米の新規需要拡大 (米粉及び鶏卵用飼料米)について 平 成 2 7 年 8 月 目 次 1 米粉用米の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 今後の飼料用米の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 (参考資料) 参考1 米の消費量の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 参考2 米飯学校給食の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 参考3 ごはん食の効用の普及・啓発 参考4 食べやすい表面加工玄米で健康増進 参考5 業務用米の安定的な取引の推進 参考6 酒造好適米の需要に応じた生産拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・19 ・・・・・・・・・・・・20 ・・・・・・・・・・・・・ 22 ・・・・・・・・・・・ 23 1 米粉用米の状況 ○ 米粉用米の利用量は、平成24年度以降、年間2万トン前半台で推移。生産量は、持越在庫による原料米対応が行われたこ と等により、平成24年産以降減少。 ○ 今後の利用拡大を図るためには、①小麦粉に比べて高い製粉コストの低減、②消費者に魅力ある米粉製品の開発、③魅力 ある製品を用いた米粉のアピールが課題。 ○ 一方、近年、米穀をピューレー状・ゼリー状に加工し、加工コストを低減したり小麦粉にはない保湿性や様々な形状に加工で きる等の特性や機能性を付与する技術が開発されているところ。 米粉用米の生産量・利用量の推移 製粉コストの比較 (kg当たり) 【単位:千トン】 千トン 50 : 生産量 40 : 利用量 30 ◆コメピューレー 原料価格 米 粉 30円程度 小麦粉 50円程度 製粉コスト等 製品価格 90~270円 120~300円 程度 程度 20 10 0 21 22 23 24 25 26 年度 新たな米穀加工品 50円程度 100円程度 注1) 原料価格は出荷段階のもの。 注2) 小麦粉製品価格は大手製粉企業の平均値。 ・米穀を加熱処理した後に、裏漉ししピューレー状に加工 してパン等に利用 ・乳化剤の代替として利用でき、保湿性に優れたパンの製 造等が可能 ◆米ゲル 米粉関係者の主な意見 ◇アンケート(26年8~ 9月):生産製造連携事業実施者115名対象、回答者数95名 ◇意見交換(26年9~10月):米粉製粉企業、食品企業、流通企業計15社、 地方の米粉食品普及組織(任意団体)代表者9名 ○ コスト低減等の取組が不十分 ○ 米粉の特性・機能性を踏まえた魅力のある商品を開発し米粉をアピールしていくべき ○ 個別の実需者のニーズに対応した原料米の供給・製品の開発や消費者への商品ごとの正確な使い 方の伝達が必要 ・高アミロース米を炊飯後に高速攪拌しゼリー状に加工し パン等に利用 ・加工条件により様々な物性に加工でき、パン・菓子等、 多彩な用途に使用可能 ・老化(時間の経過とともに水分が抜けて堅くなること)しに くいパンの製造や、カロリー低減(卵・油脂の代替利用) が可能 1 (参考①) 関連施策 米粉用米 利 用 促 進 製粉コストの低減 ●農山漁村活性化プロジェク ●産地活性化総合対策事業 ト支援交付金 (27予算:26億円の内数) (27予算:62億円の内数) →米粉製造事業者等が取り組 ●食品安定供給施設整備資 む米粉製造コストの低減技 金(日本政策金融公庫) 術の開発を支援 →生産製造連携事業計画の →開発された米粉製造コスト 認定を受けた米粉製造事業 低減技術の導入に必要な機 者、米粉加工品製造販売事 械等のリースを支援 業者等の施設・機械整備を 支援 例:自社の米粉販売価格につい て、3年の取組期間内に3割 以上引き下げ 例:米粉製造機械、製パン設備 小麦粉製 米粉製造 を導入し、生産製造連携事業 造事業者 事業者 計画に基づき利用を拡大 (連携) 商 品 開 発 ●産地活性化総合対策事業 ●日本食・食文化魅力発信プ ロジェクト (27予算:26億円の内数) →米粉製造事業者が取り組む (27予算:24億円) →新たな技術やノウハウを活 米 