ベル企業レポート 7618 ピーシーデポ

(株)日本ベル投資研究所
belletk
ベル企業レポート
IRアナリストレポート
Independent Research Analyst Report
7618 ピーシーデポコーポレーション
~プレミアム会員サービスのスマートライフ店へ業態転換、都心の攻勢へ~
2016 年 2 月 29 日
東証 1 部
ポイント
・売上全体がさほど伸びなくても、ソリューションサービス収入のストック効果で業績は
好調を持続、利益は増額修正され、ピーク利益の更新が続こう。2017 年 3 月期も経常利益
で 45.5 億円(前年度比+14%)が見込めよう。売上経常利益率で 8%台が達成でき、ROE も
13%を超えよう。ファイナンスによる希薄化(ダイリューション)も十分吸収できる。
・昨年 11 月のエクイティ・ファイナンスで 40 億円を調達した。これを活用して、プレミ
アム会員サービスのスマートライフ(SLP)店への業態転換を加速する。商品からサービス
へ、さらにハードとソフトが一体となったソリューションサービスの売上高が増えてい
る。サービスメニューは充実する方向にあり、価格の引き上げ効果も見込める。このサー
ビスの売上高が全体の 5 割を超えてこよう。
・当社は、PC(パソコン)販売の専門店という形態を進化させ、商品とサービスを組み合わ
せたインターネットデバイスのサービスストアにビジネスモデルを転換した。プレミアム
サービスを軸に、PC やスマートフォン、新しい IoT 商品やサービスを購入したユーザーに
一定の月額使用料を支払ってもらう仕組みが最大の収益源に育っている。SLP 店は既存店
の改装と新規出店で、2014 年 3 月期の 4 店、2015 年 3 月期 15 店に対して、2016 年 3 月期
25 店、2017 年 3 月期 40 店と順調に拡大してこよう。
・改装に加えて、SLP の新規出店では、2015 年 3 月に世田谷の砧(きぬた)に大型店を出し
た。同 12 月に都心への初の新規出店として青山店をオープン、この 3 月には麻布十番店
を予定する。今後も、首都圏を新たなターゲット地域とすることも含めて、年 5 店の出店
を目指す。SLP 店がうまくいくことは実証済みなので、新たな展開が期待できよう。
・PC をプラットフォームとしながら、多様な商品で他社が真似できない差別化されたサー
ビス需要を掘り起こしている。IoT 時代を迎えて、当社のソリューションサービスは一段
と広がりを見せよう。売上高経常利益率 10%、ROE15%が目標としての KPI(重要経営指標)
であるが、経常利益で 60 億円はほぼ射程に入った。次は会員の飛躍的拡大が鍵である。
経常利益 100 億円に向けて、新しい挑戦が始まろう。昨年 11 月に東証 1 部に指定替えと
なり、株式市場での評価は今後一段と高まってこよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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目 次
1.特色
インターネットデバイスのサービス専門店へ進化
2.強み
サービス収入へ収益構造が転換
3.中期経営方針
4.当面の業績
ソリューションサービスを提供する SLP 店を本格展開
サービス収入の効果が顕在化し、ピーク利益の更新が続こう
5.企業評価
都心の攻勢次第で大きく飛躍
企業レーティング A
株価(16 年 2 月 29 日)
PBR 2.02 倍
984 円
ROE 12.7%
時価総額 432 億円(43.852 百万株)
PER 14.8 倍
配当利回り 1.0%
(百万円、円)
決算期
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
EPS
配当
2007.3
42345
839
1112
511
15.3
3.3
2008.3
42439
1229
1340
816
24.5
4.0
2009.3
42899
1259
1429
684
20.7
4.7
2010.3
44740
1226
1306
677
20.7
4.7
2011.3
46912
1368
1509
737
22.8
4.7
2012.3
49693
553
717
280
8.7
4.7
2013.3
51353
876
933
445
13.6
4.7
2014.3
53816
2310
2411
1554
46.1
5.7
2015.3
51285
3089
3205
1941
51.1
8.3
2016.3(予)
51850
3960
4000
2650
66.3
10.0
2017.3(予)
53000
4500
4550
2900
67.6
12.0
(15.12 ベース)
総資産 36414 百万円
純資産 20906 百万円
自己資本比率 57.3%
BPS 486.2 円
(注)ROE、PER、配当利回りは直近予想ベース。2013 年 10 月 1 日に 1:100 の株式分割、
2015 年 1 月 1 日に 1:1.5 の株式分割を実施。それ以前の EPS、配当については修正
ベース。
担当アナリスト
鈴木行生
(日本ベル投資研究所 主席アナリスト)
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力・持続力、③業績下方修正の
可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要す
る、D:極めて厳しい局面にある、という 4 段階で示す。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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1.特色
インターネットデバイスのサービス専門店へ進化
デジタルデバイドの解消を社会的使命とし、新しい業態へ転換
ピーシーデポ(PC デポ)は、デジタルネットワーク機器で困っている人のサポートを優
先する。そこで、地道にサービスを磨いていく。それがサービス市場を開拓して、独自の
ビジネスモデル作りに繋がっている。野島社長は、チャレンジはするが、冒険はしない、
と語る。常に慎重で、必ず実験をして確認してから事業の領域を拡げていく。
当社は、長く付き合える IT ソリューションストア(SLP 店:スマート・ライフ・パートナ
ー店)を構築している。PC の量販店がそばにあるというだけでなく、IT 機器やネットワー
クを使っていくうえで、
‘困ったこと’を解決してくれる。
デジタルネットワークの特性として、新しい機器(デバイス)やサービスが次々に入って
くる。それらがきちんと使えるように IT 環境を整えていくには、サポートが必要になる。
PC、スマホ(スマートフォン)、タブレット(多機能携帯端末)など、その機能を使いこなす
ためのサービスを提供し、丁寧に教えてくれて、必要なことは総てセットしてくれる。
これは確かに便利である。長く使ってもらうと、商品を買ってもらった時の利益だけで
はなく、使っていく上での利便性に対して、フィー(料金)を払ってくれるようになる。そ
れには利便性が納得できるものでなければならない。
通常の小売業は商品をビジネスの起点とするが、当社は小売サービス企業なので、サー
ビスを起点とする。インターネットのインフラに関するデバイスをベースにしたサービス
を提供し、そこで顧客と繋がっていく。
当社の利益は 3 つの視点からみることができる。1つの商品を販売した時の利益、2 つ目
は、商品の修理メンテナンスをした時の技術料、3 つ目は、会員として継続的なサポートを
提供するフィー(月額料金)である。特に、会員としてのサポートフィーが事業の主力と
なる企業は小売業の中で珍しい。
当社の CSR(企業の社会的責任)は、デジタルデバイド(情報格差)を低減することにあ
る。デジタルネットワークをうまく使える人とそうでない人には何らかの情報格差が生ま
れ、上手く使えない人が不利になることは、社会全体としてよくない。そういう人々をサ
ポートして、IT サービスを適切に使えるようにして、生活の利便性や快適性の向上に貢献
する、という意味である。このサービスを、PC デポの店舗をベースに提供していく。
PC(パソコン)とともに創業
野島社長(56 歳)は、かつて家電量販店のノジマ(コード 7419、ジャスダック上場)で働
いていた。ノジマ創業者の長男がノジマの現社長で、野島社長は次男である。家電量販店
ノジマで店舗や商品を担当していたが、パソコン(PC)が出始めた頃に自分で事業をしたい
と考え、独立した。現在でも野島社長はノジマの株主の一人であるが、ピーシーデポとノ
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ジマの両社に、会社としての取引関係は全くない。
野島社長は 34 歳の時に創業し、現在事業年度で 22 年目である。会社設立当初、人々に
とって PC はほしいが、まだ手が届かなかった。特別な人が秋葉原に買いに行くという時期
であった。それに対して、小売業が新商品を普通に扱うという感覚で、PC の小売に参入し
た。順調に業績を伸ばして、1999 年には創業 5 年でジャスダックに上場した。そして、こ
の 11 月に東証 1 部に指定替えとなった。
2000 年からはインターネット時代が始まり、新しい時代に入った。上場した時は、店舗
が 10 店余りで、売上高 150 億円、経常利益 8 億円、無借金という規模であった。
現在は家電量販店で PC 関連製品は普通に販売されている。PC 専門の量販店もいろいろあ
る。家電量販店・PC 量販店という広義のセクターでみれば、規模では下位にあるが、競争
の土俵が違う。ヤマダ電機、エディオン、ケーズデンキなどと直接戦っているわけではな
い。差別化を図っているところに着目したい。
店舗の状況
(店舗数:店)
2015年12月末
直営
32
ホームユーザー向けパソコン・関連商品、技術サービスサポート
SLP店
20
神奈川、東京、千葉、埼玉、静岡、群馬、栃木、茨城
子会社
13
ピーシーデポストアーズ
九州、中部、四国、信越、東北
FC
3
近畿、中国
グループ計
68
PCデポ
直営
52
家電量販店インショップ店
パソコンクリニック
FC
6
グループ計
58
総 計
126
(注)SLPは新業態のピーシーデポスマートライフ店、FC(フランチャイズ店)からはロイヤリティを得る
PCデポ直営32店のうちスマートバイソリューション(S×S)店は26店
PCデポ
(PC DEPOT)
FC展開から直営に~ケーズデンキと連携
当社はパソコンの専門小売店 PC デポ(PC DEPOT)を展開する中で、ケーズホールディング
ス(コード 8282)のケーズデンキを当初 FC(フランチャイジー)にした。PC デポの FC にケ
ーズデンキが 2 番目に参加したのである。家電量販店が PC を取り扱い始めるという点で双
方にメリットがあった。
当社がケーズデンキと組んでいる理由は、両社の経営の考え方が似ており、先方の加藤
会長(兼 CEO)に共感出来るからである、と野島社長はいう。チェーンストア・オペレーショ
ンを基本にして、サービス以外はセルフで売る、ポイント制は採用せず、現金値引きで売
るなど、分かり易い経営を心掛けている。
当初は、ミスターマックスやカメラのキタムラも FC になった。しかし、家電量販店は大
手が優位となり、ディスカウントストアでの PC の取り扱いは難しくなった。ミスターマッ
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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クスの FC 店は、
2010 年までに当社の子会社(現ピーシーデポストアーズ)として買い取った。
PC デポの FC とは別に、家電量販店にインショップとして、技術サービスを取り扱う店舗
を FC として出した。それがパソコンクリニック(PC DEPOT パソコンクリニック)である。
ケーズデンキにパソコンクリニックを出してうまくいったので、これを広げていった。
