2016/2/18 静岡支店 住所:静岡市葵区追手町 9-22 TEL:054-254-8301 URL:http://www.tdb.co.jp/ 特別企画: 2015 年 静岡県「休廃業・解散」動向調査 静岡県内の「休廃業・解散」件数は 682 件 ~倒産の 2.5 倍、前年より減少~ はじめに 2015年の企業倒産件数(法的整理による倒産、負債1000万円以上)は8517件と6年連続で前年を 下回り、2005年(8225件)以来、10 年ぶりに9000件を下回った。背景には、建設投資拡大の恩恵 を受けて「建設業」の倒産が大幅に減少したほか、中小企業金融円滑化法の終了後も引き続き返 済猶予を受けている企業が多いことが挙げられる。 その一方で、中小・零細企業を中心に、後継者難や代表の高齢化が深刻化しており、倒産に至 らないまでも事業継続を断念し、「休廃業・解散」を選択する件数が倒産件数の約3倍の2万3914 件にのぼっている。 帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS2」(全国約 146 万社収録)から削除 されたデータを収録したファイル(削除ファイル)を用いて、静岡県内で 2005~2015 年の間に休 廃業、解散に至った事業者(法人、個人含む)を集計。倒産件数との比較や、業種別、代表者の 年代別、都道府県別にその傾向を分析した。 ◇「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す(官公庁等に「廃業届」を提出して企業活 動を終えるケースを含む) 。調査時点では当該企業の企業活動が停止していることを確認できてい るが、将来的な企業活動再開を否定するものではない。 ◇「解散」とは、企業が解散した場合を指す。主に、商業登記等で解散を確認。 ◇「休廃業・解散」は、企業活動停止が確認できた企業のうち、倒産(任意整理、法的整理)に分 類されないケース。 調査結果(要旨) ■ 2015 年(1 月~12 月)の「休廃業・解散」件数は 682 件で前年より 58 件減少。 ■ 種類別では、 「休廃業」が 388 件で 2 年ぶりに減少、 「解散」も 294 件で 2 年連続減少。 ■ 業種別では、「建設業」が全体の 38.7%を占めて最多。 ■ 代表者を年齢別にみると「60 代」が 36.3%で最多。なお、「60 代以上」が全体の 4 分の 3 を占め、高齢化が顕著である。 ■ 休廃業・解散件数を都道府県別でみると「静岡県」は第 11 位。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 1 2016/2/18 特別企画:2015 年静岡県「休廃業・解散」動向調査 1.「休廃業・解散」件数は 682 件、倒産件数の 2.5 倍 2015 年(1月~12 月)に県内では 682 件の「休廃業・解散」が判明した。内訳は「休廃業」が 388 件(構成比 56.9%) 、 「解散」が 294 件(同 43.1%) 。2005 年以降の「休廃業・解散」件数推 移をみると、2005 年は 694 件で 600 件台にとどまっていた。その後、2008 年以降は 2014 年まで 7 年連続で 700 件以上となったが、2015 年には 600 件台まで減少した。 2015 年の「休廃業・解散」件数を倒産(法的整理)件数と比較したところ、 「休廃業・解散」が 倒産の 2.5 倍発生していることが判った。その他以外の業種別では、 「運輸・通信業」の 0.7 倍か ら「建設業」の 4.6 倍までと業 種間で格差が 「休廃業・解散」の件数推移 生じている。全 休廃業・解散 (件) 1,000 国との比較で 900 は、2.6 倍とな 800 700 っており、静岡 694 759 698 743 2009年 2010年 2011年 2012年 2012年 2013年 2014年 706 738 740 2013年 2014年 682 576 600 県は「休廃業・ 759 743 500 400 解散」と倒産の 300 比率が全国平 200 均値を若干下 100 0 回っているこ 2005年 2006年 2007年 2008年 2015年 とを示してい る。 「休廃業・解散」件数 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2015年 構成比(%) 前年比(%) 休廃業 436 492 376 391 461 419 428 444 403 407 388 56.9 ▲4.7 解 散 258 206 200 368 282 324 278 315 335 333 294 43.1 ▲11.7 合 計 694 698 576 759 743 743 706 759 738 740 682 100.0 ▲7.8 倒産との対比(2015年) 建設業 製造業 卸売業 小売業 運輸・通信業 サービス業 不動産業 その他 合計 休廃業・解散 264 69 57 118 8 134 21 11 682 倒産 57 55 44 49 11 46 7 1 270 休廃業・解散÷倒産 4.6 1.3 1.3 2.4 0.7 2.9 3.0 11.0 2.5 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 2 2016/2/18 特別企画:2015 年静岡県「休廃業・解散」動向調査 2. 