キャリアカウンセリング

まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
キャリアカウンセリング
●キャリアガイダンス、キャリアカウンセリング、キャリアコンサルティング
キャリアガイダンスは日本では「進路指導」と訳されているけど、キャリアという言葉を
使った場合は、職業という枠組みよりももっと広く、「自己実現のために必要なその個人の
能力や態度の発達を指導援助する」という意味を含む。そして、そのキャリアガイダンスで
行われるカウンセリングがキャリアカウンセリングである。更に働く人に対するキャリアガ
イダンスとキャリアカウンセリングをあわせてキャリアコンサルティングという。
●D.スーパーのライフキャリアの考え方
日本キャリア教育学会によるキャリアの定義
「一人の人が生涯にわたって踏み行き形成する職業経歴の全体をいう」(総合定義)
「一人の人が生涯にわたって踏み行き形成する進路経歴の全体をいう」(学校教育向けの
定義)
こんな風に生涯発達の視点を強調した定義となっているが、これらはスーパーのライフキャ
リアの考え方を受けたものである。
スーパーは、生涯キャリア発達の視点を強調し、人生役割の組み合わせによるライフキャリ
アの概念を示している。つまり、日常生活における個人の役割の結びつきが個人のライフス
タイルを構成し、その継続的な結合がライフサイクルを構成する。このスーパーの考え方は
「ライフスパン・ライフスペース・アプローチ」と呼称されているが、これを分かりやすく
図示したものがライフ・キャリアレインボウモデルである。英語の苦手な人のために言って
おくと、レインボウは「虹」という意味である。
上記の図には、子供、学生、余暇を楽しむ人、市民、職業人、配偶者、家庭人が役割として
書かれている。職業は生涯にわたり人生コースにおける役割のひとつであり、その他の役割
(学生、余暇人、市民、家庭人)との関連の中で、その個人のライフスタイルが決定される。
こういった役割をバランスよく統合することができれば、満足感や達成感の高い生活が得ら
れるというわけだ。
1
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
●職業選択理論
ここで出てくるのがF.パーソンズだが、職業指導運動でも出てきたし、カウンセリング諸理
論のところの特性因子理論でも出てきているので、これで3回目だ。ただ、結局のところこ
の理論を理解しづらい人もいるみたいなので、再度説明しておくと…
◎職業を紹介する市の係員=カウンセラー、客観的な心理特性を知るための心理検査を開始
諸特性
職業に必要な要件
(個人の能力、適性、興味、希望等)
(職業に必要な資質、報酬、成功の条
件、将来性等)
適合性が高ければ高いほど……
個人の満足度も成功の可能性も高い!
上の諸特性と職業に必要な要件をマッチング(合わせる)からマッチング理論と呼ばれてい
る。
◎この理論の効果を実践した人
ミネソタ大学 進路指導プロジェクト指導者 E.G.ウィリアムソンとD.パターソン
◎この時のカウンセリングの手順
①ラポールの形成 ②心理検査で測定
観察
③問題解決行動計画づくり
④計画の実践
⑤経過
このようにして進路指導だけでなく、生活相談や人生相談が行われ、「学生のあらゆる可能
性を引き出すための援助」をモットーに展開された。
↓
ところが、これは指示的な療法であるため、C.ロジャーズが1940年代に非指示的療法を提
唱したことによって、論争が繰り広げられることになる。
更にこの理論は発達的観点を欠いている、つまりキャリアというのは発達するもの、上記の
諸特性というのは職業を通じて発達していくものであるという考え方が含まれていないとい
うことで批判された。
●H.B.ジェラットの意思決定論(テキストではA.B.ジェラットだが、確かハリィ・B・ジェ
ラットなので、H.B.ジェラットが正しい。)
