フレゼニウス メディカル ケア ジャパン社製Ⅳ型ダイアライザー FX 180の

第19回日本臨床工学会ランチョンセミナーの発表内容を一部変更
フレゼニウス メディカル ケア ジャパン社製Ⅳ型ダイアライザー FX 180 の燃焼ガス量測定と廃棄処理コストの評価
目 的
結 果 1
対象および方法
対象は FX 180(以下 FX),PS膜の製品 A,PES膜の製品
Bとし(表 1),それぞれのダイアライザーを燃焼した時に生成
される燃焼ガス量の測定と,廃棄処理コストを試算した.
【容積単位での比較方法】
所定のダンボール内に廃棄できるセット数をカウントして試算
40cm
80
42 5cm
42.5cm
45cm
40
膜材質
PS
PES
PS
膜面積
1.8m 2
1.9m 2
1.8m 2
タイプ
Wet
スチレン・ブタジエン・
ブロックコポリマー
Dry
Dry
ポリカーボネート
ポロプロピレン
180.3 ※
181.9
129.4
容器材質
重量(g/本)
方 法 1
試験片作成
単位重量あたりの処理コストを用いて試算
3,000
FX 180 vs 製品A
¥
2,000
製品B
差額499.2千円
FX 180
250
0
200
考 察
結 果 2
:¥2 500/箱
処理コスト :¥2,500/箱
製品名
製
製品A
製品B
FX 180
患者数 合計セット数 セット/箱
100
15,600
必要箱数
年間処理コスト
30
520
¥1,300,000
42
371
¥927,500
差額
¥372,500
4,000
NO
NO33
NO3-
FX 180
A, B
差額1,117.5千円
窒素系燃焼ガス発生量では,FX は NH +,CN - ,NO - の
4
3
+
いずれにおいても他に比べて低値を示した.特に,NH 4
は極めて少ない値を示した.
JIS K7217 (A法)プラスチック燃焼ガスの分析方法に準拠
5 000
5,000
<燃焼方法>
燃焼温度:750±10℃ 燃焼雰囲気:空気 雰囲気下
酸素供給量:0.50±0.05L/min 燃焼(捕集)時間:10分間
試料量:0.1g(所定の比率になるように各部材を秤取)
SO42-発生
生量(m
mg/本))
の重量比になるように採取した.
<測定項目>
NO x(窒素酸化物),その他の窒素系燃焼ガス発生量を次の
+
イオンの状態で測定した.NH4 (ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン),
CN(シアンイオン)
, NO3(硝酸イオン)
,SO42(硫酸イオン)
4,000
3,000
2,000
1,000
製品
製品A
製品
製品B
1 0
FX 180
図 4. 結果 1-3 SO42- 発生量
24
差額745千円
においても,FX は他に比べて低値を示した.
1. FXダイアライザーは,他のダイアライザーと比べて燃焼
生成ガス量が少ないことが示唆された.これは,FX が他
製品に比べ約30%軽量であったことが寄与していると考え
られた.
2. FXダイアライザーでは , 窒素系燃焼ガスの発生量が少な
かった.これは PVPを含めた窒素化合物の含有量が FXで
は少ないことが示唆された.
3. FXダイアライザーの使用により,廃棄処理コストは容積
単位では年間約 3 割 , また重量単位では年間約 2 割の削減
可能性があることが示唆された.
1,000
差額372.5千円
0
0
100
200
300
400
し,FXは42本であった . 容積での廃棄コストから換算する
と,1セット(ダイアライザーと血液回路)あたりの処理コス
トは,製品 A, 製品 Bの83円に対し,FXは 60 円であった.
患者数300名では年間約112万円の差と推定された.
0
SO
2,000
図 6. 結果 2-1 患者数別の容積での廃棄コスト比較
所定の廃棄箱への入り数は , 製品 A, 製品 Bの各 30本に対
図 1. 燃焼生成ガス発生量の測定法
400
たりの処理コストは,製品 A が92 円,製品 Bが 89円に対し,
FXは76円であった.患者数300名では年間約75万円の差と
推定された .
100
CN
CN
CN-
300
同一銘柄のダイアライザーを最大限に入れて,1)容積での
廃棄コスト,2)重量での廃棄コストより,各銘柄別の廃棄
コストを試算した.
【条件設定】 年間使用セット数/1患者 :156セット(13×12ヵ月)
0
200
図 7. 結果 2-2 患者数別の重量での廃棄コスト比較
同様に,重量での廃棄コストから換算すると,1 セットあ
150
50
100
図 5. 廃棄処理コストの算出方法
医療廃棄物用に指定された廃棄箱に,血液回路を含んだ
製
製品A
製品B
FX 180
図 3. 結果 1-2 窒素系燃焼ガス発生量
試料を部分ごとに分解し,実際のダイアライザーと同一
差額748.8千円
1,000
3,000
1.NOx
1
NOA 7000 (島津製作所製)
NO :燃焼排ガス用NOx-O2測定装置
燃焼排ガス用NO O2測定装置 NOA-7000
(日本ダイオネクス製)
2.NH4+:イオンクロマトグラフ ICS-3000
3.CN- :イオンクロマトグラフ DX-500i
(日本ダイオネクス製)
4.NO3-,SO42-:イオンクロマトグラフ
ICS-1500 (日本ダイオネクス製)
グ
B
差額249.6千円
+
NH
NH4+4
分析方法
A
0
図 2. 結果 1-1 NO x の発生量
NO のダイアライザー 1 本あたりの発生量では,FX は
x
製品 A,製品 Bに比べて低値を示した.
PS:ポリスルフォン膜,PES:ポリエーテルスルフォン膜
※充填液を廃棄し、乾燥処理後の重量を記載
¥1,435,200
¥1,388,400
¥1,185,600
92
89
76
15,600
FX 180
20
窒素
素系燃
燃焼ガス発生
生量(m
mg/本)
)
FX
100
4,000
【重量単位での比較方法】
製品A
製品 B
差額
¥46,800
¥249,600
患者数 合計セット数 処理コスト/1セット 年間処理コスト
60
表1 対象
製品 A
処理コスト : ¥100/Kg
製品名
製品A
製品 B
FX 180
0
対象
【条件設定】 年間使用セット数/1患者 :156セット(13×12 ヵ月 )
100
NO
Ox発生
生量(m
mg/本)
透析における医療廃棄物の処理は,様々な問題や課題を抱え
ている.今回,ダイアライザーの燃焼処理に伴って発生する
窒素酸化物
(NO x)
などの燃焼生成ガス量が,
各種ダイアライザー
によって異なるのか否かを検討した.また,廃棄処理コストに
ついても言及した.
方 法 2
まとめ
FXダイアライザーは性能だけでなく,小型軽量化により燃
焼生成ガス量を抑え,かつ廃棄処理コストを削減できること
から,透析施設と地球環境にメリットをもたらすと考えられる.