名 隣 陣 陶 騰1鰍

CHEMOTHERAPY
VOL.17NO.2
435
口 腔 外 科 領 域 に お け るDoxycyclineの
上野
正 ・清 水 正 嗣
道
使用経験
健一 ・明 石 喜 久 雄
橘 樹俊 英 ・野 田和 生
東京医科歯科大学歯学部第一 口腔外科学教 室
(主任:上 野 正教授)
1.ま
え
Penicillinの 発 見以 来,各
が
表1Doxycyclineの
き
種 の 抗 生 物 質 が 開 発 され 臨
-人
噌←
50ig
%
F
O O
1
科,日 腔 外 科 領 域 の 感 染 症 に 対 して,治 療 効 果 を 発 揮 す
計
合
1
00
1
の,し か も少 量 の投 与 で,歯
1
Qり
る。 そ の た め,1日1回
2
7 4
9四 5
の吸 収 が良 く,ま た 血 中 の 半 減 期 が 長 い6)と 言 われ て い
2
対 す る抗 菌 力 が 強 い と言 わ れ て お り4)§),さらに腸 管 か ら
急 性唾液腺 炎
歯性上顎 洞炎
頬粘膜部炎症
3
抗生物質
ラ ム陽 性 菌 に
2
で あ る が,従 来 の同 系抗 生 物 質 に 較 べ,グ
1
ーム ﹂4
DoxyCycline(Vibramycin)はTetracycline系
2
9μ
究 所 で 開 発 され た 新 し い 抗 生 物 質
1
-▲
今 回,Pfizer研
11
AU
1
薬剤 の方 が 有 利 で あ る。
隣 陣 陶 騰1鰍
塗U
り確 実 な投 薬 効 果 を得 る た
めに は,血 中濃 度 が 長 時 問 維 持 され,投 与 回 数 が少 な い
急性 上顎骨 々髄 炎
急姓下顎骨 々髄 炎
急性歯槽骨 炎
放射線骨 髄炎
慢性下顎骨 々髄 炎
顎放 線菌 症
急牲 リンパ節炎
口底蜂 窩織炎
﹂4
通院 患 者 の治 療 に 際 して,よ
名
Oe
けれ ばな らな か つ た1)2)3)。歯 科,口 腔 外 科 に お い て外 来
患
璽上
数 回 の投 薬 を しな
疾
医 歯 大1ロ 外1968)
5 1 6 2 2 1 2 2 3 4 2
1 1
床 に応 用 され て い るが,従 来 の抗 生 物 質 はい ず れ も血 中
の有 効 濃 度 維 持 が 短 時 間 で あ り,1日
疾患別使用成 績
感 染 症 群50例(東
}・8
る こ とが 期 待 され る。
今 回,わ れ わ れ はDoxycycline〈Vibramycin)を
臨床
使 用 す る機 会 を 得,そ の 効 果 に つ い て 検 討 し,良 好 な 治
療効 果 を認 めた の で 報 告 す る。
まで に,東
京 医 科 歯 科 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 第 一 口腔 外 科 を 受 診 した
患者78例
で,男47例,女31例
か ら最 高81才
で あ る。 そ の年 令 域 は
ま で で あ つ た。 この 内,患 者 が
来院 しな くな つ た り,記 載 が不 十 分 で効 果 の判 定 が 出 来
な かつ た4症 例 を 除 き,74症
例 を 顎 顔面 領 域 の感 染症 の
治療 を 目 的 と した症 例群 と,ロ 腔 手 術 の 術 後 あ るい は 外
傷受 傷 後 の感 染 予 防 を 日的 と した 症 例 群 の2群 に 分 け て
検討 した。 感 染症 群 に 属 す る もの は 全 部 で50例
1に 示 す よ うに 急 性 の 顎 骨 炎 が32例
性 の 顎 骨 炎 が4例 で8%で
で64%を
で,表
占め ・ 慢
あ つ た。 そ の他 に顎 骨 炎 な ど
に 併 発 した 重 症 の急 性 炎 症 で あ る ロ底 蜂 窩 織 炎 ・ 急 性 リ
ンパ 節 炎 が 各2例
な ど で あつ た。 口腔 領 域 争 術 後 お よ び
下顎骨腫瘍
口蓋腫瘍
頬粘膜腫瘍
舌 腫 瘍
エプー リス