このジェラットの理論の特徴は、キャリア選択の過程をシステム化したという点だ。次の
ページに図があるが、これも例を示して説明しよう。
2
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
目標・目的として、35歳のMT氏が無謀にも人材派遣会社に勤めようと考えた。そして彼は
選択肢としてA社、B社、C社を考えて、それぞれの情報収集を始めた。「A社に行けば給与
は高いけど、仕事は厳しいだろうなあ、B社は給与は安いけど、事務の女の子が可愛いから
結婚相手を探すならB社だなあ、C社は給与も良いし、女性従業員も多いけど、人数が多いか
ら出世は見込めないなあ」(入社の結果を予測する予測システム)そして、今度は予測され
た結果がどの程度望ましいかを検討する。「やっぱり女性が少ない会社は嫌だからA社は嫌
だなあ、B社なら事務の女の子に囲まれて仕事できるから満足できるかもしれないけど、あ
の給与じゃあ生活は厳しいなあ、C社はバランスがとれていて良いなあ」(予測に基づいて
その価値を検討する価値システム)今度は、決定の基準に合致したものを選択する「結局、
女性も多くて給与も高いC社かな」(MT氏の個人的な基準は結局、「女性従業員の多さ」と
「給与の高さ」であった。)ということで、試験的な決定として「C社を受験する」として
おく。ところが、「将来性はどうなんだろう?」と考えて、新たな情報収集を行った。そし
て、また予測、価値検討、自己基準による決定を繰り返す。
と、こんな意思決定のプロセスが上の図によって示される。これがジェラットの意思決定論
の内容である。
●A.A.ブリルによる心理学的構造理論
過去の産業カウンセラー試験で出題され、ほとんどの人が出来なかった。このブリルの理論
の内容を端的に行ってしまうと、「社会的に受け入れられる職業行動の中で、原始的な破壊
的・性的衝動は昇華され、中性化されたエネルギーが消費される。」というものである。
3
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
う~ん、さっぱりわからん、と言いたくなるでしょう。ここで言う「昇華」は「非社会的な
欲求を、社会に受け入れられる価値ある行動へと置き換える」ことである。じゃあ、中性化
されたエネルギーってなんだ?
これは、こんな例で説明できる。
「幼い頃から女性の肌が大好きだった少年M.T.氏は、覗き趣味というとんでもない趣味が
あった。(これが非社会的な欲求である)もちろん、こんな趣味を持った少年M.T.氏は将来
が心配だ。その後、彼は将来のため、化粧品会社に入社して、女性の肌をよりきれいに見せ
るための研究をしている。(これが社会に受け入れられる価値ある行動、社会的に受け入れ
られる職業行動である)このようにして、その少年M.T.氏の中に内在していた「女性の肌を
見たい」という原始的な衝動は「女性の肌をよりきれいに見せるための研究」という価値あ
る行動へ昇華されたことになる。そして少年M.T.氏の中には「女性の肌をよりきれいに見せ
るための研究をしたい」という欲望と「女性の肌を見たい」という原始的な衝動の2つで中
性化されたエネルギーが残った。これは化粧品会社で消費され、大いに役に立つことになっ
た。」いささか例が複雑且つ艶めかしいが、A.A.ブリルの提唱した理論を例で説明するとこ
んなふうになる。
過去問出
●J.L.ホランドの人格理論
J.L.ホランドは、職業に対する興味はパーソナリティの表現であり、ある職業は同型のパー
ソナリティをもつ人々によって占められるという考え方を提唱した人だ。つまり、パーソナ
リティと職業の一致度が、個人の職業選択、就業後の適応や安定性、成功などに影響すると
いうことで、この考え方はマッチング論に通じる内容を含んでいる。
これは実は順番が大事である。右図を見て
RIASECという文字の順番で覚えよう!