現在、PC デポは直営が 52 店(うち SLP20 店)
、関東圏以外に出店している子会社ピーシ
ーデポストアーズが 13 店、FC が 3 店の 68 店である。また、パソコンクリニックは直営が
52 店、FC で 6 店ある。合計で 126 店を有する。
パソコンクリニックは 6 年前まで FC 中心であったが、これを直営に転換した。サービス
機能を強化するには直営の方が効果的であると合意でき、ケーズデンキから FC を買い取っ
た。その後はケーズデンキの中に当社の直営店として、パソコンクリニックを出している。
ウェブ事業を継続
子会社のイージェーワークス(ejworks)は、インターネットのサービスプロバイダー、ウ
ェブ制作等の IT ソリューション事業を展開している。インターネットサービスは、2000 年
頃からスタートしたが、今や普及は一巡し、インターネットプロバイダーの淘汰も始まっ
ている。当社は中小のプロバイダーを買収して、顧客向けサービスを継続している。顧客
にとっては、メールアドレスを変更しなくてよいので、継続性が保てる。
最近はここを当社のサービス、コンテンツ開発のサポート部隊として活用しており、そ
のウエイトが高まりつつある。新しい開発サポート拠点という位置付けである。
アルバイトを効果的、機動的に活用し、正社員にも登用
当社の社員数は 2015 年 12 月末で 793 人、この他に 8 時間換算で 1445 人のアルバイトを
活用している。仕事のカテゴリーは、オペレーション(会計、商品引き渡し)、セールス(接
客)
、クリニック(ディフェンス、オフェンス)など 7 つほどあり、1 つのカテゴリーの仕
事を、1 週間ほどで基本動作ができるようにする。店内ではトランシーバーで絶えず情報を
共有し、助け合うので、顧客への対応は十分できるようにしている。長年働いているアル
バイトも多く、そこから正社員への登用も年間 50~60 名ほど行っている。
コーポレートガバナンスへの対応
コーポレートガバナンスについては、現在の監査役設置会社のままで対応していく。社
外取締役として既に 3 名(うち独立社外取締役 2 名)が入っており、特に問題はない。
業務を執行する取締役については、40 代の役員が大半であり、人材は育っている。野島
社長は、ノジマから独立して現在の会社を創業したが、今後の経営については、会社はパ
ブリックであり、変化の激しい IT 業界の中で PC デポはこれからも進化を続けていく必要
があるので、それにふさわしいマネジメントを実践して行くと考えている。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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2.強み
サービス収入へ収益構造が転換
PC関連の技術サービスに特化し、この分野で業界トップ
当社は関東に強い。この地域の人口カバー率は 90%である。少し遠くても、PC デポのサ
ービスを受けたいと思えばアクセスできる。PC を購入し、ルーターをセットしてもらうと、
家に帰って電源を入れるだけですぐに使える。初期設定を自分でやる必要はない。スマホ
も Wi-Fi(高速無線 LAN)に繋がる。何かあったらコールセンターに電話をすると、即対応し
てくれる。これを、月額料金を払うことですべてできる。実に安心で便利である。
当社は PC の修理、メンテナンスサービスでは業界トップである。しかも、毎年のサービ
ス収入が年 20%以上伸びており、高い成長を見せている。PC の販売台数では、業界 7~8 位
であるが、サービスで特色を出している。
当社は、過去 10 年の家電量販店との戦いにおいて、独自の存在感を出していた。PC 専門
店であるという点で局地戦には強かったが、全体のボリューム(販売数量)では大手に対応
出来なかった。こうした流れの中で、無理な出店による規模拡大は図らなかった。PC とい
うハード(物販)の量的拡大ではなく、サービスの向上に努めて、顧客にとっての IT ソリュ
ーション企業になると決めたのである。2005 年からこの方向に明確に舵を切った。ここが
創業期に次ぐ、第 2 のターニングポイントとなった。
鍵は、サービスの組み合わせによるソリューション提供である。当社は MVNO(仮想移動体
サービス事業者)として、ソフトバンク(旧ワイモバイル)に代わって通信サービスを提供す
る。また、FVNO(仮想固定通信業者)として、光通信サービスも提供する。さらに、当社の
プレミアムサービスに加入すると、メンテナンス、コールセンターサービス、ウイルスサ
ポート、PC 買い替え時のフルインストール作業など、何でも対応してくれる。
このメニューを自社開発して実行していることが強みである。他の PC ショップで当社の
ようなスピードで技術サービス、とりわけデータリカバリーができるところはない。他社
は真似ができないのである。
サービスに強い専門店として成長すると方針を決め、インターネット時代にその方向を
強めてきた。オッジオ(OZZIO)は、当社のプライベートブランド(PB)商品のブランド名
である。PB にも力は入れてきた。物販の中でも、アクセサリーやサプライ品の収益性は高
いが、方向はサービスであった。
プレミアムサービスを収益源とするユニークなビジネスモデル
サービスの内容でみれば、①プレミアム会員の継続、②修理・メンテナンス、③MVNO・
FVNO、④コンテンツやこれらの商品を横断的にハードで結びつけたソリューションサービ
スなど多様である。この順で金額的ウエイトは高い。その意味では、プレミアム会員サー
ビスを軸に、コンテンツサービスがどこまで伸びていくかが注目される。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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売上高構成比の推移
2009.3
2010.3 2011.3 2012.3 2013.3
売上高 構成比 構成比 構成比 構成比 構成比
商品売上高
35572
82.4
78.2
75.8
72.3
69.0
パソコン・周辺機器
24375
58.5
56.9
52.0
46.5
46.4
アクセサリー・サプライ・ソフト 6554
14.6
15.0
13.9
12.6
12.1
中古その他
4643
9.3
6.3
9.9
13.2
10.5
(%、百万円)
2015.3
2014.3
構成比 構成比 売上高
66.9
58.7
30116
42.7
33.7
17276
10.8
8.4
4339
13.5
16.6
8501
サービス収入
技術サービス・手数料
ロイヤリティ他収入(FC)
インターネット関連事業
11340
8726
522
2090
17.6
10.3
1.3
6.0
21.8
14.4
1.3
6.1
24.2
18.6
1.1
4.5
27.8
23.3
0.8
3.7
31.0
27.3
0.3
3.4
33.1
30.2
0.3
2.6
41.3
38.4
0.3
2.6
21168
19720
138
1310
合 計
46912
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
51285
当社のビジネスモデルは海外にもあまり例がないユニークなものである。物販、サービ
ス、MVNO を組み合わせている。会員はプレミアムサービスを 3 年契約で結ぶことになる。
但し、サポートコストは先に発生するので、経費先行、後で顧客から回収する。
PC やタブレットなどを買って家に帰った時、すぐに使いたい。野島社長自身もそうであ
った。購入時に、リカバリーディスク、ウイルス対策、初期設定、パスワードなど、さま
ざまなセットアップに 3 時間もかかり、途中でつまってしまうと、誰かに聞かないとわか
らない。これをネットワークで解決しようとしたのが、プレミアムサービスである。
古い PC とメンバーカードを持って、PC デポで PC を買い替える。すると、その場でサー
ビスの担当者が全てをインストールしてくれる。
本人はその新しい PC を家に持って帰ると、
従来と同じように無線のルーター(当社製)を通じて、何もせずにすぐに新しい PC が使える
ので、確かに便利である。
このルーターのシステム特許は 2012 年 3 月に成立した。他のサービスも入れて、代表的
なコースで月 4500 円(デバイス 7 台)、5000 円(同 10 台)でこのサービスが受けられる。ク
ラウド化にも対応している。このサービスは逐次充実している。
サービスの売上げをビジネスにするという方式(ビジネスモデル)は、2005 年 11 月から本
格化させ、以来順調に拡大してきた。従来からメモリーを増設するなど、さまざまな技術
サービスを有料でやっていた。今では、月額で一定の料金を支払うとワイヤレスのルータ
ーを貸し出し(コースにより 3~10 台までなら追加料金なし)
、PC を買うと何もせずにその
ルーターを通して高速無線インターネットが使える状態になる。
MVNO(仮想移動体通信業者)は、ケータイの通信ネットワークを独自にもたず、大手の
キャリアから借りて自社ブランドのサービスを提供する。当社では、通信キャリアからイ
ンセンティブをもらうのではなく、自らが通信業者となって、顧客にサービスする。そう
すると、顧客が求めるサービスをワンパッケージでまとめて対応できるので、プレミアム
サービスとして都合がよい。このタイプのサービス(EM プレミアムサービス新さんねんエリ
ートパーソナルプラン)は月々6800 円(税込 7344 円)である。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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パソコンクリニックは 1 回限りの技術サービスになり易い。継続的なサービスを提供す
る顧客として囲い込むには、プレミアムのユーザーになってもらう方がよい。そうするに
は直営の方がやり易い。そこで、パソコンクリニックの直営に舵を切ったのである。
真似ができない仕組み
当社は、会員をベースにソリューションを提供するパーソナルデバイスのリテールサー
ビス企業である。このようなソリューションサービス型のビジネスモデルを実践している
企業は他になく、オンリーワンのビジネスを作り上げつつある。
もしやろうとしても、①技術サービス要員の育成、②サービス収入化のための初期収益
低下の許容、③サービスメニューの豊富さを今から提供しようというのは、かなりの困難
を伴う。よって当社の優位性は際立っているといえよう。
サービス収入は、PC の新規販売台数に付随して伸びるウエイトが高い。加えて、スマホ
やタブレットの販売台数増に伴うサービス収入も急速に増えている。
一人で 1 台ではなく、
一人で複数台、ファミリーで複数台となると、その台数に見合って、しっかりしたサービ
スを受けたいというニーズも高まってくるので、当社にとっては固定客化しやすい。
カテゴリーごとに専門職を置いて、チームプレーでサービスを提供している。この仕組
みを 10 年以上かけて作っており、1 つの文化としてビジネスモデル化している。
新型店舗ピーシーデポスマートライフ店(SLP店)への転換に成功~3 つのタイプ
現在、PC デポタイプの直営店は 52 店あるが、そのうち 20 店が SLP 店となった。店舗の
ロゴはシンプルになり、カラーも従来の青からオレンジに変わっている。
SLP 店には、現在 3 つのバージョン(形態)がある。Ver1は 100 坪、200 坪、300 坪の 3 タ
イプを擁する形態で、1)100 坪タイプは、1号店の「西馬込」、目黒通り沿いの「碑文谷店」
、
東名川崎インター近くの「東名川崎店」
、2)200 坪タイプは、横浜のみなとみらいにある「み
なとみらい店」
、本社近くの横浜市都筑区にある「港北本店」
、3)300 坪タイプは、新規開
店をした「世田谷砧店」
、
「湘南台店」である。
Ver 2 は、500 坪前後の大型店向けフォーマットで、東京都稲城市「稲城若葉台店」にお