粉と小麦粉のミックス粉 用した米の新商品・サービス 等の新たな米粉製品の開発 の開発、提供に向けて民間 を支援 事業者等が共同で行う取組 を支援 例:展示品・試作機の開発、市 場性調査、事業者向け展示 会の開催 米粉のアピール ●日本食・食文化魅力発信プ ロジェクト (27予算:24億円) →米粉消費拡大に向けて、「米 粉倶楽部」の運営、民間によ る米粉普及活動の取組を支 援 官民一体の米粉消費拡大運動 しっとりとした食感 ◆コメピューレー パン・めん製 造事業者等 ◆米ゲル 低コスト革新技術の確立、米 粉製品の供給 安価・良質な米粉の供給 小麦粉よりも低い 吸油率 米粉料理コンテストの様子 玄米の機能性を付加 2 (参考②) ピューレー状加工技術 米穀を過熱蒸気処理した後ピューレ状にする加工技術と工程 ネピュレ®は、これまでのピューレとは製造方法が異なる、まったく新しいピューレです。農作物をほぼ無酸素状態の過熱蒸気と遠心力調理器で加工します。 遠心調理 過熱蒸気調理 精米 白米 玄米 酸素が極端に少ない環境下で 290℃~300℃で過熱処理 玄米 ●過熱蒸気調理の特徴 ・ほぼ(98%)無酸素状態で ・常圧(圧力を掛けずに)過熱処理 ・庫内は300℃に温度を上げながら ・素材の温度は100℃までに抑える ・糖分が上昇 ・α化が進んだ加工状態 ・物性の均一での安定 ・高い水和性 ・分子が細かい コメネピュレ 急速冷凍 賞味期限:24ヶ月 冷凍保存 ▲40℃で急速冷凍 遠心力を利用し素材を やさしくほぐす処理 保有特許3件 ネピュレ㈱ ●遠心調理の特徴 ・過熱蒸気からの連続加工 ・過熱蒸気温度の帯のまま ・遠心力からの重力でピューレ加工 ・破砕や擂潰(磨潰)せずピューレ形成 保有特許3件 農研機構と共同 ・細胞を破壊をせず ・結果、酸化を抑制 ・物性均一性を更に高め ・他素材との親和性増加 異物チェック 充填 金属探知機 X線異物検査 1kgパック包装 3 (参考②) ゲル状加工技術 ダイレクトGel転換による米加工食品 農研機構 食品総合研究所 特許出願済 1.加水量 2.温度制御 3.高速機械撹拌 ゲル転換 レアチーズムース 糊化 副材料添加、 加熱、冷却等 ダイレクトGEL転換 食品素材 加工食品 2次加工 穀粒のまま 高アミロース米 (粉砕不要) 米ゲル ○ 幅広い物性 ○ 離水しにくい、日持ち良好 ○ カロリー低減 ○ 100%米ゲル食品ではアレルギー対策に有効 コシの強い米うどん (100%米ゲル) 米ゲル食パン (30%米置換、 比容積4 cm3/g以上、日持ち良) 幅広い 物性 ゆるめのゼリー チョコレートペースト シュークリーム ゴムのような 高弾性 さくさくパイ 実用化・普及に向けた今後の課題 ◇ 装置の大型化・連続生産 (現状は、1回に 1.5 kg 生産が限界) ◇ 適用品種範囲 ◇ 物性制御技術 ◇ 米ゲル物性の科学的データの蓄積 ◇ 経済性の評価 4 (参考③) 米粉商品の例 敷島製パン㈱ ㈱ローソン 米粉専用品種「ゆめふわり」と国産小麦「ゆめちから」を 使用した食パンを通販限定にて販売。 メインブランドの 「超熟」シリーズにも国産米粉を使用。 プライベートブランド ウチカフェ、ローソンセレクト等で 米粉入りパンを販売。 ㈱ポンパドウル 第一屋製パン㈱ コメピューレーを30%配合したパンを全国80店舗で販売。 コメピューレーと新潟県米粉・北海道産小麦粉を使用し た食パンを量販店で販売。 5 (参考③) 米粉商品の例 小林生麺㈱ 27品目のアレルゲン物質不使用のグルテンフリーヌー ドル10種類に米粉を使用。 新潟製粉㈱ 微細粉米粉の先駆として、新用途米粉を製造販売。 PLUS㈱ 6次産業化で米粉パスタの製造販売に取り組む。 みたけ食品工業㈱ 「穀粉企業」のノウハウも活かし新用途米粉製品を開 発。 6 2 今後の飼料用米の状況 ○ 現状、飼料用に60万トンが畜産農家・配合飼料メーカーに供給されているところ。 ○ 配合飼料原料として、米を家畜の生理や生産物に影響を与えることなく利用できる量は450万トン程度と 見込まれる。 ○ 飼料用米の安定的な利用を図るには、低価格での供給や長期的・計画的な供給等の取組が課題。 