2016/02/26 甲府支店 山梨県甲府市飯田 1-1-24 OSD-Ⅲビル 4F TEL: 055-233-0241 URL:http://www.tdb.co.jp/ 特別企画 : 山梨県内企業「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 2015 年の「休廃業・解散」は 298 件 ~ 山梨県の「休廃業・解散」率、全国 3 位 ~ はじめに 2015 年(1 月~12 月)の山梨県内の企業倒産件数(法的整理による倒産、負債 1000 万円以上) は 42 件と前年を若干上回った。また、中小・零細企業を中心に、後継者難や代表の高齢化が深 刻化しており、倒産に至らないまでも事業継続を断念し、 「休廃業・解散」を選択する件数が倒 産件数の 7.1 倍の 298 件にのぼっている。 帝国データバンクは、企業概数ファイル「COSMOS2」 (146 万件収録)から削除された データを収録したファイル(削除ファイル)を用いて、2005~2015 年の間に休廃業、解散に至 った事業者(法人、個人含む)を集計。倒産件数との比較や、業種別、代表者年齢別、都道府県 別にその傾向を分析した。 ◇「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す(官公庁等に「廃業届」を提出して企業活動を終えるケースを含む)。 調査時点では当該企業の企業活動が停止していることを確認できているが、将来的な企業活動を否定するものではない。 ◇「解散」とは、企業が解散した場合を指す。主に商業登記等で解散を確認。 ◇「休廃業・解散」は、企業活動停止が確認できた企業のなかで、倒産(任意整理・法的整理)に分類されないケース。 調査結果(要旨) 1. 2015 年(1~12 月)の「休廃業・解散」は、298 件判明。前年の 272 件を 26 件上回り、同比 9.6%増となった。 2. 業種別では、 「サービス業」が「建設業」をわずかに上回り最多となった。 3. 代表者年齢別では「60 代」以上の割合が増えており、全体の 78.0%を占めた。 4. 「休廃業・解散」率を都道府県別でみると、 「山梨県」は全国 3 位。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 1 2016/02/26 特別企画 : 山梨県内企業「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 1. 種類別 ― 「休廃業」「解散」ともに前年を上回る 2015 年(1~12 月)の「休廃業・解散」は 298 件判明。前年の 272 件を 26 件(9.6%増)上回 った。 種類別にみると、 「休廃業」 (214 件)が前年比 5.4%の増加、 「解散」 (84 件)も同 21.7%の増 加となり、 「休廃業」 「解散」共に前年を上回った。 2015 年の「休廃業・解散」は、2015 年の「倒産」の 7.1 倍にのぼっている。なお、2015 年に おける「休廃業・解散」と「倒産」の合計は、340 件(前年は 310 件)であった。 「休廃業・解散」と「倒産」の件数推移 休廃業・解散 倒産 (件) 400 300 259 234 336 327 324 283 256 298 272 239 220 200 100 81 62 83 77 72 56 52 56 43 42 38 0 2005年 2006年 「休廃業・解散」件数 休廃業 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 (件) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 178 183 207 232 172 194 176 232 233 203 214 解散 56 37 52 92 84 89 63 95 103 69 84 合計 234 220 259 324 256 283 239 327 336 272 298 「休廃業・解散」前年比 2005年 (%) 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 休廃業 △ 4.3 2.8 13.1 12.1 △ 25.9 12.8 △ 9.3 31.8 0.4 △ 12.9 5.4 解散 △ 3.4 △ 33.9 40.5 76.9 △ 8.7 6.0 △ 29.2 50.8 8.4 △ 33.0 21.7 合計 △ 4.1 △ 6.0 17.7 25.1 △ 21.0 10.5 △ 15.5 36.8 2.8 △ 19.0 9.6 <参考> 「倒産」件数 倒産 「倒産」前年比 (件) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 62 81 77 83 72 52 56 56 43 38 42 (%) 2005年― 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2. 業種別 「建設業」をわずかに上回り「サービス業」が最多 倒産 2015年 138.5 30.6 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. △ 4.9 7.8 △ 13.3 △ 27.8 7.7 0.0 2013年 △ 23.2 2014年 2015年 △ 11.6 10.5 2 2016/02/26 特別企画 : 山梨県内企業「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 2. 業種別 ― 「サービス業」が「建設業」をわずかに上回り最多 業種別で「休廃業・解散」件数をみると、 「サービス業」が 70 件(構成比 23.5%)で最も多 かった。以下、 「建設業」が 68 件(同 22.8%)、 「小売業」が 61 件(同 20.5%)と続いた。