No.5 平成27年2月9日 発行: 平成 26 年度鉄コーティング直播等栽培実証結果について ○直播栽培自体は、従来から行なわれています。しかし、単に移植栽培の育苗作業との 入れ替えでのコストダウン、と考えてしまうと、育苗コストや労力は減っても、 入れ替えでのコストダウン、と考えてしまうと、育苗コストや労力は減っても、移植に 育苗コストや労力は減っても、移植に 比べて一定程度の減収となることにより、 比べて一定程度の減収となることにより、本来のメリットが見出せなくなってしまいま 本来のメリットが見出せなくなってしまいま す。 ○直播栽培は、経営 直播栽培は、経営規模拡大 経営規模拡大、 規模拡大、春先や出来秋 春先や出来秋の労力集中 や出来秋の労力集中、 の労力集中、という経営課題を解決するた めの手法として、 めの手法として、大規模農家・生産法人の皆様へ、 手法として、大規模農家・生産法人の皆様へ、ぜひ 大規模農家・生産法人の皆様へ、ぜひ取組 ぜひ取組みをご検討いただきたい 取組みをご検討いただきたい技 みをご検討いただきたい技 術です。 ○26 年度は、鉄コーティング直播を中心に、V溝・カルパーなど直播栽培についての 実証圃を設置しました。あわせて、 あわせて、無人ヘリによる直播についても取組みいたしました。 以下に本年度の実証圃取組み状況をお知らせいたします。 1.鉄 1.鉄コーティング直播 コーティング直播 (1)実証圃設置状況 17JA でコシヒカリ 32 か所、こしいぶき 5 か所の実証圃を設置しました。(合計 19.2ha) (2)播種、出芽・苗立ち 播種日は 4 月 28 日から 5 月 20 日で、平均播種日は 5 月 9 日でした。5 月 10 日以前に 播種した実証圃では、低温の影響により出芽・苗立ちの劣るものが見られました。 (3)鳥害 一部圃場で畦畔際を中心にスズメ・カラス等の食害が散見されましたが、収量への影響 は軽微でした。 (4)雑草 出芽不揃いで除草剤を適期に施用できなかった所や直播の連作圃場でノビエの残草量 が多くありました。 (5)病害虫 一部で紋枯病、いもち病(穂いもち)が発生し、収量に影響した圃場も見られました。 ※掲載内容の無断使用・転載を禁じます。 1 (6)収量及び品質 収量は、コシヒカリ・こしいぶきとも慣行の移植栽培と比較し、1俵(60kg)程度の減 収となりましたが、品質はコシヒカリ、こしいぶきともに慣行移植栽培と同程度に良好 でした。 2.無人ヘリ直播 2.無人ヘリ直播 (1)実証圃設置状況 3JA でコシヒカリ 1 か所(1.1ha)、こしいぶき 3 か所(2.4ha)の実証圃を設置しまし た。 (2)播種 1ha 当たり 30 分程度で、慣行移植栽培及び点播方式に比べて、約 1/3 と大幅な時間短 縮がはかられました。また、均一に播種され播種精度も高いことが確認できました。 (播種作業は、ヤンマーアグリジャパン㈱のオペレーターが実施しました。) (3)収量及び品質 実証圃は、播種後の出芽・苗立ちが極めて良好だったため、過剰分げつとなりました。 そのため、倒伏防止対策として、強めの中干し、追肥量の見直し等を徹底したことによ り、後期栄養凋落がおこり、約 2 俵(120kg)程度減収しました。 品質については、慣行と同等でした。 ※掲載内容の無断使用・転載を禁じます。 2 3.カルパーコーティング直播、不耕起V溝乾田直播 (1)実証圃設置状況 カルパーコーティング直播は 3 か所(70a)V溝は 1 か所(88a)を実証圃として設置し ました。 (2)収量及び品質 カルパーコーティング直播の収量は、移植栽培と比較して、1 俵(60kg)程度、V溝 では 0.5 俵(30kg)程度の減収となりました。 品質は両実証区とも 1 等となりました。 ※収量および品質は、実証圃でのデータの平均値です。 