
dt dt
∂t ∂t
(web 上の問題も差し替えました).
8 (x, y) = (r cos θ, r sin θ) (−π/2 < θ < π/2, r > 0) と A の点を極座標変換で表示すると,
f (r cos θ, r sin θ) = (arcsin(sin θ))2 = θ2 (最後の等号は arcsin の定義と θ の範囲の選び方によ
る).よって,g(r, θ) = f (r cos θ, r sin θ)(= θ2 ) とおくと,(x, y) = (r cos θ, r sin θ) をみたす (r, θ)
に対して,
∂ 2g
1 ∂g
1 ∂2g
2
2
∆f (x, y) = 2 (r, θ) +
(r, θ) + 2 2 (r, θ) = 2 = 2
.
∂r
r ∂r
r ∂θ
r
x + y2
講評:「arcsin(sin θ) = θ」に気づいていない答案が多かった.逆三角関数の微分公式は確かに
講義で扱っており,それを使えば解けるが,三角関数の逆関数だということも大事な性質.
9 変数を省略して書く.
gx = fx ◦ u · (u1 )x + fy ◦ u · (u2 )x = fx ◦ u · cos θ + fy ◦ u · sin θ,
gy = fx ◦ u · (− sin θ) + fy ◦ u · cos θ,
gxx = (fxx ◦ u · cos θ + fxy ◦ u · sin θ) cos θ + (fyx ◦ u · cos θ + fyy ◦ u · sin θ) sin θ
= fxx ◦ u · cos2 θ + 2fxy ◦ u · sin θ cos θ + fyy ◦ u · sin2 θ,
gyy = fxx ◦ u · sin2 θ − 2fxy ◦ u · sin θ cos θ + fyy ◦ u · cos2 θ.
よって,∆g = gxx + gyy = fxx ◦ u + fyy ◦ u = (∆f ) ◦ u.
講評:講義でも注意したが,偏微分を表す記号は「変数として何を使っているか」に依存して
いる.特に合成関数の微分を考える際には,混乱の少ない (正しく理解していると,採点者に
伝わるような) 記号を用いること.
10 平均値の定理から,f (x, y) − f (0, y) = fx (c, y) となる c が 0 と x の間にある (f (x, y) は y を固
定していれば,x のみを変数とする一変数関数とみなせる).一方 fx は全ての点で 0 なので,
f (x, y) = f (0, y).従って,g(y) = f (0, y) として結論が成立する.
f (x + h) − f (x)
= 0 ⇒ f (x + h) − f (x) = 0」という議論が多い.これだけでは説
h
明になっていないし,
「極限が 0 だから極限を取る前の量も 0」と誤解 (誤解です!) しているよ
うにも読める.
講評:
「 lim
h→0