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09. 座標と座標参照系
Morishige Ota (太⽥田守重) at Chuo University from April to July, 2015 クイズの解説
(a)
平⾯面図法
地球と平⾯面の接点から離離れるほど、誤差が⼤大き
くなるが、接点の周辺の円形の地域の投影には
適している。 (b)
円筒図法
地球と円筒が接する線(bの場合は⼦子午線)か
ら離離れるほど誤差が⼤大きくなる。⼦子午線の周辺
の帯状の地域の投影には適している。
前回は何をしたか?
1. 各⼈人が作成したkitを併合して,コンビニの⽴立立地を⾏行行う.
2. 応⽤用スキーマの代替案評価を⾏行行う.
3. これまでの授業を振り返る.
4. 地理理情報技術,地理理情報標準,そしてgittok
今回は何をするか
今回は,座標と座標参照系について学ぶ.
座標は,数の組み合わせ.
その説明がなければ,意味はわからない.
特に地球上の位置を⽰示す座標を定義づける説明(基準)のことを,
座標参照系 (Coordinate Reference System)という.
座標参照系は,
⽔水平位置の基準になる地球の形(測地原⼦子),投影法,座標系
⾼高さの基準になる,標⾼高0の位置の定義
で構成される.
地球の形(⽔水平位置の基準)
地球の形状は回転楕円体で近似
短軸
できるが,これを地球楕円体と
いう.各国が地図作りに使⽤用す
る地球楕円体は,準拠楕円体
(Reference Ellipsoid)という.
⽇日本が採⽤用している準拠楕円体 (GRS80)
⻑⾧長半径 a = 6,378,137m
短半径 b = 6,356,752.314m 逆扁平率率率 1/f = a/(a – b)
= 298.257222101
楕円体 (Ellipsoid) の定義 名称 (name) ⻑⾧長半径 (semi-­‐major axis) 逆扁平率率率 (inverse flaGening)
b
a
⻑⾧長軸
測地原⼦子
準拠楕円体のパラメータ及び本初⼦子午線 (Prime Meridian) の定義を合わせて,測地原⼦子(GeodeNc Datum)という.
経度度の基準は本初⼦子午線,
グリニッジからの経度度で
あらわす (φ)
北北極
グリニッジ天⽂文台
λ
φ
緯度度 (λ)の基準は⾚赤道
ただし,極軸との交点
は地球の中⼼心ではない.
測地原⼦子のスキーマとインスタンス
測地原⼦子のスキーマ
測地原⼦子のインスタンス(⽇日本の場合)
測地原⼦子 (GeodeticDatum)
id JGD2011
name ⽇日本測地系2011
Japan Geodetic Datum 2011
準拠楕円体 (Ellipsoid)
name GRS80
semiMajorAxis 6,378,137
inverseFlattening 298.257222101
本初⼦子午線 (PrimeMeridian)
GreenwichLongitude 0
投影法
地上の位置を図⽰示するには,紙⾯面や画⾯面な
どの平⾯面上に位置を投影する.その⽅方法は
「投影法」または「図法」と⾔言われる.代
表例例として円筒図法がある.例例えば右中の
図の場合,円筒は地球の極軸に垂直になる
ように,地球をカバーしている.そして,
地球上の位置(例例えば経緯度度)を,何らか
の⽅方法で円筒上の位置に投影する.そして,
円筒を開いて平⾯面にすれば,地球上の位置
を平⾯面に投影したことになる. 平⾯面への投影と地図座標への変換
1.円筒で包む
3.投影平⾯面の座標を地図平⾯面上に置く
投影平⾯面
2.円筒を開いて平⾯面にする
地図平⾯面
地表⾯面(緯度度 φ,経度度 λ)と投影平⾯面(X,Y)の関係:Gauss-­‐Kruger投影 投影平⾯面(X,Y)と地図平⾯面(x,y)の関係:⼀一次変換
横メルカトール図法
円筒を横向きにした図法 (横メルカトール図法) では,中央経線から東⻄西に離離れるに
従って,中央経線からの⽔水平位置が地球上の位置より⼤大きくなるが,図の様に,少し
円筒の半径を地球のそれより⼩小さくして(*),地球に埋め込ませることによって,ずれ
の絶対値を⼩小さくすることができる.その代表例例に国際的に使われているUTM図法や,
⽇日本で使われている平⾯面直⾓角座標系がある.それでも,距離離が離離れるにつれてずれは
拡⼤大するので,有効な範囲(ゾーン)が決められ,その範囲で投影される.
