平成27年度 理科 「生物基礎」 シラバス

平成27年度 理科 「生物基礎」 シラバス
科目名
生物基礎
単位数
3単位
授業時数
105時間
指導学年
1学年
指導学科
普通科
使用教科書
副教材
高等学校 生物基礎 (第一学習社)
ネオパルノート生物基礎(第一学習社)
科目の目標
日常生活や社会との関連を図りながら生物や生命現象への関心を高め,目的意識をもって観察,
実験などを行い,生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに,生物学の基本的な概念や原
理・法則を理解させ,科学的な見方や考え方を養う。
評価方法
○定期考査および単元小テスト70%、実験実習・提出物・授業態度等30%で評価を行う。
・定期考査(中間考査・期末考査)は、授業内容を主とし、課題プリント等も範囲に加え、応用も含めて出題する。
・実験と実習については、実験に臨む態度、実験ノート、実習プリント等で評価する。
・提出物については授業ノートや問題演習プリント、実習プリント、休業中の課題等で評価する。
評価の観点
【関】関心・意欲・態度
自然の事物・現象に関心や探
究心をもち,意欲的にそれら
を探究しようとするととも
に,科学的態度を身に付けて
いる。
学
期
月
4
【思】思考・判断・表現
自然の事物・現象の中に問題を
見いだし,探究する過程を通し
て,事象を科学的に考察し,導き
出した考えを的確に表現してい
る。
学習項目
第1章 生物の特徴
1.生物の多様性と共通性
①生物の多様性
②生物の共通性と多様性
の起源
③生物の特性
④細胞の多様性
⑤細胞の構造にみられる共
通性
観察1 原核細胞と真核細
胞の観察
探究活動1 さまざまな生物
の葉緑体
探究活動2 花の色をつくりだ
す細胞内構造
1
2.細胞とエネルギー
①代謝とATP
②光合成
実験1 葉緑体と光合成
③呼吸
④ミトコンドリアと葉緑体
5
【技】技能
【知】知識・理解
観察,実験を行い,基本操作を修 自然の事物・現象について,基本
得するとともに,それらの過程や 的な概念や原理・法則を理解し,
結果を的確に記録,整理し,自然 知識を身に付けている。
の事物・現象を科学的に探究する
技能を身に付けている。
学習のねらい、評価の観点
・ 地球上のさまざまな環境には,多種多様な生物が生息し
てお
り,生物は多様であることを理解する。
・ 現生生物の共通の祖先について,推測される特徴を理解
す
る。
・ 共通の祖先が長い年月の間に変化して,生物が多様化し
たこ
とを理解する。
・ 生物が共通にもつ特徴を理解する。
・ 細胞にはさまざまな大きさや形のものがあることを認識し,
単
細胞生物,多細胞生物の特徴を理解する。
・ 細胞には原核細胞と真核細胞があること,及びそれぞれ
の特
徴について理解する。
・ 身近な原核生物と真核生物を顕微鏡で観察する。
・ 真核細胞において,核・細胞膜・細胞質基質・ミトコンドリ
ア・葉
緑体・液胞・細胞壁の構造と機能の概要を理解する。
・ 葉緑体の大きさとシアノバクテリアの細胞の大きさとの関
係に
注目し,仮説を設定して検証実験を行う。
・ いろいろな色の花と花弁の細胞内の構造との関係に注目
し,
仮説を設定して検証実験を行う。
時
関 思 技 知 数
◯
◯
◯ ◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯
◯ ◯ ◯ ◯
◯ ◯
◯
◯ ◯ ◯ ◯
◯ ◯ ◯ ◯
◯
◯
◯
◯
◯ ◯ ◯ ◯
◯
◯
・ 代謝には同化と異化があること,また,代謝に伴うエネル ◯ ◯
ギー
の移動にはATPが関わっていることを理解する。
・ 光合成は,光エネルギーによってATPをつくり,このエネル
ギーによって有機物を合成する過程であることを理解す
◯
18
学
期
月
学習項目
第2章 遺伝子とその働き
1.遺伝現象と遺伝子
①遺伝子の本体―DNA
② DNAの構造
実験2 DNAの抽出
探究活動3 形質転換
6
2.遺伝情報の複製と分配
①細胞周期
観察2 細胞周期の観察
3.遺伝情報とタンパク質の合
成
①タンパク質
実験3 酵素カタラーゼの働き
②タンパク質の合成
③遺伝子とゲノム
④細胞内での遺伝子の発現
探究活動4 花の色素の違い
と
遺伝子
探究活動5 だ腺染色体の観
察
1
7
9
2
10
第3章 生物の体内環境
1.体液とその働き
①体内環境と恒常性
②体液と物質の輸送
観察3 血球の観察
③肝臓の働き
④体液の濃度調節
探究活動6 ゾウリムシの細
胞
内の濃度調節
探究活動7 周囲の溶液濃
度
の変化と赤血球の関係
学習のねらい、評価の観点
関 思 技 知
・ メンデルによる遺伝子の存在の仮定からDNAの構造の解
明に至るまでの概要を理解する。
・ ヌクレオチドの構造および,塩基の相補性にもとづくDNA
の二重らせん構造について理解する。
・ 身近な材料を用いて,DNAを抽出する。また,染色してそ
の存在を確認する。
・ 大腸菌に取り込まれるDNAと形質転換によって生じた形
質との関係に注目し,仮説を設定して検証実験を行う。
◯ ○
○
◯ ○
○
・ 多細胞生物では,一部の細胞が分裂して増殖しているこ
と,分裂している細胞には細胞周期がみられることを理解す