いて現在テスト運営中、コモンスペースと呼ばれる体験型コーナーを設置している。Ver 0
は、100 坪未満の小型店で、昨年 12 月に開店をした都心地区の「青山店」
、3 月開店予定の
「麻布十番店」がこれに当たる。この Ver 0 が、今後当社が都心に出店していく時の店舗
形態となる。
SLP店はおしゃれで便利
スマートライフ西馬込店は、従来の店に比べると、商品の展示は減っている。タブレッ
トが増え、サービス対応のスペースも大幅に増えている。ものを売るのではなく、顧客が
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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必要とするサービスをまとめて提供しようという店作りである。
PC のマニアにすれば、専門的な付属品の品揃えが十分ではない面はあるが、店に来て問
い合わせればすぐに必要なものを取り寄せることができるので問題はない。修理などの相
談に応じるパソコンクリニックも、
「Dr. Smart(ドクター・スマート)」と称してユニフォ
ームも一新している。
生活者が望むのは、必要な IT サービスを不自由なくすぐに利用できることである。コン
テンツサービスをタブレットなどに組み込んで、そのまま使える状態までセットしてくれ
れば、これは楽である。自分でマニュアルを見てセットする、一所懸命いくつものコール
センターに電話してやり方を教えてもらう、という手間がいらないからである。
また、今使っている PC、スマホ、タブレットごとの回線や使用料についても相談にのっ
てくれるので、まとめて安くなる方法や、もっと便利な組み合わせに移ることもできる。
スマートパックという利用方法も広がっている。ハードを購入して、必要なソフトや回
線料を別々に月額で払うという方式ではなくて、ハードもソフトもネット回線も全て込み
こみで、月額利用料金にまとめてしまうやり方である。一種の残価設定型のローンである
が、ケータイで 2 年契約という方式に慣れている顧客には違和感はない。
店舗のイノベーションにも本格的に取り組んだ。PC デポ(PC DEPOT)のロゴマークには、
“Low Price” という文字と “The Computer Superstore”という文字が入っている。イ
メージは PC のスーパーである。これが実態と合わなくなっている面もあるので、新しい店
ではこれらの 2 つを外した。
スマートライフ店は単にものを売る店ではない。顧客が望むソリューションをパッケー
ジで提供する。そのサービスを長く使ってもらう会員になって頂く。商品を並べて好きな
ものを選ぶ、というスタンスではない。本人が実行したいインターネットコミュニケーシ
ョンを、ワンストップで提示する、と野島社長は強調する。よってお店のイメージも従来
とは異なり、接客カウンターが重要なスペースを占める。
スマートライフ店では商品在庫が減る。顧客を選ぶ苦しみから解放して、必要なサービ
ス機能を提供する。結果として在庫は減る。但し、バランスシートでは、ハードとソフト、
コンテンツをセットにして商品化し、月額課金で回収するので、一定の売掛金がかさんで
いくことにはなる。
顧客の‘困った’を解決し、サービス会員を獲得
SLP 店のような店作りは欧州にもあるが、当社のようなサービスを軸として、顧客を囲い
込んでいるビジネスモデルは、欧米にもアジアにもない。
発想は 10 年以上前に遡る。当初は“PC に弱い人”を優先するというところからスタート
した。かつては PC を使う人は特別の人、何らかの素養にある人というイメージであった。
ところが、野島社長は PC に弱い人こそ、顧客になってもらおうとした。PC の使いこなせな
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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い人、PC が動かなくなってリカバーしたい人を助けようとした。
そこで、次は“困った人を優先する”ことにした。技術サポートを追求し、それを差別
化の武器にしていった。困った度にお金を支払うより月額料金で継続的にサービスを受け
る方が、利便性が高いと考え、2006 年から月額料金制をスタートさせた。それが現在に至
り、今まで困ったら何でもまとめてサービスする仕組みまで洗練させてきた。女性が使う、
ファミリーで使うということで、プレミアムサービスの利便性が高まってきたのである。
プレミアム会員を増やすことに力を入れている。PC を買ったら入ってもらう、修理に来
たら入ってもらう、買い替えの時に入ってもらうなど、地域ごときめ細かくデータをとっ
てフォローしている。
プレミアム会員は相当のピッチで増えている。但し、すぐに儲かるわけではない。ルー
ターには初期投資がいるので、プレミアムの月額会費で回収すれば 1 年ほどかかる。イニ
シャル費用をカバーして利益が出るのは 2 年目からである。
サービスの売上げが順調に伸びている。何がサービスの売上げかという点で外部からは
分りにくいところがあるが、考え方ははっきりしている。商品の販売にかかるメーカーか
らの販売奨励金のようなものは、商品売上げに含める。プレミアムサービスや修理、メン
テナンス、単発のサービスプランの収入はサービスの売上げに入る。多様なサービスがあ
るので、サービス加入者数とその平均単価に分解して、状況を把握するのは難しい。人数
と平均値があまり意味をもたないからである。
会員数について会社側では公表していないが、さまざまなサービスがあるとしても、そ
の数やサポート台数の増加から、年 20%程度のピッチで増えているとみてよいだろう。
3.中期経営方針
ソリューションサービスを提供する SLP 店を本格展開
PCの売れ行きが鈍っても、来店客数は順調
PC デポで PC(パソコン)の売れ行きは鈍っているが、店舗への来店客は増えており、プ
レミアムサービスの加入は順調である。
店長の頭を悩ましているのは、顧客への対応をどのように進めるかというサービス提供
の仕方である。客の「困った」を解決して、ソリューションサービスによって長い目で稼
ぐのが、当社のビジネスモデルである。丁寧に親切に対応するので、一人ひとりへの接客
時間は長くなる。それで顧客満足度が上がれば、いい関係が築ける。短時間の客さばきが
勝負ではない。
格安スマホを発表した。サービス付で月額 1990 円、2990 円、3990 円という 3 種類があ
る。どう販売するのか。Windows10 がうまくインストールできない客が、PC を次々と持ち
込んでくる。他店で購入した客も PC デポに来る。Windows10 の無料ダウンロードは 7 月末
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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までと期限がある。どう対応するか。
とにかく PC デポのソリューションサービスを必要とする人々はかなりいる。
都心店とし、
昨年 12 月に青山店を出したが、この 3 月には麻布十番店を出店する。都心に住んでいる新
規の人達を顧客にしていく。青山店では地域に住んでいる人を顧客とし、予想以上に女性
が多い。客足は徐々に増えているが、シニアよりももう少し若い世代が来店している。
PCデポの店舗展開
年度末店舗数
1994
PCデポ 直営
1
SLP店
子会社
0
FC
0
1999
10
2004
28
2009
43
2010
44
2011
48
0
8
0
32
4
17
4
17
12
5
2012 2013
50
46
4
11
11
5
5
(店舗数 : 店)
2014 2015 (予) 2016 (予)
36
28
18
15
25
40
13
13
13
3
3
3
PCデポ 直営
パソコン 子会社
クリニック FC
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
24
30
0
6
46
1
7
49
1
7
49
1
7
52
0
6
52
0
6
52
0
6
合計
1
18
60
88
101
119
123
123
125
127
132
(注)SLP店は改装と新規を含む。直営はSLP店への改装転換で減少。改装については、2015年度7店、2016年度10店を予想。
既存店の改装で、SLP店を多店舗展開
SLP 店の出店については、既存店のリニューアルは 10 店ペースで続ける方針である。SLP
店の新規出店については、5 店を目指す。従来の店舗よりも都心に入って行く。
既存店の PC デポを SLP 店に転換すると、店の認知度は既にあり固定客もいる。そこに新
しいサービス中心の顧客をどこまで集められるかがカギである。SLP 店は、多少立地の悪い
ところでも出店できる。西馬込、東府中とも店舗は 2F にある。自ら駐車場を持たなくても、
コインパーキングがあれば十分対応できる。この店舗が上手くいくと分かったので、SLP 店
の出店を加速させている。
SLP 店は改装を中心に進める。サービスが伸びて、そのウエイトも高まっていくので、利
益率は上がって行く。改装費用は新規出店より安くすむ。しかも、効果は歴然と表れる。
改装前と改装後では、収益性の伸びが既存店に比べて 2 割程度高い。400~500 坪を 1 店新
規出店する費用で、300 坪の店の 4 店は改装できる。しかも、投資回収の確度も高く、リタ
ーンも高いので、こちらを優先している。
SLP 店へ改装する店は、従来の PC デポの店のうち、①古い店、②競争力の劣化した店、
③都心に近い店が対象となる。物販よりはサービス重視の店であるとしても、予想以上に
専門的な周辺機器も売れるとわかってきた。よって、SLP 店の在庫水準が従来の PC デポ店
より著しく少なくて済むというわけではなく、一定量は在庫しておく方針である。
SLP 店の出店余地はかなりある。サービス中心の新しいタイプの店として、出店可能なと
ころは 200 カ所ほど想定できる。まずは、関東圏を軸に、地域密着で店舗のブランド力を
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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上げるように展開していく。SLP 店を更地に出すのであれば、都内であれば、100~200 坪、
首都圏であれば 200~300 坪の効率がよいと会社側ではみている。
SLP店の新規出店~世田谷砧
世田谷砧店は SLP 新規出店の 1 号である。顧客は徐々に拡大しているが、予定よりはや
や遅い。他社で購入したハードの修理持ち込みが多い。ここを軸にして、顧客ベースを広
げている。
3 月に本格オープンした世田谷砧店は 300 坪と広いので、4 億円ほどかかったが、
これは例外で、通常は 100 坪~150 坪の店で 2 億円程度の投資、居抜き店舗は 40 百万円程
度の投資である。
SLP 店として初の新店でリニューアルではないので、既存客がいない。従来の PC デポの
ように、商品の販売で客を引き付けるというやり方は全くとっていない。まず行ってみよ
うという気にさせて、困ったことがあったら気軽に相談するという対応で人気を高めてい
く。少し時間はかかろうが、スマホ、PC、タブレットで困った時には頼りになる。それが
世田谷にあるというのは地域の人々にとってはありがたい。
都心の青山へ~旗艦店をめざす
12 月にオープンした青山店は、新築の青山クオーツタワー(QUARTZ TOWER、総合メディカ
ルタワー)の1階にある。小型 SLP 店の新規出店で、山手線に内側への初出店である。周辺
2 ㎞圏に住んでいる人々を対象に会員を作っていく。青山店はメインストリートの 1 等地に
ある。これは SLP 店のシンボルで、都心店は 1~2 ㎞圏内に住んでいる人が分かり易い場所
なら、メインストリートに拘る必要はないと野島社長はみている。
青山は 70 坪で 2 フロアを使う。青山のソリューションサービスは、他の店よりも価格は
高くなる。つまり、顧客層を見ながら、利便性にプライシングしていく。サービスのいら