歯根 肉芽腫
埋 伏 歯
う
歯
大顎 症
下顎骨変 形症
不正癒合顎骨 々折
舌強直症
上顎骨々折
下顎骨々折
歯牙脱臼
頬粘膜外傷
計
顎骨切除術
腫瘍摘 出術
〃
試験切除
腫瘍摘 出術
歯根切除術
抜
歯
抜
歯
顎骨形成 手術
骨移植術
観 血整 復術
形成手術
骨折治療
〃
創 治 療
有列 鰍
〃
1241241・
2 1 2 1 1 1 3 2 1 1 1 1 1 3 12
よ り1968年1月
最 低16才
医 歯 大1ロ 外1968)
疾 息 名 陣 および矧 劇
象 症 例 およ び投 与 方 法
対 象 症 例 は1967年11月
疾患 別 使用 成 績
感 染 予 防 群24例(東
2 1 2 1 1 1 3 2 1 1 1 1 1 3 1 2
II.対
表2DOxycyclineの
CHEMOTHERAPY
436
外 傷 受 傷 後 の感 染 予 防 を 目的 と し た もの は 表2の
に24例
よう
で,そ の うち下 顎 骨 腫 瘍,口 蓋 部 腫 瘍 な どの 摘 出
術 が5例,埋
伏 歯 抜 去 な ど の小 手 術 が6例,大
顎症,下
顎骨 変 形 症 な ど に対 す る顎 骨 形 成 手 術 が3例,そ
の他で
MAR.1969
IV・ 副
作
用
'副 作 用 の認 め られ た もの は 表3に 示 す よ う に
,74例
中9例,12.2%で
む り,胃 部不 快 感,嘔 気,下 痢 な どの 胃
腸 障 害 で あつ た。 副 作 用 は 多 くの場 合,初
あ つ た 。 外 傷 受 傷 後 の感 染 予 防 を 目的 と した もの は7例
空 腹 時 に服 用 した直 後 に み られ,2白
で,そ の う ち上 下 顎 骨 々折 が4例,そ
血gに 減 量 した と ころ発 現 せ ず,特
投 与 方 法 は感 染 症 群,感
2日 目以 後100mgと
の 他3例 で あ つ た 。
染 予 防 群 と も,初
して,1日1回
表3Doxycyclineの
くの 例 で は3∼7
ウ一 り細 ウ一
症 例では 消化剤を投与
9θ ー
間 投 与 した 。
併 用 薬 剤 と して は,重 症 例 を主 体 と した 約 半 数 の 症 例
で 抗 炎 症 剤 を 使 用 し,約25%の
振 痛 気痢
不
欲
食 胃 嘔 下
性 炎 症 の症 例 で10日 以 上 投 与 した も
あ り,最 長 の1例 で は28日
副作用
感
快
不
部
胃
日で あ つ たが,慢
に投 薬 を 中止 す る必
要 は 認 め な か つ た。
夕食 後 に 内服 させ
る こ とを 原 則 と した。 投 与 日数 は,多
の が8例
日200mg,
回200mgを
日 に投 与 量 を100
m.使
用
成
合
績
・0り
した。
μ
計
12.2%
副作用発現 率
1)感
染症群
が 投 与 後24∼48時
間 で軽 減 した もの を 著 効,48∼72時
1)右
間 で 軽 減 した もの を 有 効,そ れ 以 後 で も投 与 中 に症 状 が
下 顎 骨 々髄 炎 に継 発 した 急 性 顎 下 リンパ 節 炎 の
1例(図1)
軽 減 した もの を や や 有 効,投 与 を 開 始 し たの ち も症 状 が
患 者:54才
軽 快 しな い か,、あ るい は 悪 化 して 抗 生 物 質 の 変 更 を 余 儀
病 歴:5日
な くさ れ た もの を無 効 と し た。
が,そ
結 果 は表1に 示 す 通 りで,急 性 上 顎 骨 々髄 炎,急 性 下
例
V.症
治 療 効 果 の 判定 基 準 は 局 所 症 状 に重 点 を お き,主 症 状
の男 子(入
院 病 歴 番 号10546)
前 に う蝕 の た め 右 下 顎 智 歯 の抜 去 を 受 け た
の翌 日,右 耳 下 部 に搏 動性 の疾 痛 と び ま ん性 の腫
張 が 現 われ,開
ロ障 害 が起 つ た 。2日
目 に は,40。Cの
