No.10「目標に向かってひたむきに」

風 のかたち
No.10
安田小学校
新田 哲之
2015 年 9 月 24 日
チャレンジ
・・・目標に向かってひたむきに・・・
学校で学んでいると、計算がもっと速くできるようになりたい、絵が上手になりたいと子どもは思い
ます。そんな思いはだれしも持つのですが、その努力を途中でやめてしまうことがあります。大人の私
たちも子ども時代経験済みでうまくいかないことの方が多いのかもしれません。
運動会の練習が始まった先週、1 年生の女の子が登校してすぐにお手紙ノートを開いて持ってきまし
た。お手紙ノートの中の日記を読んでほしいというのです。そこには、たくさん書けたという喜びが感
じられました。
きょう、たいいくがありました。
にねんせいとごうどうたいいくは、はじめてでした。
なのでどきどきしました。
にねんせいはじょうずでした。
いちねんせいたちは、にねんせいよりももうちょっとがんばりたいです。
それから、うんどうかいでだんすをにねんせいといっしょにじょうずにお
どって、はくしゅをいっぱいおきゃくさんにしてもらいたいです。
1 年生の日記指導(作文指導)は、
「はじめ」
「なか」
「まとめ」の順に、話題を提示し、その話題の内容
を書き、自分の思いをまとめることです。この日記でいえば、3 行目まで書けていれば、良く書けている
ということです。これから、だんだんと「なか」の話題の内容がふくらんで見たことや話したことが書
けるようになります。この日記には 3 行目の「まとめ」の「どきどきしました」のあとに自分の思いが
付け加えられています。
「なか」のダンスの内容を書くよりも、ダンスへの思いの方が強いことがうかが
えます。日記指導を子どもの心に寄り添って考えてみると、思いの強さが目標に向かってやり抜く力に
なるのだと思います。思いが強ければ、どうすればよいか目標を立て、思考、判断、表現(行動)がで
きるのではと思います。この女の子は、2 年生よりも劣っていることを自覚し、ダンスが上手になり、お
客さんに拍手をもらうという目標を持っています。これからの運動会のダンス練習で、女の子は教師か
らの指導をしっかり聞き、体を動かし表現すると想像できます。
元気よく遊んでいた子どもが休み時間の途中に教室に戻ることがあります。野球をやっていて友だち
に下手と言われたようで、やる気がなくなったようです。下手と言う友だちのことよりも途中で戻る子
どもが気にかかります。こんな子は、図工で作品を作っていても途中で投げ出してしまいます。投げ出
したのは、○○くんが邪魔をした、道具を忘れたなど人やモノのせいにします。初めは、
「野球が上手に
なりたい」
「工作で自分のアイデアを実現させたい」と強い思いはあっても、思いだけではうまくいかず、
何らかの理由をつけてやめてしまいます。こんな子どもに負けるな、がんばろうと言ってもがんばれま
せん。目標を考えさせて、方法を考え、判断し、行動させること、つまり、自ら学ぶ力をつけてやるこ
とが必要です。いきなり野球が上手になることはできないので、キャッチボールで相手の胸に投げると
いうような目に見えて分かる目標を一緒に考え、自分で決めたという自覚を持たせます。そして、練習
でうまくいかなければ相談に乗り、うまくいけば評価してやります。
子どもたちに 2 学期のみんなの目標はチャレンジ、国語力、リーダーシップと話しました。どの学年
も取り組んでくれています。運動会の目標もチャレンジにしました。日記を見せてくれた 1 年生は自ら
目標を立てたので、きっと目標に向かって立ち向かいチャレンジすることと思います。今、多くの子ど
もがチャレンジしている最中です。途中で投げ出してしまう自ら学ぶ力のついていない子どもにも、こ
の運動会で目標を立て、チャレンジしてほしいと願っています。そのためには、人のせいにしてやめて
しまうのを見抜くこと、そのうえで、子どもの思いに寄り添い、具体的に何をどうすればよいか、思考・
判断・行動するところまで一緒に考え、まずは一歩踏み出させることを家庭と学校でやっていきましょ
う。