(*) (円筒の半径/中央⼦子午線に
おける地球の半径)を,縮尺係数
という.縮尺係数は1以下になる.
中央⼦子午線
Gauß–Krüger投影
⽇日本では,縮尺係数を0.9999とする19系からなる平⾯面直⾓角座標系 hGp://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/patchjgd/download/Help/jpc/jpc.htm や縮尺係数0.9996のUMT図法 hGp://ja.wikipedia.org/wiki/ユニバーサル横メルカトル図法 がよく使われるが,両⽅方ともはGauß-­‐Krüger投影である. 平⾯面直⾓角座標系第9系の場合
false easNng / northing は,X,Yの座標値
をプラスに保つために⾏行行われる,座標の平
⾏行行移動距離離.⽇日本では使⽤用しない.
ガウス・クリューガー投影 縮尺係数 0.9999 原点 (緯度度: 36, 経度度: 139.8333333) false easNng 0 false northing 0 直交座標系
X
座標系は次元の数だけ軸をもつ.
O(0,0)
Y
座標系を定義づける要素
座標系識識別⼦子 (id)
座標系名 (name)
次元 (dimension)
軸を定義づける要素
名称 (name)
⽅方向 (direction)
単位 (unit of measure)
⽅方向:
east
north
vertical
2次元の直交座標系
座標系のスキーマ
座標系のインスタンス(例例)
座標系 (Coordinate System)
id 9 (X, Y)
name 平⾯面直⾓角座標系 9系
dimension 2
座標軸 (Axis)
名前 X
⽅方向 north
単位 m
座標軸 (Axis)
名前 Y
⽅方向 east
単位 m
⽔水平座標系の略略号表記(id)
⽔水平座標系の略略号 (id) 表記 (B, L) 測地座標系 Zone No. (X, Y) ゾーン番号を指定した平⾯面直⾓角座標系 Zone No. (E, N)
ゾーン番号を指定したUTM座標系 略略号 (id) 定義
例例:9 (X, Y) 平⾯面直⾓角座標系第9系
範囲 東京都,埼⽟玉県など
(X, Y):平⾯面直⾓角座標系であることを⽰示す記号 (E, N): UTM座標系であることを⽰示す記号
⾼高さのための基準
地球上の⾼高さを⽰示す座標には,平均海⾯面(ジオイド)上の⾼高さ(標⾼高)や 準拠楕円体からの⾼高さ(楕円体⾼高)がある. これらの基準は鉛直原⼦子 (VerNcal Datum) と呼ばれる.
地表⾯面
H
平均海⾯面
h
ジオイド
楕円体⾯面
ジオイド:平均海⾯面と同じ
等重⼒力力ポテンシャル⾯面
等重⼒力力ポテンシャル
⾯面ってなに?
付録3参照
H h
⾼高さの略略号表記 平均海⾯面上の⾼高さ(標⾼高) 準拠楕円体からの⾼高さ(楕円体⾼高) 鉛直原⼦子のスキーマ
平均海⾯面を鉛直原⼦子にするとき,⽇日本では東京湾平均海⾯面 (Mean Sea Level of Tokyo Bay) を使⽤用する.そのidはTP である.
だから
id: TP
name: Mean Sea Level of Tokyo Bay
座標参照系(CRS)のスキーマ
CRS: Coordinate Reference System
GiGok はとりあえずGaussKruger 投影し
かサポートしない. CRS の編集
GeodeNcDatum
Ellipsoid
PrimeMeridian
CRS
VerNcalDatum
CoordinateSystem
Axis
GaussKrugerProjecNon
投影座標と地図座標の変換
X
(0, 0)
x
(X, Y)
(x, y)
(0, 0)
Y
投影座標
y
地図座標
回転,平⾏行行移動,伸縮,剪断が可能な変換 X = ax + by + X0 Y = cx + dy + Y0 既存の地図と重ねて投影座標を表⽰示するに
は,回転,平⾏行行移動,伸縮,剪断を可能と
する⼀一次式(アフィン変換)が使われるこ
とが多い.