ない人は来ないので、顧客の選別をよりはっきりさせていく方向である。
都心店なので、その地域に合った上質のサービス、サポートの提供を視野においている。
それに見合ってサービスの料金も、今までとは違う価格体系になる可能性がある。つまり、
ビックカメラの低価格サービスに対抗するのではなく、全く違う高質のサービスとブラン
ドを作り出そうというチャレンジともいえる。また、都心に来た人々が青山の PC デポ SLP
店をみて、そのサービスの良さを知って、自分の生活圏にある SLP 店へ行ってみようとい
う行動を惹起させることも狙っている。
SLP化を大型店にも展開~稲城若葉台店が第1号
PC デポの大型店に、SLP 店のようなサービス機能を付加した店舗をスマート・バイ・ソ
リューションと呼んでいる。このタイプに店は、2014 年 9 月にスタートして、2015 年 3 月
期末で 16 店、この 3Q 末では 31 店となった。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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千葉の富里インター店で、スマートバイソリューション(S×S)を導入した。オレンジ色
の看板の SLP 店ではなく、青い看板の従来型大型店に、SLP と同じようなコーナーを設置し
ている。PC デポの大型店の中に、SLP 店のようなスマートコーナーを置くリニューアルで
ある。SLP 店への改装については 300 坪までであったが、それより大型の店舗については、
V2(バージョン 2)として、別のトライをしている。
2015 年 9 月に稲城若葉台店を従来の PC デポから改装して SLP 店とした。500 坪の大型店
である。IoT が体験できるような店作りをしている。周辺には家電量販店の大手が立地して
いる。サービス中心なので、人も従来に比べて 1.5 倍が必要である。量販店にはできない
サービスで差別化を図っていく。
この大型 SLP 店では、従来の店舗に比べて、IoT の見える化に最も力を入れる。スペース
に余裕があるので、世田谷の 85 席に比べて、120 席を用意する。さらに、スマートライフ
を体験できるような IoT もいろいろ試すことができるようにする。
300 坪の店のリニューアルには 70 百万円ほどの資金を要するが、500 坪の SLP 店化は約
100 百万円である。ここが上手くいくようだと、大型店の SLP 化が本格化しよう。
PCデポの新規出店予想
PCデポ 直営
SLP店
子会社
FC
PCデポ
パソコン 直営
クリニック 子会社
FC
2011.3
1
0
0
30
0
-18
(店)
2012.3 2013.3 2014.3 2015.3 2016.3 (予) 2017.3 (予)
4
3
0
0
0
0
0
1
3
5
6
2
0
2
0
0
-12
0
0
-2
0
0
16
1
1
3
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
(注)新規はSLP店、パソコンクリニックは提携先との案件次第。
PCデポの子会社はFCを子会社化。2015.3のパソコンクリニックは(出店5-閉店2)の数字。
サービス需要への対応と顧客のグレードアップ~新料金へのシフト
SLP 店に行くと、結構待たされることもある。一人一人の顧客に、丁寧に‘顧客の困った’
を解決していくので時間がかかる。そのサービスの仕組みの改善には取り組んでいるが、
土日のピークに合わせた体制をいつも準備することはできない。むしろ混んでいる時には、
少し空いた日や時間帯に来るように客自身が行動している。
会員は多様である。会員数かける平均会員費という形でとらえることは適切でない。修
理から来る人もいれば、特定のサービスから入ってくる人もいる。プレミアムサービスに
入っている人もいる。しかし、一度当社のサービスを使ってみると、そのメンテナンスフ
リーは便利であり、付加的なサービスは役に立つ。クラウドも益々活用されてこよう。そ
うすると何がおきるか。サービスの質を上げるにつれて、顧客がグレードアップしていく。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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つまり、月額利用料が上がっていくわけである。
サービスの充実とそれに対応した新料金へのシフトを着実に進めていこうとしている。
セキュリティの強化を図ったソフトウェアのレベルアップ、ルーターの高速化による使い
勝手の向上などに力を入れている。
主なプレミアムサービスのメインメニュー
オールデバイス ファミリープラン
オールデバイス ファミリーワイドプラン
初期設定・サポート
オールデバイス7台まで
オールデバイス10台まで
ワイヤレスインターネット
店頭でつなげて渡す
ハイスピードタイプの無線機器
店頭でつなげて渡す
自宅ワイヤレス接続
店頭設定無料
店頭設定無料
ウィルス感染・データ流出
危険サイト侵入防止
Winパソコン・Mac・スマホ7台まで
(ウイルス対策ソフトの強化)
Winパソコン・Mac・スマホ10台まで
(ウイルス対策ソフトの強化)
インターネット詐欺対策
新規導入
新規導入
ozzioメールアカウント登録設定
1アドレス
1アドレス
基本操作店頭説明
Winパソコン・Mac・スマホ7台まで
Winパソコン・Mac・スマホ10台まで
ozzioクラウド自動バックアップサービス 最大1TB
最大1TB
トータルサービスコールセンター
利用可
利用可
OSアップグレード&バックアップ
オールデバイス7台まで
オールデバイス10台まで
店頭点検・定期バックアップ
オールデバイス7台まで
オールデバイス10台まで
トラブル復旧サービス
トラブルリストアサービス
オールデバイス7台まで
オールデバイス10台まで
買換え時データ再設定
オールデバイス7台まで
オールデバイス10台まで
想い出スマートビデオ
預かり本数10本まで500円/月(税別) 預かり本数10本まで500円/月(税別)
VHS、8mm、miniDV OK
VHS、8mm、miniDV OK
テザリング設定
何台でも接続OK
何台でも接続OK
パソコン延長修理保証
800年/月(税別)で何度でも修理OK
800年/月(税別)で何度でも修理OK
月額料金 (2016年1月より)
(従来)
4500円 1台当たり643円
(3950円)
(同564円)
5000円 1台当たり500円
(4450円)
(同445円)
プレミアム会員の価格改定を 2016 年 1 月に実施した。また、昨年 3 月よりサービスを総
合的に効率化する会員サポート「JIMAS」(自宅インターネットデバイス・マルチアシスタ
ントシステム)を開始した。加えて、デバイスマネージメントシステムも加入を募っている。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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これは専用のアプリを機器に設定して、機器の状態を常にモニターする。万が一の紛失時
にリモートロックをかけたりすることができる。これらによって、デジタル情報をデジタ
ル管理できるようになり、顧客のカルテとして記録することができる。これによって、顧
客サービスを一段と高めることができる。
ソリューション提供を強化
今後の営業方針としては、1)スマート販売の強化と、2)ソリューション提供に力を入
れる。スマホが売れて、そのソリューションが求められる。最近は、スマホやタブレット
から直接プリンターで印刷するユーザーも増えており、連れてプリンターも売れる。2.5 万
円のプリンターを買うのではなく、月 500 円でプリンターをサービスするということも始
めており、当社のプリンター購入者の 3 割がこのタイプである。
ヘルスケア商品との連動も図っていく。タニタの体重計に乗ると、いろいろのデータが
無線で、PC やスマホに送られて、データ管理が便利にできるようになる。それもすべて当
社がセットしてくれる。月額課金で支払うという仕組みである。このようにメニューを増
やしていくので、物販はサービス込みで売れていくようになろう。
スマホについては、SIM フリーが解禁された。これによってスマホの売れ行きが変わって
くる。日本のケータイは今まで SIM カード(Subscriber Identity Module Card)にロック
がかかっていた。つまり、個人が使用する電話番号などの識別情報記録されたカード(SIM
カード)が特定のケータイでしか使えない状態であった。
海外では、SIM カードさえ差し替えればどのケータイでも自分のものとして使える。つま
り、SIM カードさえ持っていれば、ハードのスマホは買い替え易くなり、機能によって、2
台、3 台のハードを持っていてもよい。
また、NTT 東日本、西日本は、光回線のサービス卸事業を開始する。ケータイの MVNO と
同じで、固定電話について、NTT のネットワークを借りて、自社ブランドで固定電話サービ
スを、FVNO(仮想固定通信事業者、Fixed Virtual Network Operator)として提供できる。
今まで光回線を取り継いでいたが、これを自社提供に変えていく。当社のルーターから先
は同じなので、光回線を当社のものに切り替える。プレミアムサービスにまとめていけば
よいので、特に問題はなくサービスを強化できる。
これらのサービスに当社は率先して対応する。販売競争は激しくなる可能性はあるが、
どのように上手く使いこなすかという面で、当社のサービス機能を充実して、サービス需
要を拡大できる余地は大きい。新しいビジネスチャンスとなろう。
具体的には、1)スマホのハードのメンテナンス、2)スマホの買い替えに伴うサービス
の提供、3)FVNO のサービスを組み込むことによって、通信料を安くできる、4)家庭にお
ける通信ハード、ソフトの効率化などを提供する。ユーザーにとっては便利になる。それ
に見合って、月額サービス課金も増やすことができよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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FVNO で付加価値アップ
FVNO の加入は月数千件ペースである模様。光回線を当社に変更すると、月 4000~5000 円
の通信料も当社のサービス売上に上がってくる。従来の取り継ぎ手数料よりは利幅は増え
るが、サービスとしての利益率は下がることになる。
光回線の利用による FVNO は画期的な変化である。NTT 民営化 30 年の中で、ドコモを中心
にケータイが伸びてきたが、固定電話回線は縮小の一途であった。その中で、NTT 東西は光
ファイバーのネットワーク回線を自前で拡大しようとしたが、この戦略を 180 度転換した。
サービス&ソリューション化の推進
デジタルコンテンツ
の提供
スマートデバイス
の販売・サービス強化
低価格スマホ・
低価格SIMの促進
プレミアムサービスの会員拡大
MVNO
FVNO
仮想移動体通信事業者
としてサービスと提供
仮想固定通信事業者と
してサービスを提供
つまり小売りをやめて、卸売りに徹することにした、NTT の光回線を卸にするので、小売
りのサービスは誰でも参入できるようになった。ドコモ自身がケータイと光固定の双方を
サービスすることができるようになったが、他のさまざまな業界の企業も自らのサービス
の一貫として光固定回線の小売りをしてくる。その意味で競争は激しくなろうが、当社に
とっても事業領域は大きく広がって行こう。
FVNO は、固定電話のサービスまでサポートしようというものである。今までは光ファイ
バーの先に当社の WiFi ルーターをつけてサービスしていたが、これからは固定回線の光フ
ァイバーもまとめて面倒みられるようになる。
この FVNO については、キャリアのケータイショップとの戦いになる。それぞれの持ち味
を活かすことになろうが、当社にとっては、既存の会員に FVNO にも入ってもらい、新規の