「建設業」が構成比 38.7%で最多 「休廃業・解散」件数を業種別にみると、例年最多である「建設業」が前年比 1 件減となった が、2015 年も 264 件(構成比 38.7%)で最も多く、2005 年以降最多を維持している。以下、 「サ ービス業」 (134 件、19.6%) 、 「小売業」 (118 件、17.3%) 、 「製造業」 (69 件、10.1%)が構成比 10%以上で続いている。 前年と比較すると、増加した業種は「サービス業」のみで、11 件増加の 8.9%増となった。減 少した業種は「運輸・通信業」の 14 件減少の 63.6%減となり、「不動産業」の 20 件減の 32.3%減 などが大幅な減少となった。 業種別件数 業種別 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 構成比(%) 前年比(%) 建設業 251 268 203 269 270 284 282 303 269 265 264 38.7 ▲ 0.4 製造業 88 96 75 101 130 116 98 92 86 87 69 10.1 ▲ 20.7 卸売業 102 97 80 113 85 89 78 62 85 69 57 8.4 ▲ 17.4 小売業 112 110 98 118 122 113 89 114 134 119 118 17.3 ▲ 0.8 運輸・通信業 8 14 8 21 13 11 8 16 18 22 8 1.2 ▲ 63.6 80 81 72 101 84 101 107 110 106 123 134 19.6 8.9 不動産業 34 25 26 24 27 23 34 43 31 41 21 3.1 ▲ 32.3 その他 19 7 14 12 12 6 10 19 9 14 11 1.6 ▲ 21.4 694 698 576 759 743 743 706 759 738 740 682 100.0 ▲ 7.8 サービス業 合計 3.代表者の年代、 「60 歳以上」が全体の 4 分の 3 を占める 2015 年の「休廃業・解散」件数を代表者の年齢別にすると(代表者の年齢が判明している 600 社を対象) 、 「60 代」が 218 件(構成比 36.3%)で最も多く、 「70 代」 (172 件、28.7%) 、 「50 代」 (80 件、13.3%) 、 「80 歳以上」 (59 件、9.8%)と続く。 「60 代」 「70 代」 「80 歳以上」の3区分 を合計すると、前年比 50 件減少の 449 件にとどまったが、依然として構成比は 74.8%と高位であ り、全体の 4 分の 3 を占めている。 「休廃業・解散」が経営環境の悪化だけでなく、代表者の高齢 化や後継者難を背景として高水準を続けている状況が浮かび上がる。 なお、2005 年の「60 代」 「70 代」 「80 歳以上」3 区分を合計すると、構成比は 2015 年の 74.8% より 8.1 ポイント低い 66.7%だった。 代表者年齢別件数 代表者年齢 30歳未満 30代 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 構成比(%) 前年比(%) 2 0 1 0 2 1 0 0 0 1 0 0.0 ▲ 100.0 12 12 14 11 21 15 14 16 13 16 16 2.7 0.0 40代 54 58 47 51 40 42 40 56 43 40 55 9.2 37.5 50代 153 122 104 145 110 118 121 84 92 81 80 13.3 ▲ 1.2 60代 264 251 205 274 272 288 250 266 252 238 218 36.3 ▲ 8.4 70代 148 169 148 182 185 157 161 169 192 189 172 28.7 ▲ 9.0 80歳以上 30 42 28 42 51 46 40 64 59 72 59 9.8 ▲ 18.1 合計 663 654 547 705 681 667 626 655 651 637 600 100.0 ▲ 5.8 ※代表者の年齢が判明している企業を対象 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 3 2016/2/18 特別企画:2015 年静岡県「休廃業・解散」動向調査 4.都道府県別では 22 道府県で増加、23 都府県で減少 2015 年に全国では 2 万 3914 件の「休廃業・解散」が判明している(前年比 0.8%減) 。47 都道 府県別で、最も多かったのは「東京都」の 2611 件、以下「北海道」 (1376 件) 、 「大阪府」 (1209 件) 、 「愛知県」 (1200 件)などの順で、 「静岡県」 (682 件)は前年横ばいの 11 番目に位置してい る。 前年からの増減をみると、増加したのが 22 道府県、減少したのが 23 都府県だった。 