というのもそれぞれの対角線上
のところが対立関係を示している
ので順番が重要なのである。
★現実的:機械や物を対象とする仕事
★社会的:人に接する、奉仕する仕事
★研究的:研究や調査等の仕事
★企業的:企画や組織運営といった仕事
ちなみにこの人が
J.L.ホランドさんです。
★芸術的:芸術領域での仕事
★慣習的:定まった方式や規則に従って行動するような仕事
このホランドという人は上記の6つの型を提唱し、個人の職業興味の度合いを調査する研究
を行った。この研究からVPI職業興味検査というのが誕生したわけだ。
4
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
●J.D.クランボルツによる社会学的構造理論
スタンフォード大学の心理学教授であるクランボルツは…
「人は生涯学習し続ける存在であり、キャリアはこうした生涯にわたる学習によって形成さ
れる。」「キャリア・ディベロップメントはとどまるところのない学習プロセスの結果であ
る。」ということを提唱した人である。これを社会学的構造理論というけど、カウンセリン
グの諸理論のところで出てきたバンデューラの社会的学習理論をキャリアに応用した理論と
言える。
キャリア開発と職業選択に影響を与える4つの要素
1:遺伝的要素と特殊な能力(先天的資質)
2:環境条件や出来事
3:学習経験
4:課題に対するアプローチスキル
上記のうち1、2は自分では変えられない。よってキャリアによる意思決定は、主に3、4の
プロセスで行われるという理論である。
●J.D.クランボルツによる計画的偶発性理論
(プランドハプンスタンスセオリーと書かれることも…)
(Planned Happenstance Theory)
予期せぬ出来事が個人のキャリアを左右する。そしてその
予期せぬ出来事を避けるのではなく、起きたことを最大限
利用する。そういった偶然に起きたことをつくりだし、
キャリア形成の力にすることが重要であるという理論
である。
過去問出
計画された偶発性が起こりやすい行動特性
1:好奇心
2:冒険心(リスクテイキングとも言われる)
3:持続性
4:楽観性
5:柔軟性
J.D.クランボルツさん
大学までテニスに熱中し、テニス部のコーチ
から心理学専攻を薦められて現在の道へ…
クランボルツさんどうして今の職業に就かれ
たのですか?「偶然ですよ。」と答えたそう
な……
つまり、「自分が偶然に出会った仕事を自分の物として活かすことが出来る人というのは上
記のような行動特性を持った人ですよ」ということである。
クランボルツ教授の調査によれば、仕事をしている社会人で「18歳の時になりたかった職業
に就けている人」の割合は2%程度だった。仕事は偶然との出会いが大切ですね。
●D.スーパーの職業的発達理論
職業的発達理論を体系化したD.スーパーは、職業的発達の原理を「職業的発達の12の命題」
として示した。この12の命題は、彼がそれまでの理論を勉強して、それらを統合的にまとめ
たものだ。その主な内容は…①個人は多様な可能性を持っており、様々な職業に就くことが
出来る。②職業的発達は、個人の全人的な発達の一側面であり、他の知的発達、情緒的発達、
社会的発達などと同様の発達の一般原則に従う。③職業的発達の中核となるものは自己概念
である。職業的発達は自己概念を発達させ、それを実現することを目指した漸進的、継続的、
非科学的なプロセスであり、妥協と統合のプロセスである。
5
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
ちょっとよくわからないかもしれないが、大事なとこなので…
全てを記憶するというよりかは、さらっと理解しておこう。嫌なことを先に言っておくと結
構過去の問題にも出ていますから…出題されたところのみに線を引いておいた。
★第1命題:キャリア発達は前進、継続するため、一般的にはもとにもどることが出来ない
過程→これが不可逆的といっているところの意味であり、一度ある職業を目指
したら基本的には後戻りできないよということである
★第2命題:キャリア発達は秩序ある一つの型をもった予測できる過程
★第3命題:キャリア発達はダイナミックな過程
★第4命題:自己概念の形成は青年期以前、青年期において次第に明確になり、職業的な言
葉になる