現状の供給量(25年度) 利用可能量 【飼料用米供給】 ○ 飼料用米生産量 11万㌧ ○ その他 49万㌧ 備蓄米 MA米 13万㌧ 36万㌧ ※ MA米については、一部は配合飼料 メーカーを通さず、大規模畜産農家に供 給(約1万㌧) 【需要先】 5万㌧ 程度 6万㌧ 程度 49万㌧ 畜産農家への直接供給 5万㌧程度 配合飼料メーカーへの供 給 55万㌧程度 利用可能量 450万㌧程度 飼料用とうもろこしの 輸入量 約1,000万㌧ <今後の取組課題> ○ 配合飼料の主原料(とうもろこし等)と同等またはそれ以下の価格での供給 ○ 長期的かつ計画的な供給 (現在の飼料工場は配合設計や施設面の制約から、短期・大量の受け入れは不可能) ○ その他の環境整備 (飼料用米の集荷・流通・保管施設の整備、直接供給体制の構築等の集荷・調製等に伴う コスト削減が必要) 7 飼料用米の畜種別利用 ○ 牛や豚に飼料用米を給与する場合、消化性を向上させるために破砕や蒸気圧ぺん等の加工処理が必要。 ○ 鶏については、砂嚢(さのう)※を有するため、籾摺をしないで粒の籾米をそのまま給与することが可能。 ○ 最近では、籾摺や乾燥調製をしない低コストの取組として、破砕した籾米に水と乳酸菌を加え密封し、発酵させたSGS(ソフト グレインサイレージ)も一部地域で行われている。 ○ 飼料用米の利用を進めることで、海外のとうもろこしの状況に左右されにくい国産飼料に立脚した畜産経営が可能。 ※砂嚢:歯を持たない鳥類が、飲み込んだ砂や小石とともに食物をすりつぶす器官。「筋胃」「すなぎも」とも呼ばれる。 ○ 畜種別の飼料用米の利用形態と利用に当たっての留意点等 畜 種 採卵鶏 肉用鶏 利用形態 飼料用米の利用に当たっての留意点等 籾米(玄米)を粒の まま利用可能 ・ 採卵鶏の場合、卵黄色が低下(卵の栄養には問題がなく、淡い卵黄色をブランドとして利用する取組もあり。 パプリカ等の色素の添加で黄色の補正も可能) ・ より高い配合割合で給与する場合、不足する栄養成分を調整する必要(特に籾米給与の場合は、蛋白質や脂 肪が不足) 豚 肉用牛 乳用牛 飼 料 用 米 の 加 工 形 態 破砕等の加工処理 した玄米(籾米)を 利用 【籾米】 ・ より細かく粉砕する方が消化性が向上 ・ 飼料用米の配合割合を高めると、脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)の割合が変化することにより肉質が向上 ・ より細かく粉砕する方が消化性が向上 ・ 飼料用米を急に多給すると、ルーメンアシドーシス(ルーメン(第1胃)内が急激に酸性化し、正常な消化・吸収 ができなくなる)が発生するおそれがあるため、家畜の様子を観察しながら徐々に配合割合を上げていくととも に、粗飼料を十分給与するなどの配慮を要する。 【破砕した籾米】 【SGS】 【玄米】 【破砕した玄米】 8 飼料用米の畜種別供給量 ○ 配合飼料メーカーの飼料用米の使用量(平成25年度の実績) 区分 採卵鶏 ブロイラー 養豚 乳牛 肉牛 合計 配合飼料 生産量 614万トン 386万トン 595万トン 310万トン 445万トン 2,350万トン 飼料用米 使用量 17万トン 17万トン 12万トン 3万トン 2万トン 51万トン ○ 鶏卵生産用配合飼料に飼料用米を50%配合した場合の飼料用米必要量(試算) 配合飼料生産量(H25) 614万トン × 0.5 (配合割合) = 307万トン 注1)配合飼料生産量:(公社)配合飼料供給安定機構「飼料月報(H25)」より 注2)畜産統計(H25)によると採卵鶏の成鶏めす飼養羽数は133百万羽 注3)鶏卵生産用配合飼料に含まれるとうもろこし(配合割合50%)を置き換えたとして試算 9 自家配合などで工夫して飼料用米を給与している事例 粒のまま給与 ■ 青森県 トキワ養鶏(採卵鶏) 籾米を粒のままで、自農場で他 の原料と配合して給与。 (飼料用米の配合割合:68%) 加工(破砕・圧ぺん等) して給与 ■ 千葉県 ブライトピッグ千葉(養豚) 自農場で玄米を破砕 ↓ 食品残さと混合して液状化飼料 (リキッドフィード)を製造 ↓ 肥育豚に給与 (飼料用米の配合割合:10%) 発酵させて給与(SGS) ■ 山形県 真室川町農協 生籾米を破砕(既存の籾殻膨軟化 処理機(プレスパンダ-)を活用) ↓ 水と乳酸菌を加え密封し約2ヶ月か けてサイレージ発酵・長期保存可能 ↓ 畜産農家(酪農、肉用牛)に供給 【収穫後】 ■ 大分県 鈴木養鶏場(採卵鶏) 【破砕後】 【SGS】 ■ 岐阜県 臼井牧場(酪農) 籾米を粒のままで、自農場で他 の原料と配合して給与。 