人事部門をコストセンターから プロフィットセンターに変える5つの方法

新たなパラダイムへの移行
人事部門をコストセンターから
プロフィットセンターに変える5つの方法
An Adecco Asia Pacific White Paper
2015年第4四半期
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人事部門は技術面を高めて直接の収益をもたらす部門ではないため、コストセンター
だと思われがちです。しかしながら人事部門が存在しなければ、人財の採用、維持、
教育訓練といった会社にとって重要な業務はたちまち危機に瀕します。
プロフィットセンターと呼ばれる部門がどんなに業績を伸ばそうと、人事部門のような
会社の中核を担う部署の支えが無ければ、すぐに業績は停滞していくでしょう。
ですが会計上、会社組織は収益を生む部門と収益を生まない部門に分類せざるを得ず、
人事部門はコストセンターとみなされてしまうのです。
その結果、 全社員が一つのチームとして会社の成功のために懸命に働き、社員一人
ひとりが会社の業績を向上させるための重要な役割を果たしているにも関わらず 、
人事のような部門は誤解が解けないまま、目立たない存在となりがちです。
それでも真実は変わりません。
組織において人事部門の果たす役割を価値に換算でき、かつその機能が会社の財務諸表
に表される最終収益にいかに大きな影響を与え、役立っているかを明確に示すことが
できれば、人事部門はすぐにでもコストセンターからプロフィットセンターへと転換
することになるでしょう。
そのために何をすればよいか、いくつかのアイデアをご紹介します。
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すでに利用できる手段を活用する
どの部署においても、恒常的な人財の不足は常に取り組まなければならない
課題の一つです。そして人事部門であれば、少し調べるだけで従業員の中か
ら多くの有用な人財を発掘できるのです。
人事部門は現状の従業員に対する人的資本管理や組織開発を行い、従業員の
能力の最大化を図ることができます。これには2つの側面があります。
一つ目は、新たな人財を採用する際に従業員照会システムを導入し、優秀な
人財を見分け、惹きつけるのに役立てることです。
そして二つ目は、従業員の隠れた才能を生かすことです。実際どの従業員も
知られていない強みや才能を持っているものです。こうした隠れた才能が会
社にとって大いに役立つこともあるでしょう。
あなたの価値を示そう
では、このプロセスはどのように始めた
らいいのでしょうか。
まずは会社に対して人事部門への投資対
効果をはっきりと示すことが必要です。
ご存じとは思いますが、投資利益率(ROI)
とは会社が投資した資本に対して得られ
た利益の割合のことをいいます。
例えば人事部門が従業員に新しいスキル
を身につけてもらうための教育訓練プロ
グラムに1,000ドルを使ったとしましょ
う。これに対して新たに従業員を一人雇
うための費用が3,000ドルだったとする
とその差額分を得たわけですから、ROI
は2,000ドルになります。
これは簡単な例ですが基本的な考え方は
こういうことです。人事部門が実際に会
社に価値をもたらしていることに対する
確実な証拠を示すことで、部署への誤解
や偏見から守るばかりでなく、今後のプ
ロジェクトに対する予算も増えるかもし
れません。
しかしながら、ROIを実際に示そうとし
ても原因と結果は証明しづらく、相関関
係を考えなくてはならない場合の方が多
いものです。人事部門のおかげで生産性
が向上したと明白に証明するのは難しい
かもしれません。この方法は人事部門の
役割がいかに重要であるかを示す方法の
ひとつにすぎません。
僅かな時間を利用して従業員のスキルや興味に関する調査を実施すれば、実際に大
きな収穫が得られるでしょう。人事部門は人財リストを入手することができます。
それにより会社のあらゆる部門は必要に応じて費用対効果が高く、大変有用な人事
部門を頼りにすることでしょう。
これは従業員にとっても有益なことです。新たなスキルを身に着け、原石のままの
能力を磨きあげ、エンプロイアビリティ(雇われるの能力)を高めるとともに会社
