3 目次 マーケティングⅠ 5.価格戦略 0.価格、利益、需要、費用 1.価格設定の基本方針 (1)費用に基づいた価格設定方針、損益分岐点 (2)需要に基づいた価格設定方針 (3)競争に基づいた価格設定方針 2.新製品の価格対応 (1)上澄み吸収価格戦略 (2)市場浸透価格戦略 田島博和 [email protected] http://www.tku.ac.jp/~htajima 3.製品ミックスを考慮した価格対応、代替財・補完財、参照価格 4.心理面を考慮した価格対応、需要曲線 5.割引による価格対応 6.需要の価格弾力性・交差価格弾力性 4 6 0.価格、利益、需要、費用 単位費用 コスト(費用、原価) 顧客価値 変動費 総利益 = 単位利益 + × 需要 固定費 ー 1.価格設定の基本方針 (1) コストに基づいた価格設定方針 価格←コスト+コスト×利益率 例題(テレビの生産) 変動費 2万円、固定費 6億円 見込み販売数 10万台 利益率(マークアップ) 20% 単位費用= 価格= 生産量に関係なく発生する費用 設備の減価償却費、人件費、光熱費など 総費用 単位費用 価格 生産量に応じて発生する費用 原材料費など 7 変動費×需要+固定費 変動費+固定費÷需要 1.価格設定の基本方針 (1) コストに基づいた価格設定方針 長所 簡単に価格を計算できる 売り手・買い手双方に公正であると 見なされやすい 問題点 需要が実現できないと、 目標とした利益が達成できない →需要予測 8 1.価格設定の基本方針 (1) 損益分岐点 10 損益分岐点と価格設定 損益分岐点 9 赤字が黒字になる販売数量 例題(テレビの生産) 変動費 2万円、固定費 6億円 価格 3万2500円 損益分岐点= 2億円の利益を上げるための販売数量= 1.価格設定の基本方針 (2) 需要に基づいた価格設定法 11 実務的な手順 1.価格設定の基本方針 (3) 競争に基づいた価格設定法 実勢価格 going-rate price 消費者に製品コンセプトを提示 消費者の知覚価値を測定 価格の設定 製品の仕様の設定 競争製品に付けられている価格 プライス・リーダー 実勢価格を形成している製品 市場での力関係やブランドイメージなどが 関係している プライス・フォロワー 実勢価格に追随する製品 13 14 2.新製品の価格対応(1) 上澄み吸収価格戦略 上澄み吸収価格戦略 skimming pricing 短期間で大きな利益を上げ、コストを回収する 価格にそれほど敏感ではない消費者層の存在 競合他社が模倣品を導入しにくい 実施例 技術主導の企業 市場浸透価格戦略 market penetration pricing 新製品を低価格で販売する戦略 消費者の試し買いを促進 目的 大きな市場シェアの確保 →規模経済や経験効果によってコスト削減 →長期的には利益を確保 この戦略を採用するための条件 2.新製品の価格対応(2) 市場浸透価格戦略 新製品に高い価格を設定し、価格にそれほど敏感 ではない消費者層に販売しようとする戦略 目的 12 この戦略を採用するための条件 価格にかなり敏感な消費者が多い 模倣されやすい新製品 15 2つの製品の関係 3.製品ミックスを考慮した価格対応 代替財 補完財 substitution goods complementary goods 製品A ー 製品B の需要 の需要 ― 製品A + 製品B の需要 の需要 ― + 16 参照価格 プライス・ライニング戦略 price lining 製品A の価格 製品B の価格 製品A の価格 19 4.心理面を考慮した価格対応 さまざまな 需要量 D 需要曲線 20 需要量 D’ 消費者が9や8で終わる価格に対して「最大限 に引き下げられている」と感じる性質を利用し た方法 価格 需要量 需要量 価格 需要量 威光価格 prestige price メインとなる製品の価格を安く設定し購入される事で、付 随して消費される製品の価格を相対的に高く設定し、そこ で十分な利益を確保する方法 端数価格 odd price 複数の製品やサービスが組み合わされて販売する場合 に、個別に購入するよりも価格を低く設定する方法 キャプティブ価格戦略 製品B の価格 参照価格が何段階かある場合、各段階に合わせて価格 を設定する方法 抱き合わせ価格戦略 ー 価格の妥当性を判断するために、心の中にある価格 品質やステイタスの高さを消費者へ訴えるた めに、価格を意図的に高く設定する方法 慣習価格 customary price 端数 価格 社会慣習上決まっている価格に合わせる方法 価格 威光 価格 価格 慣習 価格 価格 22 23 「価格が需要に与える影響」を どうやって測るか? 5.割引による価格対応 現金割引 cash discount 数量割引 quantity discount 非累積的数量割引 累積的数量割引 機能割引 functional discount 特売価格 sale price 季節割引 seasonal discount 価格(円) 100 110 需要(個) 10 8 価格が1円上がると、需要は何個上がるか? 価格が1ドル上がると、需要は何個上がるか? 価格は何割(何%)上がったか? 需要は何割(何%)下がったか? 需要は何割(何%)上がったか? 価格が1%上がると、需要は何%上がるか? 6.需要の価格弾力性 (1) 需要の価格弾力性 需要の価格弾力性 price elasticity of demand 6.需要の価格弾力性 (2) 需要の交差価格弾力性 計算方法 「価格が需要に与える影響」を測る方法 24 需要の交差価格弾力性 cross price elasticity of demand 需要の変化率÷価格の変化率 特徴 弾力性が-2 = 価格が1%上がると、需要が-2%上 がる(2%下がる) 価格や需要の単位が変わっても、値は同じ 需要の価格弾力性は一般的に負 ある製品の価格が別の製品の需要に与え る弾力性 交差価格弾力性の符号による、製品の 分類 交差弾力性が正・・・代替財 交差弾力性が負・・・補完財 25
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