自ら開発した破砕機で籾米を破砕 し、他の飼料原料と配合して給与。 (飼料用米の配合割合:20%) 飼料用米の給与量:7kg/日 (飼料給与量の約2割) SGSとは 収穫した飼料用米(籾米)を乾燥させること なく、粉砕・加水・密封してサイレージ発酵さ せた飼料。 嗜好性や保存性に優れ、飼料用米の利用拡大 や、濃厚飼料の代替として注目。 *SGS:ソフト・グレイン・サイレージ (Soft Grain Silage)の略 10 飼料用米を活用した畜産物の高付加価値化に向けた取組 ○ 飼料用米の利活用に際しては、単なる輸入とうもろこしの代替飼料として利用するのみならず、その特徴を活か して畜産物の高付加価値化を図ろうとする取組が見られる。 ○ 国産飼料であることや水田の利活用に有効であること等をアピールしつつ、飼料用米の取組に理解を示す消費 者層等から支持を集めつつある。 まい こめたま ■ 畜産経営:トキワ養鶏(養鶏、青森県藤崎町) ■ 飼料用米生産:青森県藤崎町 ■ 畜産物販売:地元デパート、直売所、 パルシステム生活協同組合連合会 等 ■ 特 徴: 飼料用米を最大68%配合した飼料 を給与し、卵黄が「レモンイエロー」 の特徴ある卵(「こめたま」)を販売。 トキワ養鶏のインターネットサイト でも販売を開始。 やまと豚米らぶ ■ ■ ■ ■ まい まい米牛 ■ 畜産経営:JAしまね出雲肥育牛部会員 ■ 飼料用米生産:JAしまね出雲地区 ■ 畜産物販売者:JA直営スーパー(ラピタ)、地元スーパー、 焼き肉店(藤増牧場直営) 等 ■ 特 徴: 採卵鶏農家を中心に飼料用米の利用が開始 され(「こめたまご」)、飼料用米の生産拡大に 伴い、肉用牛肥育農家等にも利用が拡大。 飼料用米を20%以上添加した配合飼料を 10ヶ月以上給与した牛を「まい米牛」として ブランド化。 畜産経営:フリーデン(養豚、神奈川県平塚市 (岩手県大東農場)) 飼料用米生産:岩手県一関市(主に大東地区) 畜産物販売者:阪急オアシス(関西)、明治屋・ヨシケイ埼玉(関東) 特 徴: 中山間地域の休耕田で生産する 飼料用米を軸に、水田と養豚を 結びつけた資源循環型システムを 確立。飼料用米を15%配合した 飼料を給与し「やまと豚米らぶ」 として販売。 とよ こめ たまご 豊の米卵 ■ ■ ■ ■ 畜産経営:鈴木養鶏場(養鶏、大分県日出町) 飼料用米生産:大分県内全域 畜産物販売:地元百貨店、直売所等 特 徴: 飼料用米を20%配合した飼料を給与 し、生産した卵を大分県産の米を活用 した「豊の米卵(とよのこめたまご)」 として販売。 11 飼料用米を活用したブランド化の取組事例 ① ~高オレイン酸含量の特徴を活かした取組~ (株)フリーデン(岩手県)の豚肉の事例 ○豚に玄米を15%混合した飼料を出荷前60日間給与した 試験報告(バラ皮下脂肪内層の総脂肪酸に占める割合) 脂肪酸 慣行区 玄米区 オレイン酸 42.0% 43.5% (1.5%上昇) リノール酸 9.2% 7.6% (1.6%低下) 豚では、飼料用米給与により、脂肪中のオレイン酸割合が 高まり、リノール酸割合が低下 (給与効果) 旨味に関係するといわれているオレイン酸が増加し、酸化による 風味低下の一因となるリノール酸が減少することで、肉質の向上 が期待できる。 注)枝肉成績に違いなし (畜草研、(株)フリーデン) ・脂肪色が白くなる ・オレイン酸が増え、リノール酸が減る などの効果 ○飼料用米の生産・流通・販売の流れ 堆肥の供給 地域営農組合 岩手県一関市 大東地域 H25年度 78ha、359トン 飼料用米 北日本 くみあい飼料㈱ ㈱フリーデン 肥育豚 フランド豚肉 やまと豚米らぶ 消費者 出荷前の60日間 配合飼料 に飼料用米を給与 大手スーパー等 で販売 トウモロコシの代替として 飼料用米15%配合 12 飼料用米を活用したブランド化の取組事例 ② ~淡い色の黄身の特徴を活かした取組~ 常盤村養鶏農業協同組合(青森県)の鶏卵の事例 ○飼料用米を給与した鶏卵の卵黄色の比較 飼料用米を給与した鶏卵は、市販の卵より黄身 の色が淡く、レモンイエローとなる。 (飼料用米無配合) 飼料用米の 配合割合20% 卵黄色が淡い卵の特長を 利用した加工品を製造/販売 【こめたまホワイトバウムみずほ】 飼料用米の 配合割合68% ○飼料用米の生産・流通・販売の流れ 鶏糞堆肥の還元 稲作農家 (契約農家数131戸) H24年度 789ha 保管 倉庫 飼料用米 (主に籾米) 常盤養鶏 消費者 採卵鶏 飼料用米の配合割合や 飼育方法の違い(ケージ飼育、 インターネット ・生協等で の限定販売 平飼い飼育)に応じたブランド 配合飼料 飼料製造業者 卵を設定 飼料用米は飼料製造業者に持ち込まず、農 場で他の飼料原料と混合し給与 ・こめたま:飼料用米68%配合 ・通 常 卵:飼料用米20%以上配合 (平飼い飼育) 13 ○ 米穀の新用途への利用の促進に関する法律の枠組み ○ 米粉用米・飼料用米の利用を促進し、水田の有効活用と食料の安定供給を確保する観点から、平成21年に米穀の新用途 への利用の促進に関する法律(平成21年法律第25号)が制定された。 ○ 同法では、米粉用米・飼料用米の利用の促進の観点から取り組むべき事項に関して基本方針を定めることとされており、基 本方針は、おおむね5年ごとに定めることとなっている。 ● 農林水産大臣は、政令で定めるところにより、米穀の新用途への利用の促進に関する 基本方針を定めるものとする。【法第3条第1項】 ● 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関 係機関の長に協議するとともに、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければなら ない。 【法第3条第5項】 ● 法第3条第1項の基本方針は、おおむね5年ごとに定めるものとする。【施行令第4条】 農林水産大臣 決 定 各種支援措置 認 定 基本方針 生産製造連携事業計画等 【生産製造連携事業計画】 生産者、製造事業者(必須)、促進事業 者(二次加工事業者等)が連携して計 画を作成し申請 ・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金 26年12月末累計交付額: 米粉用米 6,762,375千円 飼料用米 51,954千円 ・食品安定供給施設整備資金(日本政策金融公庫) 26年12月末累計融資額: 米粉用米 2,979,000千円 飼料用米 -円 ・ 情報の提供、研究開発の推進・成果の普及その他の必要な施策 ・ 利用促進の意義に対する国民の関心・理解の増進 14 米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針のポイント 本基本方針では、食料・農業・農村基本計画で定める米穀の新用途(米粉用米10万トン、飼料用米110万トン)の 生産努力目標の達成に向けて、利用の促進を図るための基本的な方向を提示。 また、最初の基本方針の策定(平成21年8月)から5年が経過し、これまでに明らかになってきた課題、その対応に 向けた取組の方向を記載。 【主な内容】 1 利用の促進に向けた新たな技術等の明確化 ○ 米粉用米について、小麦粉よりも高い製粉コストの低減、用途の多様化が期待できる、ピューレー状・ゼリー状な どの新たな加工技術の利用を位置付け。 (基本方針の策定にあわせて、新用途米穀加工品を定義する同法施行規則を一部改正) ○ 飼料用米について、飼料利用の拡大に向けた畜種に応じた効果的な給与技術の普及を記載。 2 流通・加工コストの低減 ○ 米粉用米について、製粉コストの低減のための加工技術の改良、開発、普及の必要性を記載。 ○ 飼料用米について、流通コストの低減のためのバラ流通への転換、畜産農家などにおける加工施設・機械の導入促 進を記載。 3 実需者とのマッチング、消費者へのアピール ○ 米粉用米について、特定の品種の原料米を求める実需者への対応とともに、実需者による魅力的な米粉製品を利用 した消費者へのアピールの重要性を記載。 ○ 飼料用米について、需要量の増加に対応するため、複数産地の連携による安定供給の重要性を記載。 15 参考資料 参考1 米の消費量の推移 ・米の消費量は一貫して減少傾向にあり、一人当たりの米消費量はピーク時から半減。 ・国内で自給可能で総供給熱量の2割を占める米の消費拡大は、食料自給率向上を目指す上でも極めて重要。 米の消費量の推移(1人1年あたり) カロリーベースの総合食料自給率(平成25年度) 総供給熱量 2,424kcal / 人・日 [国産供給熱量 939kcal / 人・日] 供給熱量割合 [%] kg(精米) 110 昭和37年度 118.3 120 100 114.9 年 度 消費量 100 90 21年度 58.3 22年度 23年度 59.5 57.8 24年度 56.3 25年度 その他 24% 90 289kcal[ 70kcal] 64kcal [22kcal] 72kcal [17kcal] 73kcal [56kcal] 97kcal [63kcal] 果 実 34% 56.9 大 豆 23% 野 菜 76% 魚介類 64% 80 95.1 砂糖類 29% 70 200kcal[ 57kcal] 80 78.9 70 平成25年度 70.0 60 56.9 64.6 59.5 50 40 昭和35年度 昭和45年度 昭和55年度 平成2年度 (昭和40年代) 平成12年度 ▲0.8kg/年 ▲1.3kg/年 (年平均減少量) ▲2.2kg/年 平成22年度 50 凡例 輸入部分 40 畜 産 物 16 % 30 ▲0.6kg/年 輸入飼料に よる生産部分 (昭和50年代) (昭和60~平成6年度) (平成7年~16年度) 20 0 昭和35 昭和45 昭和55 平成2 平成12 平成21 平成22 平成23 平成24 平成25 79 60 53 48 400kcal[ 65kcal] 49% 米 97% 555kcal[540kcal] 自給部分 カロリーベース自給率の推移 カロリー 自給率 344kcal[ 11kcal] 油脂類 3% 10 年度 330kcal[ 39kcal] 小 麦 12% 60 40 40 39 39 39 39 0 20 40 60 80 100 品目別供給熱量自給率 [%] 【平成25年度】 (カロリーベース総合食料自給率 39 %) 16 参考2 米飯学校給食の推進について ・米飯学校給食は、味覚を育む子どもたちに米を中心とした「日本型食生活」の普及・定着を図る上で重要。 ・農林水産省は、文部科学省と連携して、米飯学校給食を一層普及・推進。 農林水産省の取組 米飯学校給食の拡大に向けた取組への支援 米飯給食を拡大する上で隘路となっている ①食材の安定確保 ②産地との連携を通じた食育の推進 ③調理時間・コスト 等の課題を解決する取組の支援をモデル校で実施し、成果を全 国の学校給食関係者に普及・啓発。 政府備蓄米の無償交付 米飯学校給食を増加させる場合に、回数の対前年度純増分を対 象に政府備蓄米を無償交付。 米飯学校給食実施回数の新たな目標 文部科学省は、平成21年3月に米飯学校給食の新たな目標として 「週3回以上」(週3回以上の地域や学校については、週4回などの目標 設定を促す)を通知。 学校における米飯給食の推進について (平成21年3月31日 文部科学省スポーツ・青少年局長通知)(抜粋) 米飯給食の推進については、週3回以上を目標として推進するものとする。 この場合、地場産物の活用推進の観点から、地場産の米や小麦を活用した パン給食など、地域の特性を踏まえた取組にも配慮する。 また、地域や学校の事情等により実施回数が異なっている現状にかんがみ、 以下のように、地域や学校の事情等に応じた段階的、漸進的な実施回数の 増加を促すこととする。 (1)大都市等実施回数が週3回未満の地域や学校については、週3回程度 への実施回数の増加を図る。 (2)既に過半を占める週3回以上の地域や学校については、週4回程度など の新たな目標を設定し、実施回数の増加を図る。 ○ 米飯学校給食実施回数の推移 (平成25年度3.3回) 市町村等への働きかけ 地方農政局や地域センターから、市町村等の学校給食関係者へ 米飯学校給食の一層の推進を働きかけ。 出典:米飯給食実施状況調査(文部科学省) 注:米粉パン・麺は含まない。 