ホウネンエビに比べてカイエビの知名度が低いのはなぜか?

全国都道府県教育長協議会会長賞
ホウネンエビに比べてカイエビの知名度が低いのはなぜか?
岐阜県関市 倉知小学校 6 年 山田
★研究をはじめたわけ
佑哉
⇨①カイエビは,水面近くで泳ぐ割合が小さい。
昨年からカイエビの研究をしていて,カイエビ
がホウネンエビに比べて,あまりにも知名度が低
いことがずっと疑問だった。仮説を立てて,その
理由を解明しようと思った。
【仮説1】カイエビはホウネンエビより目立ちにくい
⑴①卵の大きさや形…田んぼからホウネンエビの
卵を見つけ出し,カイエビの卵と比較。
②ホウネンエビは,体全体の特徴がわかりやすい
背泳ぎが100%に対して,カイエビは,体全体の
特徴がわかりやすい横泳ぎがたったの12%。
◎目立ちにくさにつながっていると考えられる。
⑸体の色→ホウネンエビは植物プランクトンを食
べるのに対して,カイエビは土中のえさを食べる。
⇨ホウネンエビの体は田んぼで目立ちやすい緑色
になるが,カイエビは土と同色で目立たない。
カイエビ ホウネンエビ
カップケーキ形 サッカーボール形
0.16mm
0.22mm
黄色
ベージュ色
⑹光に対する傾向→カイエビはホウネンエビほど
⑴②体の大きさ…土に水を入れ
⇨ホウネンエビは明るい目立ちやすい場所に集ま
卵の形
大きさ
色
光に向かう傾向はない。
て,1週間後と2週間後の体の大きさを比較。
▲
カイエビ ホウネンエビ
1週間後
3.2mm
4.2mm
2週間後
5.3mm
3.9mm
約3週間で9mm 超のホウネンエビもいた
⇨カイエビは,卵も体の大きさもホウネンエビに
比べて小さいので,
目立ちにくいと考えられる。
⑵目としっぽのつくりの比較
るが,カイエビはそうでもないので目立たない。
【仮説2】カイエビはホウネンエビより出現数が少ない
⑴ふ化数が少ない?…乾燥させた田んぼの土に水
(昨年両方の生息を確認済みの田んぼ)
を入れ,ふ化して現れた幼生をカウント。→ふ
化数はほとんど同じだった。
⇨カイエビの出現数が少ない理由にならない。
⑵流されやすい?…水流のある容器内で,どちら
が流されやすいか比較。→カイエビの全勝。
⇨カイエビの出現数が少ない理由にならない。(カ
イエビは水に流されにくい体のつくりであることを新たに発見。)
⑶動きがおそく敵にねらわれやすい?
→外からの刺激に対して,ホ
ウネンエビは通常の24倍速
⇨カイエビは,ホウネンエビに比べて目としっぽ
が目立ちにくいと考えられる。
⑶脚の動きの比較
⇨カイエビは脚の
の瞬間的な速さで逃げた。
カイエビはその場で擬死する。
⇨カイエビは,ふ化後,敵に
▲撮影した映像で分析
食べられて出現数が少なくなると考えられる。
数は 14 対とホ
⑷寿命が短い?→カイエビの平均寿命は2∼3週
も多いが,脚を
⇨ふ化後2∼3週間後には,カイエビの出現数が
そく,動かし方
■実際の水田で検証
ウネンエビより
動かす速さはお
が小さい。
▲
ホウネンエビの脚の動き
の分析結果の一部 ⑷泳ぐ位置や泳ぎ方の比較…泳いでいる様子をビ
デオで撮影して調べる。また,泳ぎ方と上から
見たときの見えやすさを調べる。
間,ホウネンエビの平均寿命は約1か月半。
減ると考えられる。
(田んぼに水が入ってから5週間調査)
①水田を作っている人でも,
カイエビの知名度は低い。
②やはりカイエビは目立ちにくい。
③やはり3週間後には,カイ
エビの出現数が減る。