オーストリア乳癌・大腸癌研究グループ臨床試験12の

海 外 最 新 文 献
メディカルカスタム(編集協力 HealthDay) 2015-05
閉経前の早期乳癌患者におけるゾレドロン酸の有無と
タモキシフェンまたはアナストロゾールによる
アジュバント内分泌療法および卵巣機能抑制剤の併用療法の比較:
オーストリア乳癌・大腸癌研究グループ臨床試験12の最終分析
Zoledronic acid combined with adjuvant endocrine therapy of tamoxifen versus anastrozol plus ovarian function suppression in premenopausal early breast cancer:
final analysis of the Austrian Breast and Colorectal Cancer Study Group Trial 12.
Gnant M.et al.: Ann Oncol, 26(2):313-20, 2015
背 景
早期乳癌の治療では、外科的切除のほか、可能であれば術後の化学療法、内分泌療法をはじめとするアジュバント療
法を適用する。これらの治療法によるエストロゲン値の低下は骨減少を促進させ、骨の健康に有害な影響を及ぼす可能
性があり、リスクを低下させるためにビスホスホネートが使用されている。
オーストリア乳癌・大腸癌研究グループ臨床試験 12(ABCSG-12)では、アジュバント内分泌療法とゾレドロン酸
(ZOL)の併用治療を受けた早期乳癌患者において、48 カ月後および 62 カ月後のフォローアップ時の無病生存期間
(DFS)が改善していることが分かっている。同試験の開始時にはビスホスホネートの抗癌性に関するエビデンスは限ら
れていたが、現在までの新たな知見によりビスホスホネート、特に ZOL において、さらなる抗癌性が裏付けられている。
目 的
本研究の目的は、ABCSG-12 臨床試験のさらなるフォローアップであった。早期乳癌において、アジュバント内分泌
療法と ZOL を併用した時の持続的利益の可能性を調査した。
方 法
ABCSG-12 臨床試験は 1999 年 6 月∼ 2006 年 5 月に実施され、早期乳癌の手術を受けた閉経前女性 1803 人を対象と
した。全患者にゴセレリンによる治療を実施した後、タモキシフェン投与群、タモキシフェン+ZOL 投与群、アナスト
ロゾール投与群、アナストロゾール+ZOL 投与群に無作為に割り付け、3 年間治療を実施した。2012 年 6 月、中央値
94.4 カ月にわたる追跡データを入手した。
結 果
全追跡期間を通して、いずれの内分泌療法においても、単独よりも ZOL を併用したほうが DFS と全生存期間(OS)
の改善が持続的にみられることがわかった。ZOL 投与群における絶対リスク減少率は DFS では 3.4%、OS では 2.2%
だった。
追跡期間中の DFS イベントは 251 例で、そのうち死亡は 86 例だった。治療の忍容性は高く、腎不全および顎骨壊死
の報告はなかった。
結 論
ABCSG-12 臨床試験の 94.4 カ月後の結果から、アジュバント内分泌療法を実施している早期乳癌患者において、年
2 回 ZOL を投与することで治療効果を増強できることが示された。48 カ月後および 62 カ月後にみられた治療効果は持
続していた。この結果から、閉経前女性では ZOL の併用を検討すべきである。治療効果は長期間安全に持続すると思わ
れる。
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