博士(医学)の学位論文提出要項 乙∴類

授与機関名
順天堂大学
学位記番号
甲第 1578 号
Diversity of arterial branches in the crural and foot region as correlated with the
relative thickness of the fibular and posterior tibial arteries
(下腿と足部の動脈枝の分布と腓骨動脈と後脛骨動脈の直径の相対的な関係性について)
町田
志樹(まちだ
しき)
博士(医学)
論文内容の要旨
下腿の主要 3 動脈、前・後脛骨動脈と腓骨動脈の末梢枝の変異および後脛骨動脈と腓骨動
脈の優劣関係を日本人解剖体の 18 側の下腿を用いて調査した。後脛骨動脈と腓骨動脈の分
岐直後の直径に着目したとき、後脛骨動脈がより太い場合(後脛骨動脈優位群)8 例と腓骨動脈
がより太い場合(腓骨動脈優位群)10 例とに分かれた。両動脈を結ぶ交通枝は 1 本が 7 例、複
数本が 11 例で、多くの場合優位側から非優位側に向かって傾斜していた。腓骨動脈から起
こる貫通枝はよく発達していたものが 4 例、中程度の太さのものが 6 例、細いものが 8 例で
あった。足背動脈は前脛骨動脈由来が 14 例、腓骨動脈からの貫通枝由来が 3 例、両者由来
が 1 例であった。前外果動脈は下腿下部から足背までの広い範囲から起こり、1 本が 10 例、
複数本が 8 例であった。足背動脈から背側中足動脈に加わる中足枝の数は 4 本のものが 3 例
で見られ、3 本が 3 例、2 本が 4 例、1 本が 2 例、0 本が 6 例であった。腓骨動脈からの貫通
枝の太さと中足枝の本数に着目したとき、貫通枝が太い群では平均で 3.3 本、普通の太さの
群では 2.2 本、貫通枝が細い群では 0.6 本であった。また、中足枝の本数の平均は腓骨動脈
優位群では 2.7 本であったのに対し、後脛骨動脈優位群では 0.5 本であった。今回、足背動
脈の形成様式と足背動脈から背側中足動脈に加わる枝の数は、貫通枝の太さの影響を受けて
いた。また交通枝の傾斜方向と貫通枝の太さは、後脛骨動脈と腓骨動脈の優劣関係の影響を
受けていた。