2015/2/12 広島支店 情報部 広島市中区中町 7-41 広島三栄ビル 5F TEL: 082-247-5930 URL:http://www.tdb.co.jp/ 特別企画: 広島県 2014 年 企業の休廃業・解散動向調査 休廃業・解散は 829 件、倒産件数の 4.25 倍に ~代表者年齢、70 歳以上が 4 割近くに~ はじめに>> 消費税率 8%への引き上げ前の駆け込み需要で 休廃業・解散の件数(年ベース) (件数) 1,000 始まった 2014 年。3 月までは住宅、自動車、家電 750 786 755 648 841 829 2013年 2014年 711 製品などの販売が好調に推移し、円安の進行で輸出 500 関連企業や公共投資の増加に支えられた建設業界 などで業績が大きく改善した企業が多くみられ、倒 産が抑制された状況が続いた。しかし、4 月以降の 250 0 2009年 2010年 2011年 2012年 反動減は予想以上に長引き、業績は好転せず、借入金の返済猶予を受けてきた企業や代表者が高 齢で後継者もいないため、事業の継続が難しくなっている企業も多く存在する。企業間格差が広 がる中、経営が厳しい状況に陥っている企業の新陳代謝は進んだのだろうか。 そこで、帝国データバンク広島支店では、企業概要データベース「COSMOS2」 (145 万社収録)か ら削除されたデータを収録したファイル(「削除ファイル」)を用いて、広島県で 2009 年~2014 年に休廃業、解散などに至った事業者(法人、個人含む)を集計した。 ◇「休廃業・解散」は、企業の活動停止が確認できた企業の中で、倒産(任意整理、法的整理)に分類されないケース ◇「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す。 「倒産」とは異なり、官公庁等に「廃業届」を提出して企業活 動を終えるケースなど、資産が負債を上回っている状態で企業活動を停止することが前提。ただし、負債が資産を上 回っている疑いのある企業や、いわゆる夜逃げ状態にあり、 「倒産」と断定できない企業を含む ◇「解散」とは、企業が解散した場合を指す。主に、商業登記等で解散が確認されたケースが該当する 調査結果(要旨) 1.広島県の 2014 年の休廃業・解散件数は 829 件。2014 年の倒産件数(195 件)の「4.25 倍」に 2.種類別、 「休廃業」(591 件)が 8.0%増加。「解散」(238 件)は 19.0%の減少 3.業種別、8 業種中 4 業種で増加。 「建設業」が最多の 293 社 4.代表者の年齢別、「70 歳以上」が 37.5%。高齢化・後継者不在が事業停止の背景に ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 1 2015/2/12 特別企画: 広島県 2014 年 企業の休廃業・解散動向調査 1.休廃業・解散件数は 829 件、「倒産件数」の 4.25 倍に 2014 年の休廃業・解散した企業(個人経営を含む) 休廃業・ 解散 (休廃業・解散件数) 1,000 (倒産件数) 500 倒産 件数は 829 件で、前年に比べて 12 件(1.4%)減少し 786 755 841 829 711 648 た。4 年ぶりに減少したものの、2 年連続の 800 件台 500 となった。2014 年の倒産件数(195 件)に比べて「4.25 250 189 202 211 195 2011年 2012年 2013年 2014年 210 152 倍」となり、3 年連続で増加して依然として高い水準 0 となった。 前年比 (%) 2009年 休廃業・解散 倒産 休廃業・解散/倒産 0 2009年 755 210 3.60倍 2010年 ▲ 3.6 ▲ 4.5 648 152 4.26倍 前年比 (%) 2011年 ▲ 14.2 ▲ 27.6 前年比 (%) 711 189 3.76倍 2012年 9.7 24.3 2010年 前年比 (%) 786 202 3.89倍 2013年 10.5 6.9 前年比 (%) 841 211 3.99倍 2014年 7.0 4.5 829 195 4.25倍 前年比 (%) ▲ 1.4 ▲ 7.6 2.種類別: 「休廃業」は 591 件、4 年連続の増加 休廃業・解散を種類別にみると、 「休廃業」は 591 件で、前年に比べて 44 件(8.0%)増加した。 4 年連続で増加し、構成比は 7 割を超え、倒産件数(195 件)の 3.03 倍となった。 