顧客にも当社ならではのサービスのよさを訴求していく。
サービスメニューが増えるということは、上手く使えない人が増えるということにもな
るので、困ったら PC デポへという流れにも結び付く。ただ、そのためにはキャリアショッ
プとの戦い上、インセンティブ(販促費)を使う場面も想定される。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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この光固定回線を利用した PC デポならではサービスが好評である。スマホで自宅にきた
FAX を確認でき、宅内でスマホが子機として使え、しかも 10 分以内の電話や FAX が月 300
回までかけ放題になる。当社の光インターネットに加入すると月 2000 円でこれが使える。
PCデポの高速光回線
~FVNOとしての光インターネットサービス~
・2015年2月より、FVNO(仮想固定通信業者)として、「ozzio光」を展開。
・当社のプレミアムサービス、サポートサービス、コンテンツサービス、 低価格スマホ等のMVNOと融合
・ozzio光は、NTTから光回線の卸しを受け、当社より提供
・当社のプレミアム会員は、NTTの光回線を当社のozzio光に変更することで、
セットサービスがお得で、便利になる。
好調なサービスが新しい局面へ ~「手ぶらでパソコン買い替え」
サービスの好調は続いている。これまではデバイスの販売につれて、プレミアムサービ
スが入ってくるというパターンであった。このプレミアムサービスのブラッシュアップが
顕在化して、サービスの伸びが利益成長への貢献度を高めてきた。
MVNO に加えて、FVNO が入った。今までは、パソコン(PC)まわりのことは PC デポへと
いう流れであったが、これからはスマホ、タブレットはもちろん、プリンター、FAX、など
のインターネットデバイスについては、全部まとめて PC デポへという流れになるかもしれ
ない。2015 年 5 月からは SIM フリーが入った。月額 2000 円のサービスである。光固定サー
ビスは月 5000 円前後のサービスである。これらが伸びてくると 2~3 年目からは一定の利
益貢献が見込めよう。
その場合、クラウドがカギとなる。
「総合クラウドサービス」が本格化してこよう。サー
バーの安定稼働が確保されてきたので、これから新しいサービスができるようになる。そ
の象徴が「手ぶらでパソコン買い替え」である。当社のプレミアム会員に対して、特許出
願中の独自の総合クラウドシステムを使うことによって、PC などインターネットデバイス
のバックアップデータの自動保存と、店頭でのそれらのデータの設定再現ができるサービ
スを開始した。
PC 上のデータがバックアップされているので、例えば PC を買い替える時に、既存の PC
のデータを取り出すのに現物を店頭に持って行って、書き換えてもらう必要がない。一般
的なミラーリング
(クラウドへの同じデータの保存)
を当社の場合 PC 上で行っているので、
これらのことが簡単にできる。スマホのデータも PC を通してクラウドに保存される。こう
したクラウドサービスへの投資には、さほどお金がかからない。新店を作ることに比べる
と大きな投資とはいえず、逐次拡大していけばよい。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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では、同じことが他社にできるか。これは難しい。当社は店頭で PC クリニックの機能を
充実してきた。PC やスマホ、インターネットに詳しい技術者を育てきた。これで儲けるし
くみをすでに作っている。家電量販店が真似をしようと思っても、店舗にそのような人材
をそろえた機能を拡充することはできない。
デジタルコンテンツサービス(例)
(円)
雑誌の定価 コンテンツ(雑誌)
雑誌の定価
雑誌+iPadAir
雑誌+iPadAir
月額料金
月額料金
週刊東洋経済
2000
690
週1 日経PC21
1200
650
月1
週刊ダイヤモンド
2000
710
週1 毎日が発見
1000
ー
月1
日経Woman
1200
580
月1 News Week
1500
460
月1
日経ビジネスアソシエ
1200
650
月1 PEN
1200
650
月2
日経マネー
1200
690
月1 seventeen
1200
590
月1
日経トレンディ
1200
570
月1 non・no
1200
650
月1
GetNavi
1200
610
月1 MAQUIA
1200
650
月1
LEVOLANT(ル・ボラン)
1200
1010
月1 Marisol
1200
800
月1
レタスクラブ
1000
329
月2 BAILA
1200
730
月1
ESSE(エッセ)
1000
500
月1 eclat
1200
940
月1
プレジデント
1500
690
月1 LEE
1200
670
月1
デジキャパ
1200
910
月1 MEN'S NON・NO
1200
770
月1
CAPA
1200
700
月1 俳句
1200
920
月1
Mac Fan
1200
780
月1 短歌
1200
930
月1
週刊サッカーダイジェスト
1200
480
週1 EVEN
1200
741
月1
ワールドサッカーダイジェスト
1200
620
月2 将棋世界
1000
800
月3
日経ヘルス
1200
600
月2 日経ビスネス
2000
690
週1
スラッガー
1500
900
月1 つり人
1200
935
月1
スマッシュ
1200
670
月1 上沼恵美子の
1000
490
月1
dancyu
1200
880
月1 おしゃべりクッキング
DOS/V POWER REPORT
1200
1180
月1 趣味の園芸
1000
545
月1
ゴルフダイジェスト
1500
390
週1 きょうの健康
1000
545
月1
RIDERS CLUB
1200
905
月1 囲碁講座
1200
545
月1
BiCYCLE CLUB
1200
720
月1 サンキュ!
1000
420
月1
Discover Japan
1000
1008 2か月1 大人のOFF
1200
700
月1
Flick!
1000
ー
月1 ナショナルジオグラフィックス
1200
1010
月1
婦人画報
1200
1200
月1 2誌パック
1800 2100
ELLE
1200
690
月1 3誌パック
2200 2300
25ans
1200
780
月1 4誌パック
3300
MEN’S CLUB
1000
780
月1
(注)月額料金は標準価格、割安価格がある場合はそれを表示。パック料金は組合せ次第。iPadAirは16GB/Wi-Fi。
コンテンツ(雑誌)
コンテンツとサービスを独自開発 ~ デジタルコンテンツサービスは 50 種類を超える
当社のビジネスモデルは進化している。インターネットデバイスに合わせたコンテンツ
とサービスを開発し、それをソリューションとして顧客に提供することに力を入れている。
実際、専門的な雑誌のデジタル版とタブレットを組み合わせて全てインストールして、安
く提供している。顧客は自分に合ったものがすぐ利用できるのに加えて、そのタブレット
を自由に使うこともできる。
レタスクラブ(月 2 回発行、1 冊 329 円)と iPad Air(16GB/Wi-Fi)を組み合わせて、月々
1000 円で利用できる。3 年契約であるが、別々に契約すれば合計で 6 万円近くかかるとこ
ろを、そこまでかからず、安く済む。当社としては、顧客がほしいサービスをパックとし
て提供し、長く使ってもらう会員としてリテンション(保持)していくという考えだ。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ベル企業レポート
IRアナリストレポート
Independent Research Analyst Report
タブレットで、デジタル雑誌を提供するという独自のサービスが一段と広がっている。
日経ビジネス、東洋経済などで、それができるようになった。しかも一定期間継続すると
雑誌や新聞代より安く済む。
カー雑誌のル・ボラン(LEVOLANT)はマニア向けの専門誌でカラフルである。月刊誌で
定価 1010 円である。これを iPadAir とセットにして、月 1200 円で見ることができる。本
は重いが、これはどこでも手軽にみることができる。
なぜ安くなるのか。当社がまとめるサービス機能を有しているからである。iPadAir を持
っている人はデジタル版を購入すればよい。iPad を買って個別に購入してもよいが、すべ
て自分がやるとその場合は月 1200 円以上掛かってしまう。ル・ボランの会社にすれば全て
自社がやってもよいが、デバイスを使いこなすサポートまでは面倒見切れない。当社はそ
れをワンストップでいつでもサポートする。コンテンツ提供企業にとっても、デジタル顧
客を増やすのに好都合である。既に 50 種類を超えるパックが提供されている。
サービスの充実
デバイス別サービス
主なサービスの内容
iPhone向けサービス
物損延長保証(機器故障、水漏れ故障、破損故障)
iPhoneとパソコンの同期
お得な電話をiPhoneで
ラジオをiPhoneで
iPad向けサービス
機器の水漏れ・破損故障(2年2回まで)
iPadとパソコン同期
お持ちのMac・iPhone+iPadデータ共有
iPadを大画面で
Windows向けサービス
初期設定+復旧ディスク
データ引越し+ハードディスクバックアップ
ワンポイントクイックレクチャーサポート
nexus7向けサービス
メール設定+アカウント登録
ウィルス・個人情報保護安全対策+1TBクラウドパック
朝日新聞をnexus7で
インターネットデバイスの形は変わってもサービスは生きる
パーソナル・コミュニケーションの主役がパソコン(PC)からスマートフォン(スマホ)
に代わろうという動きが本格化している。インフラとしてはクラウド化が主力となろう。
インターネットがパソコン中心ではなく、家電、車、家(ホーム)などのあらゆる場面でネ
ットデバイスとして使われるようになる。それらの機能をコントロールするにはソフトウ
ェアが必要であり、それを使いこなすためのサービスが必要となる。当社はそのサービス
も追求していく。パソコン周辺のサービスに限らず、インターネットデバイスに広げてい
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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(株)日本ベル投資研究所
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ベル企業レポート
IRアナリストレポート
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く戦略をとろうとしている。
デジタル時代の現在の 3 極は、グーグル、ウィンドウズ(マイクロソフト)、アップルで
ある。この 3 極を中心に、ユーザーの‘困った’を助けるのが、野島社長の方針である。
パソコンクリニックのサービスメニュー(例)
会員
サービス
クイックレクチャー12回チケット
5000
セットアップ
無線プリンタセットアップ
3000
データ
データ復旧サービス
5000
外付け周辺機器セットアップ
プリンタセットアップ
3000
OS・アプリケーション設定
OSインストール
0
インターネット・ネットワーク設定
他社プロバイダメール設定
3000
スマートフォン・タブレット
WiFi設定モバイルアクセスポイント付
3000
データ管理設定
Itune同期・バックアップ同期
3000
周辺機器設定
AppleTV設定
3000
コンテンツ・アプリ設定
新聞購読設定
1000
(注)会員は当社の会員になっている人、一般はそうでない人。
消費税は外税で、この料金に8%の消費税分がかかる。
(円)
