旧正月の里帰り 上海駐在員事務所 藤光 雅之 2015 年の旧正月は 2 月 18 日の大晦日から始まりました。 旧正月は中国の人たちにとって、 一年のうち最も重要な祝日で、家族や親せきと集い、餃子などの正月料理を食べます。 今年は 2 月 4 日から帰省ラッシュが始まり、中国交通運輸部の予想によると、延べ 28 億 人もの人々が、バスなどを含む自動車(24 億人)や鉄道(3 億人)、飛行機(0.5 億人)な どを使って国内を移動すると発表しました。 経済の発展に伴い、近距離の移動には自動車を利用する人が多くなったものの、長距離 の移動は値段が安いことから一般庶民の多くは今でも鉄道を利用します。しかし、その切 符は販売される枚数に制限があることから取りづらく、一般庶民の悩みのひとつになって います。 中国では 2011 年から切符のインターネット販売が始まりました。そこで新たに登場した のが切符のインターネット販売を利用した購入代行サービスです。業者はお客から身分証 明書の個人情報を入手し、代行してインターネットで切符を購入、対価として手数料(切 符 1 枚で 80 元≒1,600 円から 120 元≒2,400 円)を得るというものです。 切符がインターネットで購入できるのであれば、わざわざ手数料を払ってまで代行サー ビスを利用する必要はないように思えますが、以下の理由から代行サービスを利用する出 稼ぎ労働者が増えているようです。 ①販売枚数に制限があり、希望通りの切符を買えないことがある ②販売開始日時が決まっており、代行サービスを利用したほうが確実に入手できる ③窓口販売分を購入するためには、時間を割いて長蛇の列に並ぶ必要がある 毎年の旧正月を故郷で過ごすのを楽しみしてい 帰省客で込み合う上海駅 る出稼ぎ労働者はたくさんおり、代行業者に手数 料を払ってでも確実に帰れる方法を選びたいと思 う気持ちは理解できます。 そこに着目した切符の購入代行サービスは、何 でもビジネスにつなげる、商魂逞しい中国人の一 面を象徴する商売だと思います。 (2015 年 3 月)
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