「解散」は 238 件で、前年に比べて 56 件(19.0%)減少した。2 年連続で減少し、倒産件数(195 件)の 1.22 倍となった。 2009年 休廃業 解散 合計 461 294 755 前年比 (%) 2010年 ▲ 2.7 ▲ 4.9 ▲ 3.6 373 275 648 前年比 (%) 2011年 ▲ 19.1 ▲ 6.5 ▲ 14.2 前年比 (%) 444 267 711 2012年 19.0 ▲ 2.9 9.7 前年比 (%) 454 332 786 2013年 2.3 24.3 10.5 547 294 841 前年比 (%) 2014年 構成比 (%) 591 238 829 71.3 28.7 100.0 20.5 ▲ 11.4 7.0 前年比 (%) 8.0 ▲ 19.0 ▲ 1.4 3.業種別: 4 業種で前年を上回る、「建設業」が最多の 293 件 業種別にみると、8 業種中 4 業種で前年を上回った。 「卸売業」(74 件・15.9%減)、「小売業」(143 件・15.4%減)、「運輸・通信業」(20 社・16.7%減)は前年を下回った。増加率が最も高かったの は「不動産業」 (前年比 20.0%増)で、「製造業」 (同 8.7%増)、「サービス業」(同 6.0%増)、「建 設業」(同 3.2%増)が続いた。件数でみると、「建設業」が 293 件(構成比 35.3%)で最多とな り、3 年連続で増加した。次いで、 「サービス業」が 158 件(同 19.1%)、「小売業」が 143 件(同 17.2%)、「製造業」が 75 件(同 9.0%)、「卸売業」が 74 件(同 8.9%)で続いた。 2009年 前年比 (%) 建設業 276 ▲ 4.8 製造業 93 17.7 卸売業 90 0.0 小売業 149 0.7 運輸・通信業 24 33.3 サービス業 78 ▲ 23.5 不動産業 31 0.0 その他 14 ▲ 44.0 合計 755 ▲ 3.6 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 2010年 259 58 80 109 24 88 20 10 648 前年比 (%) ▲ 6.2 ▲ 37.6 ▲ 11.1 ▲ 26.8 0.0 12.8 ▲ 35.5 ▲ 28.6 ▲ 14.2 2011年 243 80 83 131 17 112 35 10 711 前年比 (%) ▲ 6.2 37.9 3.8 20.2 ▲ 29.2 27.3 75.0 0.0 9.7 2012年 280 86 74 137 22 131 44 12 786 前年比 (%) 15.2 7.5 ▲ 10.8 4.6 29.4 17.0 25.7 20.0 10.5 2013年 284 69 88 169 24 149 40 18 841 前年比 (%) 1.4 ▲ 19.8 18.9 23.4 9.1 13.7 ▲ 9.1 50.0 7.0 2014年 構成比 (%) 293 75 74 143 20 158 48 18 829 35.3 9.0 8.9 17.2 2.4 19.1 5.8 2.2 100.0 前年比 (%) 3.2 8.7 ▲ 15.9 ▲ 15.4 ▲ 16.7 6.0 20.0 0.0 ▲ 1.4 2 2015/2/12 特別企画: 広島県 2014 年 企業の休廃業・解散動向調査 4.都道府県別ランキング: 「広島県」の休廃業・解散率は全国第 3 位 「休廃業・解散」件数・増加率 都道府県 2013年 (件) 2014年 (件) 「休廃業・解散」率 前年比 (%) 都道府県 2014年 (%) 「倒産」件数・減少率 都道府県 2013年 (件) 2014年 (件) 前年比 (%) 秋田県 163 202 23.9 徳島県 2.382 鳥取県 40 20 ▲ 50.0 徳島県 186 229 23.1 愛媛県 2.313 富山県 99 69 ▲ 30.3 愛媛県 344 405 17.7 広島県 2.197 奈良県 153 109 ▲ 28.8 群馬県 472 547 15.9 宮崎県 2.169 香川県 47 35 ▲ 25.5 福島県 310 358 15.5 高知県 2.155 石川県 131 100 ▲ 23.7 福岡県 826 949 14.9 佐賀県 2.057 大分県 51 40 ▲ 21.6 沖縄県 238 269 13.0 山梨県 2.042 静岡県 361 284 ▲ 21.3 