- 前小3年 1 - 算数科学習指導案 第3学年1組 授業者 教諭 横須賀

算数科学習指導案
第3学年1組
授業者 教諭
1
単元名
横須賀
栄美子
わり算を考えよう
2 単元について
(1)単元観
本単元では,乗法九九を1回適用してできる除法で,余りのある場合の計算の意味と計算
方法について学習することがねらいである。
本単元の系統として第3学年1学期において,除法の意味と乗法九九を1回適用してでき
る除法計算(余りのない場合)について取り扱ってきている。そこでは,除法という新しい
計算方法に出会い,除法には2つの意味(等分除,包含除)があることや除法の答えは乗法
九九を使って求められること,除法は乗法の逆算であることをとらえている。本単元では,
わり切れない場面(余りのある場合)を取り上げて,除法が用いられる場面や計算の仕方を
さらに拡大していくことになる。ここでは,機械的に計算の仕方を身に付けるのではなく,
余りのない時とある時を比較させながら考えることで,今までの計算との違いに気付かせ,
除数と余りの大きさの関係についても理解できるようにしていく。そして,余りのある除法
計算でも,余りのない除法計算と同じ考え方で計算できることを知り,進んで問題解決に活
用できるようにしていくものである。
本単元を基に,第4学年では,被除数が2,3位数で,乗法九九を2,3回適用する除法
計算を学習するので,計算の意味,計算の仕方について算数的な活動を取り入れ,除数,被
除数,商,余りを具体的に確かめながら進めていくことが大切であると思われる。
(2)児童観(男子9名,女子9名,計18名)
2年生の3月に実施した学力検査(標研式CDT)の結果では,数学的な考え方は全国平
均をやや上回っていたが,表現・処理は下回っている傾向が見られた。特に,時刻や長さ,
加法の到達状況が不十分な児童が多かった。
算数の時間における学び合いの取り組みについても,当初は発表を好まない児童が多く,
学び合いも成立しにくい状態であったが,友達の考えを認め合う雰囲気をつくったり,発表
方法を工夫したりしたことで,学び合いの意識に変容が見られるようになった。みんなで話
し合って課題を解決していく学び合いによる学習が「好き・どちらかというと好き」と答え
た児童が17名になり,学び合いに意欲的になってきていることが分かった。主な理由とし
ては,
「学び合うことで分かりやすくなった」とか「友達の考えも分かってたくさん学べる」
ということを述べている児童が多く,学び合いによる学習が児童の学びに大きく役立ってい
ると考えられる。
本単元に関するレディネステストの結果では,余りのない除法計算はほぼ全員が正解し文
章問題の立式も全員ができていた。しかし,答えに付ける単位を間違っていた児童もいたの
で,本単元でも立式する際,単位を忘れずに確認していきたい。余りのある除法問題に関し
ては,4名の児童が正解していたが,他の児童は,立式はできるが,計算時,乗法九九を適
応できないために戸惑っている様子がうかがえた。
(3)指導観
指導にあたっては,除法には,わり切れずに余りのある場合があることを強くイメージさ
せるために,問題提示の場面においてゲーム的な要素を取り入れるなどの工夫をしていきた
い。また,余りのある除法での導入素材としては,わり進むことができない素材を選んで提
示することが大切になるので,素材選びについても吟味したい。余りのある除法では,余り
の意味を確実に理解せずに,機械的な計算だけをしてしまう児童もいると予想されるので具
体物・半具体物を用いて操作活動をし,自ら解決していく過程を大切に扱っていきたい。計