回転
伸縮
平⾏行行移動
剪断
3点以上が対応するとき,未定係数を求める
X
(X2, Y2)
(X1, Y1)
x
(x1, y1)
(X3, Y3)
(X4, Y4)
(x3, y3)
y
Y
投影平⾯面
(x2, y2)
(x4, y4)
地図平⾯面
Xi = axi + byi + X0 Yi = cxi + dyi + Y0 i = 1…4
この対応関係を⾏行行列列で表現すると・・・
X1 X2 X3 X4 Y1 Y2 Y3 Y4
=
a
c
b d
x1 x2 x3 x4 +
y1 y2 y3 y4 X0 Y0
⾏行行列列を使ってAを求める
X1 X2 X3 X4 Y1 Y2 Y3 Y4
X1 X2 X3 X4 Y1 Y2 Y3 Y4 1 1 1 1 =
a
c
b d
=
a
c
0
b
d
0
x1 x2 x3 x4 +
y1 y2 y3 y4 X0 Y0 1
x1 x2 x3 x4 y1 y2 y3 y4 1 1 1 1 A
X
x
X = Ax XxT = AxxT (XxT)(xxT)-­‐1 = A(xxT)(xxT)-­‐1 ∴ A = (XxT)(xxT)-­‐1 X0 Y0
正確度度の評価
X’1 X’2 X’3 X’4 Y’1 Y’2 Y’3 Y’4 1 1 1 1
X’
=
a
c
0
b
d
0
A
X0 Y0 1
x1 x2 x3 x4 y1 y2 y3 y4 1 1 1 1 x
係数⾏行行列列に地図座標の⾏行行列列を掛けると,投影平⾯面上の座標が
求まるが,必要以上に多い地図座標から作られた係数⾏行行列列を
使っているため,元の値とは⼀一致しない.それは,地図座標
の計測値に誤差が含まれているためである.ここでは,第⼀一
に計算によって求められるX’と元の座標Xの差(誤差)の量量を
⾒見見て評価する. 第2に分散共分散⾏行行列列に含まれるx⽅方向,y⽅方向の分散から求
められる平均⼆二乗誤差によって,ばらつきを評価する. – X)(X’ – X)T) 分散共分散⾏行行列列 E((X’ E:平均値
Gittok における地図標定の正確度度評価
1 n
Var( X ) = ∑ ( X 'i − X i ) 2
n i=1
RMSE( X ) = Var( X )
分散共分散⾏行行列列
1 n
Var(Y ) = ∑ (Y 'i −Yi ) 2
n i=1
RMSE(Y ) = Var(Y )
平均⼆二乗誤差 1 n
Cov( X ,Y ) = ∑ ( X 'i − X i )(Y 'i −Yi )
n i=1
dX = X’i – Xi
dY = Y’i – Yi
各点の誤差
(X’,Y’): 地図座標から変換された,
基準点の平⾯面座標
(X,Y):正しいと考えられる,基準点の平⾯面座
標
Var: 分散
RMSE:平均⼆二乗誤差
Cov: 共分散
付 録
付録1:地球の形状を球で近似したときのメルカトル図法
付録2:Gauss-‐‑‒Kruger投影
付録3:⾼高さに関する補⾜足
付録1:地球の形状を球で近似したとき
のメルカトル図法
⼀一定の経度度差に対応する緯線⻑⾧長を平⾏行行圏弧⻑⾧長というが、これ
は地球上では緯度度の余弦に⽐比例例する。つまり、より⾼高緯度度にな
ると平⾏行行圏弧⻑⾧長は短くなる。⼀一⽅方で、地図平⾯面上ではメルカト
ル図法は円筒図法なので、緯線⻑⾧長は⼀一定である。つまり、地図
上では緯線が緯度度の余弦の逆数に⽐比例例して拡⼤大されて、⼀一定の
⻑⾧長さの緯線⻑⾧長が確保される。そこで、経線⽅方向にも同じ割合で
拡⼤大すれば、地球上で測った⾓角度度と地図上で測る⾓角度度は⼀一致す
る。これを正⾓角性といい、この条件を満たす投影は等⾓角投影と
いわれる。ただし、地球上の⾯面積や距離離と地図上のそれらの値
は⼀一致しない。
横メルカトル図法では、円筒が横置き、つまり準拠楕円体の
短軸と直交するので、地図上の経線⻑⾧長は⼀一定になり、緯線⻑⾧長は
図-­‐1 球と考えた地球の模式図
経線⻑⾧長の拡⼤大率率率と同じ割合で拡⼤大する。従って、経線の間隔は
基準⼦子午線から遠ざかるにつれ、徐々に⻑⾧長くなる。 これから、上記の説明を数学的に⾏行行うが、説明を単純化する
ために、地球を球と考えてみよう(図-­‐1参照)。任意の点Pの平
⾏行行圏弧⻑⾧長Lは、以下の様に求められる。ここで、地球の半径を
仮にR、Pの経度度をλ、緯度度を 、回転軸からPまでの平⾏行行圏上の
€
距離離をxとする。 €
