癌の再発・生存率と家族歴との相関 胃癌患者における

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胃癌患者における、癌の再発・生存率と家族歴との相関
Association of Family History With Cancer Recurrence and Survival in Patients with Gastric
Cancer
Han MA ,et al : J Clin Oncol 30. 701-708, 2012
【目的】胃癌の家族歴は、胃癌への大きなリスクファクターである。この study で、われわれは、家族歴のある胃癌
患者の予後を研究した。
【方法】retrospective に、2001 年~2005 年の間に tertiary cancer center hospital にて胃腺癌に対し、胃切除術
を施行された 1273 人の患者のデータが集められた。家族歴あるというのは、一親等、もしくは二親等の親戚から
の癌の自己報告によって定義した。患者は、2009 年 12 月まで、死亡もしくは再発をフォローされた。臨床的病
理 学 的 特 徴 を 、 家 族 歴 と 比 較 し た 。 Disease-free survival(DFS),recurrence-free survival(RFS),overall
survival(OS)が Kaplan-Meier 曲線にて評価された。
【結果】1273 人の患者のうち、263 人(20.6%)が胃癌の既往歴のある一親等の親戚がいた。胃癌の一親等の家
族歴は、より良い DFS、RFS、OS と相関していた。(それぞれ P=0.012、0.006、0.005) Stage Ⅰ、Ⅱの胃癌患者に
おいては、一親等の家族歴は生存率と相関がなかった。しかしながら、Stage Ⅲ、Ⅳの胃癌患者においては再
発や死亡率のリスク減少と相関があった。家族歴のない患者と比較すると、一親等の胃癌家族歴のある患者は、
調整後ハザード比は、DFS が 0.49、RFS が 0.51、OS が 0.47 であった。
【結論】胃癌の一親等の家族歴は、StageⅢ、Ⅳの胃癌患者の術後生存率の改善と相関がある。
【感想】discussion にて、胃癌の家族歴があると検診への意識が高いのではないかと述べられていた。また、家族
歴がある場合、MSI(microsatellite instability)などの遺伝子変異と関係していることが多く、リンパ節、リンパ管浸
潤しにくいということや、全体を通して予後が良いという特徴があるからではないかとのことであった。この論文中
では、遺伝子変異やピロリ菌に関する評価が不十分であるため、さらなる study が必要と考えられる。
研修医として勉強をし始めて早1年が経ちます。1年間で学んだことを見直し、4月からは2年生として気持ちを
新たにがんばろうと思います。1年間ご指導ありがとうございました。4月からもよろしくお願いいたします。
(研修医 古賀 絵梨奈)