算の確かめにおいても,操作と対応させながら除法の意味理解を深めていくようにしたい。
教科書では,発展的な学習として除法の筆算を取り上げているが,本校では,答えを正確に
しかも簡単に求めるられるよう,指導計画に位置づけて指導していきたいと考える。
- 前小3年 1 -
3
単元の目標
乗法九九を1回適用してできる除法で,余りのある場合の計算の仕方について理解すると
ともに,それを用いる能力を身につける。
4 単元の評価規準
【関心・意欲・態度】
・余りのある除法計算を,余りのない除法計算のときと同様に進んで
問題解決しようとする。
【 数学的な考え方 】 ・既習の除法と関連づけて,余りのある場合の除法でも乗法九九を使
って答えが求められることを筋道立てて説明する。
【 表 現 ・ 処 理 】 ・余りのある除法計算ができ,答えの確かめをすることができる。
【 知 識 ・ 理 解 】 ・余りの意味,余りと除数の大小関係,及び余りのある除法計算の仕
方を理解する。
5
単元の系統
2
年
⑩「かけ算」
・乗法の意味 ・1~9の段の九九
・乗法と積の関係 ・乗法の交換法則
・倍概念の基礎
3
①「かけ算」
・乗数と積の関係
年
・乗法の交換法則
③「わり算」
・除法の意味 ・九九1回適用の除法(余りなし)
・1や0の除法・倍と除法の意味
⑧「余りのあるわり算」
・九九1回適用の除法(余りあり) ・答えの確かめ方
6
4
年
③「わり算の筆算(1)」
・2~3位数÷1位数の筆算形式
・倍と除法の意味の拡張・1位数でわる除法の暗算
⑨「わり算の筆算(2)」
・何十でわる除法・2~3位数÷2位数の筆算形式
・除法の検算のしかた ・除法について成り立つ性質
指導・評価計画(本時1/9)
小単 時 前日の宿題
学 習 内 容
元名 数 用プリント
【 評 価 規 準 】
1 №1復
○乗法九九を1回適用してできる除法で,余りのある場合の計算
かけ算九九
方法を理解する。
本 余りのない 【考】わりきれない除法計算を,既習のわり切れる場合と結びつ
時 除法計算
けて考えている。
【知】余りの意味を理解している。
余
り 2 №2復
○ そ れ ぞ れ の 数 値 の 意 味 を 確 認 し,「 わ り き れ な い 」「 わ り き れ
の
余りのある
る」の用語の意味を知り,適用問題に取り組む。
第 あ
除法計算で 【知】それぞれの数値の意味を理解している。
一 る
どの九九を 【表】わり切れない除法計算を識別することができる。
次 わ
使うか
り 3 №3復
○余りと除数の関係を理解する。
算
わりきれる 【知】除数は余りより大きくなることを理解している。
・わりきれ
ない問題の
識別問題
4 №4復
○除法の筆算形式について知り,除法への関心を広げる。
余りの大き ○習熟問題に取り組む。
さに関する 【表】余りのある除法の答えを筆算で求めることができる。
問題
5 №5 №6 ○余りのある場合の除法計算について,答えの確かめ方を理解す
次
- 前小3年 2 -
6
第
二
次
第
三
次
ああ
るま
問り
題の
ま
と
め
7
8
9
復筆算形式
の 除 法 問
題,答えの
確かめ問題
№7復
答えの確か
め問題
る。
【表】余りのある除法の答えを乗法九九を使って求めることがで
きる。
【知】余りのある除法の答えの確かめ方を理解している。
○余りのとらえ方について理解を深める。
【考】場面をとらえて,商に1を加えた数が答えになることを筋
道立てて説明できる。
№8 №9
復文章問題
計算の習熟
○「力をつけよう」「たしかめよう」に取り組む。
【表】学習内容を正しく用いて問題を解決することができる。
