制御数学 Basic Mathematics for Control Engineers 講義予定 第 1回 第 2回 第 3回 第 4回 第 5回 第 6回 第 7回 第 8回 第 9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 信号とシステム 線形時不変システム ラプラス変換 ラプラス変換の性質 逆ラプラス変換 信号のノルム 中間試験 離散時間信号とシステム 離散時間LTIシステム z変換 逆z変換 行列式・逆行列 固有値・行列のランク 行列の対角化 期末試験 答案返却と解説 知能制御工学コース2年生 前期 火曜日3限 選択必修 2単位 担当:西田 健 准教授 教科書 「信号・システム理論の基礎」 足立修一,コロナ社 「制御工学演習」 明石,今井,共立出版 第1回 信号とシステム 1.1 信号の分類 信号(signal):物理系の状態に関する情報をなんらかの方法で伝達する量 離散化(discretization):連続した信号をとびとびの値に分割すること。 量子化(quantization):連続信号を離散値で近似的に表現すること。 離散化 量子化 時間 [s] 第1回 信号とシステム 1.1 信号の分類 取り扱う時間が連続か離散かによって信号を分類 連続時間信号(continuous-time signal) アナログ信号(analog signal) 連続振幅 多値信号(multi-level signal) 離散振幅 離散時間信号(discrete-time signal) サンプル値信号(sampled signal):離散間隔でサンプルされた信号 ディジタル信号(digital signal) :サンプル値信号を量子化した信号 第1回 信号とシステム 1.1 信号の分類 システム(system)入力信号𝑥(𝑡)を出力信号𝑦(𝑡)に写像するもの 入力信号 𝑥(𝑡) 出力信号 システム 𝑦(𝑡) 連続時間システム(continuous-time system) 離散時間システム(discrete-time system) 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.1 正弦波信号(sinusoidal signal) 𝑥 𝑡 = 𝐴cos 𝜔0 𝑡 + 𝜙 𝑡 : 時間[s] 𝐴 : 振幅(magnitude) 𝜔0 : 角周波数(angular frequency) [rad/s] 𝜙 : 位相(phase) [rad] 𝜔0 = 2π𝑓0 𝑓0 : 周波数(frequency) [Hz] 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.1 正弦波信号(sinusoidal signal) 周期性 すべての𝑡に対して 𝑥 𝑡 = 𝑥(𝑡 + 𝑇) が成り立つような整数𝑇が存在するとき,信号𝑥 𝑡 は周期𝑇の周期信号 と呼ばれる. またこの式を満たす𝑇は無数存在するが,その中で最小の整数𝑇0 を 基本周期と呼ぶ。 また,基本周期に対応する𝜔0 を基本角周波数と呼ぶ. 