特殊相対性理論での光のドッ プラー効果と光行差 大阪工業大学 情報科学部 情報メディア学科 学生番号 C04-117 兵庫真広 はじめに ・日常扱う有効な理論であるニュートン力学と、光速に 近い運動状態を正しく記述する特殊相対性理論をドッ プラー効果で比較。 ・光行差を取り入れることによって観測者の速度ととも に見かけの光景がどのように変化するかを視覚化。 全体の方針 1.Java言語を用いて、光のドップラー効果によって光 源がどのように見えるかを視覚化する。 2.1に加えて光行差現象を加えることによって、見か けの世界・視野がどのように変わるかを視覚化する。 3.1,2の場合それぞれで、観測者が光源から遠ざか る場合、光源がどのように見えるかを可視化し比較す る。 2006年の卒論 特殊相対性理論における光のドップラー効果 ・ニュートン力学と特殊相対性理論のドップラー効果の比較 ・横ドップラー効果の可視化 江本賢泰 特殊相対性理論における光行差 静止している観測者が見上げる物体が光行差の式を使うことによ って、見上げる角度がどの程度変化していくか。 犬束高士 特殊相対性理論 ・アインシュタインは電磁気学とニュートン力学の間に生じた矛盾 を解決しようとして特殊相対性理論を考えた。 矛盾 →電磁波を伝える媒質(エーテル)が見つからなかった。 ・光速不変の原理、特殊相対性原理を考えると、ニュートン力学 的な時間や空間の概念が、光速に近い運動状態では修正が必 要であることが分かり、ローレンツ変換によって座標が変換され る法則が見つかった。 ドップラー効果 救急車が近づいて来るとき、音が高くなって聞こえる が、逆に遠ざかっていくにつれて音が低くなって聞こえ る。このような物体の相対速度で生じる波の振動数変 化の現象。 ニュートン力学では発生源の周波数 として、 観 0 測する周波数 は、 f f f N f N cv となる。 ( は波速) c 0 c u ( は波源の速度) u v は観測者の速度) ( 一方、特殊相対性理論では、同様に周波数 f SR f 0 1 β となる。( 1 β ) v β c fは、 SR 光のドップラー効果 光は波であり、周波数によって色が変わる。人間の目に 見える光は可視光線と呼ばれる。 0.38μm 0.77μm 79 *1014 Hz 39 *1014 Hz ロケットの速度による色の見える範 囲の変化 β=0.5辺りから 可視領域外へ ニュートン力学 β=0.6辺りから 可視領域外へ 特殊相対性理論 尚、灰色の部分は紫外線を示している。 横ドップラー効果 観測者の運動方向から光 源が角度θの位置にある 時、ドップラー効果は角度 θに依存し、 v 1 ( ) f S f0 c 1 cos 2 で表される。 横ドップラー効果の可視化 β=0.3の時 β=0.5の時 β=0.9の時 中心の白い領域は紫外線、外側の領域は赤外線を示し ている。また全ての可視化は一様に黄色い星の変化を 表している。 CIEダイアグラム 色情報を光の三原色の二つ の色の混合比で表した図。 太線に囲まれた領域が可視光 の領域。この曲線は純色を表 しており、それぞれの色の周 波数が刻んである。 三角形の内部はRGBで表現で きる全ての色。 http://www-ui.is.s.utokyo.ac.jp/~o/Computer/Note/010106ColorRepresentation/ より RGBで連続的に表示させてい ない場合との比較 RGBで連続的に表示 させたアプレット 求まった周波数を七つの色 に場合分けして表示させたア プレット ニュートン力学での光行差 観測者の運動によって、見かけの光景の相対角度が異なる現 象。雨の日、電車の中から見た窓の様子を考えると、電車の V1 速度を 、雨の落下速度を とした時、電車の窓から見え V0 る雨の角度は、電車の速度分だけ雨が後方に向かうと考えて 、 tan V0 V1 となる。これより動いている電車の中から見える雨の角度と静止 している人から見える雨の降る角度は異なって見える。 特殊相対性理論での光行差 ローレンツ変換から導くことにより、静止している観測者が 角度θで見上げる光源は、速度 で運動する観測者にとっ ては、 v 1 ) tan sin cos 2 (β= を満たす角度θ’の方向に見える。 v c 光行差を含めた横ドップラー効 果の可視化 β=0.3の時 β=0.5の時 β=0.9の時 横ドップラー効果と光行差を取り 入れた可視化の比較 左が通常のドップ ラー効果のみの可視 化、右が光行差を取 り入れた可視化であ る。 上から順に、 β=0.3の時 β=0.5の時 β=0.9の時 観測者が光源から遠ざかる場合 の比較 左が通常のドップラー効 果のみの可視化、右が光 行差を取り入れた可視化 である。 上から順に、 β=0.3の時 β=0.5の時 β=0.9の時 中心が赤外線、外側が紫 外線を示している。 結論1 ・ニュートン力学と特殊相対性理論の比較(2006年の卒論) →ニュートン力学では光速の約50%、特殊相対性理論では約 60%以上で全ての色は紫外線により見えなくなる。 ・横ドップラー効果 →中心に行くほど青方偏移が起こり、光速の50%辺りから可視 領域外に達する。 ・光速の60%辺りから外側で赤方偏移が起こり、可視領域外に 達する。 ・光行差を取り入れたドップラー効果 →光速に近くなるにつれて、見かけの世界、視野が狭くなる度 合いが大きくなっている 結論2 ・観測者が光源から遠ざかる場合の横ドップラー効果 →光源の色がほとんど赤一色で赤方偏移があまり起こらな い。 →光源に近づく場合とは逆に光速に近づくにつれて視野が 広がっている。 上記の横ドップラー効果に光行差を含めたもの →上記二つの結果に加えて、視野が広がり光源が見えなく なるまでが早い。
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