一般
30000
10000
16000
6000
10000
7000
10000
6000
6000
4000
IoT でも多様なサポートが提供可能
PC やスマホ、タブレットの台数の販売状況をみると、業界全体では台数が減っており、
状況はよくない。しかし、当社はサポート付、サービス付でソリューションを売っている
ので、台数が減少してもサービスが伸びており順調である。
2015 年 5 月に SIM ロック解除が義務化された。当社のサービスにつながる需要も出てい
る。2016 年 1 月からマイナンバーがスタートした。マイナンバーを使って、PC やスマホで
行政の申請などができるようになる。デジタル機器においてマイナンバーをどう守るか。
これもいずれサービスに結びついてこよう。固定光回線の FVNO も 2015 年 2 月からスター
トさせたが、これもクラウドへの誘導を進めている。
ウォッチ、ヘルスケア、ホームゲートウェイなど、IoT 機器が多方面で使われるようにな
ると、そのサービスが必要になる。例えば、スマートウォッチを購入する時、5 万円で単品
を買い切りにするのか、スマホとの連動がとれるようにすべてセットしてくれて、その後
のメンテナンスも含めて、月額料金で購入するのか、という選択はいろいろありうる。
当社のサービスでは、紛失した時にロックをかけてしまうデバイスロック、スマホのデ
ータをクラウドで自動的に保存するサービス、スマホ、PC、クラウドを一体的に繋いで、
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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IRアナリストレポート
Independent Research Analyst Report
バックアップする仕組みなど次々と開発している。特許も申請している。
IoT を使いこなすために、プレミアムサービスソリューション&シングスといった月額会
員型サービス一体型商品もいろいろ出てくる。ヘルスケア、ウエアラブル、セキュリティ、
エンタメ、コンテンツなどとの新しい結びつき(コネクティビティ)や利用方法が広がっ
てくる。契約の内容も免責のあり方も含めて変わってこよう。
IoT の例としては、オムロンの体重計のデータをスマホにとばして、そこで健康管理を行
うケースや、パナソニックの FAX と連動して、FAX の内容をスマホでみられるようにすると
いうケースなどがあげられる。
当社は、PC をプラットフォームとして、パーソナルユースの IoT を追求していく。グー
グル、アップル、アマゾンなどが新しいサービスを提供してくる。ロボットも家庭に入っ
てくる。いずれにしても、新しいネットワークの導入は新しいサポートを必要とする。こ
こを当社のレーゾンデートル(得意領域としての存在価値)とする。
2016 年 3 月期の 1Q から、技術サービス・手数料という名称を「ソリューションサービス
売上高」に変更した。ハードとソフトを一体とした商品の販売が増加してきたためである。
プリンター付、iPad 付、光回線付というサービスが増えていることも影響している。こう
したサービスの売上高が間もなく 5 割を超えてこよう。
新しいソリューションサービスでは、サービスフィーを含んだ販売の売掛金が増加
SLP 型販売では、商品・サービスの売上げを 3 年かけて回収するというモデルである。商
品の販売は先に売上げに立つので、売掛金となる。SLP 化の販売が増えると、売掛金が増え
ていく。例えば、iPadAir +雑誌の販売が伸びている。これは、最初は物販の売上に入り、
その後はサービスの売上として入ってくる。タブレットやプリンターの月額課金サービス
は、ハード機器を販売した後、毎月の代金で回収するという仕組みになる。つまり、バラ
ンスシート上では売掛金が増えていく。
この売掛金は、2013 年 3 月期+6 億円、2014 年 3 月期+19 億円、2015 年 3 月期+40 億
円となった。今後も 40 億円ペースでは増加しよう。つまり、その分増加運転資金が必要と
なっている。しかし、回収が進めば、次第にバランスがとれてくるので、このまま増え続
けるわけではない。
もう 1 つは、与信管理が重要になる。今まで商品をクレジットカードで買った人の回収
リスクはクレジット会社にあったが、スマートライフ店での販売では当社が回収リスクを
負う。顧客が何らかの理由で月次の支払いが出来なくなくなると、その負担は当社が負う。
当社は、個人の販売、IT 機器を使う本人への販売を基本としており、その身元確認や使
用状況についても事前によくチェックしている。法人への大量販売はしない。個人でも何
台もまとめて買うのは、本当に本人利用かどうかわからないので応じないケースも多い。
よって、与信リスクについては、店頭で対応しており、余り心配しなくてよい。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ベル企業レポート
IRアナリストレポート
Independent Research Analyst Report
自立型支店経営への転換を志向
最大のテーマは、人材の採用と教育である。店舗のマネジメントに当たっては、従来の
チェーンオペレーションから脱皮しようとしている。本部で企画して現場に指令を出し、
マニュアル通り動いてもらうというやり方では、客の「困った」に十分対応できない。
店舗に店長、技術責任者、そして管理責任者の 3 人を配置して、支店独立型の経営を強
めようとしている。地域密着で顧客へサービスを工夫し、商品、プロモーション、訪問サ
ービス(出張)など、一見効率が悪そうでも店舗ごとの自主的な判断で対応していくと、
収益はきちんとついてくることが分かってきた。
つまり、チームプレーをしながら、各人が自らの持ち場において客への得意技を活かし
て、独自のサービスを展開している。こうした新しい支店のマネジメントを、2016 年 3 月
期は 5 店に導入し、4 月からは 8 店にする。今後とも人材を育てながら増やしていく方針で
ある。
人材育成に力を入れる
正社員は新卒とアルバイトからの登用を含めて、2014 年 70 人、2015 年 100 人に対して、
今年は 120~130 人を採用する方向である。新規出店に向けて人材を育成していく必要があ
る。
店舗展開のポイントは人材と立地条件である。当社のサービスは必ず人がアナログで接
触していく。そこによさがあり、一定の頻度で利便性を感じるからこそ、月額のサービス
料金を支払ってくれるのである。アルバイト・パートも年間 300 人の増員を図っていく。
つまり、サービスが 20%伸びるのに見合って、人員も一定割合で増やし、しかも先行させる
必要がある。
出店に対応する人材育成は進んでいる。PC デポにはパソコン好きの人材が集まっている。
女性も多い。ハードウェア、ソフトウェアに詳しい、使い方に詳しいというのが女性にと
ってもやりがいがあると映る。ここで人材を育てているので、パソコンクリニックを出店
しても人材的には対応できる。
当社の営業、サービスに個人のノルマはない。全てチームで対応する。3~5 人のチーム
を作り、そのチームが 5 つあるという具合である。経験を共有して、互いのレベルを上げ
ていくという経営である。社員の接客対応が鍵を握っており、アルバイトの人たちも長く
働いている人は積極的に正社員にあげていく。
もう 1 つは、サイバーオペレーションの活用である。もともとは社内を監視するという
危機管理の仕組みであるが、現場の担当者と本部が音声で繋がっているので、いつでもな
んでも聞くことができる。サービスサポートもここからできる。現場の担当者が困ってい
ると、店内の別の人間がすぐに応援に駆け付けるなど、機敏な対応でサービス力を上げて
いる。顧客にとっては PC デポにいくと、親切で、丁寧で、早いと感じるのである。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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シニアアルバイトの活用
来店客への気配りを図り、挨拶、身だしなみ、顧客へのサービスなど丁寧な対応をする
ために、シルバー人材を役立てようとしている。シニアアルバイトは、2016 年 3 月期末に
は 150 名まで増やし、各店に 1~2 名置く方針である。
シニアアルバイトとは、55 歳から 75 歳までの人材をセカンドキャリアとして活用しよう
という仕組みである。1) 店舗における顧客案内、2)店内環境整備や保安警備、3)若い店
舗スタッフの健康管理や仕事へのアドバイス、4)技術や販売のエキスパートとしての経験
の活用などを実践する。これはユニークな仕組みで注目できよう。
商品・サービスの粗利益の変化(試算値)
会社全体の売上高(連結)
サービス売上高(連結)
商品等売上高(連結)
2013.3
51353 100.0
12616
24.5
38736
75.4
2014.3
53816 100.0
16237
30.2
37579
69.8
(百万円、%)
2015.3
51285 100.0
19720
38.5
31565
61.5
サービス原価(単体、試算)
3176
25.2
4676
28.8
5916
30.0
会社全体の粗利益(連結)
サービス粗利益(試算)
商品等粗利益(試算)
16134
9440
6694
34.2
74.8
17.3
18429
11561
6868
34.2
71.2
18.2
19676
13804
5872
38.4
70.0
18.6
(注)商品等売上高にはその他サービス(ロイヤリティー、インターネット関連)も含む。
右側の数値は対売上比。試算値は正確ではなく、大よその参考データ。
サービスの良さが競争力の源泉
当社は PC やタブレットのハードを売るのではなく、サービスを提供する。便利なソリュ
ーションを月額課金で継続的に提供する仕組みである。パソコンクリニックに来る 6 割の
人は、他店で製品を購入した人である。つまり、安いという値段以外の接点を求めてくる。
顧客が所有している商品をサポートできるようにするので、効率はよい。
物販とサービスの収益を営業利益段階でみた場合、どういう利益水準、構成になるのか
という点については明確には分けられない。当社では、物販事業、サービス事業という区
分けで事業を行っていないからである。店舗の人員にはそれぞれの役割はあるとしても、
お客一人に対して、物販もサービスも提供するので、そこを分けて成果としては測ってい
ない。商品を販売するからサービスにも加入する。加入して当社の固定客となるから、次
の商品も買いに来るというパターンである。
ただ、物販とサービスの収益を一定の前提をおいて、営業利益段階までおとしてみても、
サービスの収益性が圧倒的に高いという構図は変わらない。このサービス需要を取り込も
うという競争では、当社は長年の実績と人材をテコに優位に立っている。もともと当社は、
他社が主力としてきた商品を売るだけの手離れのよい顧客ではなく、商品を使いこなすの
に手間のかかるお客に、手間をかけてサービスすることを差別化のコアにしてきた。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ベル企業レポート
IRアナリストレポート
Independent Research Analyst Report
ネット通販への対応
ネット通販は店舗販売にとって脅威にならないか、という懸念はある。店舗で商品を見
て、実際に買うのはネットでということが起こっている。ネットの方が安いからである。
そこでハードの機器を使いこなせれば問題がないが、使い方がはっきりしない時や不具
合が生じた時に、便利なサービスを受けたいというニーズは強い。そこに当社の存在、出
番がある。iPhone、iPad、ネクサス、キンドルなどは、その販売を取り扱っても利幅は薄
い。しかし、プレミアムサービスに入ってもらえば、顧客の囲い込みになり、サービス収
入で稼ぐこともできる。その意味で、当社では新しい商品を積極的に取り扱っていく。
ライフタイム・バリューを追求