都道府県別「休廃業・解散」倒産件数 休廃業・解散 都道府県 2014年 2015年 倒産 前年比 (%) 2014年 休廃業・解散 2015年 前年比 (%) 都道府県 2014年 2015年 倒産 前年比 (%) 2014年 前年比 (%) 2015年 北海道 1,322 1,376 4.1 281 265 ▲ 5.7 滋賀県 262 252 ▲ 3.8 101 75 ▲ 25.7 青森県 279 263 ▲ 5.7 59 49 ▲ 16.9 京都府 469 539 14.9 297 226 ▲ 23.9 岩手県 203 219 7.9 46 45 ▲ 2.2 大阪府 1,293 1,209 ▲ 6.5 1,245 1,175 ▲ 5.6 宮城県 408 335 ▲ 17.9 84 90 7.1 兵庫県 860 786 ▲ 8.6 485 485 0.0 秋田県 202 189 ▲ 6.4 69 57 ▲ 17.4 奈良県 207 241 16.4 109 121 11.0 山形県 229 227 ▲ 0.9 61 57 ▲ 6.6 和歌山県 260 227 ▲ 12.7 84 75 ▲ 10.7 福島県 358 338 ▲ 5.6 39 39 0.0 鳥取県 151 160 6.0 20 23 15.0 茨城県 418 429 2.6 144 133 ▲ 7.6 島根県 192 178 ▲ 7.3 48 48 0.0 栃木県 380 380 0.0 92 134 45.7 岡山県 479 532 11.1 88 78 ▲ 11.4 群馬県 547 531 ▲ 2.9 120 101 ▲ 15.8 広島県 829 695 ▲ 16.2 195 170 ▲ 12.8 埼玉県 1,040 1,030 ▲ 1.0 381 351 ▲ 7.9 山口県 331 367 10.9 81 48 ▲ 40.7 千葉県 771 786 1.9 287 238 ▲ 17.1 徳島県 229 212 ▲ 7.4 42 42 0.0 東京都 2,674 2,611 ▲ 2.4 1,776 1,720 ▲ 3.2 香川県 278 247 ▲ 11.2 35 46 31.4 神奈川県 1,074 1,065 ▲ 0.8 558 480 ▲ 14.0 愛媛県 405 456 12.6 58 44 ▲ 24.1 新潟県 596 634 6.4 57 58 1.8 高知県 210 185 ▲ 11.9 45 39 ▲ 13.3 富山県 257 349 35.8 69 52 ▲ 24.6 福岡県 949 930 ▲ 2.0 293 316 7.8 石川県 263 273 3.8 100 63 ▲ 37.0 佐賀県 247 249 0.8 46 32 ▲ 30.4 福井県 252 297 17.9 67 57 ▲ 14.9 長崎県 237 267 12.7 62 36 ▲ 41.9 山梨県 272 298 9.6 38 42 10.5 熊本県 319 321 0.6 64 66 3.1 長野県 463 451 ▲ 2.6 91 93 2.2 大分県 253 265 4.7 40 55 37.5 岐阜県 404 389 ▲ 3.7 161 126 ▲ 21.7 宮崎県 319 355 11.3 38 34 ▲ 10.5 静岡県 740 682 ▲ 7.8 284 270 ▲ 4.9 鹿児島県 233 243 4.3 64 58 ▲ 9.4 愛知県 1,316 1,200 ▲ 8.8 602 547 ▲ 9.1 沖縄県 269 269 0.0 69 64 ▲ 7.2 三重県 357 377 5.6 105 94 ▲ 10.5 合計 24,106 23,914 ▲ 0.8 9,180 8,517 ▲ 7.2 5.まとめ 2015 年の「休廃業・解散」は静岡県で 682 件となり、2 年ぶりに減少した。中小企業金融円滑 化法の終了後も引き続き金融機関より返済猶予を受けている企業が未だに多いなか、倒産予備軍 となる「休廃業・解散」は倒産(法的整理)件数の 2.5 倍発生したことが判明した。 近年の特徴としては、本来であれば倒産処理が必要であるにもかかわらず、資金難などから見 送られ、それが休業や廃業としてカウントされるケースが増えていることが挙げられる。 企業は存続してこそ価値があると言われるが、高齢代表者による「休廃業・解散」が高水準に あり、事業承継の問題も大きな要因の一つと言えよう。昨今の業績の不振や借入金などの問題で 容易に代表が交代できないほか、会社株式の相続税問題も避けては通れず、厳しい経営状態のま ま存在している企業も多いと推察され、倒産予備軍となる「休廃業・解散」は今後も高水準で推 移することが予想される。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 4 2016/2/18 特別企画:2015 年静岡県「休廃業・解散」動向調査 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法 の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。 【内容に関する問い合わせ先】 株式会社帝国データバンク 静岡支店 担当:竹岸 隆浩 TEL 054-254-8301 FAX 054-254-6602 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 5
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