耐震構造 第10回

耐震構造 第10回
【1】固有モードの性質
22
m2
y2
k2
m1
y1
k1
21
11
12
 
φ1   11 
21 
1次モード:固有円振動数
 
φ 2   12 
22 
1
2次モード:固有円振動数
2
質量マトリクスをM,剛性マトリクスをKとすると,以下の式(1),(2)の関係が成り立つ
(固有モードの直交性)
質量マトリクスMに関して:
(1)
剛性マトリクスKに関して:
(2)
以下に,式(1),(2)の証明を示す.前回の資料より,M, Kと固有円振動数
トル φ1 , φ 2 の関係は式(3),(4)で表される.
1,
2,固有ベク
(3)
(4)
T
T
式(3)の両辺の左側より φ 2 を掛けたものを式(5),式(4)の両辺の左側より φ1 を掛けたもの
を式(6)とする.
(5)
(6)
MとKが対称マトリクスであるので,式(7),(8)の関係が成り立つ.
(7)
(8)
式(5)から式(6)を引き,式(7),(8)を考慮すると,式(9)を得る.
(9)
式(9)において, 1 ≠ 2であるので式(1)が得られる.加えて,式(3),(4)に式(1)を考慮す
ると式(2)が得られる.(証明終わり)
なお,この性質は,一般の多自由度系においても成立する重要な性質である.
【2】2質点2自由度系の非減衰自由振動
非減衰自由振動の運動方程式:
(10)
式(10)の解を式(11)の形におく.ここで,q1(t), q2(t):1次モードと2次モードの一般化変位
(11)
式(11)を式(10)に代入する.
(12)
T
式(12)の両辺の左側より φ1 をかける.
(13)
ここで,各モードの広義質量Mi,広義剛性Ki(i = 1, 2)をそれぞれ式(14)で定義する.
(14)
ここで,式(1), (2)と式(14)を考慮すると,1次モードに関する独立な運動方程式(式(15))
を得る.
(15)
同様にして,2次モードに関する独立な運動方程式(式(16))を得る.
(16)
式(15), 式(16)の一般解を考えることとする.各モードの固有円振動数 iは,広義質量Mi,
広義剛性Kiと式(17)で対応づけられる.
(17)
これより,式(15)と式(16)の一般解は式(18),(19)のように得られる.
(18)
(19)
これを式(11)に代入することで,式(10)の一般解が式(20)で表されることがわかる.
(20)
以上のように,2質点2自由度系の非減衰自由振動は,各モードに関する独立な運動方程
式(式(15),式(16))を解き,その解を重ね合わせることで得られることがわかる.
【3】減衰マトリクスの扱い(比例減衰)
せん断型モデル(俗に,串団子モデル)
m1, m2:各階質量, c1, c2:各層減衰係数, k1, k2:各層剛性
m2
y2
質量マトリクスMと剛性マトリクスK:
c2, k2
m1
c1, k1
(21)
y1
減衰マトリクスC:
(22)
減衰自由振動の運動方程式:
(23)
式(23)の解を式(24)の形におく.
(24)
式(24)を式(23)に代入して整理する.
(25)
式(25)が時刻tに関わらず成立する条件は式(26)で表される.
(26)
式(26)で表される固有値問題では,非減衰自由振動と比べて非常に複雑な形となる.こ
れは,減衰マトリクスCがM,Kと無関係であるためである.そこで,特別な場合として,C
が式(27)で表される場合を考える.
(27)
このとき,式(26)は式(28)の形に書き換えることができる.
(28)
式(28)より,減衰マトリクスCが式(27)で表される場合には,減衰自由振動の固有値・固有モー
ドが非減衰自由振動と同様に得られることがわかる.そこで,以下ではCが式(28)で表される
ものとして考える.このとき,Cに関しても式(1),(2)と同様の関係(固有モードの直交性)が成
り立つ.
(29)
【4】固有モードに関する例題
m2
k2
前回例題と同じ諸元:
m1 = m2 = 100t, k1 = 1.50x105kN/m, k2 = 1.00x105kN/m
質量マトリクス:
m1
k1
剛性マトリクス:
前回例題の結果より,固有円振動数:
固有モードベクトル:
φ1T Mφ 2
質量マトリクスについて固有モードの直交性の確認: を計算
φ1T Kφ 2
剛性マトリクスについて固有モードの直交性の確認: を計算
広義質量Miの計算:1次モードについて
広義剛性Kiの計算:1次モードについて
広義質量Miと広義剛性Kiから固有円振動数 iを計算:1次モードについて