2005 年から 2014 年まで最多だった「建設業」をわずかに上回り、 「サービス業」が初めて最多となっ た。 前年比では「その他」を除く 7 業界中、 「建設業」 「小売業」 「サービス業」 「不動産業」の 4 業界は増加、 「製造業」 「卸売業」 「運輸・通信業」の 3 業界は減少となった。 業種別件数 業種別 (件) (%) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 構成比 建設業 79 73 82 98 82 91 66 94 69 62 68 22.8 製造業 35 37 43 62 48 37 34 46 53 43 37 12.4 卸売業 26 26 37 39 41 34 24 39 48 30 29 9.7 小売業 50 33 45 65 39 57 50 71 68 54 61 20.5 運輸・通信業 2 4 5 6 5 4 3 5 12 10 5 1.7 サービス業 30 33 33 41 29 36 33 46 62 54 70 23.5 不動産業 10 8 11 7 7 17 19 11 16 14 18 6.0 その他 合計 2 234 6 220 3 259 6 324 5 256 7 283 10 239 15 327 8 336 5 272 10 298 3.4 100.0 業種別前年比 業種別 建設業 (%) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 △ 2.5 △ 7.6 12.3 19.5 △ 16.3 11.0 △ 27.5 44.2 △ 22.6 △ 22.9 △ 8.1 42.4 △ 26.6 △ 10.1 9.7 製造業 △ 22.2 5.7 16.2 卸売業 △ 36.6 0.0 42.3 19.0 △ 34.0 36.4 44.4 △ 40.0 20.0 △ 16.7 △ 20.0 △ 25.0 66.7 24.2 △ 29.3 39.4 34.8 △ 12.9 29.6 11.8 △ 42.1 45.5 △ 12.5 28.6 50.0 △ 46.7 △ 37.5 100.0 小売業 運輸・通信業 0.0 100.0 25.0 サービス業 50.0 10.0 0.0 不動産業 その他 合計 100.0 △ 20.0 △ 75.0 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 37.5 △ 36.4 200.0 △ 50.0 △ 4.1 △ 6.0 5.4 17.7 5.1 △ 17.1 △ 29.4 46.2 △ 12.3 24.1 △ 8.3 0.0 142.9 100.0 △ 16.7 40.0 25.1 △ 21.0 42.9 10.5 △ 15.5 35.3 15.2 △ 18.9 △ 14.0 62.5 23.1 △ 37.5 △ 3.3 42.0 △ 4.2 △ 20.6 36.8 13.0 140.0 △ 16.7 △ 50.0 2.8 △ 19.0 9.6 3 2016/02/26 特別企画 : 山梨県内企業「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 3. 代表者年齢別 ― 「60 代」以上の割合が増加 2015 年に「休廃業・解散」した企業(個人事業主を含む)の代表者を年齢別にみると、「60 代」が最も多く 81 件(構成比 33.6%) 、次いで「70 代」が 73 件(同 30.3%) 、 「80 歳以上」が 34 件(同 14.1%)と続いた。構成比をみると、 「60 代」以上が全体の 78.0%を占めており、昨 年と比較すると「60 代」以上代表者の休廃業・解散が増加している。 今後、2017 年には 1947~1949 年生まれの団塊世代が 70 代に突入しはじめるため、さらに「70 代」の経営者の割合が急増するものと思われ、それによる休廃業・解散動向が注目される。 代表者年齢別件数 (件) (%) 代表者年齢 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 前年比 30歳未満 3 0 2 0 1 2 0 1 1 0 1 - 30代 9 11 7 6 8 8 8 9 8 7 4 △ 42.9 40代 19 18 28 29 22 27 21 28 35 25 19 △ 24.0 50代 54 39 58 58 39 49 40 38 51 45 29 △ 35.6 60代 83 79 86 109 91 86 65 107 94 63 81 28.6 70代 39 42 50 71 50 54 49 74 78 62 73 17.7 80歳以上 13 14 17 34 17 17 19 27 28 25 34 36.0 合計 220 203 248 307 228 243 202 284 295 227 241 6.2 ※対象は代表者年齢が判明している先のみ 代表者年齢別構成比 (%) (ポイント) 代表者年齢 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 対前年 30歳未満 1.4 0.0 0.8 0.0 0.4 0.8 0.0 0.4 0.3 0.0 0.4 0.4 30代 4.1 5.4 2.8 2.0 3.5 3.3 4.0 3.2 2.7 3.1 1.7 △ 1.4 40代 8.6 8.9 11.3 9.4 9.6 11.1 10.4 9.9 11.9 11.0 7.9 △ 3.1 50代 24.5 19.2 23.4 18.9 17.1 20.2 19.8 13.4 17.3 19.8 12.0 △ 7.8 60代 37.7 38.9 34.7 35.5 39.9 35.4 32.2 37.7 31.9 27.8 33.6 5.9 70代 17.7 20.7 20.2 23.1 21.9 22.2 24.3 26.1 26.4 27.3 30.3 3.0 80歳以上 5.9 6.9 6.9 11.1 7.5 7.0 9.4 9.5 9.5 11.0 14.1 3.1 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 - 合計 ※対象は代表者年齢が判明している先のみ ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 4 2016/02/26 特別企画 : 山梨県内企業「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 4. 