要旨 「 『FCP工場監査頄目』 に係る規格策定等の可能性に関する調査検討」においては、 ①食品事業者が実施する工場監査の実態を調査するとともに、②標準化等の基本的な 考え方の検討及びその内容の妥当性の調査を行い、③食品事業者、関連事業者、消費 者、学識経験者等からなる検討会において、①及び②の調査結果に基づき、標準化に よる工場監査の効率化について検討を行った。 本調査では、食品事業者が実施する工場監査の実態を調査し、その結果、工場監査 を標準化することにより、監査の目線合わせができるようになることや、コストの削 減、監査のレベルアップ等が期待できること等が明らかとなった。 また、被監査側が要求水準をイメヸジできずに大きな負担感を覚えていることや、 監査側が標準化による監査の形骸化を懸念していることなど、監査の技術的課題以前 に被監査側と監査側の間のコミュニケヸションが円滑でないために生じている課題も 明らかになった。 今後は、監査目的の共有化など当事者間のコミュニケヸションの円滑化を図るとと もに、実際の工場監査の動向を見極めつつ、頄目レベルの標準化、要求水準ヷ監査手 法レベルの標準化と、 段階を踏みながら標準化を進めていくことが期待される。また、 その際には、監査に携わる人材の育成等についても考慮することが重要である。 このように、食品の取引の円滑化や消費者の信頼確保のために、大きな可能性を有 する工場監査の標準化であるが、要求水準や監査手法の標準化をさらに進めて新たな 第三者認証制度を設けること等については、現時点では慎重であるべきであろう。 既に民間の第三者認証制度が複数存在する中で、これに屋上屋を架し、関係者間に 混乱を来すことは避けなければならない。また、実態として、食品企業の大半を占め る中小零細企業が第三者認証制度に対応するためには、そのためのチヸムを社内に常 駐したり、認証の取得ヷ更新のための費用を捻出するという負担をする必要があるこ とや、認証を取得した場合であっても、個別の工場監査が必要とされていること等が ある。これらを良く分析し、標準化による効率化、社会的コストの低減、消費者の信 頼確保等を総合的に勘案して対応を検討していく必要がある。
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