顎 骨 々髄 炎,急 性 歯 槽 骨 炎 を 一 括 して 急 性 の 顎 骨 炎 につ
発 熱 が あ り,右 顎 下 部 の腫 張 が 著 明 とな つ た。Erythro・
い て み る と,32例
mycin,01eandomycinな
あ り,や
中 著 効 ま た は有 効 が25例
や 有 効 を 含 め る と91%に
で78・2%で
効 果 が 認 め られ た。
放 射 線 骨髄 炎 を 含 む 慢性 の 骨 炎 で は4例 中 有 効 が1例,
や や有 効 が2例 で あ つ た 。 重 症 の 急性 炎 症 で あ る ロ底 蜂
どの 投 与 を 受 けた が 軽 快 せ ず・
当科 を紹 介 され て5日
日に 来 院 した 。
来 院 時 現 症:写 真1に
窩織 炎 お よ び 急性 リンパ 節 炎 で は4例 中 全 部 が 著効 ま た
図1
は有 効 で あ つ た。 急 性 唾液 腺 炎 で は4例 中1例 が 有 効,
歯 性 上 顎洞 炎 で は4例 中 全 部 が 有 効,頬 部 炎 症 で は2例
中1例 が著 効 で あ つ た。 以上 全 症 例 を ま とあ る と,著 効
18%,有
効54%,や
や 有 効18%,無
局 著 効,有 効 を合 わ せ て72%に,や
効10%と
な り,結
み られ る よ うに 右 顎 下 部 に驚 卵
大 のび ま ん性 の腫 脹 が あ り,発 赤 と熱 感 が あ つ た 。硬 さ
∫%
暦 日
02}
病 日
222324`252627
2345678
DOTCIOOms
や有 効を含め る と
90%に 効 果 が 認 め られ た。
効 果 の認 め られ な かつ た の は,エ ナ メ ル上 皮 腫
嚢 胞,頬 部 リンパ 管 腫 に2次 的 に細 菌 感 染 を受 け炎 症 を
伴 な つ て い た各1例,顎
放 線 菌 症 の1例,慢
38.0
下顎
侭温3ZO
性 下 顎骨 々
36,0
髄 炎 の1例 で あつ たe
2)感
染予防群
治 療 効果 の 判 定 は,術 後 ま た は受 傷 後 順 調 な経 過 を た
どつ て 感 染 の 認 め られ な か つ た も のを 有 効 と し,感 染 を
起 し た もの を 無 効 と した 。 そ の 結 果,24例
で 感 染 を起 した症 例 は1例
もな か つ た。
全部が有効
榊
白血 球放13000
5500
血沈
33
64
とEII9
開 口皮(刷t5
2025
CHEMOTHERAPY
VOL.17NO.2
437
図2
写 真1右
下顎 骨 々 髄 炎 に 継 発 した 急 性 顎 下 リンパ 節 炎
の1例(症 例1)。 開 ロ障 害 と痔 痛 が 強 度 のた あ経
管 栄 養 を 行 な つ て い る。
1ち
暦 日
12223、4、5262728293。12/l
l234567891011
病 日
DQTC「OOng
一
38、0
侮 温37.0
36.O
7500
白 血 球 叡10900
検査 血沈
1E55
2ろ76
131820253035
開 口度(mm)12
顎 第2大
臼歯 の抜 歯 窩 相 当部 は,健 康 な 肉芽 組 織 で 満 た
され て いた が,周
囲 の歯 肉 に軽 度 の腫 脹 と発 赤 が み られ
た 。 臨 床 検 査 に お け る主 要 な 異 常 所 見 と して は 白血 球 数
が10,900,血
沈1時 間55皿mで
あ つ た。
処 置 お よび経 過:Doxycyclineを
mgず
初 回 よ り1日1回100
つ 投 与 した と ころ,徐 々 に腫 脹,終
痛 が 緩 解 し,
2日 日 に は 口底 部 に 波 動 を 触 れ る よ うに な つた 。3日
目
に 口腔 内舌 下 部 に切 開 を加 え た と こ ろ,濃 厚な 悪 臭 あ る
は緊 張性 弾 性 軟 で波 動 を触 れ ず,放 散性 の 強 い 終 痛 を 訴
