京都宗教系大学連合 シンポジウム 「宗教と道徳―道徳の教科化を考える」 コ メ ン ト の 覚 書 同 志 社 大 学 沖 田 行 司 1 . 明 治 維 新 王 政 復 古 → 神 道 的 価 値 に 基 づ く 教 育 構 想 ・ 1870( 明 治 3) 神 道 主 義 と 儒 教 主 義 を 排 除 し た 教 育 構 想 ・1872( 明 治 5) 学 制 発 布:立 身 出 世 主 義・能 力 主 義・実 学 主 義・主 知 主 義 ➡ 産 業 立 国 ・ 新 島 の 見 た 明 治 教 育 ① 実 学 を 持 た な い 道 徳 主 義 ( 儒 教 主 義 ) か ら 道 徳 を 持 た な い 実 学 主 義 へ の 転 換 ② 「 知 性 だ け あ っ て 道 徳 上 の 主 義 が な け れ ば 、そ の 個 人 は 隣 人 や 社 会 に 対 し て 益 を な す よ り は 一 層 害 を な す で あ ろ う 。と ぎ す ま さ れ た 知 性 は よ く 切 れ る ナ イ フ に 似 て い る 。 彼 は 仲 間 を そ こ な い 、 自 分 自 身 を も ほ ろ ぼ す こ と に な る か も し れ な い 」 2 . 国 教 論 争 天 皇 側 近 派 VS 開 明 官 僚 派 ① 1879( 明 治 12) 元 田 永 孚 ( 侍 補 )『 教 学 聖 旨 ( 教 学 大 旨 ・ 小 学 条 目 二 件 )』 ・ 学 制 以 来 の 教 育 は 主 知 主 義 で あ り 、 徳 育 が 欠 如 し て い る と 批 判 ・ 文 明 開 化 に よ り 道 徳 が 乱 れ る ➡ 教 育 の 基 本 と な る 「 国 教 」 を 樹 立 ② 1879( 明 治 12) 伊 藤 博 文 ( 内 務 卿 ) 『 教 育 議 』 で 反 論 ・ 国 教 は 賢 哲 の 登 場 を 待 つ も の で 、 政 府 の 管 制 す べ き も の で は な い 。 ・ 高 等 の 生 徒 に 対 し て は 科 学 に 進 ま せ る べ き で あ る : 混 乱 は 歴 史 の 過 渡 期 の 現 象 ③ 元 田 永 孚 の 反 論 『 教 育 議 附 議 』 ➡ 伊 藤 は 反 論 せ ず 侍 補 の 制 を 廃 止 ↓ ・ 明 治 14 年 に 帝 国 議 会 の 開 設 の 詔 書 ・ 私 学 の 興 隆 と 地 方 に お け る 民 権 派 の 台 頭 を 抑 止 ④ 政 治 的 な 手 段 と し て の 道 徳 ⇒ 「 教 育 に 関 す る 勅 語 」【 教 育 勅 語 】 1890( 明 治 23) ↓ 「 教 育 と 宗 教 の 衝 突 」 論 争 ➡ キ リ ス ト 教 へ の 批 判 ( 共 同 愛 国 ・ 孝 悌 忠 信 ) 3 . 占 領 軍 の 教 育 政 策 1945( 昭 和 20) ① 「 四 大 教 育 指 令 」 10 月 ~ 12 月 ・ 第 一 指 令 「 日 本 教 育 制 度 に 対 す る 管 理 政 策 」 軍 国 主 義 ・ 国 家 主 義 の 禁 止 、 個 人 の 尊 重 と 基 本 的 人 権 ・ 第 二 指 令 「 教 員 及 び 教 育 関 係 者 の 調 査 、 除 外 、 認 可 に 関 す る 件 」 占 領 政 策 に 反 対 す る 教 員 の 排 除 ・第 三 指 令「 国 家 神 道 、神 社 神 道 に 対 す る 政 府 の 保 証 、支 援 、保 全 、監 督 並 び に 弘 布 の 廃 止 に 関 す る 件 」 公 務 員 が 公 的 な 資 格 で 神 社 に 参 拝 す る 事 を 禁 止 学 校 教 育 か ら 国 家 神 道 と 結 び つ く も の を 除 去 す る こ と を 命 じ る ・ 第 四 指 令 「 修 身 、 日 本 歴 史 、 及 び 地 理 停 止 に 関 す る 件 」 こ の 三 教 科 が 軍 国 主 義 イ デ オ ロ ギ ー を 国 民 に 浸 透 さ せ た 主 要 因 と し て 、 授 業 を 停 止 ② 修 身 教 育 を め ぐ る 議 論 ・ 日 本 の 道 徳 を 徹 底 的 に 排 除 す る → 「 日 本 人 の 再 教 育 」 の 障 壁 ・ 新 た に ア メ リ カ の 社 会 科 を 提 案 → 市 民 教 育 を 通 し た 道 徳 教 育 キ リ ス ト 教 + 社 会 科 ( 市 民 教 育 ) ⇒ 人 間 教 育 ・ 宗 教 を 教 育 か ら 排 除 し た 日 本 に お け る 不 完 全 な 教 育 資 料 政 教 分 離 の 原 則 → 憲 法 第 20 条 と 第 89 条 教 育 基 本 法 第 9 条 第 1 項「 宗 教 に 関 す る 寛 容 の 態 度 及 び 宗 教 の 社 会 生 活 に お け る 地 位 は 、 教 育 上 こ れ を 尊 重 し な け れ ば な ら な い 」 第 2 項 「 国 及 び 地 方 公 共 団 体 が 設 置 す る 学 校 は 、 特 定 の 宗 教 の た め の 宗 教 教 育 そ の 他 宗 教 活 動 を し て は な ら な い 」
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