休廃業・解散は 971 件、倒産の 7.71 倍

2017/2/1
高松支店
高松市錦町 1-11-3
TEL:087-851-1571
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画 :四国地区
2016 年休廃業・解散動向調査
休廃業・解散は 971 件、倒産の 7.71 倍
~
代表者年齢 60 歳以上が 7 割以上を占める
~
はじめに
2016 年の四国の倒産件数は 126 件で、ここ 10 年間で最も少なくなった。このような結果となっ
たのはアベノミクスの下で緩やかではあるが景気回復が続いていることも要因であるが、中小企
業金融円滑化法終了後も金融機関の企業に対する支援姿勢に変化がないことが大きな要因となっ
ている。その一方で、経営者の高齢化と後継者不足から事業継続が困難な企業も多い。
そこで、帝国データバンク高松支店では、四国地区に本社を置く企業のうち、「休廃業」、「解散」
した企業を集計し分析した。
◇「休廃業・解散」は、企業活動の停止が確認できた企業の中で、倒産(任意整理・法的整理)に分類されないケース。
◇「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す。
「倒産」とは異なり、官公庁等に「廃業届」を提出して企業活
動を終えるケースなど、資産が負債を上回っている状態で企業活動を停止することが前提。ただし、負債が資産を上回っ
ている疑いのある企業や、いわゆる夜逃げ状態にあり、
「倒産」と断定できない企業を含む。
◇「解散」とは、企業が解散した場合を指す。主に、商業登記簿などで解散が確認できたケースが該当する。
調査結果(要旨)
1. 四国に本社を置く企業の 2016 年の『休廃業・解散件数』は 971 件、前年より 129 件
(11.7%)減少し、
『倒産件数』
(126 件)の 7.71 倍となった。
『休廃業・解散率』
(休
廃業・解散件数÷全企業数)は 1.90%となった。
2. 『休廃業』は 641 件で前年より 137 件(17.6%)減少した。
『解散』は 330 件で 8 件
(2.5%)増加した。
3. 業種別では「建設業」が 346 件で最多。『休廃業・解散率』もトップ(2.45%)
。
4. 県別では、「徳島県」「愛媛県」「高知県」が減少。「香川県」のみが増加していた。
件数が最も多かったのは企業数の多い「愛媛県」
(350 件)、『休廃業・解散率』が最
も高かったのは「徳島県」の 2.07%。
5. 『休廃業・解散』企業の従業員総数は 2,416 人。
6. 『休廃業・解散』企業の代表者の 7 割以上が「60 歳以上」。
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2017/2/1
特別企画 : 四国地区
1.『休廃業・解散件数』
2016 年休廃業・解散動向調査
971 件、『倒産件数』の 7.71 倍に
四国に本社を置く企業で 2016 年に休廃業・解散した企業(個人経営を含む)件数は 971 件。前
年に比べると 129 件(11.7%)少なく、2 年連続で減少した。
2016 年の『倒産件数』
(126 件)の 7.71 倍となった。倍率は 2 年連続で高くなっており、初め
て 7 倍を超えた。
『休廃業・解散率』
(休廃業・解散件数が全企業数に占める割合(休廃業・解散企業数÷全企業
数))は 1.90%であった。
■ 四国の休廃業・解散件数、倒産件数の推移
(休廃業・解散件数)
1,200
1,105
1,086
1,047
341
1,000
1,019
944
989
1,054
1,122
500
1,100
400
971
286
273
800
(倒産件数)
休廃業・ 解散件数
倒産件数
1,400
300
226
209
600
167
225
180
171
200
126
400
100
200
0
0
2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
休廃業・解散
倒産
休廃業・解散/倒産
休廃業・解散率
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
1,105
273
4.05倍
2.70%
1,086
286
3.80倍
2.63%
1,047
341
3.07倍
2.49%
1,019
225
4.53倍
2.31%
944
226
4.18倍
2.00%
989
209
4.73倍
2.03%
1,054
167
6.31倍
2.13%
1,122
180
6.23倍
2.23%
1,100
171
6.43倍
2.18%
971
126
7.71倍
1.90%
2.種類別
前年比
(%)
▲ 11.7
▲ 26.3
-
-
『休廃業』641 件、『解散』は 330 件
休廃業・解散の種類別では、『休廃業』が 641 件で、前年に比べて 137 件(17.6%)少なく、2
年連続で減少していた。構成比は 66.0%で、倒産件数(126 社)の 5.08 倍であった。
