TAP-144-SR(3M)

試験結果の概要
試験実施者(企業名)
武田薬品工業株式会社
商品名
○
SR注射用キット 11.25
リュープリンR
有効成分名
TAP-144-SR(3M)(リュープロレリン酢酸塩)
試験の名称
TAP-144-SR(3M)の閉経前乳癌患者に対する術後補助療法に関する比較
試験
試験実施医療機関
19 医療機関
公表文献
投稿準備中
(本試験結果の報告文
献)
試験期間
最初の被験者の同意取得日:2006 年 7 月 19 日
(最初の被験者の同意
取得日~最後の被験者
の治療期終了日
最終の被験者の観察終了日:2013 年 3 月 26 日
試験のフェーズ
製造販売後臨床試験
試験の目的
閉経前乳癌患者の術後補助療法におけるTAP-144-SR(3M)
(一般名:リュー
プロレリン酢酸塩/商品名:リュープリン®SR注射用キット11.25)の適切な
投与期間を検討するため、TAP-144-SR(3M)(以下、試験薬)の2年投与群
と3年以上投与群(最長5年投与)の安全性及び有効性(DFS:投与開始後5
年間における評価)を検討する。
試験の方法
多施設共同、無作為割付、非盲検群間比較試験
被験者数
計画時
(計画時・解析時)
登録被験者数:1 群 110 例 合計 220 例
主要評価項目の評価可能被験者数:1 群 100 例 合計 200 例
解析時
最大の解析対象集団(以下、FAS);
2 年投与群
:112 例
3 年以上投与群(最長 5 年投与):110 例
安全性データの解析対象集団;
2 年投与群
:112 例
3 年以上投与群(最長 5 年投与):110 例
対象基準
選択基準
1.
原発巣が病理組織学的に乳癌であることが証明されている。
2.
原発巣の Estrogen Receptor(ER)、Progesterone Receptor(PgR)の
少なくとも一方が陽性である。陽性の診断基準は各医療機関の基準に従
う。なお、HER-2 の陽性/陰性は不問とする。
3.
TNM 分類〔UICC, Sixth Edition, 2002 年分類に準拠(付録 16.1.1(付
録 1)参照)〕で T1~T3、N 不問、M0 である(登録時点の画像診断よ
り、少なくとも肺・肝・骨への遠隔転移がないことが確認されている。
ただし、画像診断は登録時点 12 週間前以内の成績を利用することも可
とする)。また、腋窩リンパ節転移個数(n)は制限しない。
4.
術式は不問とする。ただし、乳房温存術を施行した場合、温存乳房に対
する術後放射線照射を必須とする。
5.
術前治療及び本試験に先行する術後補助療法としての化学療法の有無は
不問とする(化学療法の内容は医療機関ごとに統一することが望まし
い)。
6.
手術後 12 週間以内又は本試験に先行する術後補助療法終了後 12 週間以
内に試験薬及びタモキシフェンクエン酸塩(以下、TAM)の投与開始が
可能である。ただし、本試験に先行する術後補助療法は登録時点には完
了していること。
7.
登録時点の 12 週間前以内に月経が確認されている。又は、登録時点の
12 週間前以内に測定したFSHが 40 mIU/mL未満かつE 2 が 10 pg/mL以
上である。なお、術後補助療法として化学療法を実施した場合、化学療
法終了後 12 週間以内に化学閉経していないこと(FSHが 40 mIU/mL未
満かつE 2 が 10 pg/mL以上)が確認されている。
8.
Performance Status(P.S.)が Grade 0 又は 1 である。
9.
登録時点の 4 週間前以内の検査において、肝機能及び腎機能が以下の基
準を満たす。
・AST(GOT)≦2.5×施設内基準値上限
・ALT(GPT)≦2.5×施設内基準値上限
・クレアチニン<1.5×施設内基準値上限
10. 同意取得時の年齢が20歳以上で、文書による同意が患者本人より得られ
ている。
除外基準
1.
今回の手術時に術前治療としてホルモン療法を実施した患者
2.
本試験に先行する術後補助療法としてホルモン療法を実施した患者
3.
両側卵巣摘出、両側卵巣照射を行った患者
4.
炎症性乳癌、両側性乳癌の患者
5.
重複癌のある患者及び過去に他臓器の癌と診断された患者
6.
妊婦又は妊娠している可能性のある患者、授乳中の患者
7.
試験薬の成分又は合成 LH-RH、
LH-RH 誘導体並びに TAM 又は TAM
類似薬(抗エストロゲン剤)に対して、過敏症の既往歴のある患者
8.
重篤な合併症を有する患者
9.
登録時点の 12 週間前以内に他の治験(製造販売後臨床試験を含む)
に参加していた患者
10. その他、試験責任医師又は試験分担医師が試験の対象として不適当と
判断した患者
被験薬、用量・投与方
試験薬:TAP-144-SR(3M)注射剤
法、ロット番号
用量及び投与方法:
・2 年投与群は TAP-144 として 11.25 mg を 12 週間隔で 8 回皮下投与
・3 年以上投与群(最長 5 年投与)は TAP-144 として 11.25 mg を 12 週間
隔で 12 回以上(最高 20 回)皮下投与
ロット番号:Z3056021、Z3056041、Z3056061、Z3056071
対照薬、用量・投与方
対照薬:該当せず
法、ロット番号
治療期間
240 週間
エンドポイント
主要評価項目
安全性:有害事象
有効性:DFS(投与開始後 5 年間における評価)
副次評価項目
OS(投与開始後5年間における評価)
統計手法
「FAS のうち、試験薬投与開始 2 年後の検査を終了し、その後も試験を
継続した被験者」を対象として、試験薬投与開始 2 年後を起点に、
Kaplan-Meier 法により、各投与群の生存時間分布を推定し、投与開始
5 年後における無病生存率を算出した。
要約・結論
閉経前乳癌患者を対象に、術後補助療法として TAP-144-SR(3M)を投与した
際の 2 年投与群と 3 年以上投与群(最長 5 年投与)の安全性及び有効性を比
較し、TAP-144-SR(3M)の適切な投与期間を検討した。
有効性の主要評価項目である DFS について、試験薬投与開始 2 年後及び無
作為化した時点を起点とした投与開始 5 年後における無病生存率は、いずれ
も 2 年投与群と比べて 3 年以上投与群で高かったものの群間に有意差はみら
れなかった。副次評価項目の OS は両群ともにほぼ 100%の生存率であった。
安全性について、試験薬との因果関係が否定できない有害事象の発現頻度
は、2年投与と比べて3年以上投与で有意に高かったものの、試験期間中に発
現した主な有害事象は、TAP-144-SR(3M)の薬理作用に基づくものと考えら
れ、また投与期間の延長に伴い腰椎骨密度の低下は大きくなるが、発現頻度
及び程度が顕著に高くなる傾向を示す有害事象はみられなかった。3年以上投
与の安全性プロファイルは2年投与のそれとほぼ同様と考えられた。
本概要の作成日
2015 年 2 月 26 日