CHEMOTHERAPY 二重 盲検法に よる尿路感染症

CHEMOTHERAPY
1880
DEC.1976
二 重 盲 検 法 に よる 尿 路 感 染 症 に対 す る化 学 療 法 剤 の 臨 床 的 評 価
CefatrizineとCephalexinに
つ いて
I 急 性単純性膀胱炎
西 村 洋 司 ・岸
洋 一 ・高 安 久 雄
東京大学医学部 泌尿器科教室
(主任:高 安教授)
尿 路 感 染 症 に対 す るCefatrizine(以
下,CFTと
略 す)
画一 とな る よ うに 配 慮 した 。
の 治 療 効 果 と,そ の 副 作 用 を 客 観 的 に 評 価 す る 目的 で 対
(患者 条 件)
照 薬 にCephalexin(以
おい て 二重
1)
で に周 知 の薬 剤 で あ り本 症 の治 療 に広 く
2)
下,CEXと
略 す)を
盲 検 法 に よ り両 剤 の比 較 検 討 を した 。
CEXは,す
使 用 され て い て,そ
16歳
以上,60歳
以 下 の 女子(妊
婦 は 除 く)患 者
であ る
の治 療 効 果 につ い て一 定 の 評 価 が 与
え られ て い る こ と,ま た そ の化 学 構 造 と抗 菌 スペ ク トル
も試 験 薬 と類 似 して い る こ とがCEXを
3)
対 照 薬 と して選
ん だ 理 由 で あ る。
本 治 療 開 始 前 の 経 過 が 不 明 な患 者 お よび 来 院 前 に
抗 菌 性 物 質 を 服 用 し て い る患 者 は 除 外 す る
薬 剤 ア レル ギ ー また は そ の既 往 の あ る患 者 は 除 外
する
4)
肝 障 害,高
今 回 の 研 究 で は,対 象 疾 患 を 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 と し
た 。 本 症 は 尿 路 感 染症 の な か で も病 像 が 比 較 的 画 一 で あ
り,薬 剤 効 果 が 直 截 に 反 映 され る と ころ か ら,新
しい試
験 薬 の治 療 効 果 を 判 定 す る うえ で 最 適 と考 え られ,ま
た
度 の 腎 障 害 ま た は そ の既 往 の あ る患 者
は除外す る
2. 薬
剤
試 験 薬 であ るCFTは1カ
また は250mg(力
プ セ ル 中125mg(力
価)
価)を 含 有 し,対 照 薬 のCEXは1カ
本 症 に対 す る治 療 成 績 か ら複 雑 性 尿 路 感 染 症 治 療 研 究 へ
プ セ ル 中250mg(力
の 手 掛 りが 得 られ る と考 え られ る。
の 大 き さ,外 観,包
価)を
含 有 した 。 両 剤 の カ プ セ ル
装 等 は 全 く識 別 で き な い よ うに 作 製
した 。
研
1. 対
究
方
法
3. 投 与 方 法
象
対 象 症 例 は 以下 の 参 加 機 関 の 外来 患 老 であ る。 な お,
参 加 機 関 の うち東 京 大 学 医 学 部 で は 細 菌 学 的 研 究 だ け を
行 な った 。
参 加 機 関(泌 尿 器 科)担
当
高 安 久 雄,岸
埼 玉 中央 病 院
宮村隆三
都立 豊島病院
田原 達 雄
都 立大塚病院
細井康 男
東 京共 済 病 院
斉藤
青梅 市立総合病院
足立卓三
虎 の門共済病院
斉藤豊一
三 楽病院
河辺香 月
都 職青山病院
弓削順二
三 井記念病院
西村洋 司
洋一
功
Controllor
東京大学医学部 保健学科
CEXで
は19(以
は,0.59(以
下,投
下,投 与 群 をA群
与 群 をB群
下,投 与 群 をC群
ぞ れ 両 剤 と も1回1カ
医
東 京大学医学部
1日 投 与 量 はCFTで
とす る)ま た は1g(以
プ セ ル1日4回
とす る)と し,
とす る)と し,そ れ
服 用 と した 。 投 与
期 間 は3日 間 と し,担 当医 に よ り効 果 が み と め られ た と
判 定 され た 場 合 は,引 き続 い て7日 間 の休 薬 期 間 をお き
再 発 の 有 無 に つ い て 検 討 した 。
な お,重 篤 な 副 作 用 を み とめ た 場 合 は 直 ちに 投 与 を 中
止 す る。 ま た,病 状 の不 変 な い し増 悪 を み とめ た と き は
他 剤 に 変 更 し,休 薬 期 間 中 も担 当 医 が 再 発 あ りとみ とめ
た場 合 は,適 切 な 化 学 療 法 を 行 な うこ と と した 。
4. 効 果 の 判 定
初 診 時,投 与 開 始 後 第4病
び 第11病
日(ま た は第10な
