50 年先、東京圏も超高齢化

公益社団法人
日本経済研究センター
Japan Center for Economic Research
2015 年 10 月 14 日
50 年先、東京圏も超高齢化
-外国人の受け入れ議論、不可避では?-
日本経済研究センター
2015 年 9 月 25 日(金)に「エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル・情報
通信技術が変える経済社会研究会」の合同会合を開き、人口動向からみた 50 年先の日
本社会について議論した。社会的移動で人口が増え続けている東京圏(一都三県)で
すら超高齢化に見まわれる。人口を一定レベルで維持・安定するには外国人受け入れ
の是非を検討することは避けられないのではないだろうか。議論の要旨は下記の通り。
1. 日本創成会議の推計によると、2025 年にかけて東京圏の後期高齢者は 175 万人
増え、全国の増加数の3分の1を占める。埼玉・千葉・神奈川の増加率は全国
1、2、3位になっている。また国立社会保障・人口問題研究所の推計では、
2035 年に東京都では高齢者の4人に 1 人が単身世帯になってしまう。介護人材
の不足は深刻で、25 年には 100 万人弱の医療・介護の人材が必要になるという。
情報通信技術やロボットなどの開発・利用を進めないと、必ず人材不足に陥る。
2. 外国人の介護人材受け入れを推進することも不可避だろう。ただ近隣アジア諸
国から技能研修制度で来日する人は多いが、制度を悪用し、外国人の方を酷使
するケースもある。本格的な外国人の受け入れは、日本の印象を悪くしない別
の制度が必要になる。
3. 東京都の介護費用は過疎地域の2倍程度になっている。元気なうちに地方へ移
住することを促すことも一案ではないだろうか。医用介護体制が整っている地
域は全国にある。空き家などを活用した高齢者の受け入れは地方自治体で禁じ
ているところもあるが、定年前から第二の人生を地方で送る高齢者を受け入れ
たり、Uターンを促したりすることが有効だろう。介護状態になってから「地
方で受け入れよ」ということはやるべきではない。
4. 少子化対策は国が行う必要がある。GDP比の3%ないしは4%を少子化対策
にあてるといった思い切った対策が必要だ。地方自治体は若い人が地元で働い
ていけるために地域の限られた資源を有効に活用すること必要だ。地方では高
学歴な女性の活躍の場が限定されており、東京一極集中にもつながっている。
5. 地方へ外資を呼び込み、雇用を確保しようとしても、外資が望む一定レベル以
上の労働力確保が難しい。自治体や地方銀行が、海外とコンタクトの方法を持
ち得ていないのもの問題だ。もっと東京で情報を集めることが重要だ。まずは
中国の資本を地方に振り向かせるのがよいのではないだろうか。
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日本経済研究センター
エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル・情報通信技術が変える経済社会研究会
「エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル」メンバー
座長
座長代理
岩田
一政
鈴木達治郞
公益社団法人日本経済研究センター理事長
日本経済研究センター特任研究員/長崎大学教授・核兵
器廃絶研究センター長
山地
憲治
地球環境産業技術研究機構
理事・研究所長
植田
和弘
京都大学大学院経済学研究科教授
橘川
武郞
東京理科大学大学院教授
増田
寛也
野村総合研究所顧問(元総務相・前岩手県知事)
伊丹
敬之
東京理科大学大学院教授
竹内
純子
国際環境経済研究所
小山
堅
日本エネルギー経済研究所
小西
雅子
枝廣
淳子
環境ジャーナリスト
平田
仁子
気候ネットワーク理事
有識者
経済団体
理事・主席研究員
常務理事・首席研究員
世界自然保護基金(WWF)ジャパン
気候変動・エネルギープロジェクトリーダー
日本経済団体連合会
経済同友会
エレクトロニクス、エネルギー、化学、住宅、自動車関連、金融機関、
会員企業
商社、食品、IT、建設機械、エンジニアリング、建設、運輸・通信、
不動産など当センター会員企業 22 社
アドバイザー
日本経済研究センター特任研究員/慶應義塾大学大学
小林
光
小林
辰男
日本経済研究センター主任研究員/政策研究室長
高地
圭輔
日本経済研究センター主任研究員
院特任教授・元環境事務次官
事務局
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日本経済研究センター
エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル・情報通信技術が変える経済社会研究会
「情報通信技術が変える経済社会研究会」メンバー
座長
有識者
経済団体
岩田
一政
公益社団法人日本経済研究センター理事長
浅見
徹
東京大学大学院情報理工学系研究科教授
奥和田久美
文部科学省科学技術・学術政策研究所上席フェロー
高口
鉄平
静岡大学大学院情報学研究科准教授
実積
寿也
九州大学経済学研究院教授
篠崎
彰彦
九州大学経済学研究院教授
日本経済団体連合会
エレクトロニクス、自動車関連、IT、小売、流通など当センター会
企業
員企業等 10 社
オブザーバー
NHK、総務省
アドバイザー
鈴木達治郎
日本経済研究センター特任研究員/長崎大学教授・核兵
器廃絶研究センター長
高地
圭輔
日本経済研究センター主任研究員
小林
辰男
日本経済研究センター主任研究員/政策研究室長
事務局
本稿の問い合わせは、研究本部(TEL:03-6256-7730)まで
※本稿の無断転載を禁じます。詳細は総務・事業本部までご照会ください。
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