から認められるチャンスにもなるからです。
再訓練による雇用の確保
ここで明確にしておくべきことは、従業員の教育訓練と専門能力の開発には
コストがかかるものの、高いリターンが得られるという側面です。
良く知られていることですが、従業員の満足度やエンゲージメントが高まれ
ば顧客満足度も向上していきます。以前にも増して現在においては従業員の
会社に対するロイヤリティや仕事ぶりは、雇用の安定や将来的なエンプロイ
アビリティの向上に大きく依存しています。
この2つは特に重要なポイントであり、教育訓練やコーチングを通じて実現
していくことができます。
社内研修を企画し実施すれば、人事部門は社外の専門講師などに支払う費用
を節約しながら従業員にとって意味のある教育訓練を行うことができ、従業
員のやる気や積極性を引きだすことができます。これはシンプルなメンタリ
ング・プログラムや、会社のコミュニケーション部門の助けを借りたメディ
アトレーニングといった研修プログラムなどでも実施することができます。
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収益を生み出す
コストセンターと呼ばれる部門が独創的な方法によって出費を
削減し、想定外の利益を生み出すならば、もはやコストセンタ
ーとはいわないでしょう。
そのためには、他の部門からサービスへの対価を支払ってもら
うという方法があります。この方法がうまくいくにはそのサー
ビスが独創的でなければなりません。
他の部門が費用をかけて外部の会社やパートナーにアウトソー
スしているようなサービスを人事部門がさらに安い金額で引き
受けることができないか、とよく考えるのです。
こうすれば社内の部門はより少ない予算で必要な手助けを得る
ことになります。
これは研修コースをはじめ、部門の壁を越えたサクセッション・
プランニングの実行、対立の解決、報酬分析、従業員調査など
といった多岐にわたる領域において、機能する可能性がありま
す。そして、こうした分野ではアウトソーシングよりも人事部
門に依頼するほうが、より良い選択だと示すことができます。
さらに重要な点としては、人事部門に依頼する費用はアウトソ
ーシングの場合と同等、もしくはほぼ間違いなく安価に抑える
ことができるということも理解してもらえます。
もちろん、実際にはほとんどが計算上の利益に過ぎず、ある部
門から別の部門へと予算配分の変更が生じるにすぎませんが、
それでも人事部門にとっては収益なのです。
そうして得た収益で部門の経費をすべてまかなうことができた
なら、あなたの部門はもはやコストセンターではありません。
間接費を削減する
人事部門が最終利益に大きな影響を及ぼすさらに別の方法は、
間接費の削減です。こう言うといわゆる緊縮策の話に聞こえる
かもしれませんが、人員や給与の圧縮ではありません。
プロセスの合理化や供給業者との契約条件の見直し、より効率
の良い運営方法の導入によって大きな影響が生じます。
経費の節減は人事部門の価値を高めます。
人事部門がもつ利点の一つは、通常なら費用が発生するような
業務に対してソーシャルメディアを活用できることです。
人事部門の専門家であれば、社外の人材派遣や人材紹介会社に
依頼して進めている業務をソーシャルメディアに肩代わりさせ、
ソーシャルメディアを通して将来社員になりうる候補者たちに
「良い会社」だと知ってもらうことで、価値をもたらすこと
ができるでしょう。
ソーシャルメディアを利用した人財の募集には時間と労力がか
かりますが、長期にわたり会社に利益をもたらす投資なのです。
TwitterやFacebook、LinkedInといったソーシャルメディア
のプラットフォームを利用すれば、草の根のネットワークに入
り込んで募集を行うことになります。このデジタル時代ならでは
の方法です。
以上、人事部門がその立ち位置を変えてコストセンターからプ
ロフィットセンターへと変わるための方法を、5つだけですが
ご紹介しました。
人事部門がいかに重要な役割を果たしているかを示すとともに、
収益を生み出す能力を実際に示していくことで、人事部門に対
する周囲の捉え方を変えていくのです。
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