て,自 覚 症 状,尿 所 見,尿
日(ま た は 第5病
い し第13病
日)お よ
日)に お い
培 養 結 果 につ い て調 査 し,こ
れ ら3者 の 推 移 か ら両 剤 の 臨 床 効 果 の 総 合 判 定 を した。
田 中恒 男
(順不 同,敬 称 略)
患 者 条 件 と して は,ま ず 副 作 用 の発 現 に関 す るあ らゆ
る状 態 を 考 え,ま た 一 方 で は 対 象 の 条 件 が で き るか ぎ り
ま た,こ れ ら3者 の 推 移 の 判 定 はTable1の
基準 で行な
った。
自覚 症 状 は,頻 尿,排
尿 痛(ま た は排 尿 時 不 快 感),残
尿 感,終 末 時 血 尿,下 腹 部 痛(ま た は不 快 感)の5項
目
VOL.24
CHEMOTHERAPY
NO.9
Table1
をcheckし,そ
1881
Evaluation of chemotherapy in acute cystitis.Standard for judging effectson
subjective symptoms and urinary findings
れ ぞ れ の推 移 の 判 定 は担 当 医 の 印 象 に
基 づ く もの と し,こ れ ら項 目の 推 移 か ら 自覚 症 状 の総 合
判 定 を 行 な い,不 変,軽 快,消
失 の3段 階 に判 定 す る 。
5. 除 外 と脱 落 の 判 定
除 外 と脱 落 につ い て は あ らか じめ 以下 の よ うな 条 件 を
定めた。
この 場 合,排 尿 痛 に 重 点 を お い て 判 定 し,他 の症 状 が 多
(除外 の 判 定)
少 残 って い て も排 尿 痛 が 消 失 す る と き は 「消 失 」 と判 定
1)
患 者 条 件 と合 わ な い 症 例
す る。
2)
罹 病 期 間 が2週
膿 尿 は,不 変,改 善,正 常 化 の3段 階 に判 定 す る 。 尿
3)
初 診 時 の膿 尿 で 白血 球 数 が9コ/視
中 白血 球 数 が4コ/視 野 以下 は 「正 常 化 」 と し,初 診 時 膿
4)
初 診 時 の尿 培 養 で生 菌 数 が104コ/ml以
尿 の 程 度 が10∼29コ/視
野 の 場 合 は 「改 善 」 の段 階 を 用
い な い こ と とす る。
細 菌 尿 は,存 続,減
1)
交代の
効,有
効,無
規 定 通 り服 用 しな か った 症 例(副
再 発 検 討 対 象 例 は,第4病
判 定 され た 症 例 で,第11病
日判 定 が 著 効 な い し有 効 と
日に所 定 の調 査 が行 な わ れ
た もの とす る。 再 発 の 判 定 は 第4病
日 と全 く同 じ方 法 で
日 に総 合 効 果 の 判 定 を 行 な い,両 判 定 日間 の 推
移 か ら再 発 の有 無 を 判 定 す る(Fig.2)。
病 日以 前 に 再 発 がcheckさ
れ,そ
た だ し,第11
作 用 に よ り投 与
が 中 止 され た 症 例 も含 む)
併用 薬が投与 された症例
集 積 さ れ た 総 症 例 数 は335例
は33例,脱
(Fig.1)。
第11病
2)
3)
効 の3段 階 に 判定 す る
所 定 の 来 院 日に 受 診 しな か っ た 症 例(所 定 の検 査
が 行 な わ れ な か っ た 症 例 も含 む)
上 は 「存 続 」 で あ る が,102コ/ml
未 満 の もの は 「陰 性 化 」 と判 定 す る。
総 合 効 果 は,著
上 み とめ
(脱落 の 判 定)
少,陰 性 化 の3段 階 に 判 定 す る。
満 の もの は 「減 少 」 とす るが,菌
場 合 は,102コ/ml以
野 以 下 の症 例
られ な い 症 例
効 果 判 定 時 の菌 種 が初 診 時 と同 一 で あ る場 合 は,生 菌 数
が102コ/ml未
間を越す症例
落 例 は26例
で あ る。 そ の うち除 外 例
で あ る。 除 外 と脱 落 症 例 の 分
布 に関 し群 間 に 有 意 差 は み とめ られ な い(Table2)。
6. 解
析
法
デ ー タ ー の解 析 は,N1nN法(ま
も の),FISHERの
た は連続補正 した
直 接 確 率 計 算 法 ま た は2標
本 もt検
定 で あ り,危 険 率 は す べ て臨 界危 険 率 で 示 した 。
Table2
の時 点 で 再 発 と診 断
Case
composition
され た もの は 再 発 例 と して検 討 に 加 え る。
Fig.1
