梶原直人・高田宜武・木暮陽一・井関智明・八木佑太 干潟及びアマモ場の

平成22年度
課
題
名
3-1 底質
(小課題名)
水産総合研究センター・日本海区水産研究所
実施機関・研究室名
海区水産業研究部 資源培養研究室・沿岸資源研究室
梶原直人・高田宜武・木暮陽一・井関智明・八木佑太
担当者氏名
1.目的
2.方法
干潟及びアマモ場の各調査定点について、各季節の調査毎に底質の概要を把握するため、
底質の採集を行った。50ml チューブ(2.8 ㎝径)を底質表面から深さ 10 ㎝まで差し込んで底質
を直接採集し、実験室に持ち帰って、採集チューブのまま凍結保存した。凍結したサンプルは解
凍後以下の分析に用いた。
粒度分析は、Wentworth の粒径区分に従い、2mm 以上を礫、2~1mm を極粗砂、1~1/2mm を
粗砂、1/2~1/4 ㎜を中砂、1/4~1/8mm を細砂、1/8~1/16mm を極細砂、1/16~1/256mm をシ
ルト、それ以下を粘土とし、各分画について重量百分率を算出した。
強熱減量については、試料の乾燥重量を計測後 550 度 6 時間の加熱を行い、加熱後の重量の減少
分を重量百分率で 0.1%の単位まで算出した。
含水比は、検体の水分重量を固相重量(乾燥重量)で除した値に 100 を乗じた百分率で算出した。
なお、本報告書において、解析は 2010 年 12 月調査分までの 81 検体について行っている。
3.結果
各採集時期・採集地点毎の粒度分析結果の概要について述べる。釧路では細砂主体でそれ
より粗粒な成分で主に構成されている HT と、細砂主体でそれより細粒な成分で主に構成さ
れている HZ に大別することができた。昨年との比較では、HT における礫及び粗砂までの成
分の増加が顕著であった。横浜では中砂及び細砂主体の構成となっており、釧路の HT と類
似した粒度組成であるが、細砂よりも細粒な成分が HT よりも少ない傾向があった。また、
横浜の各定点における粒度組成は昨年と同様の傾向である。佐渡では NZ-1 が NZ-2 よりも粗
粒な成分で構成されていたが、礫や粗砂は他地域と比較して少なかった。昨年との比較では、
NZ-1 の粗粒成分が減少している傾向があった。瀬戸内では、ST が細砂主体の安定した組成
を示しているのに対し、SZ では SZ-1 がほぼ泥分の構成となっており、ST よりもさらに粗粒
な中砂主体で構成されている SZ-2 と大きく異なっていた。特に、SZ については昨年の傾向
とも大きく異なっていた。石垣については分級が悪く、礫から細砂の広範囲にわたる粒径が
主体となって構成されており、昨年と同様の傾向であった。このように、各調査定点で大ま
かな底質の傾向が異なっていることは昨年と同様であったが、昨年との比較で粒度組成の傾
向が異なった定点も見られた。
各採集時期・採集地点毎の含水比の分析結果の概要について述べる。含水比は砂質主体で
構成されている定点については概ね 30~50%台を示したが、ほぼ泥分で構成されている瀬戸
内の定点については 100%前後の値を示した。このように、含水比では、地域別の差異と考
えられる傾向は認められず、底質を構成している主体が砂質か泥分かによってほぼ一定の範
囲内の値を示すのは昨年と同様である。また、粒度組成との対比では、同じ定点内でも泥分
の含有量が変動すれば、それに応じて含水比も変動する傾向が見られた。
各採集時期・採集地点毎の強熱減量の概要について述べる。強熱減量については、粒度組
成の細粒分の多寡と連動した傾向が見られ、昨年と同様の傾向であった。すなわち、砂質主
体で構成されている定点については概ね3%以下を示しているが、石垣では底質が石灰主体
の珊瑚礫・珊瑚砂であることにより、石灰分の一部が加熱によって損失したために結果とし
て本来の強熱減量より過大な値が得られる現象であると考えられる。また、石垣の定点にお
ける強熱減量が、他の砂質主体の定点と比較して 2%程度高い点も昨年と同様である。
4.成果の発表、活用等
梶原 直人
安価で簡便な測定器を用いた底質モニタリングの試み
平成22年度日本水産学
会秋季大会講演要旨集 69.
底質の硬度を干潟・砂浜のモニタリング項目として普及させるための簡便・安価な測定器具を
導入し、実用性に問題がないことを確認した。本成果の活用については事前に要相談が望ましい。
5.事業推進上の問題点等
6.次年度の計画