すると、xは、以下の式で求められる。 x = R cos ϕ
また、Lは以下の式で求められる。
L = λx
∴L = λR cos ϕ
付1−1/5
付1−2/5
この式をみると、緯度度が⾼高くなると値は⼩小さくなることが分か
ところで、hは微⼩小な⻑⾧長さであるが、微⼩小な緯度度差に半径を
る。⼀一⽅方でメルカトル図法は円筒図法であり、⼦子午線は垂直で
ϕ ϕ
ϕ + Δϕ
掛けた値、 といえるので、緯度度 から までの⻑⾧長さhはR Δϕ
ある。ここで、経度度λにおける、原点からの⾚赤道上の平⾏行行圏弧
ϕ
となる。従って、⾚赤道から緯度度 までの、地図上の⻑⾧長さFは、
ϕ
⻑⾧長は、(1)によれば、L=λRになるので、点Pにおける平⾏行行圏弧⻑⾧長
以下の式で求めることができる。 € €
€
ϕ
€
€
(2) F = R sec tdt を掛けなければ、⼦子午線は垂直にならない。
ところで、⾚赤道上の周⻑⾧長は2πRになる。また緯度度 における平
この定積分を求めると以下のようになる。 2 πRcos ϕ
⾏行行圏が作る円周の⻑⾧長さは、 は 、 ϕ = sec ϕ
1/cos
€
€
€
€
∫
€
ここで、ここで、lnは⾃自然対数である。しかし、どうすれば(2)
式から(3)式を求めることが出来るのだろうか。以下にその過程
€
ϕ
だけ掛ける必要がある。 を⽰示す。 さて、この緯度度 上の任意の位置に⾮非常に⼩小さな正⽅方形が
f =
∫ sec tdt
あると考える。その辺の⻑⾧長さはhとする。この正⽅方形の北北東端
€
から南⻄西端に移動したとするとき、メルカトル図法の主旨(つ
=
sec t + tan t
∫ sec t + tan t sec tdt
まり⾓角度度は保存される)を考えれば、地上で正⽅方形になるとい
= 2うことは、図上でも正⽅方形になるということであり、その⼤大き
πR /2 πRcos ϕ =1/cos ϕ = sec ϕ
∫
さは、図上で h sec ϕ
だけ⼤大きくなるので、そのサイズは、 になる。 (3) sec ϕ
ればいけない。つまり、緯度度 における平⾏行行圏の⻑⾧長さは €
€
sec 2 t + sec t tan t
dt
sec t + tan t
x = tan t + sec t
ここで、 とすると、 dx
= (sec 2 t + sec t tan t)dt
€
€
0
ϕ π
F = Rln(tan(
+ )) 2 4
になる。しかし、地図上では両者の⻑⾧長さは同じ2πRにならなけ
€
なので、
付1−3/5
f =
1
∫ x dx
従って、 = ln | x | +C
= ln | tan t + sec t | +C
ϕ
ϕ π
F
=
R
∫ sec tdt = Rln | tan( 2 + 4 ) |
0
さて、 €
tan t + sec t
sin t +1
= cos t
ところで、地球上では緯度度は-­‐90度度以上、90度度以下なので、 €
4
t
t
t
t
t
t
+ cos 2 + 2sin cos = (sin + cos ) 2
€
2
2
2
2
2
2
t t
t
t
t
t
t
t
t = cos( + ) = cos2 − sin 2 = (cos + sin )(cos − sin )
cos
2 2
2
2
2
2
2
2
€
≤
ϕ π
≤
2 4
ϕ
2
号は不不要となり、結果として、 F = Rln(tan(
€
ϕ π
+ ))
2 4
なので、 となる。(Q.E.D) t 1
1
t
t
sin
+ cos
sin
+
cos
sin t +1
2 2
2
2
2 =
=
t
t
t 1
t 1
cos t
cos − sin
cos
− sin
2
2
2 2
2 2
t
π
t
π
t π
sin cos + cos sin
sin( + )
2
4
2
4 =
2 4
=
t
π
t
π
t π
cos cos − sin sin
cos( + )
2
4
2
4
2 4
t π
= tan( + )
2 4
π
4
tan( + ) ≥ 0
である。つまり、 なので、絶対値の符
1+ sin t = sin 2
€
π
−
€
ちなみに,この投影法は,Spherical Mercator ProjecNonと呼
ばれるが,Google maps, OpenStreet Map,⽇日本の 国⼟土地理理院
の地理理院タイルなどが,この投影法を採⽤用している.