Evaluation of chemotherapy in acute
cystitis,standard for judging clinical
effects
結 果 と 考 案
1. 症 例 構 成
検 討 対 象 症 例276例
Fig.2
Evaluation
of chemotherapy
cystitis, standard for judging
in acute
recurrence
年 齢 分布,受
につ い て,3群
診 まで の病 日数 分 布,各
集 積 状 況,膿 尿 の程 度,原
の異 同 性 に 関 し,
自覚 症 状 の 出現 と
因 菌 分 布,MIC分
布 を検 討
した 。
年 齢 分 布 で は20歳
代 の症 例 が 多 く(Table3),受
で の病 日数 分布 は3日 未 満 の もの が 多 い(Table4)。
診ま
自
CHEMOTHERAPY
1882
Table3
Distribution
of
DEC.1976
Table6
age
Cumulation
each
Table4
Period
frem
onset
of appearance
of
symptom
to consultation
Table7
Grade
of pyuria
覚 症 状 の 個 別 出 現 頻 度 で は 排 尿 痛 の 出現 が 多 く(Table
5),4項
圏に つ い て の集 積 状 況 は3種 の も のが 多 い(Ta-
ble6)。
膿 尿 の 程 度 は 白血 球 数 を30コ/視
Infecting
organism
野 未 満 とそれ
以 上 とに 層 別 す る と後 者 が 多 く(Table7),原
はE.coliの
Table8
分 離 頻 度 が 高 い(Table8)。
因菌分布
以上の成績 は
対 象 疾 患 の 特 性 を 示 す もの と考 え られ る。 ま た,3群
の
比 較 で は いず れ の項 目に つ い て もそ の分 布 に関 して 有 意
差 は な く,し た が って3群
を通 じて ほ ぼ 均 質 な 集 団 と考
え られ る。
な お,自 覚 症 状 の うち 頻 尿 は,有 効 以 上 の症 例 で も判
定 時 の 排 尿 回 数 が 罹 病 以 前 まで 復 帰 す る もの が 比 較 的 少
な く,そ の一 因 と して 治 療 期 間 中 の 多 量 の水 分 摂 取 に よ
る影 響 と考 え られ る が,今 回 は解 析 の 対 象 か ら除 いた 。
検 討 症 例 の原 因 菌 の うち246株(246例)に
つ い て化
学 療 法学 会 規 準 に よ りCFTとCEXのMIC値
した(Table9)。
び100倍
を測 定
た だ し,接 種 菌 量 につ い て は 原 液 お よ
希 釈 の 両 方 法 で測 定 した が,以
下 す べ て100倍
希 釈 法 に よ る成 績 につ い て 述 べ る。 ち な み に,原 液 法 に
は6.25μg/mlにpeakが
よ る成 績 で は100倍
両 剤 の 感 受 性 には 明 らか な 差 が み と め られ,CFT感
希 釈 法 と比 較 し てMIC分
が 鈍 で あ り,約1管MIC値
MIC値
布 のpeak
が 高 い傾 向 で あ る。
性 が 高 い(Fig.4)◎
を 測定 した 菌 種 分布 は 検 討 症 例 と 有 意差 は な
く,ま た3群
両 剤 のMIC分
間 で も有 意 差 は み とめ られ な い 。
布 は,CFTで
は1。56μg/ml,CEXで
Table5
Frequency
あ り(Fig.3),相
関図か らも
受
臨 床 分 離 株 につ い て両 剤 の 感 受 性 分
布 の比 較 検 討 に は 五 島2)の 報 告 が あ るが,そ れ は 自験 例
と 同 様 な 傾 向 で あ りCFT感
る と の見 解 で あ る。
of appearance
of each
symptem
受 性 がCEXよ
り優 れ て い
VOL.24
CHEMOTHERAPY
NO.9
Table9
Distribution
tested
MIC
of
infecting
1883
Fig.4
organisms
values
Correlation of MIC
CFT
and CEX
で は6.25μg/mlにmedianが
values
between
あ って,群 間 で 有 意差 は
な い 。 した が って,薬 剤 別MIC分
布 に 関 して は3群 を
通 じて 全 く差 が な い とい え る。
2. 総 合 臨 床 効果(Table10)
集 積 症 例335例