17 参考3 ごはん食の効用の普及・啓発 ・ 医師や病院栄養士等の専門家を通じて、健康面からごはん食の効用をわかりやすく発信 ごはん食の基本的な効果 ・粒食で消化がゆっくり進むので、満腹感が持続するとともに、エネルギー源であるブドウ糖を安定的に供給 ・血糖値の上昇が緩やかで、血液中の過剰な糖をもとにした脂肪の合成・蓄積が少ない ・魚、大豆、発酵食品など組み合わせる食材が豊かで、低脂肪で栄養バランスの良い食事となりやすい シンポジウムによる普及啓発 リーフレットによる普及啓発 「食育健康サミット2014」 (日本医師会、米穀機構) 医学・栄養学等の専門家4名が登壇、日本人の食事 摂取基準(2015版)等を踏まえ、性・年齢階級別に疾病発 症予防等のためのエネルギーと栄養素について再考し、 日本型食生活の重要性について啓発 (750名の医師・栄養士等が参加) 〈テーマ〉性・年齢別疾病の発症予防・重症化予防と日本 型食生活の役割 「ごはん食健康シンポジウム」 食に対する関心の高い主婦層をターゲットに、医師、 大学教授及び栄養士の有識者等によるごはん食の健 康面の良さを啓発(神奈川県、大阪府、愛知県の3会 場で1会場約500人規模) 〈テーマ〉お米のおいしさと機能性 新潟大学大学院自然科学研究科 大坪研一教授他 出席者アンケート(1,200名) シンポジウム内容について、84%が「満足」と評価、今後の参加意向についても9割以上の 方が参加したいと回答があり非常に高い評価を獲得 30代男性向け 受験生の親向け ごはん食の良さを伝 えるリーフレットを、 デパート、スーパー 等において配布 18 ごはんを中心とした和食の魅力の発信 ・ ごはんを中心とした和食の魅力を発信するとともに、消費者や食品関連事業者が実践しやすい和食の「朝食」、 「お弁当」、「学校給食」メニューを紹介 「ごはん食推進フォーラム」(平成26年2月) ごはんを中心とした和食が有する健康面、文化面等のさまざまな魅 力を発信。ごはん食に関する先進的な取組事例を紹介(参加者 約 200名) <有識者による講演> ~民族の知恵「和食の底力」~ 東京農業大学名誉教授 小泉 武夫 氏 有識者による啓発 小泉武夫先生の講演 パネルディスカッション コンビニ飽和時代に生きる -価値創造- ㈱ローソン 商品物流本部米飯部部長 福田 浩一 氏 <パネルディスカッション> みんなで考える、和食の未来 和食の「朝食」、「お弁当」、「学校給食」のメニュー展示 消費者や食品関連事業者がそれぞれの立場でごはん食を推進してもらうことを意図し、取り組みやすい和食の「朝食」、「お弁 当」、「学校給食」メニューを提案 <朝食メニュー> <お弁当メニュー> <学校給食メニュー> 展示ブースの様子 和食の基本となる 「一汁三菜」 生活者の視点を踏まえた 「時短和食」 【協力:分とく山 総料理 長 野﨑洋光氏】 【協力:“和”食文化推進協議 会】 適した食事量をわかりや すく実践できる「3・1・2 弁当箱法」 【協力:食生態学実践フォーラ ム】 旬の食材と子どもの嗜好 にあった、ごはんが食べ やすい献立 【協力:学校給食栄養士 19 協議会】 機密性○情報 ○○限り 参考4 食べやすい表面加工玄米で健康増進 1.収穫した米から「もみがら」を除いた玄米には、食物繊維(3%)、ビタミン、ミネラルがすべて 残っています。 2.市販の白米は玄米から約10%の「ぬか」を取り除きますが、表面加工技術では、玄米を吸引・浮遊 させて表面加工(歩留まり 99.9-99.8%)を行い、食感を改善しました。 3.表面加工玄米は、白米と同じように早く炊飯でき、香ばしい香りがします。 4.玄米よりも軟らかく粘るため、おにぎりや弁当などの外食産業にも普及が期待できます。 表面加工技術の開発 表面加工玄米 (機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト) 玄 米 加工部 120 1000 100 800 80 600 60 400 40 200 20 mg/kg mg/kg 吸引部 1200 玄米 ■玄米 研削玄米 ■表面加工玄米 精米 ■精米 ミネラル含量 0 0 Ca Ca Mg Mg Fe Fe Zn Zn 表面加工玄米 40 白米 表面加工玄米は玄 米と成分が殆ど変 わらないが、吸水 速度が早くなる 玄米用の表面加工 装置(実用レベル) 生産量 200kg/時 歩留まり 99.9-99.8% 白 米 表面加工後 吸水率 (%) 30 20 表面加工玄米 10 白米と同じように 早く炊飯できる! 