えた 。 開 口度15mmで,右
下 顎 智 歯 の 抜 歯 窩 は,い
わ
膿 汁 を排 出 し,体 温 も平 熱 に 戻 り,開 口障 害 も軽 減 しは
じめ た。10日
間 の本 剤 単 独 投 与 に よ り治 癒 せ し め得 た。
ゆ る ドライ ソケ ッ ト状 を 呈 し,周 囲 に 軽 度 の 発 赤 腫脹 が
V.総
括および考察
あつ た 。 臨床 検 査 所 見 で は 特 に 貧 血 は み られ ず,白 血 球
13,000,血
沈1時 間 値110mm,体
温38.1。Cで
処 置 お よ び経 過:本 例 で はDoxycyclineを
日1回100mgず
つ投 与 した と ころ,翌
あつ た 。
初 回 よ り1
日か ら腫 脹,痒
痛が 徐 々に 軽 減 し,体 温 も3日 後 に は平 熱 と な つ た。 結
局7日 間 本 剤 の単 独 投 与 に よつ て,切 開 を行 な わず に 治
の男 子(入
現病 歴:左 下 顎 第2大
の臨 床 成 績 を 検 討 した 結 果,
感 染 症 群50例
に つ い て み る と,そ
の うち の 急 性 顎骨 炎
32例 中,効 果 の 認 め られ な か つ た もの は2例 で,他 の30
例(93.8%)は
本 剤 の 投 与 に よ つ て 治癒 せ しめ 得 た 。 そ
いて は,全 例 と も治 癒 させ る こ とが 出来 た。 慢 性 炎 症 に
底 蜂 窩 織 炎 の1例(図2)
患 者:32才
の 口腔 外 科 領 域 疾 患 々者 に
投 与 し,そ
の他 の 口底 蜂 窩 織 炎,急 性 リンパ 節 炎 な ど急 性 炎 症 に つ
癒せ しめ得 た 。
2)口
本 報 告 に お い て は,74例
Doxycyclineを
つ いて み る と,6例
院病 歴 番号1
臼 歯 を 他 の 医 院 に お い て 慢性 根
炎性 歯 根膜 炎 の た あ に 抜 去 され た が,2日
後 よ り開 口障
害 を 伴 な つ て 口底 部 お よび 顎 下 部 に強 い腫 脹 が 発 生 し
た 。 そ の 後 放 置 して おい た が,徐 々に 増 悪 し て き た た
め,他 病 院 を 経 て 当科 を 紹 介 され 初 徴 後6日
目 に来 院 し
た。
来 院 時 現 症:願 下 部 に 鶏卵 大 の び ま ん性 の 腫 脹 が あ
り,発 赤,熱 感 が 認 め られ た。 硬 度 は 緊張 性 軟 で波 動 は
認 め られ な か つ た。 開 口 度 は12mmで
口腔 内舌 下 部 に
強 い 発 赤 を 伴 なつ た栂 指 頭 大 の腫 脹 が あ り,硬 度 は比 較
的 硬 く波 動 は触 れ な い が2重
舌状 と な つ て い た。 左 下
中3例 が 無 効 で あ つ た。以 上 の 結 果
か ら,本 剤 が 口腔 外 科 領 域 の急 性 炎 症 に対 して,特 に 重
症 例 を含 めて 有 効 で あ る こ と は明 らか で あ る と 思 わ れ
る。 急 性 炎 症 の 中で 効 果 の認 め られ な かつ た も の は,歯
根嚢 胞,エ
ナ メル 上 皮 腫 に2次 的 に感 染 を伴 な つ た2例
で あ り,切 開 が適 応 す る症 例 で あ るが,一 応 試 み た もの
で あ る。本 剤 は慢 性 炎 症 に対 して は,効 果 の認 め られ な
い例 が比 較 的 多 くみ られ た が,こ れ は他 の抗 生 物 質 につ
い て も共 通 して い る問題 と考 え る。
感 染 予 防 群24例
に つ い て み る と,他
領 域 の手 術 と比
較 して 術後 に 感 染 を 受 け る機 会 の 多 い 口腔 領 域 の手 術 症
例 が,全 例 と も術 後 感 染 を起 こす こと な く順 調 に経 過 し
438
CHEMOTHERAPY
MAR. 1969