一方、『解散』は 330 件で、前年と比べて 8 件(2.5%)多く、4 年ぶりに増加した。倒産件数(126
件)の 2.62 倍となった。
■ 四国の休廃業・解散件数の推移
休廃業
解散
合計
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
構成比
(%)
812
293
1,105
708
378
1,086
690
357
1,047
683
336
1,019
661
283
944
588
401
989
715
339
1,054
789
333
1,122
778
322
1,100
641
330
971
66.0
34.0
100.0
前年比
(%)
▲ 17.6
2.5
▲ 11.7
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特別企画 : 四国地区
2016 年休廃業・解散動向調査
3.業種別 「建設業」が最多の 346 件、「小売業」「サービス業」が減少
業種別では、
『休廃業・解散件数』が最も多かったのは「建設業」の 346 件であった。「建設業」
は『休廃業・解散率』でも 2.45%と全業種中最も高かった。件数が次に多かったのは「サービス
業」の 174 件で、「小売業」の 156 件と続いた。また、『休廃業・解散率』が「建設業」の次に高
かったのは「不動産業」の 2.12%で、「小売業」の 2.04%と続いた。
2015 年と比較すると、件数では「小売業」が 53 件、「サービス業」は 34 件減少するなど 6 業種
が減少していた。「建設業」は 16 件、
「製造業」は 1 件増加していた。『休廃業・解散率』では、
「小
売業が 0.68 ポイント、「不動産業」で 0.55 ポイント低下するなど 6 業種が低下していた。「建設
業」は 0.10 ポイント上昇しており、
「製造業」は 0.01 ポイント上昇していた。
■ 業種別 休廃業・解散件数、休廃業・解散率の推移
2007年
建設業
製造業
卸売業
小売業
運輸・通信業
サービス業
不動産業
その他
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
合計
4.県別
304
2.57%
115
2.07%
156
2.56%
282
3.49%
39
2.17%
134
2.42%
50
3.89%
25
3.29%
1,105
2008年
381
3.04%
122
2.20%
128
2.15%
239
3.06%
39
2.18%
114
2.04%
37
2.86%
26
3.40%
1,086
2009年
400
3.11%
98
1.78%
128
2.19%
206
2.69%
36
2.02%
117
1.88%
35
2.57%
27
3.50%
1,047
2010年
403
2.96%
101
1.85%
102
1.78%
189
2.51%
23
1.29%
122
1.63%
56
3.11%
23
2.90%
1,019
2011年
339
2.42%
90
1.61%
106
1.83%
164
2.12%
21
1.11%
137
1.50%
64
2.99%
23
2.58%
944
2012年
324
2.32%
82
1.46%
103
1.80%
181
2.34%
28
1.47%
174
1.67%
63
2.83%
34
3.37%
989
2013年
313
2.21%
94
1.67%
121
2.14%
208
2.69%
29
1.49%
210
1.92%
57
2.51%
22
2.02%
1,054
2014年
349
2.47%
119
2.10%
105
1.87%
200
2.58%
33
1.66%
225
1.94%
60
2.44%
31
2.54%
1,122
2015年
330
2.35%
96
1.71%
118
2.11%
209
2.72%
31
1.55%
208
1.75%
67
2.67%
41
3.20%
1,100
2016年
346
2.45%
97
1.72%
98
1.77%
156
2.04%
22
1.09%
174
1.43%
54
2.12%
24
1.67%
971
前年比
16
0.10
1
0.01
-20
-0.34
-53
-0.68
-9
-0.46
-34
-0.32
-13
-0.55
-17
-1.53
-129
3 県で減少、
「愛媛県」が最多
県別では、『休廃業・解散件数』を 2015 年と比べると「徳島県」「愛媛県」「高知県」の 3 県が
減少、「香川県」のみが増加していた。
「愛媛県」は 106 件(23.2%)と大幅に減少していた。
『休
廃業・解散率』をみると、「香川県」が横ばいであったが他 3 県は低下していた。
ただし、件数でみると企業数の多い「愛媛県」が 350 件で最多となり、次に多かったのが「香
川県」の 248 件(25.5%)、「徳島県」の 201 件(20.7%)と続き、「高知県」の 172 件(17.7%)
が最も少なかった。
『休廃業・解散率』が最も高かったのは「徳島県」の 2.07%、次に高かったのは「愛媛県」の