2π 1 𝑇0 = = 𝜔0 𝑓0 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.2 複素指数信号(complex exponential signal) 𝑥 𝑡 = 𝐶𝑒 𝑎𝑡 (1) 𝑪と𝒂がともに実数の場合 𝑎<0 減少実指数信号 𝑎>0 増大実指数信号 𝑥 𝑡 0 𝑡 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.2 複素指数信号(complex exponential signal) 𝑥 𝑡 = 𝐶𝑒 𝑎𝑡 Im 𝑗 (2) 𝒂が純虚数の場合 𝑥 𝑡 = 絶対値 偏角 sin𝜔0 𝑡 𝐶=1 𝑗𝜔 𝑡 0 𝑒 𝑗 = −1 𝑥 𝑡 = 1, ∀𝑡 ∠𝑥 𝑡 = 𝜔0 𝑡 𝑒 𝑗𝜔0𝑡 = 𝑒 𝑗𝜔0(𝑡+𝑇) 2π 𝑇0 = 𝜔0 オイラーの関係式 𝑒 𝑗𝜔0𝑡 = cos𝜔0 𝑡 + 𝑗sin𝜔0 𝑡 𝜔 →大 𝜔0 𝑡 −1 0 −𝑗 1 cos𝜔0 𝑡 Re 𝑡=0 𝑒 𝑗𝜔0𝑡 = 1 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.2 複素指数信号(complex exponential signal) (2) 𝒂が純虚数の場合 𝑒 𝑗𝜔0𝑡 = cos𝜔0 𝑡 + 𝑗sin𝜔0 𝑡 𝑒 −𝑗𝜔0𝑡 = cos𝜔0 𝑡 − 𝑗sin𝜔0 𝑡 1 𝑗𝜔 𝑡 𝑒 0 + 𝑒 −𝑗𝜔0 𝑡 2 1 𝑗𝜔 𝑡 sin𝜔0 𝑡 = 𝑒 0 − 𝑒 −𝑗𝜔0 𝑡 2𝑗 cos𝜔0 𝑡 = 𝐴 𝑗𝜙 𝑗𝜔 𝑡 𝐴cos 𝜔0 𝑡 + 𝜙 = 𝑒 𝑒 0 + 𝑒 −𝑗𝜙 𝑒 −𝑗𝜔0 𝑡 2 𝐴 𝑗𝜙 𝑗𝜔 𝑡 𝐴sin 𝜔0 𝑡 + 𝜙 = 𝑒 𝑒 0 − 𝑒 −𝑗𝜙 𝑒 −𝑗𝜔0𝑡 𝑗2 𝐴cos 𝜔0 𝑡 + 𝜙 = 𝐴 ∙ Re[𝑒 𝑗(𝜔0𝑡+𝜙) ] 𝐴sin 𝜔0 𝑡 + 𝜙 = 𝐴 ∙ Im[𝑒 𝑗(𝜔0 𝑡+𝜙) ] 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.2 複素指数信号(complex exponential signal) (3) 𝑪と𝒂がともに複素数の場合 𝑥 𝑡 = 𝐶𝑒 𝑎𝑡 𝐶 = 𝐶 𝑒 𝑗𝜃 : 周期的複素指数信号 𝑎 = 𝜎 + 𝑗𝜔0 :複素数 𝑥 𝑡 = 𝐶 𝑒 𝑗𝜃 𝑒 (𝜎+𝑗𝜔0)𝑡 = 𝐶 𝑒 𝜎𝑡 𝑒 𝑗(𝜔0𝑡+𝜃) = 𝐶 𝑒 𝜎𝑡 cos 𝜔0 𝑡 + 𝜃 + 𝑗 𝐶 𝑒 𝜎𝑡 sin 𝜔0 𝑡 + 𝜃 = 𝐶 𝑒 𝜎𝑡 cos 𝜔0 𝑡 + 𝜃 + 𝑗 𝐶 𝑒 𝜎𝑡 cos 𝜔0 𝑡 + 𝜃 − (a)𝜎 < 0のとき 減衰正弦波 (b)𝜎 = 0のとき 正弦波 (c)𝜎 > 0のとき 増加正弦波 𝜋 2 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.3 単位ステップ信号(unit step signal) 0, 𝑢𝑠 (𝑡) = 1, 𝑡<0 𝑡≥0 𝑢𝑠 (𝑡) 𝑢𝑠 (𝑡) 1 1 ∆→ 0 0∆ 0 𝑡 𝑢𝑠 (𝑡) = lim 𝑢∆ (𝑡) ∆→0 𝑡 𝑢𝑠 𝑡 = ∞ 𝛿 𝜏 d𝜏 = −∞ 𝛿 𝑡 − 𝜎 d𝜎 0 𝑡 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.4 単位インパルス信号(unit impulse signal) 1 𝛿∆ (𝑡) = ∆ , if 0 < 𝑡 < ∆ 0, otherwith ∞ 𝛿 (𝑡) d𝑡 = 1 −∞ 𝛿 𝑡 = 0, if 𝑡 ≠ 0 単位インパルス信号は 単位面積を持つ. 