に つ い て 前 述 の よ うに 除 外 と脱 落 につ
い て 判 定 した 結 果,薬
効 の 比 較 検 討 症 例 は276例
る 。 そ の 内訳 は,CFT0.59/日
CFT19/日
Fig.3
Sensitivity distribution of infecting
群)92例
organlsms
投 与 群(A群)89例,
投 与 群(B群)95例,CEX19/日
投 与 群(C
で あ る。
総 合 臨 床 効 果 は,A群
効4例
で あ り,B群
例 で あ り,C群
が 著 効69例,有
が 著 効72例,有
が 著 効67例,有
効16例,無
効22例,無
効23例,無
あ る。 著 効 率 はA群77.5%,B群75.8%,C群72.8%
で あ り,有 効 率 はA群95.5%,B群99.0%,C群97.8
Table10
246株 に 対 す るMIC分
性 で は1.56μg/mlに,ま
mlに
布 のmedianは,CFT感
たCEX感
剤 間 に は2管 の差 が み とめ られ るが,い
3群 間 のMIC分
にCFT感
布 のmedianを
述 の よ うに 両
っ ぽ う薬 剤 別 に
比 較 す る と,各 群 と も
受 性 で は1.56μg/mlに,ま
たCEX感
Clinical response
a)
Ratio of excellent response
b)
Ratio of poor response
受
受 性 で は6.25μg/
相 当 す る とこ ろ に 含 まれ て い て,前
受性
であ
効1
効2例 で
%で
DEC.
CHEMOTHERAPY
1884
が これ を 補 な っ て な お 余 りあ る と考 えた た め で あ る 。
あ り,無 効 率 は それ ぞれ4.5%,1.1%,2.2%で
あ る。
次 に,原
急 性 膀 胱 炎 に 対 す るCFTの
例 に つ い て 有 効 率 が97.8%と
す る と(Table11),A群
報 告 し て い るが,著 者 ら
MIC値
効 率,無
性 単純 性 膀 胱 炎 の治 療 に は
の いず れ の 投
「著 効 」 で あ り,19/日
られ な い 。 し た が っ て,急
6.25μg/mlで
え,B群
の 投 与 群 を設 定 した 理
MIC値
抗菌 力
Clinical effects by
Table12
Evaluation
薬 効 は0.5
受 性 が12.5μg/mlま
で
で 「有
布 はA群
あ り,比 較 的 低 いMIC値
で は50μg/mlのMIC値
で は1.56∼
に 分布 す る とい
に あ る1例 で あ る。
概 して,尿 路 感 染 症 の 化 学 療 法 に お い て は そ の 原 因 菌 の
比 較 して 吸 収 面 でや や 劣 る とは
Table11
効 例 は0.78∼
の投 与 で は100μg/mlま
効 例 につ い て の 原 因 菌 のMIC分
え られ る。
っぽ う感 受 性 分布 か ら考 え る とCFTの
では著効
効 」 で あ る こ とが 期 待 で き る とい え よ う。 い っぽ う,無
与 法 に よ っ て も,ほ ぼ 同 等 な 効 果 が 期 待 され る もの と考
い え,い
分 布 し,B群
分 布 す る。 換 言 す る と,CFTの
g/日 投 与 で は 原 因 菌 のCFT感
効率 の い ず れ にっ い て も有 意 差 はみ とめ
な お,試 験 薬 に つ い て0.59/日
は0.39∼12.5μg/mlに
100μg/mlに
の無効
CFT0.59/日,CFT1g/日,CEX1g/日
由は,CFTがCEXと
別 に よ る総 合 臨 床 効 果 を 検 討
で は 臨 床 効果 を 問 わ ず 原 因 菌 の
例 に お い て は0.39∼12.5μg/mlに,有
間 の総 合 臨 床 効 果 の比 較 で は,A群
率 が や や 高 い傾 向 が うか が えた が,検 定 の 結 果 で は著 効
率,有
因菌 のMIC値
治 療 成 績 は,大 越3)が119
の成 績 も これ に 匹 敵 す る もの と考 え られ る。
ま た,3群
1976
が か な り高 値 で あ っ て も高 い尿 中 濃 度 に よ って
有 効 例 を み る こ とが 多 く,B群
MIC
values
of infecting organisms
of effects on symptoms
で の高 いMIC値
の症例
VOL.24
CHEMOTHERAPY
NO.9
1885
で 有 効 例 が み とめ られ た こ と も当 然 と考 え られ る。 い っ