1.97%であった。「香川県」が 1.80%で続き、「高知県」が 1.76%で最も低くなった。
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2017/2/1
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2016 年休廃業・解散動向調査
■ 県別の休廃業・解散件数の推移
2007年
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
件数
234
3.01%
284
2.59%
404
2.86%
183
2.27%
1,105
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
件数
休廃業・解散率
合計
5.従業員数
2008年
217
2.70%
259
2.37%
413
2.93%
197
2.38%
1,086
2009年
234
2.92%
229
2.02%
403
2.83%
181
2.15%
1,047
2010年
224
2.65%
250
2.09%
361
2.45%
184
2.05%
1,019
2011年
2012年
172
1.91%
250
1.96%
355
2.22%
167
1.78%
944
2013年
167
1.81%
294
2.21%
345
2.08%
183
1.92%
989
2014年
186
1.97%
319
2.37%
344
2.03%
205
2.14%
1,054
2015年
229
2.41%
278
2.04%
405
2.30%
210
2.17%
1,122
2016年
212
2.21%
247
1.80%
456
2.60%
185
1.90%
1,100
201
2.07%
248
1.80%
350
1.97%
172
1.76%
971
前年比
-11
-0.14
1
0.00
-106
-0.63
-13
-0.14
-129
休廃業・解散した企業の総従業員数は 2,416 人
休廃業・解散した企業の従業員の総
■ 県別従業員数
数は 2,416 人であった。
従業員数
県別では、最も多かったのは「愛媛県」
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
の 1,071 人。次に多かったのが「香川県」
の 504 人で、「徳島県」の 478 人と続い
た。最も少なかったのは「高知県」の
業種別で最も多かったのが、「建設
478
504
1,071
363
2,416
合計
363 人だった。
構成比
1件当たりの
平均従業員数
19.8%
20.9%
44.3%
15.0%
100.0%
2.38
2.03
3.06
2.11
2.49
■ 業種別従業員数
業」の 654 人。次に多かったのが「小売
業」の 562 人であった。最も少なかった
のは「不動産業」の 35 人であった。
従業員数
建設業
製造業
卸売業
小売業
運輸・通信業
サービス業
不動産業
その他
構成比
654
347
193
562
94
487
35
44
2,416
合計
1件当たりの
平均従業員数
27.1%
14.4%
8.0%
23.3%
3.9%
20.2%
1.4%
1.8%
100.0%
1.89
3.58
1.97
3.60
4.27
2.80
0.65
1.83
2.49
■ 2 0 16 年代表者年齢別
6.代表者の年齢
休廃業・解散した企業のうち、代表者の年
40代
9.7%
齢が判明している 813 社で最も多かったの
は「70 歳以上」の 37.0%で、次いで多かっ
たのが「60 代」の 34.4%。60 歳以上で全体
30代
2.6%
30歳未満
0.5%
70歳以上
37.0%
50代
15.7%
の 7 割以上を占めていた。
60代
34.4%
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注:対象は、代表者の年齢が判明した813社
4
2017/2/1
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2016 年休廃業・解散動向調査
まとめ
今回の調査で、四国の休廃業・解散数は前年よりは減少したものの、倒産件数の約 8 倍の件数
が発生していたことがわかった。また、休廃業・解散をした企業の代表者の年齢では、
「60 歳以上」
が約 7 割を占めていることも判明した。法的整理に至らないまでも資金難から事業を停止する企
業や、代表者の高齢化や後継者不在などで事業継続を断念するは依然として多い。労働人口が減
少するなかで、後継者候補も減少しているため、事業承継問題を解決することは容易ではない。
企業の持つ技術力や販売力を残すためにも、社外からの人材登用や事業譲渡などの手法が今まで
以上に活用されることが地域経済の維持、発展に必要となってこよう。
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