岡山県 437 479 9.6 香川県 2.029 愛知県 753 602 ▲ 20.1 滋賀県 241 262 8.7 和歌山県 2.026 栃木県 114 92 ▲ 19.3 島根県 181 192 6.1 島根県 2.014 埼玉県 455 381 ▲ 16.3 栃木県 364 380 4.4 群馬県 1.991 東京都 2,100 1,776 ▲ 15.4 埼玉県 999 1,040 4.1 岡山県 1.973 長野県 107 91 ▲ 15.0 山形県 221 229 3.6 山口県 1.971 山形県 71 61 ▲ 14.1 長崎県 230 237 3.0 鳥取県 1.945 京都府 345 297 ▲ 13.9 高知県 205 210 2.4 滋賀県 1.919 新潟県 66 57 ▲ 13.6 富山県 253 257 1.6 北海道 1.841 千葉県 331 287 ▲ 13.3 石川県 262 263 0.4 新潟県 1.792 茨城県 163 144 ▲ 11.7 静岡県 738 740 0.3 長野県 1.787 山梨県 43 38 ▲ 11.6 岐阜県 405 404 ▲ 0.2 福岡県 1.786 全国 10,332 9,180 ▲ 11.1 広島県 841 829 ▲ 1.4 岐阜県 1.782 熊本県 72 64 ▲ 11.1 ▲ 10.1 宮城県 414 408 ▲ 1.4 栃木県 1.753 岐阜県 179 161 三重県 363 357 ▲ 1.7 愛知県 1.737 宮城県 93 84 ▲ 9.7 大阪府 1,320 1,293 ▲ 2.0 静岡県 1.726 福井県 74 67 ▲ 9.5 愛知県 1,366 1,316 ▲ 3.7 兵庫県 1.719 沖縄県 76 69 ▲ 9.2 青森県 292 279 ▲ 4.5 埼玉県 1.691 北海道 309 281 ▲ 9.1 ▲ 8.7 25,301 24,106 ▲ 4.7 三重県 1.689 大阪府 1,364 1,245 鹿児島県 全国 247 233 ▲ 5.7 沖縄県 1.684 岡山県 96 88 ▲ 8.3 兵庫県 914 860 ▲ 5.9 福井県 1.674 広島県 211 195 ▲ 7.6 長野県 502 463 ▲ 7.8 奈良県 1.671 福岡県 315 293 ▲ 7.0 茨城県 454 418 ▲ 7.9 石川県 1.667 兵庫県 519 485 ▲ 6.6 宮崎県 347 319 ▲ 8.1 全国 1.658 神奈川県 593 558 ▲ 5.9 奈良県 226 207 ▲ 8.4 熊本県 1.655 鹿児島県 67 64 ▲ 4.5 神奈川県 1,177 1,074 ▲ 8.8 宮城県 1.646 三重県 107 105 ▲ 1.9 東京都 2,937 2,674 ▲ 9.0 秋田県 1.643 和歌山県 85 84 ▲ 1.2 和歌山県 289 260 ▲ 10.0 長崎県 1.617 福島県 39 39 0.0 佐賀県 281 247 ▲ 12.1 京都府 1.614 山口県 81 81 0.0 香川県 319 278 ▲ 12.9 富山県 1.607 佐賀県 46 46 0.0 京都府 542 469 ▲ 13.5 青森県 1.580 愛媛県 56 58 3.6 千葉県 896 771 ▲ 14.0 福島県 1.574 秋田県 64 69 7.8 山口県 386 331 ▲ 14.2 大分県 1.563 群馬県 110 120 9.1 新潟県 707 596 ▲ 15.7 千葉県 1.536 滋賀県 91 101 11.0 大分県 302 253 ▲ 16.2 神奈川県 1.519 宮崎県 34 38 11.8 北海道 1,591 1,322 ▲ 16.9 山形県 1.458 青森県 51 59 15.7 熊本県 384 319 ▲ 16.9 岩手県 1.447 岩手県 36 46 27.8 山梨県 336 272 ▲ 19.0 茨城県 1.419 長崎県 48 62 29.2 鳥取県 195 151 ▲ 22.6 鹿児島県 1.368 徳島県 31 42 35.5 福井県 329 252 ▲ 23.4 東京都 1.311 高知県 33 45 36.4 岩手県 269 203 ▲ 24.5 大阪府 1.290 島根県 22 48 118.2 注1:休廃業・解散率=「休廃業・解散」件数(2014年)÷2014年12月末時点のCOSMOS2収録件数 注2:倒産=負債1000万円以上、法的整理のみ ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 3 2015/2/12 特別企画: 広島県 2014 年 企業の休廃業・解散動向調査 5.