原点以外では単位インパルス信号 の値は0である. 任意の信号𝑥(𝑡)に対して以下が成立する. ∞ 𝑥(𝑡)𝛿(𝑡 − 𝑎) d𝑡 = 𝑥(𝑎) −∞ 𝑥(𝑡)𝛿(𝑡 − 𝑎)=𝑥(𝑎)𝛿(𝑡 − 𝑎) 𝛿∆ (𝑡) 1 ∆ ∆→ 0 1 𝛿(𝑡) 𝛿(𝑡) = lim 𝛿∆ (𝑡) ∆→0 0 ∆ 𝑡 0 𝑡 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.5 矩形信号(rectangle signal) 0, rect(𝑡) = 1, 𝑡 ≥ 0.5 𝑡 < 0.5 rect(𝑡) 1 0 −0.5 0.5 𝑡 第1回 信号とシステム 1.2 基本的な連続時間信号 1.2.6 符号信号 1, 𝑡 > 0 sgn(𝑡) = −1 𝑡 < 0 sgn(𝑡) 1 0 𝑡 −1 第1回 信号とシステム 1.3 基本周期 二つの正弦波の信号の和 𝑓(𝑡) = cos 𝜔1 𝑡 + cos 𝜔2 𝑡 が,周期𝑇の周期信号であるためには,周波数の比が次式のように 有理数にならなければならない. 𝜔2 𝑚 = 𝜔1 𝑛 例題) 𝑡 𝑡 𝑓(𝑡) = cos + cos 3 4 𝑡 𝑡 𝑡+𝑇 𝑡+𝑇 cos + cos = cos + cos 3 4 3 4 𝑇 = 2𝜋𝑚 3 𝑇 = 2𝜋𝑛 4 cos(𝑡 + 2𝜋𝑚) = cos 𝑡 𝑇 = 6𝜋𝑚 = 8𝜋𝑛 𝑚 = 4, 𝑛 = 3, 𝑇 = 24𝜋 第1回 信号とシステム 1.4 信号の分解 信号𝑥(𝑡)が 𝑥(−𝑡) = 𝑥(𝑡) を満たすとき、偶信号(even signal)と呼ばれる. 𝑥 −𝑡 = −𝑥(𝑡) を満たすとき、奇信号(odd signal)と呼ばれる. 任意の信号𝑥 𝑡 は,偶信号の部分ℰ𝒱{𝑥 𝑡 }と奇信号の部分𝒪𝒟{𝑥 𝑡 }の和に 分解することができ,これを偶奇分解という. 𝑥 𝑡 = ℰ𝒱 𝑥 𝑡 ℰ𝒱 𝑥 𝑡 𝒪𝒟 𝑥 𝑡 + 𝒪𝒟{𝑥 𝑡 } 1 = {𝑥 𝑡 + 𝑥(−𝑡)} 2 1 = {𝑥 𝑡 − 𝑥(−𝑡)} 2 第1回 信号とシステム 1.5 信号の操作 (1)信号の反転 𝑥(𝑡) 𝑥(−𝑡) 0 0 𝑡 𝑡 (2)時間軸スケーリング 𝑥(𝑡) (3)時間軸推移 𝑥(𝑡) 0 𝑡 𝑥(𝑡) 0 0 𝑥(𝑡) 𝑡 𝑥(𝑡) 𝑘 𝑡 0 0 𝑡 𝑥(𝑡) 𝑡 𝑘 0 𝑡 第1回 信号とシステム 1.6 システム 力学システム(mechanical system) ダンパ 𝑏 バネ 𝑘 質点 𝑚 𝑓 𝑥 d2 𝑥(𝑡) d𝑥(𝑡) 𝑚 +𝑏 + 𝑘𝑥 𝑡 = 𝑓(𝑡) 2 d𝑡 d𝑡 第1回 信号とシステム 1.6 システム 電気回路(electric circuit) 𝐿 𝑅 +𝑞(𝑡) 𝑒(𝑡) 𝑖(𝑡) −𝑞(𝑡) d2 𝑞(𝑡) d𝑞(𝑡) 1 𝐿 +𝑅 + 𝑞 𝑡 = 𝑒(𝑡) 2 d𝑡 d𝑡 𝐶 𝐶
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