SLP 化は順調に進んでいこう。PC デポはパソコンの大型量販店からイメージを一新して、
全く新しいタイプの業態に進化しつつある。SLP 店に衣替えすると、前の店に比べて、①客
の滞在時間が長くなる、②女性客が増える、③リピートのピッチが早い、④社員にいろい
ろ相談するようになる、という変化がみられる。
改装前と後で、ものを買うという売上金額にさほど変化は出ない。しかし、サービスの
売上げは確実に増える。つまり、長い付き合いのできる客になっていく。
リピートのピッチが早いという意味は、1 回何らかの商品とサービスを購入した後、次に
来店する時期が短くなっている。女性が多いという点では、家庭におけるデジタル商品の
ニーズが増えており、もっと使いこなしたいと思っている現れであろう。その点では、野
島社長の狙いは、見事に当たっている。
一方、商品が豊富に置いてある昔の店をなつかしむ客もいる。品揃えの楽しみが減った
という人もいるが、店の機能をはっきりさせたという点でユニークさが光っている。社員
にとっては、青いロゴ(かつての PC デポ)の時は、常にまわりの同業他社を気にしていた
が、オレンジのロゴ(新しい SLP 店)になってからは、他社を気にしなくなった。接客に
おいても、商品の説明が長くなって、プライスの交渉が減っているという。
ライフタイム・バリューとは、顧客がその商品を使う期間を存続期間と捉え、その期間
の顧客価値を全体として高め、それに見合って収益を稼ごうという考え方である。サービ
スの売上げが伸びているが、サービスは 3 年契約の中で 2 年目、3 年目に稼ぐというパター
ンである。会員は、新しい商品も同じ店で買いたくなるように、サービスの質を高めてい
く。当然、会員のストックは新店よりも既存店の方が多い。新店は物販の勝負となり、そ
こから会員を増やしていく。
よって、物販競争で価格が下がると、新店の収益化が当初見込みより遅れることになる。
会員増によって、サービス収入を高め、数年後にそこの収益がプラスにきいてくるように
もっていく。サービスに加入する会員は増えており、会員の加入期間を考慮したライフタ
イム・バリューは一定の水準を確保できる。このストック型ビジネスの拡大に向けて勝負
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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していく。会社側では、サービス収入を読みながらマネジメントしている。
新ビジネスモデルで、売上高経常利益率 10%、ROE15%を目指す
今後の業績見通しとして、売上高 550~600 億円、サービス売上比率 50~55%、売上高利
益率 10%、ROE15%以上が 1 つの目途であるが、これは十分達成可能であろう。
野島社長は今年度から、
新しい経営目標の KPI
(重要経営指標)
を売上高経常利益率 10%、
ROE15%においた。2015 年 3 月期の売上高経常利益率は 6.2%まで高まってきたが、この後
利益率はどこまで高められるのか。今のビジネスモデルでサービスのウエイトが高まって
いけば、10%が達成できる方向にある。
他社が真似の出来ないビジネスモデルを確立したので、今の延長で走っていくことで、
売上高 600 億円で経常利益 60 億円を目指すことは十分可能である。将来の姿として、売上
高 1000 億円、経常利益 100 億円を指向するには出店政策の新しいモデルをさらに強固に作
る必要がある。この方向に打って出る展開となろう。
会員型サービスを月額 5000 円として、会員を 100 万人に増やすことができれば、サービ
ス収入は 600 億円となる。これが実現できるのであれば、年商 1000 億円、経常利益 100~
150 億円もみえてくる。サービス需要をどのように取り込んでいくか。店舗戦略とサービス
メニューの開発が注目される。
SLP 店化によって、フローからストックへのビジネスモデルの変化が一段と加速してきた。
顧客と当社の結びつきがより長期化していく、しかも、顧客の相談にのるので、接触頻度
が上がってくる。会員については、さまざまなパターンがあるので、会員何人、平均単価
何円という平均値で語ることはできない。今まで 1 家庭でのサービスというパターンであ
ったが、クラウドサービスが入ってくると、データの個人管理が重要になり、ユーザー毎
のアカウントが大事になる。サービスの中身もさらに多様化してくる。
つまり、会員数がこれまでよりも高いピッチで増え、サービスの単価も上がってくると
いうことである。サービスの母体となる契約金額は年 20~30%で伸びることになろう。そう
なれば売上経常利益率で 10%以上を目指すことができよう。
今後の課題
課題は 4 つある。1 つは新規出店の立地確保である。2 つ目は、集客の方法である。SLP
店による新規出店はサービス中心の顧客獲得なので、かつての物販中心よりは集客に工夫
が必要である。会員によるサービス収入が中心となるので、投資回復の期間も従来に比べ
て長くなる。一方で会員化が進むので、一度黒字になるとその収益性は定着しやすい。
3 つ目は社員教育である。技術教育は当社の得意分野でかなり出来ているが、店長の次の
クラスの人材を育てていくことが重要である。管理の責任者、オペレーションの責任者、
技術の責任者が店舗全体にどこまで目配りできるか。その意味で、現役を引退した優秀な
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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サラリーマンやサラリーウーマンをシニアアルバイトとして活用して、店舗のコーテシー
(礼儀正しさ)や、接客サービスのレベルを上げようとしている。
4 つ目は、日常のガバナンスである。商品を売るのではなくサービスを提供する。ソリュ
ーションによって、顧客を会員化していく。モノの提供もサービス付割賦販売のような形
になっている。フローのビジネスではなく、ストックビジネスが中心になっている。こう
した局面で、顧客情報の管理、社員・アルバイトのマネジメントなど、広い意味での現場
のガバナンスを的確に運用していく必要がある。
4.当面の業績
サービス収入の効果が顕在化し、ピーク利益の更新が続こう
既存店の数字の見方
当社の既存店の伸び率を、来店客数と顧客当りの単価に分けてみる見方は正しくない。
当社の月次のデータを従来の物販中心の店舗のようにみることができなくなっている。
サービス会員が累積的に増えており、そこから月次のサービス収入が入ってくるからで
ある。かといって、実際に商品は売っているので、通信キャリアのように、会員数と
ARPU(Average Revenue Per User、月額利用料金)に単純に分けてみることもできない。し
かし、サービスの累積効果がウエイトを高めていることは確実である。
当社の売上げを四半期でみると、物販中心の時は、1Q はまあまあ、2Q はダウン、3Q、4Q
に売れるというパターンであったが、その季節性は薄れていく方向にある。商品からサー
ビスへシフトしているからで、業績も安定感を高めてこよう。
業績予想
2012.3
売上高
49693
粗利益
14756
売上高粗利益率
29.7
販売管理費
14202
対売上比
28.5
営業利益
553
対売上比
1.1
経常利益
717
対売上比
1.4
2013.3
51353
16134
31.4
15258
29.7
876
1.7
933
1.8
2014.3
53816
18429
34.2
16118
30.0
2310
4.3
2411
4.5
2015.3
51285
19676
38.4
16586
32.3
3089
6.0
3205
6.2
2016.3(予)
51850
22010
42.4
18050
34.8
3960
7.6
4000
7.7
(百万円、%)
2017.3(予)
53000
23400
44.2
18900
35.7
4500
8.5
4550
8.6
2015 年 3 月期の業績は好調であった
2015 年 3 月期は、売上高 51285 百万円(前年度比-4.7%)、営業利益 3089 百万円(同+
33.7%)
、経常利益 3205 百万円(同+32.9%)
、当期純利益 1941 百万円(同+24.9%)となっ
た。2Q までは XP の影響で物販の粗利もよかったが、3Q からは PC が失速してきた。一方で、
サービスの好調は続いており、全体の売上高は伸びなくても、利益は大幅に増えるという
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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これまでのパターンが続いている。
設備投資とファイナンス~運転資本へも対応
当社の財務戦略としては、自己資本比率 50%、借入金依存度 25%であれば健全であると
いう認識を持っている。
2014 年 1 月のエクイティ・ファイナンスで 23 億円を調達した。その資金の使途として、
新店に 9 億円、既存店の改装に 11 億円、社内のシステム投資に 3 億円をあてた。
設備投資において、改装は 1 店 70 百万円、新店は 2 億円を要する。今までの PC デポの
新店よりは SLP 店の方が安く済む。一方、サービス売上げが増えると運転資金が先行し、2
~3 年かけて回収することになる。サービス収入はコンスタントに 2 桁で増えている。バラ
ンスシートについては、売掛金が増えている。サービス売上げが増えると、その中で例え
ばタブレット+雑誌という組み合わせ商品は、サービスと商品のセット販売であり、毎月
の月額料金から後回収をしているため、売掛金が増えていく。店舗への投資は落ち着いて
いるが、サービス売上増に伴って、増加運転資金は必要になる。
キャッシュ・フローの推移
2010.3
2011.3
2012.3
2013.3
2014.3
(百万円)
2015.3 2016.3(予) 2017.3(予)
営業キャッシュ・フロー
税引き後利益
減価償却
のれん償却
売上債権
棚卸資産
仕入債務
182
651
512
344
-356
-564
28
1121
713
595
334
-281
-184
-343
-635
-63
715
296
-1087
-1785
1085
1597
441
728
259
-479
1299
-1418
2010
1902
686
145
-2840
210
1417
-2512
1834
781
5
-2967
-772
-1816
-500
2650
850
0
-4000
-500
500
-150
2900
950
0
-4000
-500
500
投資キャッシュ・フロー
有形固定資産
無形固定資産
-1561
-1341
-56
-1440
-1287
-163
-2537
-1691
-140
-994
-844
-135
-441
-332
-374
-1436
-797
-260
-1600
-1200
-200
-2000
-1800
-300
フリー・キャッシュ・フロー
-1379
-319
-3172
603
1569
-3948
-2100
-2150
1330
1715
0
-225
-154
1070
1037
0
194
-150
2752
2964
0
-25
-153
295
451
0
0
-155
127
-2007
2289
0
-153
1637
1892
0
-1
-253
2600
-1000
3983
0
-380
1570
2000
0
0
-430
現金・同等物の期末残高
1753
(注)〈予〉はアナリスト予想
2505
2083
2984
4679
2370
2870
2290
財務キャッシュ・フロー
長短借入金
株式の発行
自己株式
配当金
現在、ソフトウェアへの投資も増やしている。自前のクラウドや課金システム作りに力
を入れているからである。新規出店は様子を見ながらであるが、一定程度は出していく。
2015 年 10~11 月のファイナンスでは、
公募増資 430 万株で 3478 百万円、
第 3 者割当 62.