付1−4/5
さて、地球の半径を6378kmとすると、地球上の⼦子午線弧⻑⾧長と、
(3)式で計算した地図上の⼦子午線弧⻑⾧長を⽐比較すると表-­‐1のように
なる。 表-­‐1 ⼦子午線弧⻑⾧長の⽐比較 緯度度
地球上の弧⻑⾧長
(km)
(度度)
地図上の弧⻑⾧長
(km)
15
1670
1689
30
3340
3503
45
5009
5621
60
6679
8400
表-­‐1で⽰示した経線及び緯線を平⾯面上に描画すると図-­‐2のように
なる。 さて、メルカトル図法は、等⾓角投影である。つまり、地図上で
測った⾓角度度は地球上でも⼀一致するはずである。そこで、原点か
ら経度度45度度、緯度度45度度までの⾓角度度を図上で測った所 、約48度度
であった。この値を使って、地球儀上に原点から線を引いてみ
た。 線は、緯度度15度度きざみの緯線毎に、都合3本の直線で近似
した。ちなみにこの線は航程線という。結果として、経度度45度度、
緯度度45度度に地点にたどり着く事ができた(図-­‐3、図-­‐4参照)。
図-­‐2 メルカトル投影の経緯線図
付1−5/5
図-­‐3 経緯度度原点から経緯度度共に45度度の地点までの⾓角度度計測
参考資料料:hGp://www.math.ubc.ca/~israel/m103/mercator/mercator.html
図-­‐4 地球儀上に描いた航程線
付録2:Gauss-­‐Kruger投影
地球の形状を近似する回転楕円体を準拠楕円体というが、JGD20
11 を測地原子とする形状は、以下のパラメータで示される。 長半径 (a): 6378137m 短半径 (b): 6356752.314m 逆扁平率 (1/f): 298.257222101 これ以外に以下のパラメータも有用である。 a 2 − b2
第一離心率 (e) e2 =
a2
2
2
第二離心率 (e’) e' 2 = a − b
€
2
b
ガウス・クリューガーの投影は日本に19系ある平面直角座標系や
UTM図法など、各国の平面座標系の基礎をなす投影座標系である。
€
C.F.Gaussがハノーバーの測量に始めて使用し、L. Kruger及びV.K. Hristovが発展させたものといわれる。基準子午線の両側に南北に
細長い帯を考え、その中での投影式が求められている。ここでは、
以下の変数が使われる。 卯酉(ぼうゆう)線曲率半径 (N) 準拠楕円体上に指定された1点からおろされた垂線(卯酉線)は、楕
円体の短軸で交わるが、楕円体上の1点から、その交点までの距離
を卯酉(ぼうゆう)線曲率半径 (N)とよぶ。与えられた1点の経度、緯
度を (λ ,ϕ ) とすると、 Nは以下の式で求められる。 €
N=
a
2
2
1− e sin ϕ
€
付2−1/2
€
子午線弧長 (S) 楕円体上の1点から、赤道までおろした子午線の長さを、子午線弧
長という。その長さは、以下の展開式を使って、充分な正確さで求め
ることができる。 B
C
D
S = a(1− e 2 )[ Aϕ − sin 2ϕ + sin 4ϕ − sin 6ϕ
2
4
6
E
F
+ sin8ϕ − sin10ϕ ]
8
10
ただし、 A = 1.005052501813087 €
B = 0.005063108622224 C = 0.000010627590263 D = 0.000000020820379 E = 0.000000000039324 F = 0.000000000000071 なお、 投影座標系原点の経緯度を (λ 0 ,ϕ 0 )