つまり、「私は絵を描くのが趣味」という人が「画家」という具体的な職業を
目指すようなことを表している
★第5命題:現実的要因は、年齢が増すごとに職業上重要な役割を占めるようになる
★第6命題:親あるいはそれに代わるべき者との同一視は、その年齢に応じた適当な役割の
成長と関連をもち、一貫した調和ある人間関係との関連をもち、そして職業的
計画ならびにその結果という立場からの彼らの解釈にも関連をもつ
親あるいはそれに代わるべき者との同一視というのは、親とかそれ以外の尊敬
する人を見つけて、それと自分を同一視させてその尊敬する人を目指すことが
職業にも影響してくるということ
★第7命題:ある職業水準から他の職業水準への上下移動の方向と比率は、知能、両親の経
済的水準、地位上の欲求、価値観、興味、人間関係の技量、労働力の需要など
に関連をもつ
★第8命題:個人が入る職業分野は、興味、価値観、欲求、役割モデルと同一視の方法、資
源、学歴、地域社会の職業構成・職業動向及びその態度に関連をもつ
★第9命題:職業には弾力性があり、同一の職業でも色々な人が従事出来るし、一人が違っ
た職業に従事出来る
★第10命題:仕事の満足感と生活上の満足は、個人が自分の能力・興味・価値観・パーソナ
リティ特質に対するはけ口を、仕事のなかに見いだす程度によって決まる
★第11命題:仕事で到達する満足度は、その人がどれだけ自己概念を実現できたかの程度に
比例する
★第12命題:仕事あるいは職業は、大多数の男子・女子に対してパーソナリティ構造上の焦
点となる
これはわかりやすい例をあげると、社会で人に会ったときに、その人がどうい
う人かを説明する場合、どんな仕事をやっているかということがその人そのも
のを表すことがあるということ。誰にあっても、親しくなったら名刺を渡すで
しょ。それはやっぱり仕事がその人のパーソナリティになっている証なのだ
この12の命題は、彼がそれまでの理論を勉強して、それらを統合的にまとめたものだ。そし
て彼は、職業的発達の過程が本質的に自己概念の発達であることをふまえて、それぞれの発
達段階に職業的発達課題を対応させた。だからその発達課題が、「どれだけ実現されている
のか?」を示すための指標を提唱した。その指標が…職業選択への方向付け、希望する職業
についての情報と計画性、職業に対する好みの一貫性、職業選択に関係する諸特性の明確化、
労働経験の独立性、職業に対する好みの賢明さの6つである。
6
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
そしてこの発達課題がどれだけ達成したか?どれだけ実現されているのか?それが職業的成
熟の度合いである。
そしてこの案をうまく以下のようにまとめたのがJ.P.ジョーダンである。
A:成長段階 児童期、青年前期
自分の特異な能力の認識、自他との区別、自己像形成
B:探索段階
1:試みの時期 青年前期、青年中期
職業への希望
2:移行の時期 青年後期、成人前期
職業の希望の明確化
3:実践試行の時期 成人前期
とりあえず職業に就いてみる。そしてこの職業で良いのか?を考える。
C:確立段階
1:実践試行の時期 成人前期~30歳くらいまで
ある職業への方向付け
2:昇進の時期 30歳代から40歳代中期
ある職業への確立と昇進
→ この時期が「自分はこれで飯を食っていこう!」と考える時期
専門性、プロ意識の確立
D:維持段階 40歳代中期~退職まで
自分の地位や専門性を維持し、有利性を保持する
E:下降段階
諸活動の減退と退職
この中で重要なのはC~Dだ。ここで昇進する人、成功する人、今で言えば勝ち組か負け組
かがはっきりする。
●L.S.ハンセンによる生涯キャリア発達理論
ハンセンは、著書「統合的人生設計 Integrative Life Planning」 を書いた人でD.スーパー
の教え子である。ちなみに女性。この本のタイトルからILP理論なんて言われることも。
家庭における役割から社会における役割まで、人生における概念である「ライフキャリア」
を提唱した人だ。「個人的な満足だけでなく、意味ある人生のために『自分にも社会にも共
に役立つ意義ある仕事選択』を行うべきである」と提唱し、人生の4つの要素(4L)のバラ
ンスを重視した。
Labor 労働
Learning 学習
Leisure 余暇
Love 愛
