No.31『学校の始まり』

風 のかたち
No.31
安田小学校長
新田 哲之
2016 年 4 月 25 日
学校の始まりに
学校のくすのきが新しい葉をつけ、鮮やかな緑が校庭を明るくしています。地にしっかり根
をはり、空に向かってまっすぐ伸びるくすのきを見ますと、子どもの成長を果たす学校教育の
使命を感じます。
学校の始まりの始業式に、学校全体で取り組む3つの目標を伝えました。
1つ目は、礼儀です。しつけ教育という本があります。今年はこれをもとにみんなで礼儀が
身に付くようにしていきます。安田の子は、礼儀正しくてしつけができていると言われる学校
にしていきます。
2つ目は、国語力です。算数をするにも社会をするにも先生の話を聞き、自分の考えを人に
話すことでかしこくなれます。国語はすべての学習の基礎です。今年も聞く力と話す力をつけ
ます。それに加え、書く力をつけます。3 年生以上のみなさんは日記を生活ノートに書いていま
す。日記を書いたら最後に漢字を何文字書いたかを書きます。漢字をたくさん使えば、考える
力がつきます。考える力がつけば、体育でも音楽でももっとできるようになれます。
3つ目は、チャレンジです。夢や希望をもってチャレンジし、実現する力をつけます。
1年生から 3 年生は失敗が財産になる時期です。どんどん失敗してください。1 年生で「登り棒
の上まで登りたい」と誰しもいますがなかなかできるようにはなりません。手のひらに豆を作
り、足の甲の皮がむける人ができるようになります。いろいろなことができる子は練習するの
が当たり前と思っています。ですから練習するのは苦ではなく当たり前のこととして練習して
います。1,2,3年生はどうやればいいか悩むのではなく、こうしてみよう、駄目ならこう
しようと体で考えながらやります。4 年生、5 年生は、夢や希望をかなえるために今何をすれば
いいか考えてから行動します。今を考えるのです。そして、6 年生では世界観が広がる時期です。
未来を思考する学習を行います。
「しつけ教育」
「国語力」
「夢・希望」これら3つに加え、
「くすのき」
「グローバル人材育成」
の5つのプロジェクトを昨年に続いて取り組んでいきます。
くすのきプロジェクトというのは、安田の教科「くすのき」の授業のことです。くすのきの
授業では、1 年生のはじめの時期に授業準備やものの片付け指導をしっかりやります。授業中の
話を聞く姿勢も身につけます。1 年生の子どもたちは難しい計算がしたい、お話を読んだり文を
書いたりしたいのですが、入門期の指導として「しつけ教育」は欠かせません。もちろん、花
を育てて観察記録を書いたり、七夕について調べ学習をしたり、理科や社会につながる体験的
活動をくすのきの授業でやり、自然に親しみ、伝統文化を大切にする学習をしますが、しつけ
指導を 1 年生から 3 年生までにしっかりと習慣づけるようにします。4 年生からはこの良い習慣
を意味づけていきます。これまで親や先生の言うことを聞いていた時期から次第に自分の判断
基準で行動する時期に変わってきます。10 歳を過ぎるとこれまでの良い習慣をやらなくなるこ
とがあります。礼はなぜこのような所作をするのか、どういう意味があるのか、自分はどう行
動すべきかを教えたり考えさせたりして、自分で考えて行動する学習をします。型にはめたし
つけは心からのものでなければなりません。相手に敬意を持った上での礼儀(型にはめたしつ
け)こそ、子どもたちが大人になって生きていく上で必要なことです。
グローバル人材育成プロジェクトは、自己の確立と人間理解と英語力です。はじめの2つは、
くすのきのカリキュラムに位置づけて学習しています。英語教育はカリキュラムと教材を変え
ました。3 年生までは授業時数を増やしました。日常使える英語をすらすら話せるまで指導しま
す。ひとつの文を聞いて、書いて、読んで、歌って、すらすら言えるまで練習します。
この5つの取り組みで子どもの眼差しを前に向け、くすのきのようにまっすぐ伸ばしていき
ます。