絶対値を含む方程式・不等式の基本的な解き方 0 | |x c c = ± | |x c

絶対値を含む方程式・不等式の基本的な解き方
<絶対値記号処理「A基本形」>
c≧0 のとき
解こうとしている方程式・不等式の右辺が
正の定数であればこの話は関係ない。
① 方程式 | x | = c の解は x = ± c

番
<絶対値記号処理「A特殊形」>
( c :constant(定数)
)

組
c < 0 のときは,それぞれ次のようになる。


① 方程式 | x | = c の解は 解なし
② 不等式 | x | < c の解は 解なし
③ 不等式 | x | > c の解は すべての実数
② 不等式 | x | < c の解は −c < x < c
<絶対値記号処理「B」>
場合分けによって絶対値記号を外す。
(ⅰ) a≧0 のとき | a | = a
(ⅱ) a < 0 のとき | a | = − a
③ 不等式 | x | > c の解は x < −c, c < x
(例1) | 3 x − 4 | =
2 (B)
(ⅰ) 3 x − 4≧0 すなわち x≧
3x − 4 =
2 より x = 2 これは①を満たす。
(例1) | 3 x − 4 | =
2 (A基本形①)
(ⅱ) 3 x − 4 < 0 すなわち x <
3 x − 4 =±2
それぞれ解いて x = 2 または x =
よって x = 2,
4
…① のとき
3
2
3
2
3
4
…② のとき
3
2
これは②を満たす。
3
2
(ⅰ)または(ⅱ)より x = 2,
3
−(3 x − 4) =
2 より x =
<注> ,は「または」の意味で使われている
(例2) | x − 2 |≦3 (A基本形②)
−3≦ x − 2≦3
よって
−1≦ x≦5
(例3) | 2 x − 1| > 1 (A基本形③)
2 x − 1 < −1, 1 < 2 x − 1
(例2) | x − 2 |≦3 (B)
(ⅰ) x − 2≧0 すなわち x≧2 …① のとき
x − 2≦3 より x≦5 …②
①かつ②より 2≦ x≦5
(ⅱ) x − 2 < 0 すなわち x < 2 …③ のとき
x < 0 または x > 1
−( x − 2)≦3 より x≧− 1 …④
よって, x < 0, 1 < x
③かつ④より −1≦ x < 2
( x < 0, x > 1 と表してもよい)
(ⅰ)または(ⅱ)より −1≦ x≦5
(4) | x − 3 | =
5x
(例3) | 2 x − 1| > 1 (B)
(ⅰ) 2 x − 1≧0 すなわち x≧
1
…① のとき
2
2 x − 1 > 1 より x > 1 …②
①かつ②より x > 1
(ⅱ) 2 x − 1 < 0 すなわち x <
1
…③ のとき
2
−(2 x − 1) > 1 より x < 0 …④
③かつ④より x < 0
(ⅰ)または(ⅱ)より x < 0, 1 < x
( x < 0, x > 1 と表してもよい)
(5) | x − 2 | < 2 x − 1
【練習問題】
(1) | 3 x − 2 | =
10
(2) | 5 x − 3 | ≦12
(6) | x + 2 | > 3 x
(3) | 2 x + 5 | > 1
【解答・解説】
(それぞれ2通りのやり方を示した)
(3)
(1)
<A基本形③で>
2 x + 5 < −1, 1 < 2 x + 5
<A基本形①で>
3 x − 2 = ±10 より =
x 4, −
8
3
<Bで>
2
(ⅰ) 3 x − 2≧0 すなわち x≧
…① のとき
3
3x − 2 =
10 より x = 4 これは①を満たす。
x < −3 または x > −2
よって x < −3, − 2 < x
<Bで>
(ⅰ) 2 x + 5≧0 すなわち x≧−
2 x + 5 > 1 より x > −2 …②
2
…② のとき
3
(ⅱ) 3 x − 2 < 0 すなわち x <
8
これは②を満たす。