る。
・ 間期の間にDNAが複製され,細胞分裂を通じて均等に分
配されることで,細胞分裂の前後で遺伝情報の同一性が保
たれることを理解する。
・ 細胞の分裂の各過程で起こる現象を理解する。
・ タマネギの根端を用いて,細胞分裂の各段階を観察する。
◯
○
◯ ○
○
・ 生体内には多種多様なタンパク質が存在し,酵素などとし
てさまざまな働きをしていることを理解する。
・ タンパク質は,多数のアミノ酸が鎖状につながってできたも
のであることを理解する。
・ 酵素の基本的な特徴について理解する。
・ ダイコンに含まれるカタラーゼを用いて実験を行い,酵素
の特徴を確認する。
・ DNAの塩基配列がmRNAの塩基配列に写し取られ(転
写),これがアミノ酸配列に置き換えられる(翻訳)流れを理
解する。
・ 遺伝子はゲノムの一部であることを理解する。
・ 全遺伝子が常に発現してはいないことを理解する。
・ 花の色と色素をつくる酵素との関係に注目し,人為的につ
くられた色の花と自然界に存在する花を比較して仮説を設定
したのち,その検証実験を行う。
・ だ腺染色体のパフを観察し,パフでmRNAが盛んに合成
されていることを確認する。
・ 恒常性と体液の種類である血液,組織液,リンパ液につい
て理解する。
・ ヘモグロビンによる酸素の運搬を中心に,血液の働きと恒
常性について理解する。
・ ヒトの血球プレパラートを用いて,血球を観察する。
・ 血液凝固のしくみと体内環境の保持との関係について理
解する。
・ 心臓の構造,血液循環の経路について理解する。
・ 肝臓でさまざまな物質の合成・分解・貯蔵が行われて,体
液の成分が保たれていることを理解する。
・ 単細胞生物や無脊椎動物,魚類の体液の濃度調節につ
いて理解する。
・ 腎臓の働きによって,体液中の塩類などの濃度が保たれ
ていることを理解する。
・ ゾウリムシを用いて外液の濃度の違いと収縮胞の収縮周
期との関係に注目し,仮説を設定して検証実験を行う。
・ 魚類の赤血球を用いて,周囲の溶液の濃度と赤血球の形
状の変化に注目し,仮説を設定して検証実験を行う。
・ 皮膚や上皮による生体防御について理解する。
・ 免疫を担う細胞や器官の種類と働きの概要を理解する。
2.生体防御
・ 白血球の食作用を観察する。
①皮膚の役割
・ 自然免疫はほとんどの動物がもつ免疫のしくみであるこ
②免疫
と,及びそのしくみを理解する。
観察4 食作用の観察
・ 獲得免疫には体液性免疫と細胞性免疫があること,及び
③自然免疫
それぞれのしくみを理解する。
④獲得免疫
・ 二次応答や拒絶反応が起こるしくみを理解する。
⑤免疫に関する身近な疾患 ・ アレルギーや自己免疫病,エイズなど身近な免疫に関する
⑥免疫と医療
疾患の生じるしくみを理解する。
・ 免疫のしくみを用いている予防接種や血清療法のしくみを
理解する。
時
数
◯ ○ ○ ○
◯ ○ ○ ○
◯
○
◯ ○ ○ ○
◯
○
◯
○
23
◯
○
◯ ○ ○ ○
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◯ ○ ◯ ○
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○ ○
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○ ○ ○ ○
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○ ○
○
○ ○
27
学
期
月
10
学習項目
学習のねらい、評価の観点
3.体内環境の維持のしくみ
①自律神経系の構造と働き
実験4 運動による心臓の拍
動数の変化
②ホルモンによる調節
③血糖量の調節
④体温の調節
・ 動物の体液の濃度が,自律神経系とホルモンの働きに
よって調節されていることを理解する。
・ 自律神経系には交感神経と副交感神経があり,これらが
拮抗的に働くことによって体内環境を調節していることを理
解する。
・ 簡単な運動を行い,心臓の拍動数が意思とは無関係に調
節されていることを確認する。
・ ヒトの内分泌腺の種類と構造,そこから分泌されるホルモ
ンの作用について理解する。
・ ホルモン分泌の調節のしくみについて理解する。
・ 血糖量の調節について,自律神経系とホルモンの相互作
用を中心に理解する。
・ 体温調節のしくみについて理解する。
関 思 技 知
時
数
○
○ 前
○ ○
○ ー
ペ
○
ジ
参
○ 照
○ ○
○ ○
○
○
○ ○
○
・ バイオームの概念を理解する。
○ ○
・ 陸上には,その地域に生育する植物を基盤としたさまざま ○
なバイオームが成立することを理解する。
・ バイオームは,そこに生育する植物の生活形によって特徴 ○ ○
づけられることを理解する。
○
○
○ ○ ◯ ○
11
第4章 バイオームの多様性と
分
布
1.生物の多様性とバイオー
ム
①バイオーム
2
12
・ バイオームは,相観によって森林・草原・荒原に大別される
ことを理解する。
2.バイオームの形成過程
・ 森林には階層構造がみられ,階層によって光などの環境
①植生の成り立ち
が異なることを理解する。
②さまざまな植生