ぽ う,A群
に お い て低 いMIC値
の症例に無効例がみ と
自覚 症 状 の項 目別 の 消 失 率 で は,排
尿 感83.1%,終
末 時 血 尿100%,下
尿 痛84.1%,残
腹 部 痛87.0%で
あ
め られ た こ とに 関 して は 投 与 量 に 問 題 が あ る と 考 え ら
り,各 項 目 と もに 消 失 率 に関 して3群 間 に 有 意 差 は み と
れ,今
め られ な い(Table13)。
後 の 検 討 が 必 要 と思 わ れ る。
3. パ ラ メ ー タ ーに 対 す る効 果
(1)
(2)
自覚 症 状(Table12)
尿(Table14)
膿 尿 の正 常 化 率 は,A群84.3%,B群85.3%,C群
自 覚症 状 の 消 失 率 は,A群91.0%,B群87.4%,C
群84.8%で
膿
81.5%で
あ り,消 失 率 に関 して3群 間 に 有 意 差 は み
と め られ な い。
あ り,3群
また,膿
尿 の 程 度 と総 合 臨 床 効果 の 検 討 で は,膿 尿 の
程 度 が(+)以
Table15
Table13
Disappearance
Table14
Evaluation
Relationship
between
of
each
下 の 症 例 に 著 効 率 が 高 い 傾 向 が み とめ ら
symptom
of effects
clinical
間 に 有 意 差 は み とめ られ な い。
response
on
pyuria
and
grade
of
pyuria
CHEMOTHERAPY
1886
Table16
Table17
Persisted organisms
Evaluation
isolated on 4th
DEC.
of
effects
1976
on bacteriuria
day
Table18
Side
effects
れ た(Table15)。
(3)
細 菌 尿(Table16)
細 菌 尿 の 陰 性 化 率 は,A群95.5%,B群98.9%,C
群97.8%で
あ り,減 少 例 は な い 。 陰 性 化 率 に関 して3
群 間 に有 意 差 は み とめ られ な い 。
第4病
日判 定 時 の 分 離 菌 は,Ecoli3株,Proteus
mirabilis2株,Entenbacter1株,Staphylococcus
epidermidis1株
で あ り,こ の うち,Enterobacterの
例 の初 診 時 分離 菌 はProteus
mirabilisで
17)。 ま た,こ れ ら分 離 株 の初 診 時MIC分
に 示 し,多
くは 低 いMIC値
例 か らProteus
μ9/m1で
症
あ る(Table
布 は表 中()
で あ る。 た だ し,B群
mirabilisの1株
のMIC値
の症
は初 診 時50
あ っ た もの が 判 定 時 に は1.56μg/mlで
あ り,
そ の 理 由 は不 明 で あ る。
例 で あ り,そ の うち 副 作 用 発 現 の た め 投 薬 を 中 止 した 症
4. 副 作 用(Table18)
例 は 消化 器 症 状 の2例
副 作 用 検 討 症 例 は327例
で あ る 。集 積 全 症 例335例
うち所 定 の投 薬 が 完 了 し,副
作 用 に つ い てcheckが
副 作 用 の うち 消 化 器 症 状 は投 薬 終 了後 ま た は 投 薬 中 止 後
行
厳 重 な追 跡 調 査 を 行 な い,他 症 状 に つ い て も適 切 な 対 象
な わ れ た 症 例 を対 象 と し,投 薬 期 間 中 に 副 作 用 の発 現 を
み た た め 投 薬 が 中 止 され た 症 例 も加 えた 。 そ の 内 訳 は,
薬 効 検 討 症 例276例,除
外 例29例,脱
る 。 この うち患 者 不 参10例
トを行 な い,7例
落 例22例
であ
につ い て は 郵 送 で ア ンケ ー
につ い て 解 答 を 得 た の で検 討 症 例 と し
た。
副 作 用 発 現 症 例 は11例(3.4%)で
療 法 を 行 な い 副 作 用 発 現 の全 症 例 に全 快 を 得 て い る。
副 作 用 に関 す る3群
2,7%,C群3.8%の
あ る。 副 作 用 は 消
と顔 面 浮 腫 の1
の 比 較 で は,A群3.6%,B群
発 現 率 で あ り,群 間 に有 意 差 はみ
とめ られ な い 。
藤 井1)は325例
大 越3)は641例
化 器 症 状 が 主 で,つ い で 皮 膚 掻 痒 感2例
と顔 面 浮 腫 の1例 で あ る。 これ ら
