一橋大学 (前期) 1/3 Ⅰ

地歴公民(倫理,政経)
一橋大学
(前期)
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1フェアプレイとは、各人が公平な観察者の共感を得ら
れない行為を控え、他人の生命・身体・財産などを傷つ
けない正義に適った行為をすることである。アダム・ス
ミスは、各人がフェアプレイに徹することを重視すると
5 ともに、このフェアプレイの精神を他人と結合して自然
に社会秩序を形成しようとする人間本性に根ざすものと
して捉えた。そして、こうした自然の進路を妨げる国家
の規制を批判し、諸個人の利己心に基づく私益の追求が
「見えざる手」に導かれて結果的に公益を増進すると主
10 張した。スミスの理論の独自性は、マンデヴィルやルソ
ーの場合とは異なり、人間の自然な諸情念を社会性・公
共性の基礎となる人間本性として捉えた点にある。
2「公平な観察者」とは、各人の心の中にあって、自己
の言動が他人の共感を得られるものかどうかを客観的に
15 判定する役割を担う公平な第三者のことである。スミス
は、この用語の意味を『道徳感情論』で論じた。
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1選挙を公正に行うためには、一定の年齢に達したすべ
ての国民に選挙権・被選挙権を与える普通選挙、選挙人
の投票の価値を等しく扱う平等選挙などの原則が必要で
ある。課題としては、普通選挙については、選挙権年齢
5 が 18 歳以上へと引き下げられたことに伴い、高校生の段
階から政治的判断能力をどのように育成するかなどが、
また平等選挙については、いわゆる「一票の価値」の格
差をできるだけ小さくすることなどが挙げられる。
2全国を 11 のブロックに分け、各政党の得票率に応じて
10 議席が配分される比例代表選挙と、全国を 295 の選挙区
に分け、各選挙区で最高得票を得た候補者のみが当選す
る小選挙区選挙が組み合わされている。比例代表制は、
有権者の政党支持の分布状況を比較的正確に反映する反
面、小党分立の傾向があるため政権の安定性を損なうこ
15 とがある。小選挙区制は、大政党に有利なため政権の安
定に寄与するが、落選者に投じられた死票が多くなる。
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Ⅲ
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1名目賃金から物価変動の影響を除去して、その貨幣額
で購入できる財やサービスの量を示したものである。
2名目賃金が上昇すると、以前の賃金水準に満足せず失
業状態にあった労働者が、名目賃金の上昇をそのまま労
5 働の価値の上昇であると錯覚して、その賃金水準で働こ
うとする労働者が増加するため、失業率が低下する。
3貨幣錯覚から醒め、賃金の実質的価値がそれほど上昇
していないことに気が付いた労働者は、現在の賃金水準
は低いと考え、その水準での労働供給を控え賃金水準の
10 引上げを望むようになる。こうした労働者の増加により
賃金水準が上昇すると、それに伴って企業の労働需要は
減少し、失業率は上昇に転じる。一方、物価水準は、高
い水準が続く。したがって、物価水準を引き上げて雇用
状況を改善しようとする政府の施策は、失業率の改善を
15 実現できないまま物価水準の高い状況だけを残すことに
なり、結果として労働者の生活水準の低下をもたらす。
<2の別解>
2貨幣錯覚が生じ、名目賃金の上昇をそのまま実質賃金
の上昇と勘違いすると、労働者は労働供給を拡大しよう
とする。一方、企業は実質的に安い賃金で雇用できるた
め雇用量を増大させる。その結果、失業率が低下する。
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