平成26年度全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた分析 小学校算数A問題 本市の傾向と課題 ○ 全体の平均正答率は,全国・県を上回っている。領域や観点別に見ても,すべて上回っ ている。 ○ 「数量や図形についての技能」や「数量や図形についての知識・理解」をみる問題の正 答率は高い。特に,計算技能については定着が図られていると考えられる。各学年で学習 する計算技能については,当該学年の内容を指導するだけでなく,既習の計算の仕方や数 の仕組み等について適宜振り返るなど,スパイラル学習を取り入れる必要がある。 ○ 作図の際に用いられている図形の約束や性質を問う設問については,全国平均を上回っ ている。単に作図の手順を身に付けさせるだけでなく,図形の約束や性質に基づき理解す ることが望まれることから,作図の方法と図形の約束や性質を関連付けた指導を充実させ たい。 【課題】小数の加法及び減法の意味についての理解と 計算技能の定着を図る 1(3)は,小数第2位までの減法の計算に課題(平 成24年度の調査)があったことから,小数第1位 までの減法の計算の技能の定着度を確認するために 出題された問題である。本設問(整数)-(小数)の計 算の正答率は,80%を超えることから,相当数の児童が定着して いると言える。しかし,本市の結果は全国・県平均よりも下回っ ている。解答類型を見てみると,「9-0.8=0.1」と解答して いる児童の割合が高い。 指導のポイント 既習の整数どうしの加減や小数・整数の乗法を筆算に表 したときの様子から,「位をそろえて計算する」ではなく, 「右端にそろえて計算をする(書く)」と誤って理解してい ると考えられる。計算技能だけではなく計算の意味につい て考えさせたり,算数用語を用いて計算の仕方をまとめた りすることを大切にしたい。 本設問を活用事例としては, 位をそろえる意味について児童たちに深く考えさせるために,筆算の誤答例を提示し,誤り について指摘したり,正しい計算について説明したりする活動を取り入れることも有効であ ると考える。その中で,小数や整数を0.1の幾つ分であるという見方で計算の仕方を考える ことや小数の計算の原理や手順について理解を深めることができるようにしたい。また,解 の大きさを見積もったり,確かめ算をするなどの活動を意図的に取り入れたい。 関 連 解説資料P17,報告書P27 小学校算数A問題 【課題】二つの数量の関係を□,△等の記号を用いて式に表す 9は,示された表の中の二つの数量の 関係に着目して,□,△などの記号を用 いて式に表すかどうかをみるために出題 された問題である。 正五角形の周りの長さ(△cm)は,1 辺の長さ(□cm)の5倍に当たる大きさ であることを,図や表から読み取ること ができれば,正答「4」と判断できる。 正答率が80%を超えることから,相当数 の児童が理解できていると考えられるが, 解答類型を見ると,「3」を選択した誤答 が多い。これは,1辺の長さと周りの長 さの関係が5倍であることは気付けてい るが ,□と△を取り違えたと考えられる。 また,長さの5倍の関係を読み取ることが できていない解答もみられることから,図 や表から関係を正しく読み取ったり,□や △を用いて式に表したりすることの理解が 不十分であると言える。 指導のポイント 具体的な場面を基にして,関係を類推し,言葉の式で 表したり,二つの数量を□,△などに置き換えて立式した りすることで,一般的な式に表すことの理解が深まると考 えられる。また,表を用いることで,□や△にはいろいろ な数が当てはまること,□,△の他方の大きさが決まれば それに伴いもう一方の大きさが決まることへの理解を深め られるようにする。 本設問は,図や表から二つの数量の関係を□と△を用い て立式する問題であったが,これとは逆に,□,△を用い た式を読みとる活動を取り入れ,より理解が深められるよ うにしたい。具体的な場面において,二つの数量関係を記 号を用いて式に表すことは,簡潔・明瞭・的確であること を実感を伴った理解をさせたい。また,□と△を用いて立 式することで,一般化できるよさに気付かせたい。 関 連 説明資料P40~41,報告書P52~53 参照
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