の
例(5.5%)にCFTに
に1∼39/日
の投 与 で15例(4.6%),
に0.5∼29/日,3∼14日
間 の投 与 で35
よ る副 作 用 を み とめ,い ず れ も消
化 器 症 状 が 多 い こ とを 報 告 して い る。
VOL.24
CHEMOTHERAPY
NO.9
Table19
した が って,CFTの
副 作 用 はCEXと
1887
Recurrence
同様 に主 とし
Table20
Infecting
Table21
Changes
organisms
from
cases
recurred
て 消 化 器 症 状 で あ り,そ の発 現 率 は この 程 度 の も のが 予
想 され る が,重 篤 な 結 果 に 至 る こ とが 多 い ア レルギ ー反
応 に は充 分 留 意 す る こ とが 必 要 と考 え られ る。
5. 再
発
再 発 検 討 症 例 はA群67例(75.3%),B群67例(70.5
%),C群68例(73.9%)で
あ る 〔()内
は薬効検討
症 例 に 対 す る割 合 を示 す 〕。
これ ら再 発 検 討 症 例 に つ い て3群
齢 分 布,受 診 まで の病 日数 分 布,原
of MIC
values
in
cases
recurred
の異 同 性 に関 し,年
因 菌 分 布 を検 討 した
が,い ず れ に つ い て も有 意 差 は な く,ほ ぼ 均 質 な集 団 と
考 え られ た 。
再 発 率 はA群18.2%,B群7.7%,C群7.4%で
り,A群
あ
の 再 発 率 は 他 群 と比 較 して や や 高 い 傾 向が うか
が え た が,検 定 の結 果 か ら3群 間 に 有 意 差 は み と め られ
な い(Table19)。
した が っ て,さ
い に0.5g/日
きに 原 因 菌 のMIC値
投 与 群 で は 低 いMIC値
別薬効検討 のさ
群 で 無 効 例 が あ り,
1回 と し て 薬 剤 の病 巣 組 織 内 濃 度 が 問 題 と考 え ら れ た
が,再 発 に 関 して もこ の よ うな こ とが 再 燃 につ な が る可
能 性 もあ り,A群
の再 発 率 が 高 い こ と も予 想 され た が,
今 回 の 検 定 の 結 果 か ら再 発 率 に関 して3群
と もほ ぼ 同程
度 で あ る とい え る。
再 発時 の 原 因菌 はE.coliが
多 い。 また 再 発 時 に は初
診 時 の 原 因 菌 と同一 菌 種 で あ る こ とが 多 く,そ の 薬 剤 感
受 性 分 布 もほ ぼ 同一 で あ る と ころ か ら,こ れ らの 症 例 は
再 燃 に よる もの が 含 まれ る もの と考 え られ る が,い
う,そ れ ぞ れ 各 群 に お い て 原 因 菌 がProteus
っぽ
vulgaris→
E.coli(A群),E.coli→Enterococcus(B群),StaPhylococcus epidermidis→ αβ Streptococcus(C群)に
してMIC値
語
間 投 与 の3群 に つ い て,二 重 盲 検
法 で 治療 効 果 と副 作 用 を 比 較 検 討 した 。
で あ り,3群
を
の それ を 対 比 す る と,多 くはMIC
の1症 例 で 両 剤 に 対
の 上 昇 が み と め られ て い る(Table21)。
の異 同 性 に 関 し種
種 の項 目に つ い て 検 定 した 結 果,3群
な 集 団 と考 え られ た 。 原 因 菌246株
同 一 症 例 の 原 因 菌 に つ い て 初 診 と再 発 時 のMIC値
測 定 したE.coli10株
g/日,CEX1g/日3日
薬 効 検 討 症 例 は276例
交代
した 症 例 が あ る(Table20)。
値 に 変 動 は み とめ られ な い が,A群
結
急 性 単 純 性 膀 胱 炎 を 対 象 と し,CFT0.5g/日,CFT1
い て,CFT感
を通 じて ほ ぼ 均 質
のMIC値
受 性 で は1.56μg/mlに,ま
性 で は6.25μg/mlにmedianが
高 く,し た が ってCFTが
総 合 臨 床 効 果 で は,著
分布につ
たCEX感
あ り,CFT感
受
受性が
臨 床 上 有 利 と考 え られ た 。
効 率 はCFT0.5g/日
投与群
CHEMOTHERAPY
1888
77.5%,CFT1g/日
群72.8%で
投 与 群75.8%,CEX1g/日
あ り,著 効 率,有
DEC.1976
れ な か った 。
投与
