皮膚がんとは 皮膚科における皮膚がんの診断と治療の方針 形成外科

皮膚がんとは
皮膚がんには様々な種類がありますが、大きく分けると基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性
黒色腫という 3 つのがんがあります。
基底細胞癌は顔面に最も多く発生します。一見、黒子や老人性イボのようにみえ、また
成長も緩やかなため癌と気付かない人が多いです。転移するリスクは殆ど無いので生命を
脅かすことはありませんが、放置すると進行して顔面の骨まで溶かすため要注意です。
有棘細胞癌は基底細胞癌の次に多い癌です。顔面などの紫外線が当たりやすい部位にで
てきます。赤いできものの様に見えたり、一見疣にも見えたりします。放置すると転移す
ることもあり、早期の治療が勧められる癌です。
悪性黒色腫は俗に言われる「ホクロの癌」です。頻度は少ないですが、発症すると転移
することが多い癌なので注意が必要です。
体のどの部位にもできることがありますが、
日本人は足の裏にできる頻度が比較的多いです。また、背中など普段目に見えない部位も
要注意です。
皮膚科における皮膚がんの診断と治療の方針
皮膚がんの診断は当たり前のことですが、まず医師の視診が必要です。
皮膚科専門医
による肉眼での目視を行います。更にダーモスコピー(いわゆる拡大鏡)で形や色の観察
をします。これで、ほぼ 9 割以上の皮膚癌は診断できます。 しかし、それを 100%の確定
診断にするために組織検査(腫瘍を一部採取する検査)を行い良性か悪性かを判断します。
治療は早期であれば外科手術を行います。癌の部分を十分にあけて切除します。切除し
た部分が縫縮できない部分は皮膚移植などを行います。複雑な手術例は形成外科と協力し
行います。
進行例に対しては放射線治療や化学療法などを行います。また、最近では悪
性黒色腫には有効な免疫治療薬が使用されるようになっています。
形成外科における皮膚がんの診断と治療の方針
皮膚軟部組織腫瘍(良性のできもの、がんや肉腫などの悪性のできもの)は、形成外科
領域で日常的に取り扱われる疾患です。その診断は問診、視診、触診をはじめとして、皮
膚エコーやダーモスコピー、CT や MRI などの画像検査を用いて行います。最終的には切除
して、組織を調べる病理診断となります。
治療に関してですが、皮膚軟部組織の腫瘍は、良性の腫瘍の場合、レーザー治療などを
行いますが、良性悪性の区別がつきにくいもの、レーザー治療の対象にならないものなど
は切除となります。その際に、ただ腫瘍を取るのではなく、その結果生じてしまう傷跡を
できるだけ目立たないように治療をするのが形成外科です。
がんの治療の場合、根治が第一目的ですので、腫瘍の場所によっては、頭皮や顔面の皮
膚、頭蓋骨、顔面骨などの骨組織や眼球、鼻、耳介、口唇などの重要な構造物・器官の切
除が必要になります。こういった器官は日常生活で極めて重要な意味を持つ機能を司って
おり、この部位に生じた悪性腫瘍の外科的切除は、患者さんの術後の QOL(quality of life:
生活の質)を非常に低下させます。形成外科では、こういった重要な部分の再建やがん治
療後の変形に対しても治療を行います。