(2016年2月) (PDF/297KB)

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
3/2
投資情報部
シニアエコノミスト
宮川 憲央
製造業の景況感は循環的な持ち直し
~米製造業ISM指数(2016年2月)
 米供給管理協会(ISM)が発表した2月の製造業景況指数(PMI)は49.5となり、1月の48.2か
ら上昇、市場予想も上回る結果となった。
 PMIは、拡大・縮小の分岐点である50は引き続き下回っているものの、2ヵ月連続の上昇と
なった。全体として製造業の景況感が強い状況とはいえないが、悪化に歯止めが掛かり、循
環的な持ち直しに転じた可能性は出てきているといえよう。
 海外経済の成長ペースの低下やドル高、資源やエネルギー価格下落の影響が残ること等か
ら、今後の製造業の持ち直しの動きは足取りが重いものになるとみられる。一方、個人消費
をはじめとする国内需要が底堅く推移していることをふまえれば、全体として米国経済の緩
やかな成長は維持されると考えている。
PMIは50を下回るも
のの、2ヵ月連続で上
昇
米供給管理協会(ISM)が発表した2月の製造業景況指数(PMI)は49.5となり、1月
の48.2から上昇、市場予想(ブルームバーグの集計では48.5)も上回る結果となっ
た。内訳をみると、生産、雇用、在庫が1月から上昇、新規受注は横ばい、納入遅延
は低下となった。PMIの構成項目以外では、輸出受注が46.5と1月から低下するとと
もに、拡大・縮小の分岐点となる50を下回る状況が続いている。海外経済の低迷や
ドル高傾向が引き続き輸出を抑制しているとみられる。また、在庫関連の指標では、
顧客在庫が1月から低下。在庫調整が進んだ可能性を示唆している。
業種別では18業種中、家具・関連製品、飲食料品、化学、一次金属等の9業種で
拡大、石油・石炭製品、コンピュータ・電子製品、輸送機械等の7業種では縮小と
なった。また、企業からのコメントはまちまちの内容であり、国内需要の強さを指摘す
る声がみられる一方で、海外需要の弱さやエネルギー価格の下落にともなうマイナ
スの影響を指摘する声もみられている。
他の国・地域の2月製造業PMIの動きをみると、ユーロ圏は51.2と1月から1.1ポイン
ト、中国(国家統計局発表ベース)は49.0と1月から0.4ポイントの低下となった。中国
については、財新が発表する製造業PMIも48.0と1月から0.4ポイントの低下となると
ともに、ともに拡大・縮小の分岐点となる50を下回っているため、低迷が続いている
とみられる。中国経済全体としては消費への需要シフトや財政・金融面での政策対
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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グローバル・マクロ・トピックス
応が支えとなるものの、過剰な供給能力や債務の解消圧力等から生産や投資は減
速傾向が続いており、こうした動きが貿易を通じた新興国の減速や商品市況の下落
につながっているとみられる。このため、当面は世界的に製造業の活動は回復感に
乏しい状況が続く可能性があると考えている。
2月のPMIは、拡大・縮小の分岐点である50は引き続き下回っているものの、2ヵ月
連続の上昇となった。全体として製造業の景況感が強い状況とはいえないが、悪化
に歯止めが掛かり、循環的な持ち直しに転じた可能性は出てきているといえよう。一
方、中国をはじめとする海外経済の低迷やドル高、エネルギー等の価格下落にとも
なう関連需要の縮小等が重しとなり、製造業の持ち直しの動きは足取りの重いもの
になるとみられる。ただ、米国経済全体としては、雇用・所得の増加が続くもとで、個
人消費をはじめとする国内需要は底堅く推移していくとみられる。このため、米国経
済は、製造業よりも非製造業、海外需要よりも国内需要が底堅く推移するもとで、全
体として緩やかな成長が維持されると引き続き考えている。
米ISM製造業景況指数の推移
(単位:ポイント)
15/12
PMI
新規受注
生産
雇用
納入遅延
在庫
顧客在庫
価格
受注残
輸出受注
輸入
16/01
48.0
48.8
49.9
48.0
49.8
43.5
51.5
33.5
41.0
51.0
45.5
16/02
48.2
51.5
50.2
45.9
50.0
43.5
51.5
33.5
43.0
47.0
51.0
49.5
51.5
52.8
48.5
49.7
45.0
47.0
38.5
48.5
46.5
49.0
(注)PMIの構成項目は新規受注、生産、雇用、納入遅延、在庫。在庫以外は季節調整値
出所:米供給管理協会(ISM)のデータよりみずほ証券作成
米ISM製造業PMI
( 月次:1990/1~2016/2)
(ポイント)
65
60
55
50
45
40
経済全体の拡大・縮小ライン:43.2
35
30
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
(注)シャドー部分は景気後退期間
出所:全米供給管理協会(ISM)のデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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グローバル・マクロ・トピックス
主な国・地域における製造業PMI
( 月次:2014/1~2016/2)
(ポイント)
60
58
56
54
52
50
48
46
米国(ISM指数)
ユーロ圏
中国
44
14
15
16
(年)
(注) 製造業PMIはユーロ圏はマークイット社、中国は国家統計局の調査による
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
米ISM製造業PMIと実質GDP
( 月次:1990/1~2016/2)
(ポイント)
65
(%)
8
60
6
55
4
50
2
45
0
40
▲2
ISM製造業PMI(左目盛)
35
▲4
実質GDP・前年比(右目盛)
30
▲6
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(年)
(注)実質GDPは四半期の中間月(10-12月期なら11月)の時点でプロット、直近は2015年10-12月期
出所:米ISM、商務省のデータよりみずほ証券作成
米ISM製造業PMIと株価の推移
(月次:2000/1~2016/2)
(ポイント)
65
(%)
60
60
40
55
20
50
0
45
▲ 20
40
▲ 40
ISM製造業PMI(左目盛)
35
S&P500・前年同月比(右目盛)
30
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
▲ 60
▲ 80
(年)
出所:米ISM、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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金融商品取引法に係る重要事項
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