心拍・血圧変動による自律神経機能の評価 - 石川工業高等専門学校

Departmen t of
Electronic s and
Informatio n
Engineerin g
電子情報工学科
心拍・血圧変動による自律神経機能の評価
心拍数や血圧値は安静時でも一定ではなく変動しています。この変動を調
べると、自律神経に関係した病気の診断に役立つ情報が得られます。
■ 心拍や血圧の変化について
心拍数や血圧値は,身体活動の変化や外界からの
刺激に応じて自律神経によって制御され,絶えず変
動しています。心拍変動の測定例を図1に示します。
血圧値にも同様な変化があります。
可能なノートパソコンとカード型のAD変換器を用
いています。ECGは携帯型心電計外部出力から,
BPW はトノメトリ法により測定し,12ビット,
500HzでAD変換してハードディスクに記録します。
図2は波形を表示しながら実時間で記録する計算機
上の仮想計測器をLabVIEWを用いて作成したもの
です。データ解析機能としては,心拍変動・血圧変
動のパワースペクトル,心拍変動係数,血圧波形か
らの末梢血管抵抗などです。心拍変動の検査を1回
20分程度で実施できます。
図1 安静時の心拍数の時間変動
■ 心拍変動と自律神経活動の関係
健康な人の安静時心拍変動には2つの成分がある
ことが知られています。一つは0.05∼0.2Hzの変動成
分で交感神経と副交感神経による血圧制御に関係し
たものです。もう一つは0.2∼0.35Hzの変動成分で呼
吸運動に関係した副交感神経活動によるものです。
これらの変動成分の大きさは,自律神経の活動レ
ベルを反映しているので,自律神経に障害があった
り,身体状態の変化や何らかの疾患で自律神経活動
が低下したりすると変動が少なくなります。
図2 心電図・血圧波形記録仮想計測器
堀田 素志(ほりたもとし)
[email protected]
■
医療への応用
心拍変動の大きさを測定することによって自律神
経機能を評価し,自律神経に関係した心臓疾患,高
血圧,甲状腺機能障害の病態,糖尿病による自律神
経機能障害などの診断に利用できます。この診断方
法は,患者に苦痛を与えることなく(非侵襲的),
臨床でも手軽に用いることができます。
076-288-8134
【生年月】1951 年 1 月
【職名】助教授
【学位】学術博士
【学位論文名】カレントコンベアを用いた素子シミュレー
ションおよび能動アナログ回路の広帯域化,小型化に関す
る研究
【学歴・職歴】金沢大学大学院工学研究科電子工学専攻修
士課程修了(1975), 金沢大学工学部助手(1975),金沢大学
■
心電図・血圧波記録解析装置の開発
金沢大学工学部,金沢医科大学循環器内科,石川
県立中央病院内分泌内科との共同研究で装置の開発
やデータ処理方法の研究を行っています。
これまでに作成した心電図(ECG)と連続血圧波
形(BPW)を同時に記録し解析する装置を紹介しま
す。ハードウェアには,病室での使用を考慮し携帯
工学部電気・情報工学科講師(1989),石川工業高等専門学
校電子情報工学科助教授(1990)
【専門分野】計測工学
【研究課題】心電図や血圧などの生体信号の計測と解析
【キーワード】自動計測,生体信号,信号処理