4.27年度対応のポイント 4.27年度対応のポイント~実証結果を 27年度対応のポイント~実証結果を受 ~実証結果を受けて~ (1)経営発展に向けた直播導入の考え方 (1)経営発展に向けた直播導入の考え方 ア 実証圃では、移植栽培と比較して、平均して 10a 当たり 0.5 俵(30kg)から 1 俵(60kg) 程度の収量の減少がみられます。しかし、これを取り戻そうと除草経費・補植労力など をかけすぎないことがポイントとなります。 イ 一定程度減収することを前提と考えて、その範囲内での経費・労力の収支を検討し、低 コストで省力的な経営計画を作っていく、という視点が必要です。 (2)適正生育量の確保 (2)適正生育量の確保について 適正生育量の確保について ア 播種時期については、基本として、安定した出芽・苗立ちを確保するために地温が上 昇する 5 月 10 日以降に行ないましょう。 イ 平成 26 年度では、播種量 3.5kg(乾籾)/10a の場合、全般に茎数過剰となっています。 2.5kg~3kg/10a で適正生育量を確保している事例が多いことから、全体的には播種量 を減らす方向で検討しましょう。 ※掲載内容の無断使用・転載を禁じます。 3 ウ 直播は移植よりも分げつが旺盛になりやすいため、 直播は移植よりも分げつが旺盛になりやすいため、茎数抑制のための生育調節が 茎数抑制のための生育調節が 茎数抑制のための生育調節が不十 不十 分とならないよう 分とならないよう水管理(溝きり・中干し)を徹底する必要があります 水管理(溝きり・中干し)を徹底する必要があります 水管理(溝きり・中干し)を徹底する必要があります。 。 エ 鳥害が散見されましたが、被害はほぼ畦 鳥害が散見されましたが、被害はほぼ畦畔際に限定されており、 畔際に限定されており、 畔際に限定されており、全体的な 全体的な収量への影 収量への影 響は軽微 は軽微です。減収の想定内であれば、 です。減収の想定内であれば、 です。減収の想定内であれば、必要以上のコスト、手間はかけない 必要以上のコスト、手間はかけない 必要以上のコスト、手間はかけないことがポ ことがポ イントとなります イントとなります。 オ 雑草対策として、 雑草対策として、直播に適用のある除草剤が限定されている中で、 直播に適用のある除草剤が限定されている中で、 直播に適用のある除草剤が限定されている中で、特に一発剤の散布 特に一発剤の散布 において、 において、適期散布 適期散布を逃して残草量が多くなっている を逃して残草量が多くなっている事例がみられました。 を逃して残草量が多くなっている事例がみられました。 イネとヒエの出芽状況を確認しながら、なるべく イネとヒエの出芽状況を確認しながら、なるべく早めの散布 確認しながら、なるべく早めの散布をこころがけ、散布 をこころがけ、散布時期 をこころがけ、散布時期 が遅れないようにしましょう。 が遅れないようにしましょう 以 上 ※参考 鉄コーティング直播栽培実証圃 鉄コーティング直播栽培実証圃の収量および品質 の収量および品質 コシヒカリ 実証圃 472 収量(kg/10a) 慣行 実証/慣行 539 88 実証圃 品質(1等級圃場割合%) 慣行 実証/慣行 70 75 93 収量(kg/10a) 慣行 実証/慣行 599 88 実証圃 こしいぶき 実証圃 525 品質(1等級圃場割合%) 慣行 実証/慣行 100 100 100 ※収量および品質は、実証圃でのデータの平均値です。 ※掲載内容の無断使用・転載を禁じます。 ※掲載内容の無断使用・転載を禁じます。 (全農新潟県本部 担い手・営農支援部 担い手・営農支援課) 担い手・営農支援課) 4
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