26-155 [110KB pdfファイル];pdf

た ま
た ま
球は霊なり
~野球部だより 155~
6.5.2014
昨日は宍倉選手と福地選手。一昨日は山本選手と芦野選手。1時間半に及ぶ個人ノ
ックは選手たちのユニフォームを汚すのに十分。ボールに対して何度も飛びつくこと
によって、選手たちは手のひらや腕をすりむいてノックを終了します。ユニフォーム
はいくらでも汚しても構わないものです。しかし心は汚してはいけない。
さて、ノックのサポートに毎回2年生が参加しています。たとえば昨日は加山選手
に仲倉選手がボールを集めたり、ボール渡しのサポートをしてくれましたが、それに
は理由があります。ノックを受ける3年生に「1,2年生の誰に自分のノックを受け
る姿を見てもらいたいか。」と聞いているのです。3年生のプレーを受け継いでいく中
心は2年生です。ボールを集めながらも、必死にボールを追う姿に2年生は何かを感
じるはずです。それは言葉で説明できないものかもしれませんし、言葉で説明する必
要のないプレーだともいえます。捕れない打球に悔しい気持ちが沸き起こったり、い
つ終わるともわからないノックに心が折れそうになったり、打球以上にノッカーから
浴びせられるヤジに怒りを覚えたりと、ノックを受けている間の選手の表情は苦しさ
に満ちています。それを見て何かを感じる。それが大切です。先日ノックを受けた巴
選手は野球ノートに「なぜだかわからないけれど、ノックを受けていて涙が出てきた。」
と書いていました。その感情はとても大切で、それこそ言葉でうまく説明はできない
気がしますが、たかだがボールを追うというだけで涙が出てしまう境地に達したとい
うことでしょう。
「涙が出たのは一人前。どんなに辛くても、笑ってノックを受けられ
るようになったら一流。」と、巴選手にノートにコメントしましたが、そういう気持ち
を2年生は受け継ぐ必要があるのです。
ノック終了後の選手は受けているときとはまるで違い、達成感と自信に満ち溢れた
表情をしています。宍倉選手の顔は暑さで紅潮していて、福地選手の顔は砂まみれで
汚れていましたが、二人の目には力がみなぎっていました。1年生末永選手のノート
にはこんなことが以前書かれていました。「苦しみは一瞬。後悔は一生」。ノックの間
の苦しみは人生から考えるとほんの一瞬です。しかし、後悔は一生ついて回るもの。
「あのときもっとできた・・・もっとこうしておけばよかった・・・。」と、人はたと
えどんなに努力したとしても昔のことを、つい先ほどのことでも悔やむものです。3
年生の選手たちには後悔しない練習をグラウンドで積み重ねて、最後の大会を迎えて
ほしいものです。