【知】余りのある除法の答えの求め方を理解している。
7 本時の指導
(1)小単元名
(2)本時の目標
余りのあるわり算
乗法九九を1回適用してできる除法で,余りのある場合の計算方法を既習
事項と関連付けて考えることができる。
(3)研究テーマとの関連
研究主題に迫るために,本時では,以下の視点に基づき指導を工夫していきたい。
視点1 児童が自ら考え,分かる喜びを感じさせるための授業の工夫・改善
1)児童自らが考え,学び合う授業づくり
①問題提示・教材教具の工夫
○条件過不足問題の提示
除数にあたる数字を□で表して,問題文を提示する。答えを求めるために必要な条件
を考えさせることで,本時の問題に関する興味・関心を高める。
○体験的活動による問題場面理解
イメージが容易な包含除の場面を取り上げる。学習への期待感を高め,余りに意識を
集中させるために,導入時に「集合ゲーム」を取り入れる。身近な生活の中でわりきれ
る場面やわりきれない場面を体験することで,余りのある除法の場面のイメージ化を図
り,両者を対比させることによって,演算場面としては同じことから,除法の立式でよ
いことをとらえさせる。
③学び合いの工夫
○学習形態の工夫
本時では,自力解決できる児童が多いと予測されるので,自力解決が終わった後,児
童が黒板の前に集まり,学級全体で練り合う場面を設定する。自力解決が早く終わった
児童には,ペアをつくって発表練習させることも考えておく。
○話し合いを深める工夫
<互いの考えを理解し合う>
多様な考え方に気付き,類型化につなげるために,発表されたボードをみんなで見合
い,同じ考えのボードの所に一緒に集約する。
< つまずきを生かす >
自力解決の段階でつまずいている児童がいた場合は,個別に支援するが,学級全体
の練り合いの場面でも効果的に取り上げ,他の児童との意見交換の中で学習をより深
いものにしていく。そのためにも,発表をしっかり聞き,互いの考えを認め合い,共
感的な気持ちで学習できる雰囲気作りも心がける。
< 意見をつなぎ合わせるための発問>
1人の考えだけで問題を解決するのではなく,児童の考えをつなぎ合わせて学習を
深めていくことを大切にしたい。教師は児童の考えを引き出すような発問を吟味する。
○学習用具の工夫
<ハンドサインや気持ちメーター>
本時では,見通し後の自力解決に入る場面と発表開始場面で自作アナライザー(気
- 前小3年 3 -
持ちメーター)を使用する。児童の自信度や理解度を把握することで,支援内容や発
順を決める際のめやすにする。また,ハンドサインは,主に友達の発表を聞いた後に
活用し,児童の考えを集団の練り合いにうまく取り上げられるよう使用する。
視点2 学習意欲を高めるための家庭学習の支援
1)家庭学習の工夫
①授業とかかわった宿題用プリント
本単元の学習は,既習事項との関連がたいへん深いので,単元に入る前日から,乗法九
九や余りのない除法計算・文章問題に関する宿題用学習プリント(復習型)に取り組ませ
前単元の学習内容を十分に想起させておく。本時では,余りのある除法問題の立式場面や
答えを求める場面において,宿題用プリントで取り組んだ既習問題と結びつけて考えられ
るようにする。両者を対比しながら進めることによって除法の意味をさらに拡張させてい
けるので,プリント内容を十分に吟味し作成する。
(4)学習過程
段階
学 習 活 動
1 問題場面をとらえる。
(1)問題文を読み,問題を理解する。
子どもが14人います。1グルー
プを□人ずつにすると,同じ人数の
グループはいくつできますか。
つ
・□にはどんな数字が入るのかな?
か
・何算になるのかな?
む
・何のわり算かな?