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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4 万株で 504 百万円の合計 3982 百万円を調達した。発行済み株式数は 12.6%増加したので、
この分のダイリューションは発生するが、利益成長という点では十分吸収していけるので
問題ない。
資金の使途は、SLP 店への改装に 15 億円、SLP 新規出店に 10 億円、システム投資に 5 億
円、運転資金に 10 億円という内容である。割賦売上の増加に伴う運転資金は、2016 年 3 月
期+40 億円、2017 年 3 月期+40 億円程度で、その後は回収が進んでくるので資金需要は減
ってこよう。
バランスシートの比較
流動資産
現預金
売掛金
棚卸資産
固定資産
有形固定資産
のれん
差入保証金
敷金
資産合計
流動負債
買掛金
短期借入金
長期借入金(1年内)
固定負債
長期借入金
純資産
有利子負債
有利子負債比率
2010.3
10511
1754
2251
5316
7443
2844
1025
1479
1329
17954
6473
2764
800
690
2743
1936
8738
3426
19.1
2011.3
11678
2505
2533
5500
8051
3736
690
1440
1234
19729
6449
2421
700
1004
3747
2759
9533
4463
22.6
2012.3
14185
2083
3619
7285
9052
4941
406
1466
1272
23238
9225
3506
2100
1518
4449
3809
9563
7428
32.0
2013.3
13991
2982
4098
5986
8942
5073
155
1387
1268
22933
9009
2087
2550
1849
4149
3479
9722
7879
34.4
2014.3
18494
4679
6939
5775
8644
4836
10
1349
1248
27138
9758
3506
900
1727
3915
3244
13464
5871
21.6
(百万円、%)
2015.3 2015.12
19920
26886
2370
4466
9906
13006
6548
8287
9336
9527
5013
5028
5
2
1639
1723
1275
1296
29257
36414
11647
13954
1691
4000
4520
4900
1447
1186
2428
1552
1796
956
158181
20906
7764
7043
26.5
19.3
2016 年 3 月期、2017 年 3 月期はサービス比率が一段と向上~利益率も上昇へ
2016 年 3 月期の業績は、3Q が終わったところでさらに増額修正された。修正後の 2016
年 3 月期の会社計画は、売上高 51850 百万円(前年度比+1.1%)
、営業利益 3960 百万円(同
+28.2%)
、経常利益 4000 百万円(同+24.8%)、当期純利益 2650 百万円(同+36.5%)であ
る。
売上高は PC の販売減で計画を下回るが、技術サービス(windows10 のアップグレードな
ど)やサービス商品の販売好調(SLP 店化)、さらに物販の粗利も安価競争を避けたサポー
ト付の充実で高まっていることによる。
配当に関しては、配当性向 20%を目途とするので、利益の増額修正に伴う増配余力は高
っている。継続的な増配が期待できよう。
バランスシートでは、ソリューションサービスの好調によって、売掛金が増えている。
四半期で 10~15 億円ペースで積み上がっているが、運転資金という点では借入金も含めて
問題なく対応できる。
サービスの売上増で、売上全体に占めるソリューションサービスンの比率は上がってお
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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り、2017 年 3 月期には、商品販売との比率が遂に逆転しよう。PC デポがソリューションサ
ービスのストックビジネスに独自転換したシンボルとなろう。粗利率は今後とも上がって
いくので、売上高全体がさほど伸びなくても利益は伸びていこう。
SLP 店への改装は、2016 年 3 月期の 7 店に対して 10 店が見込めよう。SLP 店の新規出店
は、2015 年 3 月期の砧店に対して、2016 年 3 月期は青山、麻布十番、東海など 3 店、2017
年 3 月期も 5 店と増加しよう。都心に入ってくるという点では、新宿、渋谷、品川の方か
ら都心のビルインを目指すことになろう。
サービス売上比率の推移
2013.3期
2014.3期
サービス
(百万円、%)
2016.3期
2015.3期
サービス
サービス
サービス
サービス
売上
売上比率
サービス
売上
売上比率
サービス
売上
売上比率
サービス
売上
売上比率
1Q
3025
24.8
3689
30.3
4495
36.1
5651
46.2
2Q
3083
25.8
3894
31.8
4690
39.3
5992
48.7
3Q
3223
23.5
4215
30.6
5248
38.4
6525
47.8
4Q
3285
24.5
4439
28.4
5286
39.9
全く新しいビジネスモデルをさらにブラッシュアップしていくための仕組み作りも始ま
ることになろう。ハード、ソフト、人材を含めた本社と現場、店舗運営のあり方に新風が
吹き込まれることになろう。仕組み革新として、どのように具体化してくるかに注目した
い。
新規出店、SLP店への転換の動き
(店)
(年度)
PCデポ
直営
SLP店(新規)
SLP店(改装)
子会社
2011
3Q 4Q
1Q
2012
2Q 3Q
1
2
1
0
1
4
2
パソコンクリニック
直営
6
3
1
2
合 計
8
7
5
3
4Q
1Q
2013
2Q 3Q
4Q
1Q
2014
2Q 3Q
1
2
3
4
1
1
1
2
4Q
1Q
2015
2Q 3Q 4Q(予)
2
1
1
2
1
1
2
3
3
1
2
2
5
2
0
0
0
1
1
2
3
4
6
(注)改装はPCデポ直営からSLP店への改装転換数。
また、サービスの売上は伸びていくが、ファックスや PC、ドローンなど商品の割賦販売
付きのサービスソリューションなどが増えてくると、商品が入っている分だけ通常のプレ
ミアムサービスよりは粗利が低いので、多少影響が出てこよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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方針として、①スマートデバイスの販売を強化、②コンテンツやサービスを組み合わせ
たソリューション化の推進、③安心、安全を強化したサービス商品の開発、提供、④SLP 店
への改装及び新規出店に力を入れていく。
一連のビジネスモデルの転換で、売上高経常利益率は 2016 年 3 月期 7.7%、2017 年 3 月
期 8.6%と上昇してこよう。ROE も 13%を超えてくることになろう。実際、収益力の向上で
は、物販の粗利率も改善している。物販の営業負担が鈍るので、サービス増加の利益が一
段と表面化してくる。また、サービス 1 人当たり単価は着実に向上している。この 2 つが
進展しているので、名実ともにパーソナル・コミュニケーションのサービス企業として、
独自の地位が確立できよう。
5.企業評価
都心の攻勢次第で大きく飛躍
収益構造の転換で ROE は向上
当社は、1)従来もの(商品)を売っていた、2)それに対して使い方を便利にするサー
ビスを売るようにした、3)そして、現在はものと一体となったサービス(ソリューション
サービス)を売っていく。この月額販売が増えると、サービスの原価率は上がっていくが、
長期的なサービスが提供できるようになり、顧客の囲い込みが一段と進もう。
既存店がサービス需要を取り込んで、全体としてプラスを維持できるのであれば、年 4
~5 店を着実に展開することで、二桁の利益成長を続けることができよう。既存店をベース
に業績を伸ばすことで、売上高 600 億円、経常利益 60 億円は十分達成できよう。ROE も 15%
超えてこよう。
顧客の会員化を進めている、このストック効果をどのように高めていくかが注目される。
一人でいくつかのハードを所有する、ファミリーでいろいろ使うなど、さまざまなパター
ンがあるので、こうしたユーザーをメンバー化することによって、サービスの単価は上が
っていく。また、雑誌や音楽の複合サービス、新しい組み合わせによるセキュリティや使
い勝手のよさの追求など、これからの工夫の余地は大きい。
PC の販売からサービスで稼ぐという仕組みに切り換えると決断したのが 2005 年である。
それから 8 年をかけて、ビジネスモデルの転換に収益がついてきた。次は当社のビジネス
モデルがニッチな存在として続くのか、新しいメジャーな動きとなるのか。野島社長の次
の戦略が注目されるが、都心への展開がうまく行くようなら大きな飛躍が期待できよう。
当社は、インターネットデバイスのハードを販売することを通して、サービスの収入を
安定的に確保していこうというビジネスモデルである。大手とは距離をおいた棲み分けは
できると、野島社長はみている。将来、会員を数 10 万人から 100 万人規模へ、また、サー
ビスのメニューを多様化しつつ、それらをまとめることで、月額課金の単価を数 1000 円か
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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ら 5000 円以上へと上げる余地もある。そうなれば、経常利益で 100 億円(経常利益率で 10
~15%)というターゲットもみえてこよう。全く新しい局面に入る可能性が高いので、大い
に期待できよう。
サービス収入をベースとするストック型の収益構造への転換が大きく開花してきた。こ
うしたビジネスモデルの転換を評価し、スマートライフ店の多店舗展開など、次の攻めの
効果も期待できるので、企業評価はAとする。(企業評価については表紙を参照)
2015 年 1 月に 1:1.5 の株式分割を実施し、3 月末の株主数は 2675 名であったが、9 月末
では 2067 人へやや減少した。しかし、今回のファイナンスで株主はさらに 2000 人程度増
加したとみられる。また、2015 年 11 月に東証 1 部へ指定替えとなった。
2015 年 6 月に株主優待について充実を図った。優待の単位を、従来の 400 株からを 100
株に引き下げた。100 株に対して商品券 1000 円(又はクリニックの利用券 2000 円)
、400
株から 2000 円(同 4000 円)
、1000 株から 3000 円(同 6000 円)等とした。商品券はネット
ショップでも使えるので、近くに PC デポの店舗がなくても利用できる。これをさらに増や
すことは、顧客と株主の一体化という点で効果があろう。
2 月 29 日時点の株価(984 円)でみると、PBR 2.02 倍、ROE 12.7%、PER 14.8 倍、配当利
回り 1.0%である。パソコン(PC)の次の時代はどうなるか、家電量販店に対抗できるのか。
これに対して、当社はユニークな存在を示すことができよう。IT ソリューションのサービ
スで稼ぐという仕組みと、家電量販店と差別的に共存するという位置付け(ポジショニン
グ)が収益に結びついてきたので、業績拡大とともに当社の企業価値は今後一段と見直され
てこよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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