「あたたかい着方を工夫しよう」実践事例 山口大学教育学部附属山口小学校 1 古 庄 又 実践事例「あたたかい着方を工夫しよう」 (1)ねらい ○ 暖かい着方の工夫について調べたり、分かったことや考えたことを交流したりしな がら、寒い季節に応じた、暖かい着方の工夫を見出すことができるようにする。 ○ 仲間と共に暖かい着方について交流することによさを感じたり、見出した工夫につ いて家庭や学校で実践しようとしたりすることができるようにする。 (2)授業の実際 導入では、夏休みに学校に集まった時の写 真をもとに、寒い日にどのような着方をすれ ばよいのかを考え、服を持ち寄った。持ち寄 った服を着て、自分が暖かいと感じている温 度が何度であるのかを調べ、体感と温度を軸 にした表にまとめた。仲間と着方について交 流する中で「A さんのように服の形は意識し ていなかったな」と自分の着方を見つめ直す 体 感 と 温 度 を 軸 に し た 表 (1 1回目) 姿 が 見 ら れ た 。ま ま た 、着 着 方 を 整 理 し て い く 中 で 、子 ど も た ち は「 は 服の枚数」 「服の厚さ」 「服の形」といった暖かい着方の工夫の視点を見出した。 見出した工夫の視点をもとに、体に見立てた手に布をかぶせ、温度を測る実験に取 り 組 ん だ 。「 服 の 枚 数 」「 服 の 厚 さ 」「 服 の 形 」 と い っ た 条 件 を 変 え 、温 度 を 比 較 す る 中 で「 何 枚も重ねた方が暖かい感じがするな。温度を 測 る と 、重 ね 着 の 方 が 3 度 も 高 か っ た 」な ど 、 感じ方と温度を結びつけながら、見出した工 夫が効果的であることに気付くことができた。 また、手に布をかぶせて実験を行ったことで 「裾を開いていると、中の空気がすうっとす 実験で使った布と温度計 る」と子どもたちは服の中の空気の存在に気付き、そのことが「暖かい着方は、中の 空気を暖めて逃がさないようにすることだ」という衣服の働きを見出すことにつなが った。 見出したことをもとに、家から服を持ち寄り温度を測る活動を、再度仕組み、体感 と温度を軸にした表にまとめた。子どもたちは1回目の表と比較し、自分の工夫が効 果的であったことに気付いていった。取り 組んだ工夫についての交流では「僕は今ま で首元を意識していなかったから、B さん のように、ハイネックを着て暖かくしたい と思ったよ」 「C さんのように脱ぎ着しやす い服を羽織るようにしたら、暑い時にすぐ に脱げるね」など、自分の着方を見つめ直 し、仲間の暖かい着方を自分の着方に取り 体 感 と 温 度 を 軸 に し た 表 (2 回 目 ) 入れようとする姿が見られた。 2 成果と課題 服を持ち寄ったり服の中の温度を調べる実験をしたりする活動をもとに仲間との交流 を仕組むことは、自分の着方を見つめ直し、新たな工夫を見出すことにつながった。 しかし、着方の工夫の交流では、温度と関係付けて語ろうとしなかった子どもがいる の も 事 実 で あ る 。温 度 の 上 昇 と 暖 か く す る 工 夫 と が 結 び つ か な か っ た こ と が 考 え ら れ る 。 子どもたちが服を持ち寄る際の設定および投げかけに改善する余地がある。 服の中の温度を測る活動の様子 実験の様子 ≪資料≫活動で使った器具及び活動の内容 服の中の温度を測る活動(第1次第2時) ○活動で用いた温度計 センサー部分をストローで覆う ○温度を測る活動の様子 ○体感と温度を軸にしたグラフに表す 手に布(服)を被せて比較する実験 T シャツ3枚を被せる (重ね着) T シャツの裾を閉じる (服の形) T シャツ1枚を被せる トレーナー1枚被せる (服の厚さ)
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