メタボリックシンドローム改善 運動と食事のポイント 杉山内科クリニック 杉山 和彦 Ⅰメタボリックシンドロームについて 人間ドックや検診で 、生活習慣病であ る肥満や糖尿病、 高血圧 、 高脂血症を 複数指摘さ れること が少なく ありません が、これら は 独立した別の 病気ではなく 、内臓脂肪型 肥満が原因で おこる メ タボリックシンドローム といわれる病態であることがわかってき まし た。 内臓脂肪の蓄積は、遺伝、過栄養、運動不足、ストレス、ア ルコール 過剰、喫煙、閉経など の様々な 要因で起こ り、動脈硬 化を防ぐ働きのあ るアディポネク チンの分泌を減ら し、動脈硬化 が進行してしまいます。結果として、 脳卒中や狭心症、心筋梗塞 といった心血管系疾患が約 2 倍おきやすくなります。 Ⅱ平成 20 年 4 月からの特定健診 このような事態を 受け平成 20 年 4 月から、"高齢者の医療の 確保に関する 法律"より、区市町村国保、 健保組合等 は、メタボ リックシン ドロームの早 期発見を目的 とした特定健 康診査を行う ことが義務付けら れました。健康診査 では腹囲の測定や血 圧測 定、血糖(または HbA1c)、脂質(中性脂肪、LDL コレステロール など)、肝機能などの採血を行います。 診査の結果、腹囲で男性 85cm 以上、女性 90cm 以上に加え て、 ①空 腹時 血糖 100mg/dL 以上 、ま たは ヘモ グロ ビン A1 c 5.2%以上 または薬物 治療中 ②中性脂肪 150mg/dL 以上ま たは HDL コレステロ ール 40mg/dL 未満または 薬物治療中 ③ 収縮期血 圧 130mmHg 以上また は拡張期 血圧 85mmHg または 薬物治療中 ④ ① ③のリスクが 1 つ以上あり喫煙歴がある場 合 の①から④のうち2つ以上のリ スクがあればメタボリックシンド ローム、 1つなら ばその予備 軍と考えら れ積極的に 生活習慣改 善を支援する 必要があるため 特定保健指導の 対象になります。 特定保健指 導では内臓脂肪を 減らす基本 である運動 療法、食 事療法を継続的に指導します。 Ⅲ運動と食事のポイント 運動療 法のポイ ントとしては、 歩行、サイクリ ングなど の有酸 素運動を 息切れせず に汗ばむく らいの強さ で、一回3 0分以上 で週三回以上 行うことです 。万歩計を つけ、一日一 万歩を目指 します。また、運動は動脈硬化を防ぐアディポネクチンも増やし、 血糖や血圧、中性脂肪を 低下させます。内臓脂肪は、燃焼し や すい性質 がある ため、 日々の適 切な運動 によって 減らすこ とが 十分に可能です。 食事療 法は、過食や食 生活の乱 れに伴う 内臓脂肪 の蓄積を 是正するため に行います。 一日三食、 規則正しい食 事を、腹八 分目で、ゆっく りよくかんでする ことが肝要です。 また、特に過剰 摂取が問題となるおかし、くだものの間食を 控えること、アルコー ルを控える ことは、血糖や中性脂 肪を上げな いためにも 大切で す。 いずれにしても、メタボリックシンドロームが心配な方はウエス ト周囲径をま めに測って、「内臓脂肪の蓄積」を意識し、1 cm で も減らすことから始めまし ょう。検査の異常を指摘さ れた場合は、 専門医の診察を受けることをおすすめします。
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