中学校数学A [PDFファイル/697KB]

平成26年度全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた分析
中学校数学A問題
本市の傾向と課題
○ 全体の平均正答率は全国・県を上回っている。
○ 領域別に見ると,4領域のうち3領域(数と式,図形,関数)で全国・県を上回った。
○ 観点別に見ると,「数学的な技能」「数量や図形などについての知識・理解」が,全国・県
を上回った。
○ 問題形式別に見ると,「選択式」「短答式」が,全国・県を上回った。
○ 指数を含む正の数と負の数の計算,連立二元一次方程式の立式,図形の回転移動,図形の
証明,反比例のグラフ,中央値,確率における樹形図に関する内容の習得について,全国と
比べてやや低く,課題が見られる。
【課題】数量の大小関係を不等式に表す
2(1)は,「プールの水の深さ
は120㎝以下である」という数量の
関係を表した不等式を書く短答式
の設問で,数量の大小関係を不等
式に表すことができるかどうかを
みることが趣旨である。
本市では,「120㎝以下」と「120㎝未満」を混同してしまい,x <120と誤答した生徒の割合
が全国・県を上回った。また,無解答だった生徒の割合は約1割で,全国を上回った。
「120 x」や「120- x」などの誤答も見られ,数量を表す式と不等式を混同している生徒がい
ることがうかがえる。
指導のポイント
○
不等式を用いた表現は,学習指導要領の改訂に伴い,新たに追加された内容で,不等号(≦,
≧)は中学校第1学年で学習する。文を数式で表す指導に当たっては,言葉の式などを用い
て段階を踏んで数式に表すことができるよう丁寧に指導するとともに,不等号の活用場面を
増やすなどして,確実に理解が深まるようにする。
○ 不等号(≦,<)
(≧,>)の違いや意味について理解が深まるように,身の回りの事例(ジ
ェットコースター身長制限,選挙権,自動車運転免許取得可能年齢など)を用いて日常生活
と関連が深いことに気付かせるようにする。
○ 中学校では不等式を解くことは求められていないため,不等号は大小関係を表す記号とし
て用いる。そのため,不等号を用いると,数量の大小関係を式に表したり,式の意味を読み
取ったりできることについて,生徒が実感を伴って理解できるようにすることが大切である。
◯ 文を式に表現し直す学習だけではなく,次のように,式を解釈する学習なども行い,式に
表現したり,式の意味を読み取ったりする式の活用力を高める。
・ □ < △
□は△より小さい(少ない,低い,安い)
・ ■ > ▲
■は▲より大きい(多い,高い)
○ 「以上」「以下」「より大きい」「より小さい」「未満」の区別ができるよう,1時間の授業
だけではなく,継続して取扱い,表現の仕方に慣れさせることも大切である。
関
連
解説資料P21,報告書P30~P31参照
中学校数学A問題
【課題】図形の回転移動について,移動前と移動後の2つの図形の辺や角
の対応を読み取る
4(3)は,与えられた角が
回転移動した後の角を選ぶ選択
式の設問で,図形の回転移動に
ついて,移動前と移動後の2つ
の図形の辺や角の対応を読み取
ることができるかどうかをみる
ことが趣旨である。
本市では,角の大きさを基に
直観で判断して,∠Aと誤答し
たと考えられる生徒の割合は5
割以上で,全国・県を上回った。
図形の回転移動の前後における
角の対応を読み取ることについ
て課題が見られる。
指導のポイント
◯
紙で作った図形を実際に動
かしたりコンピュータを利用
したりして視覚的に理解しや
すくなるような活動を取り入
れ,図形の移動(平行,回転,対称) についての理解が深まるようにする。
○ 回転移動の作図について,対応する辺や角の関係がとらえやすくなるようにするために,
最初の段階では,回転の角度が 90°や 180°などの比較的考えやすいものを取り扱い,徐々
に 45°や 60°などの回転移動を段階的に取り扱う指導も考えられる。
○ 移動前と移動後の2つの図形の対応する辺や角の関係に着目できるように発問を工夫する
などして,回転移動についての理解が深まるようにする。
○ 回転移動の前後の図から,回転の中心の位置を作図によって決定する学習なども取り入れ,
回転移動の性質「対応する点はそれぞれ回転の中心から等しい距離にある」ことについて,
実感を伴いながら理解が深まるようにする。
関
連
解説資料P42~P45,報告書P46~P50,授業アイディア例P22参照
中学校数学A問題
【課題】ヒストグラムにおいて,中央値の意味を理解する
13(2)は,ハンドボール投
げの記録の分布を表したヒストグ
ラムから,記録の中央値を含む階
級を選ぶ選択式の設問で,中央値
の意味を理解し,ヒストグラムか
ら中央値が含まれる階級を判断す
ることができるかどうかをみるこ
とが趣旨である。
本市では,ヒストグラムの中央
に位置する階級が,中央値を含む
階級であるととらえてしまった誤
答が2割以上で,全国を上回って
いる。
指導のポイント
◯
中央値の意味を十分に理解で
きていない生徒が多いと考えら
れる。資料と活用の単元は,第1学年の年度末の3月に学習する計画となっている。限ら
れた時間で,生徒は様々な代表値(平均値や中央値,最頻値)を学習する。生徒が混同し
ないように,代表値を求めるだけではなく,代表値の意味も考えさせ,代表値の定義につ
いての理解が深まるようにする。
○ 生徒の考える時間を確保するため,状況に応じてコンピュータを利用することも必要に
なってくる。しかし,理解を深めるためには手作業で求めることも大切であるので,指導
に当たっては,コンピュータと手作業のバランスをとることに留意する。
○ 教科書や身の回りのデータを基に,様々な代表値を求める学習活動を設定し,理解が深
まるようにする。
○
代表値を求めることではなく,それらを用いて資料の傾向を読み取ることができるよう
にすることが大切な目的である。そのため,何を根拠として資料の傾向をとらえ説明して
いるのかを明らかにしていく学習活動を設定する。
関
連
解説資料P82~P83,報告書P87~P91参照