求める投影座標を (x, y)
その経緯度を (λ ,ϕ )
€
S0
赤道から投影座標系の原点までの子午線弧長を €
S
赤道から求める点の緯度までの子午線弧長を €
Δλ = λ − λ 0
経度と原点経度の差 €
その他、 2
2
2
€
η = e' cos ϕ
€ϕ
t = tan
とする。 €
すると、経緯度から平面座標を求める式は、以下の通りになる。 付2−2/2
x = {(S − S0 ) +
N
cos 2 ϕ ⋅ t ⋅ (Δλ ) 2
2
N
cos 4 ϕ ⋅ t(5 − t 2 + 9η 2 + 4η 4 )(Δλ ) 4
24
N
−
cos 6 ϕ ⋅ t(−61+ 58t 2 − t 4 − 270η 2 + 330t 2η 2 )(Δλ ) 6
720
N
−
cos 8 ϕ ⋅ t(−1385+ 3111t 2 − 543t 4 + t 6 )(Δλ ) 8 }
40320
+
€
€
y = {N cos ϕ ⋅ Δλ
N
− cos 3 ϕ (−1+ t 2 − η 2 )(Δλ ) 3
6
N
−
cos 5 ϕ (−5+ 18t 2 − t 4 − 14η 2 + 58t 2η 2 )(Δλ ) 5
120
N
−
cos 7 ϕ (−61+ 479t 2 − 179t 4 + t 6 )(Δλ ) 7 }
5040
€
€
上に⽰示した投影式を使って、円筒を展開してできる平
⾯面上の位置から基準⼦子午線までの距離離に、1未満の縮尺
係数を掛け、これをもってその点における平⾯面座標とす
ることが⾏行行われている。 UTM図法では、基準⼦子午線における係数を0.9996とし
ている。これによって原点から東⻄西約180kmの地点で
線拡⼤大率率率は1になる。また、x座標が負にならないよう、
500kmを加えて表⽰示する。つまりUTM座標(X,Y)は、以下
の式で求まる。
X = 0.9996x + 500km
Y = 0.9996y
€
⽇日本の平⾯面直⾓角座標系は、19系の座標系で成り⽴立立つが、こ
の場合の座標は、原点を基準⼦子午線上で適当な緯度度(B0)まで移
動させ、実際の座標は以下の式で求めている。つまり、 X = 0.9999x
Y = 0.9999(y − B0 )
€
この座標系では、それぞれの座標系が半径約130km程度度
の範囲をカバーすることができる。その原点では縮尺係数が
0.9999であり、経線⽅方向130kmの位置では1.0001程度度になる。
実際の有向範囲は、国⼟土交通省省告⽰示第九号(平成⼗十四年年⼀一⽉月
⼗十⽇日)に定められている。 なお、ガウス・クリューガーの投影法についてより詳細に学
習したい場合は、例例えば以下の参考⽂文献にあたるとよい。 測地学会発⾏行行、『測地学の概観』、昭和49年年4⽉月29⽇日 政春尋志著、『地図投影法』、2011.9、朝倉書店刊 付録3:⾼高さに関する補⾜足
付3−1/2
ジオイドについて
物を低い場所から⾼高い場所に運ぶには持続的な⼒力力が必要です.
このエネルギーは,質量量mの物体の⾼高さHにおける重⼒力力ポテン
その結果,物はエネルギーを得る,と考えます.逆に,⾼高い
シャルと呼ばれます.
ところから低いところに投げおろしてしまうと,エネルギー
平均海⾯面は,地球の重⼒力力⽅方向を法線とする,同じ⾼高さの⾯面と
が解放される,つまり少なくなります.