※最後がLoveというのがいかにも女性らしい。
この4つの役割が統合されるべきであるという考え方。これはD.スーパーのライフキャリア
レインボウの考え方を基に広い意味でキャリアを定義したことになる。この4つの役割の組
み合わせをキルト(パッチワーク)に例えてキルト理論なんて言い方もある。
7
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
●E.H.シャインのキャリア理論
E.H.シャインは、組織心理学の立場に立って、組織と個人の要求の調和を重視し、組織内
キャリアの発達段階説を提唱した人だ。組織の効率を高めると共に個人の満足度を高めるに
は、両者の要求を調和させることが必要であると提唱し、個人と組織との相互作用をキャリ
アダイナミクスという言葉で表した。
★キャリア・ダイナミクス
人生において、仕事と家族と自分本人が個人の内部で強く影響しあう。これらの相互作用は
成人期全体を通じて変化し、動態的でダイナミクスなものである。例えば、組織に雇われて
いる個人として考えると、組織も個人も複雑で変化の多様な環境に置かれている。そのため、
組織の要求は時の経過とともに変化する。そして個人の要求も時の経過と共に変化する。だ
から仕事の決定というのは動態的でダイナミクスなものとなる。
また、個人の組織内のキャリアの方向性を規定するものを「キャリア・アンカー」として提
唱している。
過去問出 2013年出
★8つのキャリア・アンカーパターン(何に幸せを感じるのか?)
1:専門・職能別スキル:企画、販売とか特定の分野で能力を発揮すれば幸せ
2:管理スキル;集団統率、権限行使で組織の期待に応えることが幸せ
3:自律・独立:自分のペースで自分の裁量で自由に仕事出来ることが幸せ
4:安全・安定:雇用保険、年金、退職金とか経済的安定があると幸せ
5:起業家的創造性:障害を乗り越えて努力で達成することが幸せ
6:奉仕・社会貢献:社会に役に立つことをするのが幸せ
7:純粋な挑戦:他人との競争や困難へ立ち向かうことが幸せ
8:生活様式:自分のライフワークと仕事のバランスが取れていれば幸せ
自分のキャリア・アンカーを知ることをキャリア・アンカー分析という。
しかし、これは実は単なる自分の「わがまま」分析だ。社会がどんどん変化して、自分のわ
がままよりも社会環境の影響を考えないといけなくなってきた。
↓
そこで出てきたのがキャリア・サバイバルという考え方
★キャリア・サバイバル分析とは?
ある人がキャリアを歩むうえで、仕事においてかかわりのある人物(シャインはステーク
ホールダーと言っている)を識別する。そしてそのステークホールダーが、仕事のうえで自
分にどのような要望を持っているかをチェックする。その要望の間の矛盾、曖昧さ、または
その負荷の高さを分析するとともに、将来の変化を展望することによって現在の組織もしく
は仕事のなかで生き延びていくための方法を考えること。
エドガー・シャインさん
細身のカーネルサンダースさんといっ
た感じでしょうか…現在ボストンにお
住まいとのこと。
8
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
●キャリアガイダンスの6分野
さてさて、ここまでキャリア理論を学んできたが、実際にあなたがキャリアコンサルタント
としてキャリアガイダンスを行う場合、以下のような順序で行うのが原則となっている。
①自己理解支援
大学生にありがちだが、とにかく「自分が何をしたいかわからない」「何の仕事がしたい
かわからない」という状態を自己理解不足という。この自己理解が出来ていない状態で就
職活動に臨むと自分の望み通りの会社に行けるという確率は極めて低くなる。
②職業理解支援
自分が就こうとしている職業について何も知らないと、ぼやけた状態で職業選択をしてし
まう。ドラマや映画などで憧れの職業に就きたいと思っても、実はその職業についてあま
り理解していないという場合があるからね。
③啓発的経験
実際に職業を選択する前に探索的に経験してみよう!ということ。
④カウンセリング
キャリアについてのカウンセリングを行い、キャリアの選択、意思決定等を行う。
⑤方策の実行
実際の就職活動を始める、または意思決定したことに向けて行動する。
⑥追指導・職場適応
うまくその人が就職した後もフォローを行う。
●自己理解
