第 章 連続関数の空間

第 章 連続関数の空間
連続関数の定義
いま
関数
とする
を
の部分集合とし 関数
が において定義されているとする.このとき
が点
において連続であるということは 次の条件
のいずれかが満たされることをいう:
は
の集積点であって
は
の孤立点である.
このことは
論法でいうと
任意の正の数 に対し ある正の数 が存在して
ならば
が成り立つ
ことである.
論理記号を用いて表せば
が成り立つことを意味する.
が の各点 において連続であるとき
関数
いて連続であるという.
は
にお
連続関数の基本性質
本節においては 連続関数の基本性質について考察する
すなわち 次の三つの定理が成り立つ ここで
とする
定理
は
中間値の定理 は
の領域とする 関数
において連続であるとする いま
の 点
に対し
であると仮定する このとき
と
の中間にあ
る任意の実数 に対し
となる の点
が存在する
定理
最大値・最小値の存在定理 の有界閉集合 に
おいて連続な関数
は有界で
において最大値と最小値
をとる
定理
一様連続性の定理 の有界閉集合
続な関数
は
において一様連続である
すなわち 次の条件:
任意の
に対し ある
ならば
において連
が存在して
満たされる
連続関数の空間
関数空間の位相
本項においては
の領域を として
上定義された連続関
の位相を考える ただし
とす
数全体のつくる関数空間
る このことは
の場合にも成り立つ
一般に
はノルム空間にはならないことを注意する
さらに
のコンパクト集合 に対し
上定義された連続関
数全体のつくる関数空間
の一様収束の位相を考える
このとき
はバナッハ空間になる
関数空間
このとき 関数空間
係式
の一様収束の位相
において
の元
の距離を 関
によって定義する
この距離 によって関数空間
は完備な距離空間になる
距離空間
においては一様収束の位相を考えている した
がって
において連続関数列の一様収束について考えること
ができる
このとき 次の定理が成り立つ
定理
上の記号を用いる このとき
が において関数
に一様収束するならば
り立つ
の関数列
が成
定理
より 一様収束の位相は連続関数の特性によく適合して
いることがわかる
関数空間
このとき 関数空間
の広義一様収束の位相
において セミノルム
は
のコンパクト部分集合
の系
は のコンパクト部分集合 による収束の概念を
において広義一様収束の位相を考
用いる これは 関数空間
えることである
したがって 次の定理が成り立つ
定理
上の記号を用いる このとき
の関数列
が において関数
に広義一様収束するならば
が成り立つ
定理
より 広義一様収束の位相も連続関数の特性によく適合
していることがわかる
それに対し
上定義された連続関数列
の各点収束の意
は において連続関数であるとは限らない
味での極限関数
例えば 次のような例がある
例
関数
が関係式
は有理数
は無理数
によって定義されているとき
このとき ディリクレ関数
が成り立つ
したがって 関数
ディリクレ関数
は
関数空間
はディリクレ関数であるという
に対して 各点収束の意味で 等式
は
において連続であるが
においていたるところ不連続である
の一様収束の位相
のコンパクト集合 に対し
上定義された連続関数全体の
つくる関数空間
の一様収束の位相を考える
の元
に対し ノルムを 関係式
によって定義する
このノルムによって
はバナッハ空間になる
バナッハ空間
においては一様収束の位相を考えている し
たがって
において連続関数列の一様収束について考えるこ
とができる
このとき 次の定理が成り立つ
定理
上の記号を用いる このとき
が において関数
に一様収束するならば
り立つ
定理
アスコリ・アルツェラの定理 上の連続関数の列
集合であるとする いま
を満たすとする:
の関数列
が成
は
の有界閉
が次の条件
は一様有界である すなわち
ある定数
が存在して 条件
が成り立つ
は
任意の
上同程度一様連続である すなわち
に対し ある正の数
ならば
が成り立つ
が存在して
このとき
収束する
のある部分列
が存在して
は
上一様
証明 仮定によって は可分であるから 点列
が にお
いて稠密な部分集合であるように選ぶ
このとき 条件
によって 各点
において 実数列
は有界であるから 収束部分列
を選ぶことができる し
たがって 対角線論法によって
の部分列
を選んで 各
点
において 実数列
が収束するようにできる
仮定
によって
は同程度一様連続であるから
任意の
に対して ある正の数
を選んで
ならば
が成り立つようにできる
このとき 点列
は において稠密であるから 有限部分列
を適当に選んで 任意の
に対し ある
が存在して
となるようにできる
いま ある正の整数 を適当に選んで
ならば
が成り立つようにできる このとき 不等式
が成り立つ
は の任意の点であるから 部分列
一様収束することが証明された
が
上
局所化の原理
本節においては 局所化の原理を用いた実数値連続関数の特徴付
けについて考察する
以下において 実数値連続関数のつくる前層
は局所化の
原理を満たし 層であることを証明する
層の理論についての詳細は 著書 伊東
第 章を参照しても
らいたい
は
の部分集合であるとする
は
の位相から誘導され
た位相に関して位相空間であるとする
このとき 次の定理が成り立つ
定理
は
の部分位相空間であるとする 各開集合
に対し
上定義された実数値連続関数全体のつくる関数空
と表す
間を
このとき
の任意の二つの開集合
で
となるもの
に対し 線形写像
が対応していて 次の
を満たす
なる任意の開集合
に対し 関係式
が成り立つ
このとき
の体系
定理
と自然な制限写像
は 上の前層である
において
に対し
と表す
定理
成り立つ
上の前層
の開集合
る
らば
の開被覆
が 任意の
が成り立つ
の開集合
系
層である
が
が与えられているとす
に対し 条件
の開被覆
る 各 に対し
に対し 条件
が存在して
定理
に対し 次の条件
を満たすな
が与えられているとす
が与えられていて すべての
が満たされるならば ある
が成り立つ
によって 次の系を得る
定理
の記号を用いる このとき 前層
は
定理
の前層
を用いて 次のようにして層
を作ると これは系
の層
と同型である
いま 上の層
を次のように構成する
各
に対し 帰納極限
によって
を定義する すなわち
は商空間
であるとして定義する ここで
に
で
対し関係 が成り立つということは ある開集合
を満たすものが存在して 関係式
が成り立つこと
であると定義する この関係は同値関係であるから 上の商空間は
意味をもつ
を における茎といい
の
における像を の に
おける芽といい これを と表す
このとき
は
写像
の直和であるとし 上への連続写像
であると定義する
このとき
の各開集合
を関係式
と
は
に対し 写像
によって定義する
これによって において いずれの
をも連続にする
最強の位相を定義すると 対
は 上の層になる すなわち
は位相空間で は から の上への連続写像であって 局所同相
写像である
この層 は前層
から誘導された層である
このとき 各
に対し
が成り立つ
いま
は 上の層であるとし
は の任意の部分集合で
あるとする このとき 連続写像
が 上の切断である
とは 条件
が成り立つことであると定義する
ここで
上の切断全体のつくる集合を
と表す このとき
は 上のベクトル空間である
系
は次の系の形に言い換えられる
系
系
において 前層
とする このとき
の任意の開集合
間としての同型
から誘導された層を
に対して ベクトル空
が成り立つ
定理
の条件
件である この条件
理であるという
は前層
は前層
が層であるための条
に対する局所化の原