1946年 鉄のカーテン 極東軍事裁判 天皇人間宣言

---------- 1946 年 海外 ----------3 月 鉄のカーテン演説 「冷戦」の始まり。
元イギリス首相 チャーチルがアメリカに招待されたときに大学で「今、バルト海
からアドリア海にかけて『鉄のカーテン』がひかれている」と資本主義諸国と社会
共産主義諸国に世界が 2 つに分かれている、と示唆した。相変わらず鋭いおじさん
だ。この「資本主義諸国と社会共産主義諸国の戦いは「冷戦 Cold War」と呼ばれ
た。ソ連は強引に、ルーマニア、チェコ、スロバキア、ブルガリア、ポーランドな
ど、大戦中に占領した国を「衛星国」として共産主義政権を作り、自分
の勢力拡大に熱心だったからだ。特にポーランドとチェコはウラニウム
の産出が期待されていた。つまり原爆製造である。結局チェコでウラニ
ウムが発見されて、1949 年には原爆の製造と保有に成功する。冷戦構
造は、そのままアジアにも飛び火し、朝鮮とベトナムは「熱い戦争」に
なる。
7 月 フィリピンがアメリカから独立
ただしフィリピン国の支配階級・上流階級は、元々アメリカによる植民地統治に積極的に協力し、子供
をアメリカに留学させるなどして、親アメリカ的態度=親米路線を取っていたから、目立った混乱はな
く、アメリカはフィリピンに自軍の海軍基地や空軍基地を保有したままの独立だった。この 2 国は 53
年に相互防衛条約も結ぶ。
12 月 インドシナ戦争が起こる
ベトナム民主共和国とフランスは、独立の条件交渉でもめて 1954 年まで
続く。ベトナムはインドシナ半島東部にあるから「インドシナ戦争」とい
う。インドネシアとは違うので注意する。そして 1954 年にフランスに大
打撃を与えたので、協定によりいったんベトナムを南と北に分離して停戦
する。しかしアメリカが南部の勢力に手厚い援助をしたことが災いして南
の政権は腐敗し、1960 年に南部の国内に革命勢力が作られ、1965 年から
「対アメリカ ベトナム戦争」が始まり、1974 年まで続く。つまりベトナ
ムは、合計約 25 年以上も独立統一戦争を続けたことになるが、社会主義
国とはいえ、この驚異的なねばり強さは見習うべきだろう
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中学生のための現代史…これを読めばわかるかもしれない
---------- 1946 年 日本 ----------1 月 天皇人間宣言、GHQ は 20 万人以上の公職追放を命じる
天皇の人間宣言はよく読むと「力を合わせて再建していこう」が主題。また
戦前の政治家、教育者、財界人などは、統治のじゃまになるので公職から追
放された。1951 年に解除がされ、復職してくるので、完全に日本が新しくな
ったわけではない。
4 月 総選挙で初の女性議員が当選する
39 人の女性国会議員が生まれた。男と女がいて初めて「人間らしい思考」
ができるのだから、アメリカの改革で褒められるのはこれだろう。日本が
自力で実現できなかったのは、本当に残念だった。
5 月 戦争犯罪人の極東軍事裁判を行う
2 年後の 1948 年 11 月に 7 人に死刑判決が出て、12 月 23 日に死刑は執行さ
れた。次の天皇である当時の皇太子の誕生日にわざと執行したとしか思えな
い。昭和天皇は非常なショックを受けられ、侍従は「見ていられなかった」
と証言する。世界中の多くの法学者はこの裁判は無効だといい、マッカーサ
ーまで意義を否定しているのに、多くの日本人だけがこの裁判の有効性を認
めているのは、敗戦を招いた彼らに対する憎しみであろうか。
10 月 GHQ が「五大改革指令」を出す
①女性参政権、②労働組合の結成、③教育の自由化、④秘密警察の廃止、⑤経済機構の民主化と第 2 次
農地改革を指示した。⑤の経済機構の民主化が 11 月の財閥解体であるが、それは戦争を支持した古い財
界ではなく新興の財界勢力を作り、アメリカの占領政策に協力させる意図だった。
11 月
財閥解体
財閥解体は、GHQ の「経済機構の民主化」政策に沿って行われ、三菱、住友などがその対象だった。そ
して対アメリカ戦争を支持した古い経済界のメンバーではなく、新興の財界勢力を作り、アメリカの占
領政策に協力させる意図でもある。この「~の自由化」という言葉がアメリカから発せられるとき、そ
れは「アメリカも~に参入させろ」の意味だと取った方が良い。政治体制の変化より、経済的変化の方
が先に起きる、と覚えておこう。
小林秀雄が「無常といふこと」を出す。小林秀雄は川端康成の親友。秋に正倉院の宝物が一般展示された。宝物は戦
火を避けて保管されていたが「宝物を戻す前に公開してほしい」との声が上がり、敗戦で打ちのめされた人たちに自
信と誇りを取り戻してもらうため、
「白瑠璃碗」などを展示した。この年から「正倉院展」が始まる。
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中学生のための現代史…これを読めばわかるかもしれない