概 して,急 性 単 純 性 膀 胱 炎 に 対 す るCFTの
効 率,無 効 率 と もに3群
お よび 副 作 用 発 現 に 関 し,本 剤 はCEXと
間 に有 意 差 は え られ なか っ た 。
り,ま た 投 与 量 の異 な る2群 で もほ ぼ 同 等 の 治 療 効 果 が
副 作 用 検 討 症 例 は ア ン ケ ー トに よ る7例 を 加 え て327
え られ た 。
例 で あ る。 副 作 用 の 多 くは 消 化 器 症 状 で あ り,発 現 率 は
CFT0.5g/日
CEX1g/日
投 与 群3.6%,CFT1g/日
投 与 群3.8%で
投 与 群2.7%,
文
あ り3群 間 に 有 意 差 は み と
め られ な か った 。
再 発 検 討 症 例 は202例
g/日 投 与 群7.4%で
投 与 群7.7%,CEX1
あ り,3群
藤 井 良 知:Cefatrizine研
2)
化 学 療 法 学 会東 日本 支 部 総 会 報 告,1975
五 島 瑳 智 子:Cefatrizine研
究 会報 告,第22園
3)
本 化 学 療 法 学 会 東 日本 支 部 総 会報 告,1975
大 越 正 秋:Cefatrizine研
究 会,第22回
日本 化 学
CEFATRIZINE
TREATMENT
DOUBLE
AND
OF
BLIND
of Urology,
Faculty
TRIAL
CEPHALEXIN
SIMPLE
ACUTE
YOJI NISHIMURA, HIROICHI KISHI and
Department
究 会 報 告,第22回
日本
日
療 法 学 会 東 日本 支 部 総 会 報 告,1975
間 に 有 意 差 は み とめ ら
COMPARATIVE
献
1)
で あ り,再 発 率 はCFT0.59/
日 投 与 群18.2%,CFT1g/日
治療 効果
ほぼ同等であ
of Medicine,
IN
OF
THE
CYSTITIS
HISAO TAKAYASU
The University
of Tokyo
Comparative double blind trial of cefatrizine
(CFT) and cephalexin (CEX) was performed with 335
patients of simple acute cystitis.
Patients were treated at a daily dose of 0. 5 g or 1 g of CFT or 1 g
of CEX for 3 days.
The results obtained were summarized as follow;
The background characterisitics
of the three groups were statistically
analyzed and no significant
difference was found.
The clinicalefficacy was evaluated on 89cases of 0.5g CFT, in 95 cases of 1g CFT and in92
cases of 1gCEX.
The ratio of excellent response was 77.5%with0.5gCFT,
75.8%with
1gCFT
and 72.8% with 1g CEX, showmg no significantdifference.
Side effects were observed in 3.6% of 110 cases with 0.5g CFT, 2.7%of 111cases with 1gCFT
and 3.8% of 106 cases with 1g CEX, showing no significantdifference.
Recurrence within one week after completion of the treatment was observed in 18.2% of 67 cases
with 0.5g CFT, in 7.7% of 67cases with 1g CFT and in7.4%of
68 cases with 1g CEX,
showing
no significantdifference.
And these results
demonstrate
that the treatment
either
very effective
in the field of the urinary
tract infection.
at a daily
dose
of 0.5g
or
1g
of
CFT
is