・ 身近な場所で,光環境の違いによって生育する植物が異
観察5 校庭の植生と光環境 なることを確認する。
③植生の遷移
・ 光の強さと光合成速度の関係を,グラフを通じて理解す
探究活動8 アラカシの葉の る。
形
・ 陽生植物,陰生植物の光合成速度の特徴を理解する。
態に及ぼす光の影響
・ 森林の土壌の構造を理解し,熱帯多雨林と針葉樹林の土
壌の違いを考察する。
・ 草原や水辺にみられる植生の特徴を理解する。
・ 植生は不変ではなく,長期的には移り変わっていることを
理解する。
・ 乾性遷移のモデルについて,土壌の形成や光環境の変化
などに注目して理解する。
・ 実際の遷移は,モデルのとおりには進まないことを,先駆
植物などを例に理解する。
・ 同じ樹木でも,光環境の違いによって葉の形態に違いがみ
られることを調査し,環境によって植物の形態が変化するこ
とを確認する。
3.バイオームとその分布
①気候とバイオーム
②世界のバイオーム
③日本のバイオーム
観察6 バイオーム調査
第5章 生態系とその保全
1.生態系
①生態系の成り立ち
②生態系内の物質循環とエ
ネ
ルギーの流れ
観察7 菌根菌の観察
3 1
・ 気温と降水量の違いによってさまざまなバイオームが成立
していることを理解する。
・ 地球上には,それぞれの場所に適応した植物が生育し,
いろいろなバイオームが成立していることを理解する。
・ 世界のバイオームの種類と分布を理解する。
・ 日本におけるバイオームの水平分布と垂直分布を理解し,
各バイオームの特徴的な植物種を理解する。
・ 身近な地域の気温と降水量からバイオームを推定し,野外
で調査した植生と一致するかどうか確認する。
・ 生態系の構成について理解する。
・ 生物は,食物連鎖(食物網)によってつながっていることを
理解する。
・ 生態ピラミッドや物質の生産と消費の関係を理解する。
・ 生態系内における炭素と窒素の循環を理解する。
・ 生態系に入った光エネルギーは,化学エネルギーに変換
され,食物連鎖を通じて生物の間を移動して最終的には熱
のエネルギーとして生態系外に放出されることを理解する。
・植物が菌根菌と共生していることを確認する。
○
○ ○
○
○ ○
○
○ ○ ○ ○
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○ ○
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14
○ ○ ○ ○
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○
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○
15
学
期
月
1
学習項目
学習のねらい、評価の観点
2.生態系のバランスと保全
①生態系のバランス
②人間活動による生態系へ
の
影響
観察8 探究活動9 外来生
物
が在来種に与える影響
・ 生物の個体数や量は,常に一定の範囲内で変動しながら
バランスが保たれていることを理解する。
・ 生態系には復元力があるが,復元力を超えるような撹乱
が起こった場合には,以前とは異なる状態に移行することを
理解する。
・ 人間活動が生態系にさまざまな影響を与えていることを理
解する。
・ 化石燃料の燃焼によって生じる窒素酸化物や硫黄酸化物
によって酸性雨が生じることを理解する。
・ 人間活動に伴う二酸化炭素の排出によって,地球温暖化
が懸念されていることを理解する。
・ 富栄養化や生物濃縮が生じるしくみと生態系への影響を
理解する。
・ 外来生物の移入が在来生物に与える影響について理解す
る。
・ 絶滅危惧種と人間活動との関係について理解する。
・ 身近な河川の水質調査を行い,人間活動と水質や生息す
る生物の関係を確認する。
・ 琵琶湖のオオクチバスを例に,オオクチバスの移入が在来
生物に与えた影響を考察する。
・ オオクチバスと在来生物の生態を比較して,在来種に与え
る影響を考察する。
2
3
3.生態系の保全
①自然環境の保全
3
関 思 技 知
時
数
○ ○
○ 前
○ ○
○ ー
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ペ
ジ
参
○
照
○
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○
○
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○
○
○
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○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○
・ 生態系を保全するために,さまざまな条約が締結され,そ
れにもとづいた国内法が整備されていることを理解する。
○
・ 人間は,生態系からさまざまな恩恵を受けており,それを
受け続けるためには生態系を保全する必要があることを理 ○ ○
解する。
・ 外来生物に対する対策や絶滅危惧種に対する具体的な保
全の取り組みについて理解する。
○
○
○