た の は本 剤 投 与 の効 果 に よ る もの と思 わ れ る。
副作 用 は,74例
中9例 の12.2%に
認 め られ た 。 そ の発 現 時 期 が 多 くの 場 合,初
投 与直 後 で あ り,2日
わ れ わ れ は,74例
回200mg
目 に投 与 量 を100mgに
と 消失 して い る ので,こ
VI・
軽 微 な 胃腸 障 害 が
減量 す る
の 胃腸 障 害 は200mgを2回
に
Tetracyctine系
ま
と
め
の 口腔 外 科 領 域 疾 患 々者 に 新 しい
抗 生 物 質Doxycyclineを1日1回100
mgの 用 量 に て経 口投 与 し,臨 床 効 果 を 検 討 し た。 この う
分 与 す るな ど,投 与 法 を 改 良 す れ ば 防 げ る と も 思 わ れ
ち重 症 例 を 含 め た感 染 症 の50例
る。 ま た 症 例 に示 した2例 は両 者 と も特 に 初 回 か ら100
有 効54%,や
mgを
域 手 術 の 術 後 あ るい は外 傷 受 傷 後 の 感 染 予 防 を 目 的 と し
投 与 して,し
か も この 領 域 と して は重 症 例 に もか
や 有 効18%,無
で は,全
に 対 して は,著 効18%,
効10%で
あつ た。 ロ腔 領
か わ らず 十 分 な効 果 を あ げ た もの で あ り,こ の経 験 は本
た24例
剤 が 初 回 を 必 ず 倍 量 とす る必 要 が あ るか 否 かを 疑 わ しめ
果 し得 た 。 副 作 用 と思 わ れ る症 状 は9例(12・2%)に
例 と も感 染 を 受 け ず に,所
期 の 目 的を
み
られ た が,そ れ ら は 胃部 不 快 感,嘔 気,下 痢 な ど め 胃腸
る。
本 剤 の 特 徴 は,腸 管 か らの薬 剤 の 吸収 が 良 い た め に6),
1日100mgと
い う少 な い 量 の 内服 投 与 で,し
障害 であつた。
か も血 申
濃 度 が 長 時 間 に わ た つ て 維 持 され るの で6),1目1回
の
投 与 で よ い と い う こ とで あ る。 投 与 の確 実 性,患
これ らの所 見 か ら本 剤 は 口腔 外 科 領 域 感 染 症 の治 療 お
よ び 術後 の 感 染 予 防 に有 効 な薬 剤 で あ る と考 え る。
者 の便
文
宜 な ど か ら考 え て,歯 科 ∫ ロ腔 外 科 領 域 の外 来 患 者 に お
1)河
い て は,特 に使 い 易 い 抗 生 物 質 で あ る と思 わ れ る。 抗 菌
合
献
幹:化 学 療 法 剤,3。
化 学 療 法 剤 の ロ腔 応
に 比 して グ ラム 陽 性 菌 に 対 す る抗 菌 力 が強 い と い う こ と
用 。 歯 界 展望28:569∼575,1966
2)川
勝 賢 作,塚 本 周 作:顎 炎 の化 学 療 法 。 歯 界 展 望
29:1293∼1300,1967
で あ り の5),こ の 点 か ら もグ ラム 陽性 菌 感 染症 を 中 心 と
3)清
力 の点 に お い て も,従 来 の テ トラ サ イ ク リ ン系 抗生 物 質
した 混 合 感 染 の 多 い?》歯 科,ロ 腔 外 科 領 域 の感 染 症 に対
健 一:口 腔 領 域 に お け る薬 物 療 法,
科 時 報21:14∼19,1967
して は,有 効 な 抗 生 物 質 で あ る と い い得 る。
4)
ROSENBLATT
J. E., et al.: Comparison of in vitro
activity and clinical pharmacology of doxycycline with other tetracyclines.
Antimicr.
Agents & Chemoth.: 134-141,
1966
Medical Research Laboratories, Chas. Pfizer &