玄米 0 0 100 200 300 浸漬時間 (min) 炊飯後 20 穀粒表面の研削加工技術の実用化ロードマップと今後の展開 食品ナノテク (H19-23) 基盤 開発研究 小麦穀粒の表面 研削加工技術の 開発・実用化 機能性食品プロ(H25-H27) 玄米粒の表面の クリーニング加 工に応用 玄米専用装置の 開発・スケール アップと表面ク リーニング玄米 の機能解明等 実用化 2016年以降 期間:平成19年度~平成27年度 研究資金:農水委託プロ(食品ナノテク、H19-H23)、農水委託プロ(機能性食品プロ、H25-H27)等 共同研究:筑波大、茨城県、大和産業株式会社等 特許出願数:1 論文数:1 実用化のポイント ・小麦全粒粉の製造ではフスマの微粉砕が課題 ・小麦穀粒の表面を研削加工後に製粉することにより製粉性が向上 ・微生物の低減と全粒粉パンの品質改善に有効 今後の展開 ・表面クリーニング加工による玄米の六次機能(栄養性、嗜好性、生体調節機能)の向上 21 参考5 業務用米の安定的な取引の推進 ・ 米穀を購入して家庭で炊飯する割合が低下しつつあり、消費に占める中食・外食などの業務用米の割合は、 主食用米の1/3。 ・ 業務用米には、業態やメニューにより、求められる品質や価格が、コシヒカリのようなブランド米とは異なる場 合がある。 ・ 業務用への引き合いがある中で、ミスマッチを解消するため、生産者と実需者のマッチングを支援。 ■ 主食用米の消費内訳 (平成26年度平均) ■ 中食・外食の実需者が業務用米に求める品質 外食 12.7% 業務用米 29% 中食 16.6% 家庭内 70.6% 例 ○ 胴割れしにくいもの ○ 用途に適した品種 (例) おにぎり・・・形が崩れにくいもの 寿司・・・酢が入りやすいもの 丼物・・・粘りが少ないもの (流通業者への聞き取り) ■ 実需者と生産者の契約栽培の締結事例 資料:米の消費動向調査((公社)米穀安定供給確保支援機構調べ) 農 林 水 産 省 の 取 組 滋賀県の生産法人と地域の炊飯事業者が業務用米(多収 穫米)の「にこまる」60トンの契約栽培を締結。 (関係団体への聞き取り) 業務用米の生産・流通の拡大に向けたセミナー、展示商談会を 通じた生産者と実需者の連携(マッチング)促進 実需者をはじめとした関係者のコーディネート、生産技術の支援 を通じて、需要と結びついた業務用米の生産体制を整備 業務用米セミナー (平成27年1月20日開催)の様子 プロユース国産米展示商談会 22 (平成27年3月4日開催)の様子 25 参考6 酒造好適米の需要に応じた生産拡大について ○ 清酒については、長期的に減少傾向にあった出荷量が、22年度以降はほぼ横ばいに転じるとともに、吟醸酒 等の出荷量は増加傾向。 また、吟醸酒等については、今後、輸出を含めた需要拡大への取組も期待されているところ。 ○ このため、26年産米から、清酒メーカー等における清酒の生産増に対応した酒造好適米の増産分等について は、主食用米の生産数量目標の増減に左右されることなく、その枠外で生産できる等の運用見直しを行ったとこ ろ。 ○ この結果、26年産米については、新規需要米として4,354トン(859ha)の酒造好適米が増産される計画。 ● コメ・コメ加工品の輸出戦略 25年8月(日本酒の部分(抜粋)) ● 清酒出荷量の推移 現状 (単位:千kl) ○ 日本酒については、近年、額・量とも顕著に増加。 一方、2008年以降は増加のスピードが鈍化。 ○ 単価は上昇傾向であったものの、近年は横ばい。 ○ 米国、香港等が中心だが、輸出先国は以前に比べて多様 化。 (清酒の内数) 目標と方向性 注:日本酒造組合中央会調べ。年度は暦年で25年度は速報値。 清酒は、一般酒のほか、原料米及び製造方法などの諸条件(原料、精米歩留)に より、吟醸酒、純米酒等8種類に分類され、これらを総称して「特定名称酒」という。 ○ 重点地域及び発信力の高い都市での事業にリソースを投 入し、認知度の向上と販路の確保・拡大を図る。 ○ 酒造業者と生産者が結びつきをより強化すること等による 原料米の数量や価格の安定供給の確保、特に酒造好適米 の増産が可能となるよう措置。 23 11
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