(2)集合ゲームを通し,既習の除法との
10
違いに気付き,式を類別する。
分
・ぴったり分けられたぞ(すっきり)
・九九がすぐ使えた数字だ
・余った人がいた(もやっと)
・九九がすぐには使えない数字だ
2
見
通
す
5
分
学習課題をつかむ。
14÷3の答えの見つけ方を考えよ
う。
3 課題解決のための見通しを立てる。
・14÷2や14÷7はできたけど
・3のだんの九九を使いたいけど14と
いう答えがないな
・集合ゲームを思い出して考えよう
・おはじきで考えよう
・図にかいて考えよう
4 課題を解決する。
(1)答えの見つけ方を自分で考える。
・絵・図にかいて考える
・おはじきで考える
・3の段の九九を使う
・式をかいて考える。
指導上の留意点 【】評価(方法)
○条件不足の問題を提示することで学習に
意欲をもたせる。<視点1 1)①>
○除法が適用されることを確認し,□が2
の場合の時の立式と答えを考えさせる。
14人÷2人=7つ
○既習事項を想起させ,除法の2つの意味
(等分除,包含除)も確認をしておく。
○4人の児童は,太鼓を叩いて問題提供す
る。聞いた太鼓の回数と同じ人数が集ま
りグループをつくる。(ホールにて)
○余りのある場合とない場合の違いに気づ
かせるようなグループの人数を書いた数
カードを準備しておく。
(2回,7回, 3回,5回,4回)
○九九からすぐに答えを探せない式の答え
の求め方を学習することを確認する。
○この場合も除法で表せるかを確かめてか
ら課題をノートに書かせる。
○既習の除法のように九九を使って計算で
きないかとか,どのように考えたら答え
を見つけられるのかなどの発問をし,見
通しがもてるようにする。
○気持ちメーターで自信度を把握し,自力
解決が困難な児童を確認する。
○余りの用語は児童が意識し始めたら知ら
せることにする。
○自分の考えが決まったら,ホワイトボー
ドにペンで書かせ,発表準備をさせる。
【数】わり切れない除法計算を,既習のわ
り切れる場合と結びつけて考えてい
る。(操作・発言・ノート)
○式で表している児童にも,具体的な操作
で確かめるよう助言する。
○早く終わった児童には,ペアで発表練習
- 前小3年 4 -
考
え
る
18
分
まと
める
5
分
ひろ
げる
7
分
(2)学級全体で発表し検討する。
・絵,図
・おはじき
○ ○ ○ ○
●●●
○ ○ ○ ○ ○
●●●
○ ○ ○ ○ ○
●●●
●●●
(かけわり図)
●●
・3の段の九九
3人 3×3=9
5あまる
4人 3×4=12
2あまる
5人 3×5=15
1不足
・式にかいて
減法で 14ー3ー3ー3ー3=2
乗法で 3×4=12 12-8=2
除法で14(人)÷3(人)=4(つ)あまり2(人)
させる。
<視点1 1)③>
○座席表を活用しながら机間指導し,発表
順の見当をつける。
○黒板前に集合させ,1つの方法につき1
人程度発表させる。
○「は やく か んた んに せ い かく に の法則」で最
良の方法にしぼる。
○余りのある除法の式の表し方を知らせ
る。 14÷3=4あまり2
○操作活動と図,式を互いに関連づけ,理
解を図るようにさせる。
○九九を使った答えの求め方について,児
童から考えを引き出せるような発問を工
夫する。
「3の段の九九に14がない場合,どのよ
うにして答えを見つけますか」
5
本時の学習をまとめる。
14÷3の答えを見つけるときも,
3のだんの九九を使います。
6
7
8
適応問題をする。
学習感想を書いて,自己評価する。
次時の予告をする。
○答えの求め方はできるだけ児童のことば
でまとめられるようにしたい。
【知】余りの意味を理解している。
(発言・ノート)
○適応問題を3問させ,教師の操作活動で
確認させる。
○学習後の感想を書かせることにより,学
習内容の成果を振り返らせる。
(5)評価
乗法九九を1回適用してできる除法で,余りのある場合の計算方法を考えること
ができたか。
(6)板書計画
問子どもが14人います。1グルー
プを□人ずつにすると,同じ人数の
グループはいくつできますか。
すっきり
14÷2=7
14÷7=2
習ったこと
もやっと
14÷3=?
14÷4=?
14÷5=?
課 14÷3の答えの
見つけ方を考えよう。
・ 図・絵・おはじき
●●●
●●●
●●●
●●●
●●
・九九
・ひき算
・かけ算
・わり算
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ま14÷3の答えを
見つける時も,3の
だんの九九を使いま
す。
○
○
○
○
○
(かけわり図)
3人 3×3=9
5あまる
4人 4×3=12 2あまる
5人 5×3=15 1不足
14ー3ー3-3=2
3×4=12 14-12=2
14(人)÷3(人)=4(つ)あまり2(人)
答え 4つできて2人あまる
今日の学習
- 前小3年 5 -