間質性肺炎について

間質性肺炎
平成27年11月2日
緩和ケア病棟看護師
間質性肺炎とは?
・肺の間質に炎症を生じる疾患の総称のこと
間質とは?
肺は血液中のガスを大気中のものと交換する器官で
あり、大気を取り込む肺胞と毛細血管とが接近しあっ
て絡みあっている。それらを取り囲んでいる組織のこと。
①肺機能の低下
→肺が炎症を起こして肥厚することで肺の膨張収 縮が
妨げられる。肺活量が低下し、空気交換速 度も遅く
なる。
事例紹介
・患者:80才 男性
・診断名:膀胱癌、多発脳転移
腹部大動脈リンパ節転移
間質性肺炎
・入院経過
X年:前立腺肥大にて通院中。血尿認め膀胱鏡による細胞診にて膀胱癌
診断。
TUR-BT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)2回施行するが、血尿と潰瘍
治癒遅延あり断念。
X+1年:化学療法+放射線療法開始するも副作用あり2コース目で中断と
なる。本人の意向を尊重し家族の時間を大切にするよう説明。
X+2年:多発脳転移ありガンマーナイフ施行。一時退院するも発熱、呼吸困
難にて入院し間質性肺炎診断あり。
家族、本人の希望にて緩和ケア病棟へ入院となる。
原
因
・感染:ウイルス感染
・膠原病
関節リウマチ、全身性強皮症、皮膚筋炎など
・放射線
放射線療法
・中毒、薬剤性
抗癌剤、インターフェロン、抗生物質
・特発性:以上に挙げた明確な原因を持たないもの
症
状
◎呼吸困難
◎呼吸不全
・発熱
◎乾性咳嗽(痰を伴わない咳)
→痰は気管支や肺胞の炎症で分泌される
・ばち指
検
査
・単純X線撮影、胸部CT
すりガラス様陰影が特徴的
進行に伴い線維化を反映して蜂巣状となる
・胸部聴診
fine crackie(パチパチ)
・呼吸機能検査
・血液検査、血液ガス
LDH、血沈、CRP
SP-A、SP-D、KL-6
治
療
①炎症の抑制を目的
→ステロイド(感染症が原因の場合はこれらは増悪を招く)
免疫抑制剤
②対処療法
→酸素投与を行う(CO2ナルコーシス注意)
CO2ナルコーシス
・症状:意識障害、頭痛、ふるえ、発汗
※ナルコーシス(Narcosis)=「昏睡状態」という意味を持つ
・原因:肺機能が低下し、換気量が減って血液中の二酸
化炭素が著しく上昇することによっておこる
・治療法
①CO2ナルコーシスを引き起こしている原因を除去し、
高濃度酸素の投与を中止
②人口呼吸管理
(意識障害や呼吸停止がある場合は気管挿管を行う)
実際の看護
・呼吸困難感に対して
→ベタメタゾン錠を内服していたが、経口摂取困難となり
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム注へ変更
・酸素投与(目標値は、SPO2:90~95%)
一時的に効果は得られていたが
間質性肺炎による呼吸不全となる
・呼吸困難感の増大からモルヒネ塩酸塩注を使用し症状
コントロールを図ったが、お看取りとなる。
まとめ
・間質性肺炎は、放射線療法、抗癌剤が原因に
なりうることもある。
・胸部聴診、症状は特徴があり看護師の日頃
の観察で発見できるものである。
・酸素投与は、病態を考えコントロールしていか
なければならない。