<平成27年度・28年度 菊のように 学校課題研究テーマ> 美しく思いやりのある子の育成 ~道徳教育の充実と「泉っ子憲章」の具現化を通して~ 1 テーマ設定の理由 (1)学校教育目標の具現化から 本校の学校教育目標は以下の3つである。 学校教育目標 1 いずみのように 生き生きと考えをだす子 1 菊のように 美しく思いやりのある子 1 太陽のように 明るくたくましい子 本校では平成25、26年度の2年間、「太陽のように 明るくたくましい子」の育成 を目指して体育を中心に研究を進めた。体育の授業の充実のみならず、「泉っ子体操」の 導入や朝マラソンの活性化など、多くの成果を挙げることができた。 本年度、ひとつの節目として新たなスタートの時を迎え、今後、何を柱にして研究を進 めていくか全教職員で話し合い、検討した結果「心の教育」を中心に進めることになった。 「心こそ大切」である。学ぶこともたくましく体を鍛えることも、「心」の持ちようが 大きく関わる。児童のその心を、磨き、鍛え、はぐくんでいくことが本研究の主眼である。 開校当初に定められた本校の教育目標、「菊のように 美しく思いやりのある子」は含 蓄のある表現である。菊は日本の花であり、行田市の花でもある。「菊のように」とはど のようなことであろうか。※「含蓄」とは、深い意味があって味わいのあること。 菊の花言葉は「高貴」「高尚」「高潔」で、気高く気品に満ちた菊の花の姿に由来する といわれている。ふるさと行田に育つ子供たちの心を、菊のように気高く美しく育てる、 そんな思いを込めて研究に取り組みたい。 子供は誰もがダイヤモンドの輝きを持った宝といえる。しかしまだ原石であり、磨いて こそ美しい輝きを放つ。忘れてならないのは、ダイヤを磨くのはダイヤであるということ。 つまり、心を磨くのは心であり、子供にとって最大の教育環境は教師自身だということで ある。日々、教師と子供、子供どうしで織りなす学校生活の中で、互いに心を磨き合い高 め合う、そんな泉小にしたい。 また、こんなこともいえる。 「菊作り 菊見るときは 陰の人」(吉川英治) 私たち教師が、丹精込めて子供たちをはぐくむ。私たち教師に陽の当たることはない。 どんなに努力を重ねても報われない日が続くこともある。そんな日々の中にあってもただ ひたすら陰の労苦に徹する。 しかし、冬はやがて春となるように、いつの日か手塩にかけて育てた子供たちが、立派 な姿となって成長していることに気付く。私たち教師は、子供たちのその姿を陰から見守 りながら何ものにも代え難い歓びを味わう。これこそが教師にとっての幸福である。そし て、私たち教師は、子供の生涯にわたる生き方にまで影響を与える存在である、という自 覚に立ち、自負と責任をもって本研究に取り組みたい。 (2)本校並びに本校児童の現状から 学校には風が吹いている。それを校風と呼ぶ。今、泉小では、明るく素直で元気いっぱ いの「泉っ子」たちが育っている。開校より35年の歴史の中で、先輩教職員、保護者・ 地域の方々のご努力により素晴らしい伝統が築かれてきている。先人の労苦に感謝し、よ き伝統・校風を維持しつつもさらに発展・向上させていくことが私たちの使命である。 本校の特色のひとつに「泉っ子憲章」がある。そこには、児童たちの目指すべき道が凝 縮されている。この憲章は月々の生活目標にも反映され、よき伝統として日々の学校生活 の中に息づいている。 泉っ子憲章 わたしたち泉小学校に学ぶものは、ひとりひと りが楽しくすごすため、次のことを実践します 1 元気にあいさつします 2 自分も友だちも大切にします 3 美しい学校にします 4 きまりを守ります 5 力いっぱいがんばります 本校のよき伝統を引き継ぎながら、さらによさを伸ばしていきたい。しかし、よき伝統 も座したままの姿勢では発展はおろか維持することすら望めない。弛まぬ努力、実践があ ってこそ伝統は守れるものである。古の賢人の言葉に「進まざるは後退なり」とある。変 化変化の流行の中にもけっして変わらない不易は、一歩前進、常に前へ前へとのあくなき 挑戦があってこそ不易たり得るといえる。 本研究は、この「泉っ子憲章」が謳っていることを、児童の姿をとおして学校生活の中 に具現化し、泉小学校の校風として確かに吹かせることを目標とする。 しかしながら児童の現状は、まだまだである。あいさつもそうじも、自分や友だちを大 切にすることも、きまりを守ることも力いっぱいがんばることも、まだまだである。 学校生活の中で、共に過ごす仲間たちと思いやりあふれた豊かな人間関係を築き、支え 合い励まし合って毎日を過ごしていくことは、すべての土台である。また、あいさつやそ うじなどは、本来、あたりまえに行うべきことである。 心は見えないが、心の持ちようは言動となって表れる。道徳教育を充実し、児童の道徳 的心情を養い道徳性を育めば、道徳的実践力となって自ずとその姿に現れる。すなわちそ れは、明るく元気なあいさつや一生懸命そうじに取り組む姿であったり、自分も友だちも 大切にする姿であったりする。こうしたことがあたりまえにできる児童、学校、そしてそ のあたりまえに繰り返すレベルを一歩ずつ向上させていく、そんな研究を目指したい。力 いっぱいがんばることの素晴らしさを教え、「努力はけっして裏切らない」ことを児童の 心に刻みたい。 「心の教育」を進めるにあたり大切なのが、「やればできる」という自信と「自分は宝 の存在なんだ」という自己価値感・自己肯定感を育むことである。 人としての基盤を作る小学校時代に、「やればできる」という自信を培うことは極めて 重要である。教師の根気強い関わり、励ましと児童が最後まであきらめずに挑戦する中で、 できなかったことができるようになる、わからなかったことがわかるようになる成就体験 が生まれる。この、「やった! できた! わかった!」という成功体験は人間形成にお いてまことに重要であり、これを積み重ねることによって「自分もやればできる」という 自信を培いたい。 自信と自己価値感は同時に児童の心の中に「自分を大切にする心」を芽生えさせ、育む。 この自尊感情は、児童の学校生活を楽しく充実したものにする。また、「自分を大切にす る心」は「友だちを大切にする心」となる。こうして育まれた心は、学校生活のみならず、 家庭での生活においても、卒業してからも、豊かで彩りのある人生を送る財産となる。 以上のことから、研究主題「菊のように 美しく思いやりのある子の育成」を目指して 「道徳教育」を充実させ、児童の道徳的心情を養い道徳性を育み、道徳的実践力を高める。 その姿は、「泉っ子憲章」に示した内容として現れてこそ本物といえる。
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