−(3 x − 2) =
10 より x = −
3
8
(ⅰ)または(ⅱ)より =
x 4, −
3
5
…① のとき
2
①かつ②より x > −2
(ⅱ) 2 x + 5 < 0 すなわち x < −
5
…③ のとき
2
−(2 x + 5) > 1 より x < −3 …④
③かつ④より x < −3
(2)
(ⅰ)または(ⅱ)より x < −3, − 2 < x
<A基本形②で>
−12≦5 x − 3≦12 より −
9
≦ x≦3
5
(4)
<Bで>
(ⅰ) 5 x − 3≧0 すなわち x≧
3
…① のとき
5
5 x − 3≦12 より x≦3 …②
3
①かつ②より
≦ x≦3
5
(ⅱ) 5 x − 3 < 0 すなわち x <
−(5 x − 3)≦12 より x≧−
③かつ④より −
(ⅰ) 5 x≧0 すなわち x≧0 …① のとき
x − 3 =±5 x
x −3 =
5 x より x = −
3
…③ のとき
5
9
…④
5
9
3
≦x <
5
5
(ⅰ)または(ⅱ)より −
<A基本形①+A特殊形①で>
9
≦ x≦3
5
3
4
これは①を満たさないので不適。
x − 3 =−5 x より x =
1
これは①を満たす。
2
(ⅱ) 5 x < 0 すなわち x < 0 …② のとき
| x − 3|=
5 x を満たす x は存在しない。
(ⅰ)または(ⅱ)より x =
1
2
<Bで>
(6)
(ⅰ) x − 3≧0 すなわち x≧3 …① のとき
x −3 =
5 x より x = −
3
4
(ⅰ) 3 x≧0 すなわち x≧0 …① のとき
これは①を満たさないので不適。
(ⅱ) x − 3 < 0 すなわち x < 3 …② のとき
−( x − 3) =
5 x より x =
(ⅰ)または(ⅱ)より x =
<A基本形③+A特殊形③で>
1
これは②を満たす。
2
x + 2 < −3 x, 3 x < x + 2
x<−
1
, x < 1 …②
2
①かつ②より 0≦ x < 1
(ⅱ) 3 x < 0 すなわち x < 0 …③ のとき
1
2
| x + 2 | > 3 x を満たす x はすべての実数 …④
③かつ④より x < 0
(5)
(ⅰ)または(ⅱ)より x < 1
<A基本形②+A特殊形②で>
(ⅰ) 2 x − 1≧0 すなわち x≧
1
…① のとき
2
<Bで>
(ⅰ) x + 2≧0 すなわち x≧− 2 …① のとき
−(2 x − 1) < x − 2 < 2 x − 1
左側: −(2 x − 1) < x − 2 より x > 1 …②
x + 2 > 3 x より x < 1 …②
右側: x − 2 < 2 x − 1 より x > −1 …③
①かつ②より −2≦ x < 1
(ⅱ) x + 2 < 0 すなわち x < −2 …③ のとき
①かつ②かつ③より x > 1
(ⅱ) 2 x − 1 < 0 すなわち x <
1
…④ のとき
2
| x − 2 | < 2 x − 1 を満たす x は存在しない。
(ⅰ)または(ⅱ)より x > 1
−( x + 2) > 3 x より x < −
1
…④
2
③かつ④より x < −2
(ⅰ)または(ⅱ)より x < 1
<Bで>
(ⅰ) x − 2≧0 すなわち x≧2 …① のとき
A・Bどちらの解法がよい?
絶対値の処理の技術が確かでないと「A特殊形」
x − 2 < 2 x − 1 より x > −1 …②
は間違えやすいので,次の方法をお勧めします。
①かつ②より x≧2
方程式・不等式を整理したとき,
(ⅱ) x − 2 < 0 すなわち x < 2 …③ のとき
−( x − 2) < 2 x − 1 より x > 1 …④
③かつ④より 1 < x < 2
(ⅰ)または(ⅱ)より x > 1
右辺に変数を含まないとき
練習問題(1)(2)(3) → A基本形で
右辺に変数を含むとき
練習問題(4)(5)(6) →
Bで