代表者の年齢別: 「70 歳以上」が 37.5%、高齢化がより鮮明に 代表者の年齢別にみると、年齢が判明している 688 社中、「70 歳 201 4年 代表者年齢別 以上」が 258 社(構成比 37.5%)で最も多かった。次いで、「60 代」 30代 3.8% 30歳未満 0.1% 40代 10.5% が 242 社(同 35.2%)で続き、「60 歳以上」が構成比 72.7%となり、 50代 12.9% 70歳以上 37.5% 約 4 社に 3 社を占めた。この中には、後継者のいる企業もあったよ うだが、多くは自身の高齢化と後継者難を理由に事業を停止したと 60代 35.2% 考えられる。 注:対象は、代表者の年齢が判明した688社 2009年 30歳未満 30代 40代 50代 60代 70歳以上 総計 2 11 57 127 304 191 692 構成比 (%) 0.3 1.6 8.2 18.4 43.9 27.6 100.0 構成比 (%) 2010年 2 19 43 93 241 175 573 構成比 (%) 2011年 0.3 3.3 7.5 16.2 42.1 30.5 100.0 0 13 49 91 233 237 623 構成比 (%) 2012年 0.0 2.1 7.9 14.6 37.4 38.0 100.0 1 12 57 85 268 233 656 2013年 0.2 1.8 8.7 13.0 40.9 35.5 100.0 構成比 (%) 8 29 60 95 270 253 715 1.1 4.1 8.4 13.3 37.8 35.4 100.0 2014年 構成比 (%) 1 26 72 89 242 258 688 0.1 3.8 10.5 12.9 35.2 37.5 100.0 ※ 年齢の判明しない企業を集計から削除している まとめ 2011 年以降の企業倒産は 200 件前後で推移して、概ね横ばい基調で推移している。一方、2014 年の休廃業・解散件数は 829 件で、4 年ぶりに前年を下回ったものの、倒産件数の 4.25 倍を占め て高い水準で推移している。この背景には法的な整理に至らないまでも、業績の回復が期待でき ない中で、代表者の高齢化、後継者不在などの問題を内包し、スムーズに事業承継が進まなけれ ば、今後も休廃業・解散は増加するだろう。 参考: 中国地方の県別推移 2009年 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 合計 200 201 457 755 362 1,975 前年比 (%) 6.4 ▲ 9.0 12.3 ▲ 3.6 ▲ 6.5 ▲ 0.6 2010年 155 163 470 648 327 1,763 前年比 (%) ▲ 22.5 ▲ 18.9 2.8 ▲ 14.2 ▲ 9.7 ▲ 10.7 2011年 155 142 415 711 342 1,765 前年比 (%) 0.0 ▲ 12.9 ▲ 11.7 9.7 4.6 0.1 2012年 144 183 415 786 328 1,856 前年比 (%) ▲ 7.1 28.9 0.0 10.5 ▲ 4.1 5.2 2013年 195 181 437 841 386 2,040 前年比 (%) 2014年 構成比 (%) 151 192 479 829 331 1,982 7.6 9.7 24.2 41.8 16.7 100.0 35.4 ▲ 1.1 5.3 7.0 17.7 9.9 前年比 (%) ▲ 22.6 6.1 9.6 ▲ 1.4 ▲ 14.2 ▲ 2.8 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法 の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。 【 内容に関する問い合わせ先 】 (株)帝国データバンク TEL 082-247-5930 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 広島支店情報部 担当:藤井 FAX 082-249-1242 4
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