炭鉱電車について (1) 展示対象の車両 ① ② ③ ④ アメリカGE製 15 トン 5 号機関車 アメリカGE製 15 トン 5 号機関車 ドイツジーメンス製 20 トン 1 号機関車 三菱造船製 20 トン 5 号機関車 東京芝浦製作所製 45 トン 17 号機関車 (2) 炭鉱電車の概要・特徴 ・三池炭鉱専用鉄道は、明治 42 年より電化工事が開始され、明 治 45 年 7 月に万田坑~三池港間が電化され、大正 12 年 1 月に全線の電化が完了した。同年 3 月には四山支線も開通し た。 ・電化に伴い、まず、アメリカGE製の 15 トン機関車を 8 両、 続いて、ドイツジーメンス製の 20 トン機関車 4 両を輸入。 その後、ドイツジーメンス製と同型の機関車(三菱造船、三池 製作所製)導入。昭和 11 年~24 年にかけて東京芝浦製作所 製の 45 トン機関車を導入した。 ・三池炭鉱専用鉄道は、従業員輸送(昭和 21 年~昭和 59 年) 、 一般旅客輸送(昭和 39 年~昭和 48 年)としても使用された。 平成 9 年の炭鉱閉山に伴い石炭輸送は消滅したが、宮浦~旭 町間が三井化学専用鉄道として、化学製品等の輸送に使用(45 トン機関車 2 両、20 トン機関車 3 両)されている。 ・電気機関車のうち 4 両(15 トン機関車 1 両、20 トン機関車 2 両、45 トン機関車 1 両)を大牟田市が所有している(企業敷 地内で暫定的に保存中) 。 (3) 炭鉱電車保存の意義(本市が所有する 4 両) ドイツジーメンス製 20 トン 1 号機関車 三菱造船製 20 トン 5 号機関車 ① アメリカGE製 15 トン 5 号機関車 ・大枠の一端に運転席を持つ鉱山形機関車であり、三井三池鉄道 における最初の電気機関車の型式である。当初の電動機は、 GE製 30kw×2 台だったが、その後東芝製 37w×2 台に 換装されている。 最大寸法(長さ×幅×高さ) :4,923×2,223 ×4,050mm。 ・明治 41 年に製造、輸入された電機機関車であり、この 5 号 機関車は現存する電気機関車の中で、最古の物と思われる。 ② ドイツジーメンス製 20 トン 1 号機関車 ・運転台を中央においた凸型車体。当初の電動機(93kw×2 台) は、ジーメンス製、その後、東芝製に換装された。最大寸法(長 さ×幅×高さ) :6,810×2,740×4,100mm。 ・明治 44 年に製造、輸入された。日本国内における導入例とし 東京芝浦製作所製 45 トン 17 号機関車 ては、同年に製造された鉄道省のEC40 形(ドイツアルゲマ イネ製)が鉄道記念物として保存されている。本車も、それに 匹敵する最古級の輸入電気機関車である。 ③ 三菱造船製 20 トン 5 号機関車 ・当初の電動機は三菱製、その後、三池製作所製 93kw×2 台 に換装された。最大寸法(長さ×幅×高さ) :6,810×2,740 ×4,100mm。 ・ドイツジーメンス製の 20 トン機関車をコピーし、大正 4 年 に日本で製造された電気機関車であり、初期の国産電気機関 車である。 ④ 東京芝浦製作所製 45 トン 17 号機関車 ・石炭の産出量増大に伴い増備された大型の機関車で、東芝製の 国産機。運転台を中央においた凸型車体である。電動機は、 東芝製 112kw×4 台。最大寸法(長さ×幅×高さ) :12,050×2,445×4,200mm。 ・同所が昭和 10 年代から 20 年代にかけて国内の私鉄、工場専用線に供給した「戦時標準型」と言われる産業用電 気機関車である。17 号機関車は、 「戦時標準型」の第 1 号機として製造、これをプロトタイプとして、後年、同 所が標準化して各地の私鉄に供給された。 ※大牟田市近代化産業遺産を活用したまちづくりプランより抜粋
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