Co., New York, Personal communications
FABRE,J., et al, : Distribution and excretion of
doxycycline in man.
Chemotherapia .11 : 73
85, 1966
~
臨 床 的 な効 果 に つ い て の 報 告 は,ま だ 数 少 な く,歯 科
ロ腔 外 科 領 域 で の治 験 例 は国 内,国 外 と もに まだ 報 告 さ
れ て いな い よ うで あ るが,今 回 の 我 々の 経 験 で は,ユ
1回100mgの
水 正 嗣,道
1.抗 生 物 質 お よ び 抗 感 染 性 化 学 療 法 に つ いて 。 歯
日
5)
内服 投 与 で 十 分 に 効 果 を 発 揮 す る こ と が
わ か り,現 在 ま で に 各 方 面 で 得 られ た 基 礎 的 な らび に臨
6)
床 的 報 告 を裏 付 け た もの と思 う。
7)荻
野 益 男:歯 性 化 膿 性 疾 患 の細 菌 学 的 考 察 。 口科
会 誌11:45∼71,1962
THE
USES
OF DOXYCYCLINE
IN ORAL
SURGERY
TADASHI UENO, MASATSUGU SHIMIZU, KEN-ICHI MICHI, KIKUO AKASHI,
TOSHIHIDE TACHIBANA & KAZUO NODA
First
Department
of Oral Surgery, Tokyo
Yushima,
Doxycycline,
suffered
from
by a single
a new
antibiotic
diseases
of the
100 mg
dose
derived
oral
from
regions.
on subsequent
days.
Medical and Dental University,
Tokyo
tetracycline,
The
dose
was
schedule
Seventy-four
cases
administrated
was
200 mg
were
orally
for the
divided
into
initial
to
74
patients
day, followed
2 groups,
the
one
VOL. 17 NO. 2
CHEMOTHERAPY
439
consisted of 50 cases treated for infections of the oral regions, for instance, osteomyelitis,
LuDwIo's
angina, lymphadenitis and others, and the other one consisted of 24 cases intended to prevent infections
after the operation or the traumatic injuries of the oral regions, for instance, excision of tumors, ostectomy, jaw fractures and others. Among the 50 cases of the first group, 9 cases (18%) showed superior
result, 27 cases (54%) good result, 9 cases (18%) fairly good result, and 5 cases (10%) proved no
effectiveness of doxycycline.
The side effects were seen in 9 cases (12.2%).
They were stomach
disorder, stomachache, nausea and stomach discomforts.