自己理解の内容について、D.スーパーは、以下のような構造を提案した。
D.スーパーによる自己理解の構造
職業適合性
能力
適性
技能
パーソナリティ
適応、価値観、興味、態度
現在最も総合的、体系的に自己理解の範囲や内容を構造化しているのは、米国労働省の
O’Net Systemである。これは以下のような分類をしている。別に細かい分野数や項目数
は覚える必要ないからね~
①能力 :認知、精神運動、身体、知覚機能の4分野52項目
②興味、価値観 :興味の方はホランドの6類型と一緒、現実的、研究的、芸術的、社会的、
企業的、慣習的の6類型
価値観は、達成、快適感、地位、奉仕、安全、自立等の6分野18項目
③ワークスタイル:達成、社会的影響、内的動機等の7分野16項目
④技能 :読解、会話、記述、表現、計算、科学の6分野
危機管理、傾聴、学習、モニタリングの4プロセス
応用スキルは社会的スキル等の5分野36項目
⑤知識 :ビジネス、管理、製造・生産、コミュニケーション等の10分野32項目
実際の自己理解の方法としては、職業適性検査(一般職業適性検査GATB)、VPI職業興味
検査、MMPI、MBTI等がある。←詳細は心理アセスメントのところへ
9
まんだむ てれおのキャリコン、産業カウンセラー対策室
http://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
●キャリアカウンセリングの特徴
基本的にはカウンセリングなのだから、キャリアカウンセリングであっても基本は同じであ
り、無条件の肯定的関心(受容)、共感的理解、自己一致がカウンセラーの基本的態度であ
る。但し、キャリアカウンセリングの場合は、通常のカウンセリングと違って、進学する、
就職する、職場に定着するといった具体的な目標を達成しなければならない。
そのためにカウンセリングの手法としてはシステマティック・アプローチをとることになる。
以下のようなプロセスで進められる。
①カウンセリングの開始②問題の把握③目標の設定④方策の実行⑤成果の評価
⑥カウンセリングとケースの終了⑦カウンセラーの自己評価
一体これのどこがシステマティックなんだろう?と考えてしまうかもしれない。そもそもシ
ステマティックとはどんなことか?
要するに一旦始まったら目的達成まで計画的に行われるということである。その方法は確か
に多少の違いはあるかもしれないが、基本的には上記のプロセスに従って行われ、そしてあ
る時は一段階戻ってやり直しをしたりする、そんなアプローチのことをシステマティック・
アプローチという。
近年ではこのキャリアカウンセリングを行うキャリアコンサルタントに求められてくるスキ
ルとして積極的かかわり技法というのが重要視されている。その積極的かかわり技法とはど
んなものか?
★指示:クライエントに生じてほしいと思っていることを明らかにして指示する。
★論理的帰結:クライエントの行動の結果を予測して説明する。
★解釈:クライエントがおかれている現実を新しい視点から再構成・再定義する。
★自己開示:コンサルタント側が、生い立ちや感情、価値観などをクライエントに話す。
★助言:コンサルタントが考えている解決策を検討し、提案する。
★情報提供:クライエントに対して役に立つ知識や情報を提供する。
★説明・教示:クライエントに対して、問題解決のための知識や方法を説明する。
★フィードバック:クライエントの言葉、表現等をコンサルタント側の視点で伝える。
★コンサルタントの発言の要約
面談中にコンサルタントが言ったことや考えたことをクライエントに要約して伝える。
●職業能力の開発について
近年では非正規雇用者の増加が問題視され、職業能力を積極的に開発していく動きを政府は
推進している。
第9次職業能力開発基本計画についてその基本的施策を記載しておこう。
○成長が見込まれる分野、ものづくり分野における人材育成
○非正規労働者等に対する雇用のセーフティネットとしての能力開発の強化
○教育訓練と連携した職業能力の評価システムの整備
○職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進
○技能の進行
○特別な支援を必要とする者に対する職業能力開発の推進
○職業能力開発分野の国際連携・協力の推進
○我が国全体の職業能力開発のプロデュース機能の強化
10