都道府県別 ― 山梨県の「休廃業・解散」率、全国 3 位 都道府県別にみると、2015 年の「休廃業・解散」の件数が最も多かったのは、 「東京都」の 2611 件。以下、 「北海道」 (1376 件) 、 「大阪府」 (1209 件) 、 「愛知県」 (1200 件)と続いた。企業数が 多い都市部は新設企業も多く、新陳代謝が進んでいる。 都道府県別「休廃業・解散」率をみると、トップは「愛媛県」で 2.605%。次いで、 「宮崎県」 が 2.414%、 「山梨県」は 2.238%で 3 位となった。 都道府県別「休廃業・解散」率 上位順 都道府県 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 愛媛県 宮崎県 山梨県 徳島県 岡山県 山口県 富山県 佐賀県 鳥取県 福井県 奈良県 群馬県 北海道 新潟県 高知県 島根県 京都府 滋賀県 広島県 長崎県 香川県 三重県 和歌山県 栃木県 休廃業・ 解散率(%) 2.605 2.414 2.238 2.205 2.191 2.185 2.182 2.074 2.061 1.973 1.946 1.933 1.916 1.906 1.898 1.867 1.855 1.846 1.842 1.822 1.803 1.783 1.769 1.753 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 2015年 (件) 456 355 298 212 532 367 349 249 160 297 241 531 ② 1,376 634 185 178 539 252 695 267 247 377 227 380 前年比 (%) 12.6 11.3 9.6 △ 7.4 11.1 10.9 35.8 0.8 6.0 17.9 16.4 △ 2.9 4.1 6.4 △ 11.9 △ 7.3 14.9 △ 3.8 △ 16.2 12.7 △ 11.2 5.6 △ 12.7 0.0 都道府県 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 福岡県 長野県 石川県 岐阜県 沖縄県 埼玉県 熊本県 大分県 静岡県 愛知県 兵庫県 千葉県 岩手県 秋田県 神奈川県 青森県 福島県 茨城県 山形県 鹿児島県 宮城県 東京都 大阪府 全国 休廃業・ 解散率(%) 1.750 1.741 1.730 1.715 1.684 1.675 1.665 1.637 1.591 1.584 1.571 1.566 1.561 1.537 1.506 1.490 1.486 1.456 1.446 1.427 1.352 1.280 1.206 1.645 2015年 (件) 930 451 273 389 269 1,030 321 265 682 ④ 1,200 786 786 219 189 ⑤ 1,065 263 338 429 227 243 335 ① 2,611 ③ 1,209 23,914 前年比 (%) △ 2.0 △ 2.6 3.8 △ 3.7 0.0 △ 1.0 0.6 4.7 △ 7.8 △ 8.8 △ 8.6 1.9 7.9 △ 6.4 △ 0.8 △ 5.7 △ 5.6 2.6 △ 0.9 4.3 △ 17.9 △ 2.4 △ 6.5 △ 0.8 5 2016/02/26 特別企画 : 山梨県内企業「休廃業・解散」動向調査(2015 年) まとめ 2015 年(1~12 月)の「休廃業・解散」は、298 件と前年(272 件)を 26 件(9.6%増)上回 り、1 年ぶりに増加に転じた。代表の高齢化による後継者難や人手不足が「休廃業・解散」件数 を押し上げており、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の関税撤廃の影響をリスク要因と して、数年先の廃業を視野に入れ始めた業者の話も聞かれる。 代表者を年齢別でみると「60 代」以上が全体の 78.0%を占めており、高齢代表者による休廃 業・解散が増加している。2017 年には 1947~1949 年生まれの団塊世代が 70 代に突入しはじめ るため、団塊世代の経営者は事業承継の決断を迫られる。 事業承継の問題として会社株式の相続税問題は避けられない。 中小企業など未上場企業や赤字 企業であっても、同業種の上場企業の株価をもとに株式価値を算出するため、株式の過半数を有 する経営者や親族が高額な相続税を払えず、廃業を余儀なくされるケースも散見される。特に親 族間で経営している中小・零細企業は、相続税を巡る内紛や、相続税を会社の資金から借り入れ するなど経営に影響を及ぼす可能性がある。 中小企業の相続税の負担軽減措置の実施を求める動 きもあるが、代表の高齢化に相続税問題が加わることで、 「休廃業・解散」件数は増加を続ける 可能性も否定できない。 【 内容に関する問い合わせ先 】 (株)帝国データバンク甲府支店 TEL 055-233-0241 FAX 055-233-0245 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法 の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 6
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