考えられます.つまり,同じ重⼒力力ポテンシャルをもった⾯面で
地球上で物を持ち上げるには,重⼒力力に逆らう⼒力力を持続的に必
す.特に,平均海⾯面と同じ⾼高さにおける等重⼒力力ポテンシャル
要としますので,持ち上げるためのエネルギーは重⼒力力エネル
⾯面のことを,ジオイドといいます.
ギーと呼ばれます.
でも,海⾯面ならそれでいいですが,陸陸地ではジオイドはどこ
ここで,⼒力力は,相⼿手の質量量(m)に,⼒力力をかけているときにお
にあるのでしょうか.それは,平均海⾯面と同じ重⼒力力ポテン
きる加速度度をかけた値です.⾼高さを変えるためには少なくと
シャルを持つ場所です. も重⼒力力加速度度(g)と同じ加速度度が必要です.つまり,mg.でも,
重⼒力力加速度度は地球の中⼼心⽅方向を向いていますので,gが絶対
値だとすれば,-­‐gが重⼒力力加速度度です.それに逆らって上に上
げる⼒力力は重⼒力力の⽅方向に対して,マイナスの値(つまり上む
き)をとります.従って,上に上げる⼒力力FはF=mgです. これを0メートルからHメートルまで積分すれば,Hメートル
の⾼高さにおける質量量mの物体の重⼒力力エネルギーを求めること
ができます.それは,
E=
H
∫ mg dh
0
= mg(H − 0)
mgH
付3−2/2
標⾼高について
海抜について
標⾼高とは,平均海⾯面から地表に⾄至るまでの距離離です.平均
最寄りの海の海⾯面からの⾼高さを海抜といいます.ただし,
海⾯面は標⾼高0です.地上で標⾼高をはかるには,適当な場所
利利⽤用⽬目的によって,最⾼高潮位,平均潮位(平均海⾯面),そ
に,平均海⾯面からの⾼高さを厳密に求めた⽔水準原点を設けま
して最低潮位を使い分けるので,海抜というだけでは,明
す.その⽔水準原点から,⽔水準儀という機械を使って⽔水準原
確に⾼高さを⽰示したことにはなりません.例例えば,堤防の海
点からの標⾼高差を測ること(⽔水準測量量)によって,標⾼高を
抜は,最⾼高潮位からの⾼高さであるべきだし,ローカルな標
求めます.
⾼高という意味で海抜を知りたいときは最寄りの海の平均潮
⽔水準儀には,機械を厳密に⽔水平にするメカニズムと望遠鏡
位(平均海⾯面)が基準になります.また,例例えば港の岸壁
がついていますので,重⼒力力⽅方向(鉛直⽅方向)に対して,90
のそばの⽔水深は最低潮位を基準にしないと,船舶が⼊入港で
度度の⽅方向(⽔水平⽅方向)をみることができます.⽔水準測量量は,
きるかどうか判断できなくなります.海抜が海⾯面よりも低
⾼高さの差(⽐比⾼高)を知りたい2ヶ所に標尺と呼ばれる物差
い場所がありますが,その場合の海⾯面の⾼高さは,最⾼高潮位
しを⽴立立て,その中間部に⽔水平に置いた⽔水準儀で標尺の⽬目盛
を基準とすれば,より確実な防災計画を⽴立立てられるでしょ
を読み取り,⾼高さの差(⽐比⾼高)を求めます.⽔水平⽅方向はジ
う.
オイド⾯面に平⾏行行する⽅方向ですので,(⽔水準原点の⾼高さ+⽐比
⾼高)はジオイド⾯面からの⾼高さと考えることもできます.
hGp://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/suijun-­‐survey.html
平均海⾯面
クイズ 第8回
あなたの趣味は写真撮影です.撮った写真の記録は
⼤大事ですが,何を記録しますか?この中からいらな
いものを選びましょう. 1.⽇日時 2.場所 3.その⽇日の起床時刻 4.シャッタースピード 5.絞り 6.ISO感度度 7.被写体の好感度度 8.焦点距離離 9.画像の解像度度 10.⾃自宅宅の電話番号 演習結果の提出
1.クイズの回答と,演習で作成した座標参照系のファイル(⾃自分
の名前.crs) 期限は来週の⽕火曜⽇日. メールの本⽂文に必ず,⽒氏名と学籍番号を記⼊入すること. 質問や意⾒見見がある場合も同様. 当⾯面の送付先は [email protected]