ホルモン I I ホルモンの作用機構 (2)細胞内に入るホルモン ステロイドホルモンとチロキシン: 疎水性 同じような組成の細胞膜を通り抜け、 細胞内に入れる ① これらのホルモン 血液中では特異的な担体タンパクと結合し、輸送される 標的細胞に到着 → 担体タンパクから解離 → 細胞膜を通過 ② いくつかのステロイドホルモン 細胞質中で、特異的な受容体タンパクと結合 = ホルモンー受容体複合体 → 核内へ入る 別のステロイドホルモンと甲状腺ホルモン そのまま核内に入る • 核内の受容体タンパクと結合 ③ ホルモンと結合し活性化された受容体 → DNA の特定の部位に結合 → 遺伝子の転写を活性化・抑制 ④、⑤ 特定のタンパク質の合成を開始 or 抑制 これらのタンパク = 標的細胞の代謝を変える活性を持つ → 機能的変化を引き起こす 卵巣・精巣 性ステロイドホルモンを合成 卵巣 → エストロゲン、プロゲステロン 主要な雌性ホルモン 精巣 → テストステロン (アンドロゲン) 雄性ホルモン 思春期に第二次性徴を発現させる働き 甲状腺 首の前部、のど仏のすぐ下に位置 チロキシンを分泌 体のほとんどすべての組織に作用 酸化的呼吸を促進 基礎代謝率の設定に関与 子供:成長及び中枢神経系の成熟を促進 副腎 内部の髄質 + それを取り巻く外層の皮質 下垂体ホルモン 脊椎動物 視床下部の真下 → (脳)下垂体 体のホルモン産生と利用の全機構 → 非常に複雑 = しばしばオーケストラにたとえられる 下垂体 = そのホルモン・オーケストラの指揮者 下垂体 もともと腺としてスタートした前葉と、繊維状の後葉が合体 前葉と後葉 発生起源が異なり、異なるホルモンを分泌し、異なる調節を受ける (1)下垂体後葉 繊維状 = 視床下部に細胞体を持つニューロンの軸索からなるため 細胞体で 抗利尿ホルモン(ADH) オキシトシン 合成 ↓ 軸索によって後葉に運ばれ 貯えられ ↓ 血中へ放出 (2)下垂体前葉 完全な腺で、分泌されるホルモンはここで合成 ほかの内分泌腺の活動を制御する上位ホルモンを分泌 → 全身のホルモンの働きを統括 視床下部 視床下部の神経分泌細胞 = オーケストラの演出家 下垂体前葉ホルモン放出ホルモンを生産・分泌 (上上位ホルモン) ↓ 脳下垂体前葉の上位 ホルモンの放出をさら に制御 視床下部のホルモン 視床下部底部の第一次毛細血管網に分泌 血管の枝分かれ → 視床下部ホルモンを効率よく受け取る この毛細血管網 漏斗を走る下垂体門脈に連結 下垂体前葉で再び枝分かれ、第二次毛細血管網を形成 血管の枝分かれ →下垂体前葉にホルモンを与える効率を高める 視床下部の神経分泌細胞 • 神経細胞でありながらホルモンを生産 普通の神経細胞 シナプスで神経伝達物質を放出 すぐ近くの神経細胞に作用を及ぼす 神経分泌細胞 伝達物質の代わりに前葉ホルモン放出ホルモンを分泌 待ち受けているのが、神経細胞でなく、血管網 本質的に両者は同じことをしているとも言える フィードバック制御 視床下部ホルモンの分泌 → 神経系や末梢の標的器官 からのホルモンのフィードバック 作用によって調節 甲状腺・副腎皮質・生殖腺のホルモンが過剰 ↓ 脳下垂体前葉の刺激ホルモンと、視床下部の 刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が抑制 ↓ 各内分泌腺が分泌するホルモン濃度がほぼ 一定に保たれる ホルモン受容体の数も一定でない ↓ 細胞の活性や発生段階 分化の程度に応じて変動 ↓ ホルモンに対する反応性が高低 甲状腺ホルモン → 脳下垂体の甲状腺刺激ホルモン産生細胞 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH) 受容体数を減少 → 脳下垂体のTRHへの反応性が低下 → 甲状腺刺激ホルモンの分泌が減少 受容体レベルでもネガティブ・フィードバック機構が働く 内分泌かく乱物質 標的細胞: ホルモンに対する感受性 → 非常に高い = 低い血中ホルモン濃度で十分に反応できる このホルモン機能を阻害できる内分泌かく乱物質 → 拡散、蔓延化 合成化学物質 投棄された工業廃棄物 = 環境汚染物質 農薬 食物を介して = 我々の体内に入り込む 空気中から吸入され アゴニストとして機能 ホルモン受容体に結合 → ホルモン同様の作用を引き起こす アンタゴニストとして機能 受容体に結合 → ホルモンが受容体と結合することを阻害 血中のホルモン結合タンパクに結合 → そのホルモンの機能を阻害
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